LED電球、どれを買う?
パナソニック「EVERLEDS 小型電球形 全方向タイプ LDA5LGE17W」
~光の広がりは電球そのもの。E17口金の白熱電球との交換に
by 藤原 大蔵(2013/1/10 00:00)
E17口金のLED電球では群を抜く「配光角300度」
白熱電球のような光の広がりを意識した「全配光タイプ」のLED電球が、電球メーカー各社から数多く送り出されている。2011年は一般的なE26口金タイプのものが中心だったが、2012年からは、E26口金よりもソケットのサイズが小さい「E17口金」にも取り付けられる小型電球タイプが登場し始めている。
今回紹介するのは、そんなE17口金で広配光タイプの、パナソニック「EVERLEDS(エバーレッズ) 小型電球形 全方向タイプLED電球 LDA5LGE17W 」だ。すでにE26口金で販売されている広配光タイプの小型版となる。
光が広がる小型電形のLED電球は、他社からも販売されているが、本製品は“群を抜いて光が広がる”のが大きな特徴と言えるだろう。配光角は約300度で、日本電球工業会が規定する全配光タイプの条件である「配光角180度以上」の条件を軽く超えている。数値上では、小型白熱電球の配光角の約320度に肉薄する光の広がりが得られることになるが、実際の明るさはどのようなものだろうか。
なお、明るさを表す全光束は380lmで、日本電球工業会のガイドラインでは「小型電球25W形相当(230lm以上)」。パナソニックのLED電球シリーズ「EVERLEDS」の特徴である、密閉形器具にも対応している。
メーカー名 | パナソニック |
---|---|
製品名・品番 | EVERLEDS(エバーレッズ) LDA5LGE17W |
全光束 | 380lm |
口金タイプE17 | |
光色 | 2,800K (電球色相当) |
小型電球と比較した明るさ | 25W形相当 |
定格寿命 | 40,000時間 |
調光器対応 | - |
密閉器具対応 | ○ |
防湿・防雨型器具対応 | ○ |
配光角度 | 約300度 |
実売価格 | 2,980円(yodobashi.com) |
※比較用の電球形蛍光灯は、NECライティング「コスモボール・ミニ」を使用
※E26口金の照明器具では、E17口金の変換アダプタを使用
【基本スペック編】
サイズ比較
実測サイズは88×45mm(高さ×直径)。E17口金の小型白熱電球(ミニクリプトン電球)よりも背は21mm高く、電球の直径も10mm大きいため、どちらかといえば電球形蛍光灯の大きさに近い。継ぎ目のないグローブが電球全体の半分を占めており、放熱部は白色で滑らか。口金に向かって細くなるスッキリとしたデザインは、全体的に大きくても電球に近いフォルムだ。
重量は実測で49gだった。小型電球形としては若干重めではあるが、実際の器具に取り付けて、器具が傾くような事は全く起こらなかった。取り立てて気にする重さではないだろう。
器具に取り付けたようす
シェード(笠)が深いタイプの器具に取り付けた場合、器具内部にきちんと収まった。さすがにミニクリプトン電球と並べてしまうと、見た目の印象は変わってしまうが、大きな球形のグローブが電球らしく、多少見える放熱部はほとんど気にならないだろう。
一方、電球を横向きに取り付ける小さめのダウンライト(75×80mm[開口部の幅×深さ])には取り付けられず、可変式のソケットを使う必要があった。取り付ける器具によっては、前もってサイズを確認しておきたい。
光の広がりかたと配光性
光の拡散性は、ミニクリプトン電球とほとんど変わらない。光源部を中心に、床方向も光がしっかり届き、さらに横~斜め上~上へと満遍なく全体的に広がる。まさに“全方向”の輝きだった。さらに、光が遠くまで届いている印象もあった。
電気スタンド型の器具にもバッチリだ。光は上方向へも下方向へもほぼ同じ明るさで光が広がる。シェードもムラなく輝き、LED電球に取り替えた違和感が全くない。このような器具に使えば、器具の雰囲気、光の広がりがしっかりと引き出せる。
小型のペンダント型の器具にも取り付けてみたが、器具が輝く姿は、ミニクリプトン電球とまるで遜色ない。光のグラデーションがシェードの形に沿って、上部から下方へ流れ、とても電球らしい輝きが再現される。このタイプの器具とも相性が良い。
明るさ(55cm直下の照度)
直下照度は390lxだった(点灯15分後)。40W形ミニクリプトン電球の直下照度は467lxだったので、それと比べると数値的に落ちるが、そもそも日本電球工業会の基準で「小型電球25W形相当の明るさ」と規定されているので仕方がない。とはいえ、光はテーブル面全体から壁面までしっかり広がり、横並びで比較しなければ、40W形ミニクリプトン電球の取り替えも現実的な印象だ。
なお点灯中は、電球からジーという雑音がすることもなく、ラジオにノイズが乗ることもなかった。
ミニクリプトン電球よりも大きいので、取り付ける器具は選ぶ。しかし、光の広がり方は遜色なく、電球らしい自然な光の広がりが得られる。また、全体的に明るいので、器具との相性が良ければ、40W形ミニクリプトン電球からの取り替えも十分に対応できそうだと感じた。
【実使用編】
ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探っていく。密閉器具にも対応しているので、浴室や密閉型のインテリアライトにも使用した。
なお、LDA5LGE17W は我が家のダウンライトには取り付けられない。したがって、前述の【器具に取り付けたようす】の項で使用した、斜め付けダウンライト用の可変式ソケットを利用した。
玄関
玄関では、40W形ミニクリプトンと取り替えても満足がいく明るさだった。拡散性は十分で、空間全体に柔らかく光りが広がる。赤みを抑えた温かみのある光色は玄関にもふさわしく、影も柔らかく落ちる。落ち着いた雰囲気が演出できるだろう。
浴室
浴室はまずまずだった。40W形電球形蛍光灯よりも明るい印象が得られ、光色は自然。40W形ミニクリプトン電球のと比べれば多少暗くはなるが、浴室の隅々まで光が行き渡るので、さほど問題はなかった。もし現在40W形小型電球をお使いならば、浴室用のLED電球としても十分に交換に値するだろう。
※浴室で使用する場合は、器具が防滴構造であることが条件となります
トイレ
トイレには全く申し分ない。明るさは40W形小型電球と交換しても遜色なく、壁面はミニクリプトン電球よりもむしろ明るく感じるほどだった。影も柔らかく、床面まで光がしっかり届いており、快適で清潔感のあるトイレが演出できるはずだ。
なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。
テーブルランプ
テーブルランプも、40W形ミニクリプトン電球から取り替えて実用的だ。光はよく広がり、手元全体が十分明るいのに、テーブルからの反射光が穏やかで、眩しさが抑えられる印象だ。器具が顔の近くにあっても、熱が感じられず快適。光色、演色性ともに申し分なかった。
リビングルーム
ここまで40W形と比肩する明るさが確認できたので、変換アダプタを用いて、E26口金のLED電球のレビューと同じように、リビングルームの全体照明としても使用した。
透過タイプの器具との相性はとても良い。明るさは若干落ちるが、比較しなければほとんど気にならないレベル。器具は均等に輝き、部屋全体に柔らかな光がたっぷり広がる印象だ。天井や壁面へも光がしっかり届き、部屋全体が柔らかな光で包まれる。くつろぎのあかりとして、心地良い雰囲気が演出できる。
非透過タイプの器具も良かった。下方向は明るさが落ちるが、その分、眩しさが抑えられる。天井へも光がしっかり届き、反射光は柔らかい間接光となって穏やかに広がる。光と影のコントラストがありながら、リビングルームらしい、落ち着いた雰囲気が好印象だ。
複数の局所照明を組み合わせた使い方もお勧めだ。部屋全体に柔らかな光が広がって、薄暗さを感じない、くつろいだ雰囲気が演出できる。器具はムラ無く柔らかく輝き、かつ不快な眩しさを感じさせない。
リビングルーム(インテリア照明)
密閉型のインテリア照明にも適している。器具に光のムラは浮かばず、ミニクリプトン電球と全く遜色ない印象だった。ただし、器具が顔に近い場合は眩しさを感じてしまうため、少し離れた場所に置き、部屋全体を照らす局所照明の1つとして利用するのがいいだろう。
食事の風景
食事のシーンにも良かった。光色はミニクリプトン電球と異なり、赤みを抑えたスッキリとした色合いだが、ハムや目玉焼きの白味もくすまず、食事全体がおいしそうに見えた。食器の材質による白さの違い、ランチョンマットの本来の色合いも再現されていた。テーブルと器具の距離は80cmだったが、1灯でも十分な明るさが得られた。
40W形ミニクリプトン電球と交換で、元が取れるのは【1年4カ月】
カタログ上の消費電力は5.4Wだが、実測では4Wだった。40W形ミニクリプトン電球に近い明るさながら、消費電力は1/9と大きく節約できる。初期費用はかかるが、電球代も、約1年4カ月で回収でき、さらに10年以上使い続けられる。
電球形蛍光灯からの交換も現実的だろう。蛍光灯を3個目に取り替える5年7カ月目で、ランニングコストが逆転する試算となるため、電球の交換の手間を省くメリットもある。明るく、演色性においては蛍光灯を確実に上回っており、点灯回数による寿命への影響も受けないため、取り替えるだけで電気代節約以上のメリットが得られるはずだ。
光源 | 実測 消費 電力 | 1カ月 | 3カ月 | 半年 | 10カ月 | 1年 | 1年 4カ月 | 2年 | 5年 7カ月 |
EVERLEDS E17 LDA5LGE17W | 4W | 3,001円 | 3,044円 | 3,108円 | 3,193円 | 3,236円 | 3,321円 | 3,491円 | 4,407円 |
ミニクリプトン 電球 40W | 35W | 436円 | 807円 | 1,363円 | 2,355円 | 2,727円 | 3,469円 | 5,203円 | 14,681円 |
小型電球型 蛍光灯 40W | 7W | 817円 | 890円 | 999円 | 1,145円 | 1,218円 | 1,364円 | 1,656円 | 4,786円 |
※表中の金額は、電球代と電気代をプラスした「維持費」
※1日の使用時間は8時間と仮定
※ミニクリプトン電球は、8カ月ごとに電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算
光の広がりは電球そのもの。40W形ミニクリプトン電球からの取り替えも問題なし
LDA5LGE17W は、明るさ40W形の小型電球と置き換えにちょうど良いLED電球だった。25W相当の明るさで若干明るさは落ちるものの、実際に生活するぶんには問題ない明るさが得られる。しかも、小型電球と遜色ない光の広がりがあるので、器具の輝きやインテリア全体の雰囲気が大きく変わらない。電気代も40W形小型電球の1/9と、飛躍的に節約できる。
実売で1個3,000円近い価格は気になるが、それでも電球と遜色のない全方向に広がる光の拡散性と、小空間の全体照明に使える明るさは、価格に見合った価値を感じることができた。E17口金の電球形蛍光灯と比べても、消費電力はその半分近く(4/7)になるので、電球型蛍光灯との取り替えにもお勧めだ。
ただし、小型電球形とはいえ、本体サイズは電球型蛍光灯並みに大きい点には気をつけたい。取り付けられる器具を選ぶので、特にダウンライトでは、購入前に器具のサイズを確認しておくことをおすすめする。
数多くの生活シーンで使用したが、玄関、廊下、浴室にトイレなどの、狭く、長時間過ごさない場所なら1灯でも十分な明るさが実感できた。2灯使いならば、柔らかく広がる光が広い空間のリビングルームに映え、電球らしい居心地の良い雰囲気も演出できる。「器具の印象、空間の雰囲気をより大切にしたい」というE17口金の電球ユーザーの方に、ぜひ検討して欲しいLED電球だ。