やじうまミニレビュー
イシガキ産業「レンジ de カリー」
~カレーやシチューが数分で作れる、電子レンジ用調理器具
by すずまり(2013/2/5 00:00)
疲れているときの食事ほど、内容に気を配りたいものの、結果的に手抜きになってしまいがちだ。かといって、コンビニのお弁当や、外食で空腹を満たせばいいというものでもない。筆者の場合、どんなに簡単なものでも、うちで作って食べることが癒しになることが多いと感じるから不思議だ。
たとえば、ご飯と漬け物があるなら、野菜が豊富なスープや煮物など、温かい1品が欲しい。お肉もあったらうれしい。しかもすぐ食べたい。ただ、できるだけ手間は省きたいと思う。鍋などの調理器具や食器など、あとの始末が必要なものも極力減らしたい……かなりワガママである。カップスープ、レトルト、冷凍食品でもなく、それでいて願いを叶えてくれるもの、それが今回ご紹介する「レンジ de カリー」だ。
メーカー | イシガキ産業 |
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製品名 | 魔法のお皿シリーズ レンジ de カリー |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 1,533円 |
「レンジ de カリー」の箱を開けると、出てくるのは、約205×137×65mm(幅×奥行き×高さ)の、厚手の耐熱陶器ポット、つまりレンジ de カリー本体と、シンプルな天然木のスプーン、レシピ付きの取扱説明書のみ。たったこれだけだ。
「レンジ de カリー」は、上からはマイクロ波、底からは遠赤外線と発熱パワーで加熱調理してくれるという、700W以下の電子レンジ専用の容器である。使い方は、肉や野菜、調味料などの材料を入れたら、ひたひた程度に水または水分を入れ、電子レンジのマニュアル操作で所定の時間加熱する。加熱後、取り出して付属スプーンでかき混ぜればできあがりだ。
1人前のカレーを作ってみた
まずは付属のレシピを参考に、カレー作りに挑戦してみた。まずは容器に、薄切り、または小さめの乱切りなど、熱が通りやすい状態にした、玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、プチトマトを入れる。その上に肉を広げ、さらに1食分のカレールウをのせ、水を注ぐ。レシピ上の量は120mlだが、全体が水に浸かる状態にするのがポイントだ。準備はこれでおしまい。あとは500Wの出力で5分加熱するだけである。
加熱後のカレーを付属のスプーンで手早くかき混ぜたらできあがり。よくかき混ぜたところ、しっかりカレーになってくれた。材料はいずれも1人分で、食材を洗ったり切ったりという準備も含めると、全体の所要時間は15分程度だろうか。お腹空いたー! から始まって、15分で手作りカレーが完成というのはすばらしい。
しかし、食べてみたところ、カレーと野菜が分離したような味で、じゃがいもの熱は通っているのだが、ホクホク感が感じられなかった。鍋で作るときは十分煮込むわけで、それが省略されているのだから仕方がないのかもしれない。5分は調理できるギリギリの最短ラインということなのだろう。
ここで諦めてはもったいない。そこで、自分なりに工夫を凝らしてみた。まず、肉とトマト以外の材料は、冷凍保存したものを使用。一度冷凍した野菜は味が染み込みやすくなるのだ。
またカレールウ以外に、顆粒のコンソメスープをほんの少し加え、加熱時間を5分から7分に延長。仕上げのかき混ぜの際、わずかにソースなども入れてみた。
これが大正解! あくまでも我が家の電子レンジの例だが、野菜への味の染みこみがアップし、味もコクがプラスされて、カレーと野菜がうまく馴染んでくれた。冷凍野菜を使っているので、所要時間は10分程度だろうか。10分でここまでできるなら大満足である。
キーマカレーがわずか5分で完成
続いてのカレーは「キーマカレー」である。こちらは合い挽き肉、みじん切りの玉ねぎ、小口にカットしたいんげん、おろし生姜、トマトケチャップ、カレールウ、水100mlを使う。作る要領はカレーと同じだが、熱が通りやすい食材ばかりなせいか、レシピ通り500W、5分加熱で無事完成した。
よくかき混ぜて、最後に七味唐辛子を少々振りかけて仕上げ。実においしくいただくことができた。バケットなどを用意し、上にのせて食べてもおいしそうだ。実は、普段キーマカレー作る機会がなかったのだが、これだけできるなら、おもてなし料理にも転用できそうである。ぜひ積極的に作っていきたいと思えた。
トロトロの海老のクリームシチューもわずか5分で作れる
「レンジ de カリー」で作れるのはカレーばかりではない。同じ要領でシチューもできる。むきえび、ブロッコリー、玉ねぎ、しめじ、1人分のシチューのルーに水120ccを容器へ。500Wで5分加熱してから、最後に牛乳大さじ1杯入れてかき混ぜるのだ。
これもまた大満足の出来であった。エビはぷりぷりで、ブロッコリーはホクホク。加えて食べきりのため、煮込みすぎることもない。最近では使いやすい量で野菜を小売りしているが、それらを使えば、本当に簡単にできてしまう。アサリのむき身にベーコン、キャベツを使えば、クラムチャウダーもできそうなので、夢が膨らむメニューである。
じゃがいもゴロゴロの肉じゃがが8分でできた。ついでに牛丼も!
カレー、シチューはいずれも洋食。和食は無理なのか? といえば、そうではない。レシピにはしっかりと「肉じゃが」も用意されている。材料は、薄切り牛肉、じゃがいも、にんじん、タマネギ、さやえんどう、砂糖、みりん、酒、醤油、サラダオイル、水。これらをポットに入れて500Wで8分加熱するのだ。
これまでは材料に対してひたひたになるほど水分があったが、今回は隠れる程度。どうなるのかと心配したが、全く問題なかった。加熱直後はなんとなく残念な見た目だったが、かき混ぜてみると、しっかり肉じゃがの風情に。じゃがいもは薄切りではなく、8~9等分程度の乱切りだが、楊枝がスッと通るくらいになっていた。もう少し味が染みこんでくれたら、とは思ったが、時間のないときの1品として食べるには十分なレベルだと思った。
実はこのとき、アメ色の玉ねぎをみてひらめいたのが牛丼だった。牛肉と薄切り玉ねぎに、めんつゆや砂糖、水、紅ショウガがあれば、簡単にできるのではないか? と考えたのだ。結果は成功。味は好みに合わせて調整する必要があるが、肉じゃがと同じ要領で牛丼を作ることができた。牛丼だけにそのまま食べるわけにはいかないが、容器の形からして、つゆも流し込みやすく、使い勝手がよかった。バリエーションとして、豚丼やその他の煮物も作れそうだと確信した。
このレンジ de カリーの利点は3つある。1つめは、食べたいときに、適量を、電子レンジで簡単に調理できること。
2つめのポイントは、その形をみて分かる通り、そのまま食卓に出せることだ。今回試したのはイエロー。カラシ色に近いボディに、コロンと丸いフォルムがなんともかわいらしい。カリーの名を冠してはいるが、その丸みを帯びたデザインのため、和食でも洋食でも、何を入れても馴染むのだ。調理器具と食器も兼ねるため、当然洗い物も減らせるわけである。なおカラーはマットなレッドも用意されている。
3つめのポイントは、保温性能が高く、温かいものが温かいまま食べきれることである。たとえばカレーを載せたご飯などの温めに使うと、ゆっくり食べても、スプーンで底のご飯をすくう度に熱い湯気が立ち上り、最後まで温かいご飯を口に運べた。今の季節に限らず、熱いままいただけるというのは喜びである。
温め直しにも威力を発揮! あると役立つ調理アイテム
まさか、陶器ポット1つでこれだけ書く気になろうとは……と思うほど、「レンジ de カリー」が気に入ってしまった筆者。食べたいときに、1食分だけ作れて余らないので、一度作ったら何食も同じものが続くということがない。これが1つあれば、食事はいらないと言っていた家族が急に帰宅して、何か食べたいと言い出したなんてときや、おもてなし料理で品数を増やしたいというときにも活躍しそうだ。暖かみのあるデザインなので、いろんなものを盛りつけられそうでいい。彩り豊かなサラダを入れて、食卓に並べてもいいだろう。
こうして簡単にできて、おいしく、しかも片づけが楽なことに気をよくして、我が家ではキッチンにかなりの頻度で登場するようになった。思い切り手を抜いてるつもりなのに、充実感が得られるという、なんともお得な「レンジ de カリー」、お勧めである。