やじうまロングレビュー
運動したくなる仕掛けが満載! 「NIKE+ FUELBAND SE」を1週間使ってみた
by 鳴海 淳義(2013/11/13 07:00)
ジョギングに、ウォーキングに、トレッキングなど、体を動かすのが楽しくなってくるこの季節。どうせなら日々の運動量を計測して、“いい汗かいてる自分”をより実感したい。そんなときに使われるのが「活動量計」と呼ばれるカテゴリの商品だ。
腕に巻いたり、ポケットに入れたり、首からぶら下げたりと様々なタイプの製品が登場しているが、なかでも注目したいのがNIKEから11月6日に発売されたばかりの「NIKE+ FUEL BAND SE」である。
メーカー名 | NIKE |
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製品名 | NIKE+ FUEL BAND SE |
希望小売価格 | 15,750円 |
購入場所 | NIKE直営店 |
購入価格 | 15,750円 |
その特徴は日常のあらゆる動作をNIKE独自の「FUEL」という単位で計測可能なところだ。歩数や移動距離だけでなく、炊事・洗濯などの家事や果ては睡眠まで、装着している間の行動を数値化してくれる。
本家の米国では2012年春にファーストモデルが販売されており、日本でも長く発売が待たれていた。個人で輸入して利用するユーザーも一定数いたようで、それだけに今回のモデルチェンジと日本上陸は大きなニュースだ。かくいう筆者も、旧モデルユーザーだった。
発売日の11月6日にNIKE+ FUELBAND SEをNIKE直営店で購入したので、そのファーストインプレッションと使用感、旧モデルからの改善点についてレビューしたい。
セットアップにはパソコンが必須
FUELBAND SEを使うにはインターネットに接続可能なパソコンとNIKE+のアカウントが必要だ。パソコンとUSB経由で接続して各種設定を行ない、自分の身長や体重といったデータをNIKE+のアカウント情報とひもづけて自動で取得する。これらの情報をもとに「FUEL」という独自単位で運動量が計測される。
表示される項目はFUEL、時間、消費カロリー、歩数など。これらの項目のうちFUELと時間は必ず表示され、それ以外の項目は設定画面から表示のON/OFFを選べる。各項目の表示速度は速く、もたつきがない。またボタンをダブルクリックすれば即座に時間が表示されるため、腕時計として利用するのもありだ。
つけてるだけで運動のモチベーションが上がる!?
まずは実際に使ってみよう。使い方は簡単で、腕に装着した状態で日々の生活や運動をこなし、たまにボタンを押してFUELなどの運動量を確認するという流れだ。デスクワークの方、営業などで外回りの方、常に家事で動きまわる主婦の方、人それぞれの運動量に従ってFUELがどんどん増えていく。
FUELの目安だが、2,000が「普通」、3,000が「活動的」、5,000が「高エネルギー」であるとNIKEは規定している。まずは設定画面で3,000を目標に入力して、これを目指して運動するのがいいだろう。
この目標に対する達成度は数字の上に点灯するカラーで表示される。目標FUELに近づくに従い、カラーがレッドからイエロー、グリーンへと変化。達成すると派手なグラフィックで「GOAL」と称えてくれる。これがなかなか嬉しいのだ。
自分の運動量が可視化されるのは気持ちがいい。これまでは活動的だった日も、そうでない日も、「どれくらい運動したか」など意識したことはなかった。それがはっきりとした数値で記録され、溜まっていくと運動へのモチベーションが高まる。
筆者の場合、デスクワークが基本のため、普段の生活を送るだけでは2,000程度で終わってしまう。目標の3,000FUELまで、あと1,000を稼ぐために、1駅余計に歩いてみよう、階段を登ってみようと考えるようになる。結果的に運動する癖がつき始めたように思う。
特に目標まであと一歩、2,900FUELあたりで日付が変わって、数値がリセットされたときは悔しい。夜以降の運動量が自然と上がるようになった。ちなみにFULE BANDのデータをパソコンと同期すると、NIKE+のマイページで計測したデータをすべて確認することができる。運動量の多い時間帯もわかるため、いつどの程度活動しているかが一目瞭然だ。
そしてFULE BAND SEはなんと、睡眠時の運動まで計測してくれるという。毎日装着しながら寝ているが、起きたらたしかに数字は増えている。ただし100〜200FUEL程度なのでそれほど大きな運動ではないようだ。
旧モデルの課題だったバッテリーが改善、防水性能も向上
旧モデルの最大の課題はバッテリーだった。満充電から約2~3日でバッテリー切れになり、気づいたら記録が取れていないことが多々あった。これはかなりテンションが下がる。とはいえ、3日に1回のペースでパソコンに数時間つないで充電するのは非常に面倒だった。
この点がNIKE+ FUELBAND SEは改善されている。11月6日の購入直後に満充電して48時間経った段階でバッテリーゲージはまだ半分以上残っていた。最終的にバッテリーが切れたのはなんと充電から5日目、11日の正午前だった。5~6日は継続して利用できるようだ。これは旧モデルの2倍の稼働時間。かなり快適である。後述する「Bluetooth 4.0」対応による省電力化が効いているようだ。
FUELBAND SEはリチウムポリマーバッテリー2個を内蔵。NIKEは公式には「最大4日間分」充電できるとしている。週末に充電し、平日はずっと装着したままという利用ができたら理想的だが、そこまではまだ至らないようだ。週に2回は充電が必要になるイメージだろう。
一方で不安な点も残っている。FUELBAND SEのボタンを長押しすると現在の残バッテリーが表示されるが、これがあまり信用ならない。バッテリー切れを起こす数時間前まで半分以上のゲージが残されていたはずだが、切れたのは突然だった。5日にして半分のゲージが残っていたため、「これはまさか10日ほど持つのか…」と期待を込めて使っていたが、そうはいかなかった。計測のロスをなくすためにも、せめて残バッテリーのゲージは正確に表示してほしい。
さらに、FUELBAND SEは耐水性が向上したそうだ。NIKEのサイトには「シャワーを浴びたり、雨の中でダンスしているときに装着してもかまいません」とある。雨の中でのダンスはともかく、シャワーの時に外さなくてもいいのは便利だ。
試しにシャワー中に使ってみたり、手を洗うときにバシャッと水をかけてみたが、この程度では問題なく使えた。ただし完全防水でないためお風呂に沈めるのは避けた。また水泳時に装着し、運動量を計測することも推奨されていない。沈めない程度に注意しながら使うようにしよう。
スマホ連携でできることは多いが、同期に難あり
FUELBAND SEは毎回パソコンに接続して同期しなくても、専用のiPhoneアプリ(https://itunes.apple.com/jp/app/nike+-fuelband/id493325070)とBluetoothで接続してNIKE+と同期し、手元でさまざまなデータを確認したり、FacebookやTwitterといったSNS経由で友人にシェアできる。
しかしFUELBAND SEの発売と同時に公開されたiPhoneアプリの出来はいま一つだった。初回のペアリング方法もわかりにくく、毎回の同期も不安定。少々がっかりしたが、11月8日には早くもアップデートされ、これらの不満点はやや改善された。以降はアップデートされたバージョン2.0.1について述べる。
FUELBAND SEはiPhoneアプリとの間でBluetooth 4.0を利用した自動同期を行なう。常時接続されているため、特定の操作をしなくても、アプリを開いたらすぐにFUELBAND SEで計測したデータが同期されるということである。
試しにアプリを開いてFUELの数値を見ながら、FUELBANDを装着した側の手をぶんぶん振り回してみると、アプリ上の数値もどんどん増えていく。このリアルタイム性は素晴らしい。アプリがあればパソコンに接続して同期する必要性は感じなくなる(ただしAndroid版は出ていない)。
そしてこのアプリは、あの手この手で利用者の運動モチベーションを高めようとしてくれる。メニューから「トロフィー」という項目を選んでみよう。FUELの総量や特定の時間あたりの獲得FUELなど、さまざまな基準をクリアすると勲章が与えられていることがわかる。
最初は簡単な基準を超えればトロフィーがもらえるが、徐々にハードルが高くなっていく。目標を2倍、3倍上回ることで得られるトロフィーなどはなかなか獲得が難しいが、ハマると楽しい。ゲーム性を演出して運動を継続させるのはなかなか良いアイデアだ。
さらにトロフィーを獲得したり、毎日の目標をクリアしたりしたときなど、自分の好きなタイミングでSNSに投稿できるようになっている。その場で写真を撮影して、獲得FUEL数をオーバーレイして投稿することも可能だ。同じくFUELBANDを使っている友人にアピールすることができる。ぜひトロフィーの獲得や友人との競争を通じてFUELを稼いでみよう。
FUELBANDは見た目がカッコイイ
NIKE+ FUELBAND SEの優れた点の1つは、やはりその見た目だろう。シンプルな外観でゴテゴテしていない。女性でも付けられるスタイリッシュなところがある。新型ではカラーバリエーションも増え、ブラック、ボルト、ピンクフォイル、トータルクリムゾンのネオンカラー、計4色展開となった。
外側はマットなラバー素材に仕上がっており、結合部のみプラスチックだ。ここにNIKEロゴが差し色とともに入っている。内側は約半分がプラスチックで、装着しているとその部分の色がちらっと覗くデザインになっている。
装着する時はボタンと表示部分を手の甲側に向けてもいいし、逆に反対側のNIKEロゴを見せてもいい。このあたりは好みで、ボタンを押しやすい方で装着できる。ちなみにNIKE公式ではボタンと表示部分がある側を外側に向けているようだ。
重さはサイズ別にSが27g、M/Lが30g、XLが32g。筆者(男性、身長170cmはM/Lサイズを選んだが、つけていて違和感はない。ぴったりすぎると手首を曲げた時に窮屈になるので、装着してて少し動くくらいのサイズ感がちょうどいい。NIKEのWebサイトにあるサイズ表に従って選ぶことも可能だが、できれば一度試着してから購入するのがオススメだ。FUELBAND SEにはサイズ調整のアジャスターも付属している。それも含めて装着感を試してみるのがいいだろう。