年末特別企画

【年末特別座談会】家電のプロ5名が本音で語る2018年の家電製品 ~掃除機編

 2018年も残すところあと4日。今年もさまざまなニュースがあり、目新しい家電製品が多く発売された。その締めくくりとして、日々家電製品を取材し、弊誌にも寄稿いただいている石井 和美氏、小口 覺氏、神原 サリー氏、戸井田 園子氏、藤山 哲人氏の5名にお集まりいただき、座談会を開催した。

 座談会では、炊飯器、掃除機、洗濯機、エアコン、冷蔵庫の5ジャンルと、2019年の家電展望についてお話いただいた。司会は家電 Watch編集部の西村が担当。第2回となる今回は掃除機編をお送りする。

家電製品を日々取材する家電のプロ5名にお集まりいただき、座談会を開催。左から、神原 サリー氏、戸井田 園子氏、小口 覺氏、藤山 哲人氏、石井 和美氏

ロボット掃除機の話題をさらった「ルンバe5」

――ロボット掃除機だと2018年は「ルンバe5」に話題が集まった印象です。フラグシップのルンバ900シリーズに次ぐ高機能モデルながら、5万円を切る価格は衝撃でした。

神原 ルンバe5は人に聞かれたときに、価格的にもオススメしやすいです。ブラシロールがゴムなのも、新しくダストボックスが洗えるようになったのも使い勝手が考えられてますよね。

戸井田 ゴム製のロールはペットオーナーにはありがたい仕様ですね。

藤山 あれが1人勝ちするのは納得です。

――うちは猫を飼っていて、ブラシタイプの掃除機だとすぐに猫の毛が絡まってしまうのですが、ルンバのロールは絡まることはなかったですね。ダストボックスにきちんと溜まっていて、とても使いやすかったです。

アイロボットジャパン「ルンバe5」

石井 ルンバe5と、フラグシップモデルのルンバ980を比較したみたのですが、やはり違いはありました。複数の部屋を掃除するならやっぱり980だと思います。1部屋とからならe5でも十分です。980は値段は高いけど相応の機能がありますね。

戸井田 マンションでも全部の部屋をいっぺんに掃除しないならe5かな。今日はリビングだけ、寝室だけという風に使う人もいますし。e5を2台買って、1階と2階で使い分けてもルンバ980よりも安いですから。

小口 ルンバe5を2個買ったら、バッテリーもへたらないからそこも良いですね。

ルンバe5では新たにダストボックスの水洗いが可能に
ゴム製のロールは毛が絡まず、ペットオーナーからも好評

神原 私はエレクトロラックスのPUREi9(ピュア・アイ・ナイン)がとても良かったです。今までロボット掃除機にはあまり食指が動かなかったのですが、久しぶりに楽しく使えました。アプリで、どこを掃除したかの記録があまりにも正確で、後で確認するのが本当に楽しかったです。

 どんどん賢くなっていくし、掃除を何時間したか、どれくらいの面積を掃除したかもしっかり記録されていました。値段は高いけど、2週間のお試しレンタルがあるのも良いですよね。

エレクトロラックス「PUREi9」

――細かいところまで記録されていますよね。我が家だと鏡を避けたのもわかりました。Purei9は障害物の避け方が繊細なので、鏡やコードを見つけるとぶつからないように動いてくれるのも使いやすかったです。反対に、ルンバはコード周りや椅子周りもしっかり掃除してくれるので、結構ぶつかるなと思いました。ガツガツ攻めて、ガツガツゴミを取るというか。

戸井田 ロボット掃除機をたくさん使ってきて、私はやっぱりルンバが一番好きですね。取れてるゴミの量が段違いです。ダストボックスを見ると毎回ゴミをしっかり取ってくれているのがわかります。壁やモノには当たりますが、最終的にはゴミを取ってくれるのが一番ですねだと感じます。

――ここはやはり掃除の仕方と好みによるところですね。藤山さんは今年使ったロボット掃除機では何が良かったですか。

藤山 うちは犬猫がいるのでルンバですね。抜け毛をしっかり掃除してくれます。ただペットが怖がらないロボット掃除機だとしたら、パナソニックのルーロは静かで怖がりませんでした。

 Purei9も静かで、あとサイドブラシが長いから猫ウケが良かったです(笑)。椅子周りにくると本体がゆっくり動くから、猫がブラシに飛びついてましたよ。前のルンバは怖がっちゃいましたけど、e5は静かになったので前よりは怖がらなくなりました。

藤山 哲人氏
運転音が静かなルーロはペットも怖がらなかったという

スティッククリーナーに求めるものは吸引力? 手軽さ?

――スティッククリーナーは2018年も多く発売されましたが、個人的には手元が重い機種が増えたと感じました。各社が吸引力と長時間運転にこだわり、高性能モーターとバッテリーの分で重くなっているような気がします……。

小口 各社とも、ダイソンの吸引力に負けたくないという思いが強いようですよね。

石井 吸引力を気にするユーザーさんがそんなに多いのかというのは気になります。

戸井田 アンケートを取ったらそうなりやすいんだと思いますよ。

神原 吸うに越したことはないから、吸引力は気にしますかと聞かれてたら「はい」と答えてしまいますよね。

戸井田 洗濯機に何を求めますかと聞かれたら、汚れが落ちることと答えるのは普通ですもんね。

石井 基本性能を求めるのは当たり前で、そこを追求しすぎるとユーザーニーズから外れてしまうのかもしれないです。スティッククリーナーなのに、吸引力を頑張りすぎて重くなったら意味がないよねとは思います。

――吸引力、目に見えない細かいゴミが吸えることってそんなに大事なのかなと、実は個人的には思っているんですよね。ワンストロークで髪の毛が吸えないと問題ですが、今のスティックならだいたい吸えてキレイになるから問題ないかなと。それよりも本体が重いのが気になってしまいます。

神原 昔のスティック掃除機だと髪の毛も全然吸えないということはありましたが、そのときのイメージが強いのかもしれないですね。今はどこも髪の毛が吸えないということはないですから。

戸井田 吸引力ももちろん大事ですが、サッと手軽にというのがスティックの魅力だと思うので、三菱のズバキューは良かったですよ。

石井 ワンモーション便利ですよね。充電スタンドから取り外す際に、持ち手を手前へ倒すとスティッククリーナーとして、真上に引っ張るとパイプが外れハンディクリーナーとして使えるのは手軽でした。

三菱電機「ズバキュー」
充電スタンドから取り外す際、持ち手を手前へ倒すとスティッククリーナーとして、真上に引っ張るとパイプが外れハンディクリーナーとして使える

戸井田 使い勝手でいうならアイリスオーヤマのモップ付きクリーナーも良いですよね。

――静電モップが付属する紙パック式ですね。床掃除はクリーナーで、棚上のホコリはモップで掃除ができるという。モップについたホコリは、充電スタンド下部の放電プレートで除去して、掃除機で吸引できるんですよね。

石井 モップ付きクリーナー、大好きです私。充電スタンドの放電プレートが、モップについたホコリをかなりキレイに除去してくれるんですよ。

神原 私も好きです。昔ダイキンが空気清浄機に帯電モップを付属して、モップのホコリを吸うという同じような機能をつけていたんですけど、直販専売でしたがとても良かったですね。

アイリスオーヤマ「極細軽量スティッククリーナー KIC-SLDCP5」
充電スタンド下部に放電プレートを備え、モップについたホコリを吸引する

――ほかに今年気に入ったスティック掃除機はありますか?

戸井田 日立のスティック掃除機「パワーブーストサイクロン PV-BF700」は、持ち手を伸ばしたり縮めたりできて身長にも合わせられるのが良いですね。自立もするし上手にできていると思います。

日立「パワーブーストサイクロン PV-BF700」

神原 あと今年はシャークが掃除機を続けて出しましたね。エレクトロラックスもモデルチェンジしていました。

戸井田 シャークは夫から好評でした。私はちょっと重いと思ったんですけど男性は平気らしくて好んで使っています。ボタン1つでパイプが曲がるので、家具下を掃除するときも屈まなくて楽と言ってました。

石井 男性は気にいる人が多いですよね。デザインが格好良いという声も聞きます。

ボタン1つでパイプが曲がる、シャーク「EVOFLEX」
収納時もコンパクトになる

神原 家具の下も便利ですし、一番好きなのは曲げて収納するときですね。コンパクトになるのが思いのほか嬉しい気持ちになりました。

 シャークはハンディクリーナーのEVOPOWERがすごく好きです。よく吸うので色んなところで使っていて、本棚に溜まるホコリも簡単に吸えます。スティッククリーナーを短くしてハンディにしても、ブラシを付け替える手間や、スティッククリーナー自体の重さが気になることがあります。EXOPOWERならとても軽いので、棚上なども掃除しやすいです。

シャークが第2弾製品として発売した、ハンディクリーナー「EVOPOWER」

石井 デザインもいいですよね。出しっぱなしにしておける格好良さがあります。カラーバリエーションが増えて選びやすくなりました。

――シャークはハンディに留まらずスチームクリーナーやロボット掃除機と続々と新製品を投入していますよね。

石井 スピード感がありますよね。モタモタしていると他社から良いものが出てきてしまうので、とにかく出すという姿勢は大事だと思います。

戸井田 アイリスオーヤマ然り、スピード感は大事ですよね。

神原 アイリスオーヤマからは、テレビとドラム式洗濯機が発表されたのも大きいです。本格展開は2019年といっても、見せておくという姿勢はインパクトがありました。

戸井田 とりあえずお披露目しておくというのは大事だと思うので、各社の動向が来年も楽しみです。

――ありがとうございました。

 座談会では家電のプロに2018年の家電製品について振り返ってもらったが、読者投票で今年の1台を決める「家電大賞 2018」も開催中。まだお済みでない方はぜひご投票を!

→「家電大賞 2018」投票ページ
 投票締め切り:2019年1月7日(月)23時59分