やじうまミニレビュー

川口技研「OKスライド網戸」

~網戸レールがなくても取り付けOKの網戸
by 藤原 大蔵


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


川口技研「OKスライド網戸」。網戸レールや窓枠内に固定して取り付ける網戸だ

 改めて言うほどでもないが、夏になると網戸のありがたみに感心する。虫の侵入を防ぎながら、自然な涼風を室内に取り込めるからだ。しかし、我が家のサッシ窓は網戸用のレールが無いため、取り付けられない。そのため、たとえ涼しい夜風が吹いていたとしても、窓を閉め切って、エアコンに頼らなければならなかったのだ。

 そんな時、網戸レールが無い我が家の窓にも取り付けられる網戸を見つけた。それが今回紹介する川口技研の「OKスライド網戸」である。

 OKスライド網戸は、網戸レールの有無にかかわらず、網戸を窓の高さに合わせてはめ込んで、窓の一部を”網戸化”してしまうというユニークなもの。一般的な窓サッシに取り付けられ、窓の施錠もできるという。幅は340mmと、ベランダに面した窓の出入りも考慮したスリムなものだ。要は、窓を半開きさせ、その開いたスペースにはめこんで使用する網戸だ。

 サイズは、窓の高さ(範囲:630~2,100mm)に応じてS、M、Lの3種類が用意されている。今回は、SサイズとLサイズを2台まとめて購入した。大きさはLサイズで350×35×1,300mm(幅×厚さ×高さ)、S/Lサイズまとめても5kg未満と軽いので、電車に持ち込んで簡単に運ぶことができた。


メーカー川口技研
製品名サッシ窓用 OKスライド網戸
希望小売価格オープンプライス
購入場所ホームセンター
購入価格7,800円(Sサイズ)10,800円(Lサイズ)

OKスライド網戸のSサイズ。高さ920mmのリビングルームの窓用に購入したOKスライド網戸のLサイズ。高さ2,100mmの寝室の窓用に購入した

 OKスライド網戸のパッケージ内容は、サイズの違いにかかわらず同じ。薄い12mmの網戸が2枚1組となっている本体に、窓の隙間を埋める「スキマ隠し」が4本、建付けを調節する「建付調節部品」となっている。本体は、スライドして高さが変えられる。

左から、「スキマ隠しテープ」、サッシ建付けゆがみに対応する「建付調整部品」、そして網戸本体。網戸は2枚が重なり合って1組となっている。建付調整部品の出番は、我が家の窓では無かった2つの"高さ調節ネジ"を緩めると、網戸がスライドして伸縮できるようになる。ネジの直径は16mmで、工具なしに扱える。また、網戸をめいっぱいスライドさせて伸ばしても、抜け落ちてバラバラになることはない

 取り付け方はとてもシンプルだ。まず、網戸についている「調整ネジ」を緩める。次に、2枚の網戸をスライドさせ、網戸の上下にある溝が、網戸レールもしくは、窓レールに差し込まれるよう、めいっぱい伸ばす。最後に「調整ネジ」をしっかり締めつければ、取り付けが完了する。2枚1組のスライドする網戸を、窓の内側に“突っ張らせて”固定するのである。

虫よけの2つの工夫。網戸が重なるところの隙間はブラシで塞がれている。本体の両側面には虫止めがあり、取り付ける窓の状況に合わせてカットしやすいよう、加工用ガイドラインがついている網戸の底部には溝のあるパーツがあり、それをレールに差し込む。下部のフレームの厚みは25mm網戸の上部にも溝がある。網戸をめいっぱい伸ばし、それをレールに差し込んで固定する。溝の幅は6mmで、本体の上部の厚みは12mm

 そして、網戸を右側に取り付けるなら、網戸レールは必要ないのである。なぜなら、網戸レールの有無に関係なく、右側に取り付けるなら窓レール、左側なら網戸レールを用いるよう、決まっているからなのだ。それは、窓に固定する網戸という特性上、選択の余地はないのだが、網戸レールが無い窓にも取り付けられるのは、普通の網戸では望めない事である。

左側に取り付けたいなら、網戸を固定するために網戸レールが必要右側に取り付けたいなら、網戸レールの有無にかかわらず、窓用レールを利用して固定する。言い換えれば、網戸レールが無くても窓の右側になら取り付けられるのだ

 取り付けが完了し窓を開けると、スーッと気持ちの良い風が入ってくる。たとえ300mm程度しか窓を開けなくても、実感できるほど風が室内を吹きぬける。虫の侵入を気にする事なく、風が通るのは快適で、カーテンが風にフワリと揺れる情景は目にも涼しげである。もちろん、問題なく窓の施錠もできた。

リビングの窓にSサイズの網戸を取り付けた様子。窓は開いており、風が入って来るリビングの窓を閉めた様子。問題なく施錠できたリビングの窓と網戸の境目は、網戸についている虫止めがしっかりと機能して隙間ができない
寝室の210cmの窓にLサイズの網戸を取り付け、外側から見た様子寝室の室内側から窓を閉めて撮影。問題なく施錠できる網戸が重なっている部分の「虫止め」もしっかり機能している。側面から虫が侵入する事はない

 OKスライド網戸をしばらく使用したところ、感心した点があった。それは、真っ黒い網を通して見る風景が、思いのほかクリアだったのだ。黒い網戸を初めて見た時、網戸越しの風景が思いっきり薄暗くなる事を心配していたのだが、それは杞憂であった。ガラス越しと見比べてもさほど変わらなかったのである。

 また、固定式の網戸であっても、今までどおりベランダへの出入りができるのは良い点である。我が家のリビングの窓は全開にしても開口部は750mm程度しかならないが、網戸は350mm幅のスリムなものなので、さほど邪魔にならなかったのだ。

網戸を通して空を仰いだ写真。網の色は真っ黒だが、風景の見え方にそれほど影響がない。黒い網は光の乱反射が起こりにくく、風景がクリアに見える室内が明るくても黒い網はさほど気にならない寝室の窓は全開しても750mmほど。スリムな網戸なので、網戸を取り付けたまま、ベランダに降りる事ができる

 OKスライド網戸を取り付けてから、昼夜問わずに気軽に窓が開けられるようになり大満足。頻繁にエアコンに頼らなくなったので、電気代もずいぶん助かるし、自然の風はやはり健康的だ。

 使用感は大満足であるが、欠点もあった。それは、窓にどうしてもスキマができてしまう点である。付属する「スキマ隠しテープ」で解決できるものもあったが、解決できない部分もあり、市販のすきまテープなどを購入して、工夫する必要があったのである。

 具体的に挙げると、サッシ上部のスキマだ。我が家のサッシ窓の上部にはレールが無く、網戸よりもはるかに太い溝がある。そのため、溝と網戸の間には隙間ができてしまい、しっかり固定できなかったのである。その問題は別途購入した硬質ウレタンを挟みこむ事で解決したのだが、それを探し出す手間と試行錯誤があった。

【隙間例:その1】リビングルームの窓の「ストッパー」が硬くて外れなかった。本体にはストッパーに対応する工夫が無く、何もしなければ窓枠と網戸の間に大きな隙間ができてしまう。写真は付属のスキマ隠しテープを窓枠に貼り付けた様子【隙間解決例:その1】付属するスキマ隠しテープのおかげで、ストッパーによる隙間がきれいに隠れている
【隙間例:その2】窓の「取っ手」とレール部分にできた隙間。このような隙間は、付属するスキマ隠しテープは薄すぎて対応しきれない【隙間解決例:その2】市販のスポンジ製の厚みのある「すきまテープ」を貼り付けて隙間を塞いだ。窓を開閉しても問題ない買い求めた市販の素材。"L字の硬質ウレタン"(写真左)と、スポンジのついた"すきまテープ"(写真右)。網戸購入とは別に300円程度の支出があった
【隙間例:その3】我が家のサッシ窓の上部にはレールが無いタイプのものだった。購入前に確認を怠ってしまった【隙間例:その3】窓の溝幅は30mm。一方、網戸の厚みは12mmで隙間が出来てしまい、網戸がちゃんと固定されない【隙間解決例:その3】窓枠の溝と網戸の間に、3cm幅に切ったL字の硬質ウレタンを折って挟みこんだところ。これでやっと網戸が固定された

 実は本製品には、付属のテープでスキマが防げない場合は、市販品をご利用くださいという注意書きがあるので、それを承知のうえで買わなければいけないのだが、もうすこしスキマ用の付属品を用意してほしかったところだ。使った道具はハサミだけで、数百円程度の出費で済んだのだが、やっぱり手間は手間だ。

 スキマに手間取ったが、結果的には仕上がりも使い勝手も上々で大満足である。何よりも、今までずっと諦めていた網戸が取り付けられたというのは嬉しい事だ。もちろん窓自体に手を加える事無く、今まで出来なかった事が出来るようになるという、OKスライド網戸は、間違いなく画期的な製品である。

 また、軽くコンパクトになるので、汚れたら取り外し、浴室などで気軽に丸洗いできるのも良い点だ。網戸が不要な季節には、押入れやクローゼットに保管するのもアリだろう。

 もしも網戸レールが無く網戸を諦めていたのなら、気軽に取り付けられる網戸として、OKスライド網戸を検討してみてはいかがだろうか。




2010年 7月 9日   00:00