やじうまミニレビュー
エプソン「WristableGPS SS-700S」
~ランニングペースやルート、心拍数を記録できる高機能GPSウオッチ
by 石井 英男(2013/8/5 00:00)
世の中、健康やダイエットに気を使う人が増えており、雑誌やテレビなどでもよくこうした話題を目にする。筆者も仕事柄、机に向かっている時間が多く、運動不足による体重増加が悩みの種であった。
1人で、好きな時間にできる運動といえば、やはりランニングやウォーキングが真っ先に頭に浮かぶが、単に走るだけではあまり面白くないというか、いまいちモチベーションが上がらない。
そんなときに見つけたのが、エプソンの「Wristable(リスタブル) GPS SS-700S」だ。WristableGPS SS-700Sは、その名の通り、GPSを搭載した腕時計。腕にはめてランニングやウォーキングをするだけで、GPSを利用して、ランニングペースやルート、心拍数などを本体に記録できるというものだ。
本体に記録されたデータは、PC経由で転送し、Webアプリ上で管理することも可能だ。普通の腕時計でも、タイムの計測は可能だが、SS-700Sを使えば、タイムだけでなく、走ったペースや心拍数、ルートなどを後で確認できるので、趣味やダイエットのためにランニングをしている人はもちろん、アスリートを目指してトレーニングしたい人にも便利だ。
メーカー | エプソン |
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製品名 | WristableGPS SS-700S |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 30,452円 |
10気圧防水対応でマリンスポーツにも使える
今回使用したSS-700は、エプソンのWristableGPSシリーズの最上位モデル。ラインナップにはほかに、ミドルレンジモデルの「SS-500」やエントリーモデルの「SS-300」も用意されている。
本体の厚さは15.7mmで、重量は61g。本体サイズも通常の腕時計に比べればやや大きいが、重量はそれほど重いとは感じず、装着感も良好であった。ボディカラーは、今回試用したシルバー「SS-700S」以外に、鮮やかなタンジェリンオレンジ「SS-700T」も用意されている。
本体には押しボタンが4つ用意されており、操作性も良好だ。液晶はフルドットマトリックス表示で、コントラストも高く見やすい。表示項目も、好みに応じてカスタマイズ可能だ。
本体ケースがバンドの中心から左に4mmオフセットされているので、本体ケースが手の甲に当たることがなく、運動を妨げない。ベルトは、ウレタン製で、バンドに大きな穴を空けることで、通気性を確保し、ムレや汗が溜まることを防いでいる。バックライトも装備しているので、暗い場所でも問題なく利用できる。
なおSS-700は、“マルチスポーツモデル”とも呼ばれており、10気圧防水という高い防水性能を誇る。そのため、雨天時のランニングはもちろんのこと、マリンスポーツやウィンタースポーツなどでも利用できる。
クロノグラフ、エクササイズ、インターバルの3種類のモードを搭載
GPSを利用して計測するモードは、「クロノグラフ」、「エクササイズ」、「インターバル」の3種類が用意されている。「クロノグラフ」は、累計時間を示すスプリットタイムと、一周ごとの時間を示すラップライムを同時に計測できるモードで、アスリートのトレーニングや、普段のランニングなどに向いている。
「エクササイズ」は、あらかじめ設定した目標ペースに対する達成度を確認しながら、トレーニングできるモードで、消費カロリーや運動強度なども表示されるため、ダイエット向きだ。「インターバル」は、強負荷と低負荷のトレーニングを距離や時間で設定しておき、それを繰り返すトレーニングであり、こちらもアスリート向きだ。
これらのモードでは、最初にGPSサーチを行ない、GPS衛星を捕捉する。サーチ時間は、初回は数十秒程度かかることもあるが、次回は以前のデータを元にするので、数秒で完了する。
エプソン独自のGPSチップの搭載により、消費電力が小さいことも魅力だ。GPS機能有効時でも最大14時間の連続動作が可能(HRセンサー有効時は最大10時間)で、時計表示のみなら5週間の連続動作が可能だ。本体のバッテリは、付属のACアダプタまたはPCなどのUSBポートから充電できる。
クレードルを利用してPC経由でデータをアップロード、Webアプリで管理可能
計測したデータは、本体内に最大100時間分が記憶される。さらに、パソコン上で無料Webアプリ「NeoRun」を使うと、計測データや、体重や体脂肪、消費カロリーの推移をグラフして表示できる。また、GPSデータの軌跡を地図上に表示させることも可能だ。これにより、さまざまな角度から、トレーニング結果の分析が可能である。
筆者は主にクロノグラフモードで、自宅の近所を走ることが多かった。繰り返し走ることで、同じ距離でもペースが上がり、心拍数の最大値は逆に低くなっていることがわかり、トレーニングの効果が確実に出ていることがわかった。
実際に、このランニングデータをアップロードして、地図表示させてみたが、位置精度はかなり高かった。さらに、TwitterやFacebookとの連携機能もあり、GPX形式でデータをエクスポートし、他のアプリケーションで利用することもできる。
心拍を計測するHRセンサーが付属
ここで、SS-700に搭載する各センサーについても触れておきたい。まずHRセンサーは、心拍を計測するセンサー。このHRセンサーを利用することで、運動時の心拍数を常に計測できるので、身体に無理なく運動が可能である。心肺機能を高めるトレーニングを行う場合は、心拍数を一定以上に維持して運動を続ける必要があるが、そうしたトレーニングも、SS-700なら容易だ。
HRセンサーセットは、HRセンサー本体と、身体に装着するためのHRベルトから構成されている。HRセンサーはコイン型電池「CR2032」1個で動作し、SS-700本体とは低消費電力ワイヤレス技術のANT+によって接続される。HRセンサーにHRベルトを取り付け、HRベルトの電極が胸の皮膚に密着するように装着すれば準備は完了だ。
なお、下位モデルの「SS-500」は、オプションのHRセンサーセットを購入することで、心拍計測が可能になるが、エントリーモデルの「SS-300」は心拍計測には非対応である。
GPS信号を取得できない場所でも距離やペースを刻み続けるストライドセンサー
ストライドセンサーを搭載していることも魅力だ。ストライドセンサーは、トンネル内やビルの谷間などの場所で、GPS衛星からの信号が取得できない場合でも、走行距離やペースを予測するためのセンサーで、実速度と身体の振動周波数から、歩幅を自動学習している。これによりより正確な測定が可能になる。
ストライドセンサーはその仕組み上、歩幅の計測が可能なスポーツ(ランニングやウォーキング)のみ有効だが、ランナーにとっては嬉しい機能だ。
GPSの感度が高く、ドライブ中のGPSデータも取得できる
使ううちに、SS-700Sの内蔵GPSの感度が高いことがよくわかった。そこで、車でドライブしているときのデータも取得できるのではないかと思い、実際に試してみた。
富士サファリパークで試してみたところ、上空が開けていることもあるだろうが、助手席に座ったままでも、かなり精度よくGPSデータを取得することができた。本来想定されている使い方とは違うが、旅行中などでも、GPS計測を有効にしておくと、後でどこを歩いたか確認でき、良い思い出になるだろう。
GPS搭載ランニングウオッチとしての完成度は高い
SS-700Sは、GPS搭載ランニングウオッチとして完成度が非常に高いと感じた。以前、海外製のGPS搭載腕時計を購入したことがあるが、GPSの感度が低く、なかなか思うようなデータが取得できなかった。しかし、SS-700Sなら、普通の住宅地や市街地でも十分に計測が可能だ。オートポーズ機能や画面表示のカスタマイズなど、かゆいところに手が届くような、細やかな配慮も嬉しい。
バッテリの持ちについても不満はない。GPS衛星のサーチも、定期的に行なっていれば、以前のデータから差分で検索を行なうため、数秒で終わり、待たされているという感じはしなかった。液晶の視認性も高く、普段使いの腕時計としても十分使える。
また、無料で利用できるWebアプリ「NeoRun」も、機能・使い勝手とも優秀だ。SS-700Sは、HRセンサーが付属する最上位モデルなので、価格はやや高めだが、心拍数計測が不要なら、下位モデルのSS-500やSS-300を選んでも良いだろう。
筆者は、心拍数計測機能も気に入ったので、試用後にSS-700Sを自分で購入し、普段使いの腕時計として装着している。暑い夏に走るのはちょっと大変だが、自分のランニングのデータが残るのは励みになるので、今後も、無理のない範囲でランニングを続けていこうと思っている。