LED電球、どれを買う?
日立「小形電球形(E17口金)広配光タイプ LDA7L-G-E17/S」
■日立のE17口金LED電球は、光が広がるうえ断熱材施工器具にも対応する
日立アプライアンス小型電球形 E17口金 広配光タイプLED電球 LDA7L-G-E17/S」明るさを示す全光束は510lm |
ミニクリプトン電球など、一般的なE26口金電球よりも小さいE17口金の小型電球に置き換えられるLED電球も数多く世に出ているが、全体照明に十分な明るさを発揮するものはまだまだ少ない。なぜなら、明るさを求めると、放熱部がどうしても大きくなりやすいからだ。
そんな中、コンパクトな形状を維持しつつ、明るさと光の広がりまでも両立した、実用的な製品が出てきている。今回は、そんな日立アプライアンスの「小型電球形 E17口金 広配光タイプLED電球 LDA7L-G-E17/S」を紹介しよう。特徴は、明るくて広配光なだけでなく、小型のダウンライトにも取り付けられるサイズで器具を選ばない点だ。
明るくて、コンパクトなサイズにまとめられたのは、高効率LEDモジュールと、モジュールから出る熱を効果的に逃がす、新開発のスリット構造ボディを採用したため。また、LED電球の温度上昇を抑制する保護回路の採用により、断熱材施工器具、密閉器具にも対応する。加えて、直進性の強いLED電球の光を拡散させるカバーを採用することで、明るさと広がる光を両立しているという。どうやら、多種多様の小型の照明器具に、気兼ねなく取り付けられそうなLED電球のようだ。
全光束は510lm。日本電球工業会のガイドラインでは「小型電球40W形相当(440lm以上)」となる。配光角度は記されていないが、日本電球工業会のガイドラインで180度以上の配光角を持つ「全般配光形」と区分されており、品番にはその証明となる「G」が付与されている。
メーカー名 | 日立アプライアンス |
シリーズ名 | 小型電球形LED電球 広配光タイプ |
品番 | LDA7L-G-E17/S |
全光束 | 510lm |
定格消費電力 | 7W |
口金タイプ | E17 |
光色 | 電球色相当 |
小型電球と比較した明るさ | 40W形相当(ランプ単体) |
定格寿命 | 40,000時間 |
調光器対応 | - |
密閉器具対応 | ○ |
断熱材施工器具対応 | ○ |
配光角度 | 180度以上 |
サイズ (高さx直径) | 77×35mm |
重量 | 47 g |
実売価格 | 3,980円(yodobashi.com) |
※比較用の電球形蛍光灯は、NECライティング「コスモボール・ミニ」を使用
※E26口金の照明器具では、E17口金の変換アダプタを使用
【基本スペック編】
■サイズ比較
実測したサイズは76×34mm(高さ×直径)。ミニクリプトン電球(E17口金の小型電球)よりも9mm背は高いが、明るいタイプの中ではかなり小さい方だ。電球の径は1mm小さく、全体的な形状は卵形に近い。全体の半分以上を占めている放熱部にはスリットが入っているが、ゴツゴツ感はかなり抑えられたデザインだ。
重量は実測で49gだった。小型電球形のLED電球としては若干重いが、実際の器具に取り付けて、器具が傾くような事は全く起こらなかった。取り立てて気にする重さではないだろう。
卵型に近い外観が特徴だ(中央)。高さは76mm(中央)で、ミニクリプトン電球よりも9mm背が高い。口金付近の径は24mmで、ミニクリプトンよりも5mm太い。重量は49gと小型LED電球の中ではやや重め | 直径は34mm(中央)で、ミニクリプトン電球よりも1mm小さかった。電球の半分以上占める放熱部は電球の真上から見たときには全く見えない。LEDを覆うカバーは樹脂製 |
■器具に取り付けたようす
シェード(笠)が深いタイプの器具に取り付けた場合、多少放熱部は見えてしまうが、器具内部にきちんと収まった。通常の使い方なら、違和感はないだろう。また、電球をほぼ横向きに取り付けるダウンライトにもすんなり収まった。
ミニクリプトン電球よりも背は高いが、小型ダウンライト(開口部の直径は75mm、深さは80mm)にもすんなりと収まったので、小型電球形用のほとんどの器具に問題なく取り付けられそうだ。
【ミニクリプトン電球:40W】 電球の球体部が見える角度から撮影した | 【小型電球形蛍光灯】 らせん状の蛍光管がかなり目立つが、器具内には収まっている | 【日立:LDA7L-G-E17/S】 ミニクリプトン電球とは形が異なるが、電球の先は器具内にバランスよく収まっている |
【ミニクリプトン電球:40W】 小型のダウンライト(開口部の直径は75mm、深さは80mm)にミニクリプトン電球を取り付けた様子。電球はほとんど横向きになる | 【日立:LDA7L-G-E17/S】 ミニクリプトン電球よりも9m背が高いが、問題なく取り付けられた |
■光の広がりかたと配光性
ミニクリプトン電球(左)と日立:LDA7L-G-E17/S(右)を並べた画像。強くは無いものの、LDA7L-G-E17/Sの光はソケット方向にも柔らかく届いている |
光の拡散性は、全般配光形というだけに、光源部を中心に、床、横、上方向と、全体的にフラットに広がる印象だった。さらにいえば、光が真上と斜め上方向へ遠くまで届いている印象もあった。
【ミニクリプトン電球】 ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている | 【小型電球形蛍光灯】 ソケット付近にもかなり光が届いている。しかし遠くまでは光が届かない印象だ | 【日立:LDA7L-G-E17/S】 光源部を中心に広範囲に光が拡散している。床への明るさはミニクリプトン電球ほどではないが、ソケット方向にもしっかり光が届いている |
電気スタンド型の器具に取り付けてみると、本製品の光が下方向にもしっかり届いているのがわかる。細かくみれば上方向への光の方が強いが、柔らかな光が拡散する印象だ。器具のシェードには強い光のムラも浮かばず、器具の雰囲気、用途に十分応えられるだろう。
【ミニクリプトン電球】 シェードは中心からまんべんなく光り、シェードの上下からほぼ同じ明るさの光が漏れる | 【小型電球形蛍光灯】 ミニクリプトン電球と遜色なく、シェードのほぼ中心からまんべんなく光る。シェードの上下からもほぼ同じ明るさの光が漏れる | 【日立:LDA7L-G-E17/S】 光は上方へ強く放たれるが、下方へもしっかりと光が届いている。器具のシェードは2/3以上が明るく輝いている |
さらに、小型のペンダント型の器具にも取り付けた。器具の輝きはミニクリプトン電球よりも、むしろ自然。器具全体が満遍なく輝き、器具の雰囲気を十分に引き出している。
【ミニクリプトン電球】 乳白ガラス製のペンダントの上方に光が偏る | 【小型電球形蛍光灯】 ミニクリプトンと同様に、笠の上に明るさが偏る | 【日立:LDA7L-G-E17/S】 上方が狭まった器具の場合、寧ろ光のムラが目立たず、器具全体が均一に輝く印象になった |
■明るさ(55cm直下の照度)
直下照度は490lxだった(点灯15分後)。日本電球工業会の基準で「小型電球40W形相当の明るさ」と規定されているものの、直下、テーブル面全体、壁面まで、40W形ミニクリプトン電球よりも明るい。さすがに60W形の明るさは得られないが、40W形小型電球から取り替えて、不満はまず感じないだろう。
なお点灯中は、電球からジーという雑音がすることもなく、ラジオにノイズが乗ることもなかった。
【ミニクリプトン電球:60W 785lx】 比較のために60W形も提示する。光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した | 【ミニクリプトン電球:40W 467lx】 |
【電球形蛍光灯 328lx】 | 【日立:LDA7L-G-E17/S:490lx(点灯15分後)】 点灯直後は479lxで、安定するとさらに明るくなった。直下だけでなく、テーブル全体、壁面が40W形ミニクリプトン電球よりも明るい |
ミニクリプトン電球よりも背は高いが、小型器具にもスッキリと収まり、明るさ、光の広がり方も「40W形相当の明るさ」だけに遜色ない。実使用でも十分に実力を発揮しそうだと感じた。
【実使用編】
ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探って行く。密閉器具にも対応しているので、浴室や密閉型のインテリアライトにも使用した。
なお、我が家のダウンライトは、小型電球形蛍光灯は大きすぎて取り付けられない。蛍光灯、さらに、今後紹介するであろう、ダウンライトに取り付けられない小型電球形LED電球と比較するためにも、実使用編からは敢えて斜め付けダウンライト用の可変式ソケットを利用して比較した。この点をどうかご了承いただきたい。
小型電球形蛍光灯などと比較するため、ダウンライトには「斜め付けダウンライト用可変式ソケット(RITEX E17LED電球専用 可変式ソケット DS17-10)を取り付けて撮影している | 可変ソケットを取り付けた電球の様子。左からミニクリプトン、小型電球形蛍光灯、日立:LDA7L-G-E17/S |
■玄関
明るさ、拡散性、いずれも玄関にふさわしい。光色は赤みを抑えながらも、白熱電球らしい暖かみのある雰囲気が楽しめる。また、玄関の手前まで光が届き、玄関がより一層明るくなったようだ。影も柔らかで、親しみの雰囲気が演出できるだろう。
【ミニクリプトン電球:40W】 玄関としては少し抑え目だが、まだまだ明るい | 【小型電球形蛍光灯】 40W形のミニクリプトン電球とほぼ同じ明るさが感じられるが演色性はイマイチ |
【日立:LDA7L-G-E17/S】 ミニクリプトン電球よりも全体的に一段明るくなった印象になった。画像の手前まで光が届いている。光色は異なるが暖かな印象は玄関にふさわしい | 可変ソケットを使用せず、ダウンライトに電球を直接取り付けた様子。LDA7L-G-E17/Sを横向きに取り付けても、ミニクリプトン電球と遜色ない明るさが得られた(右)。なお、小型電球形蛍光灯は取り付けられなかった |
■浴室
浴室も玄関と同様に印象が良い。40W形ミニクリプトン電球よりも明るく、光色も自然な色合い。ミニクリプトン電球よりも浴室全体に光が隅々まで行き渡り、リラックスする空間にふさわしい、柔らかな雰囲気が魅力的。浴室用LED電球として、十分に活用できるだろう。
【ミニクリプトン電球:40W】 煌々とした明るさにはならないが、十分に明るい | 【小型電球形蛍光灯】 蛍光灯は器具に閉じ込めると明るさが落ちる印象だ | 【日立:LDA7L-G-E17/S】 密閉器具に電球が完全に覆われても、40W形ミニクリプトン電球よりも明るく、光が浴室の隅々まで届いた |
※浴室で使用する場合は、器具が防滴構造であることが条件となります
■トイレ
トイレには全く申し分ない。40W形小型電球を使用しているならば、交換して全く問題ないだろう。ミニクリプトン電球よりも明るく、床面までしっかり明るい。強い影もできず、清潔感のある快適なトイレが演出できる。
なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。
【ミニクリプトン電球:40W】 狭い空間のトイレならば、40W形で十分な明るさを感じる | 【日立:LDA7L-G-E17/S】 玄関や浴室と同様に、ミニクリプトン電球よりも一段明るくなった印象だ。清潔感は全く損なわれない | 可変ソケットを使用せず、ダウンライトに電球を直接取り付けた様子。LDA7L-G-E17/Sを横向きに取り付けても、ミニクリプトン電球と遜色ない明るさが得られた(右) |
■テーブルランプ
テーブルランプを40W形ミニクリプトン電球から取り替えても、全く遜色ない明るさが得られた。光はテーブル面広く行き渡り、十分に明るい。器具が顔の近くにあっても、熱が感じられず快適で、光色、演色性ともに申しぶんなかった。
【ミニクリプトン電球:40W】 十分に明るく、細かな文字もしっかり読める | 【小型電球形蛍光灯】 蛍光灯も明るさは十分。ただし、色味はミニクリプトン電球と比べ全体的に劣る | 【日立:LDA7L-G-E17/S】 ミニクリプトン電球よりも広範囲に明るい。赤みが抑えられた光色は、読書にもピッタリだ。色味もくすまず好印象 |
■リビングルーム
ここまで40W形と遜色ない明るさが確認できたので、変換アダプタを用いて、E26口金のLED電球のレビューと同じように、リビングルームの全体照明としても使用した。
透過タイプの器具との相性はとても良い。器具は均等に輝き、部屋全体に柔らかな光が広がる。全般配光形とは言え、さすがに天井付近へ強い光は届かないが、下方向はしっかり明るい。くつろぎを中心とするリビングルームに心地良い雰囲気が演出できる。
非透過タイプの器具も、良い結果が得られた。天井にもある程度以上の光が届き、反射光もあり、器具が持つ印象も再現されている。光と影のコントラストもバランス良く、落ち着いた印象だ。
【日立:LDA7L-G-E17/S×2 インテリアライト2台】 柔らかな赤みを抑えた光が、部屋全体に広がりより一層、くつろぎ感や落ち着きが演出できる。配光角度が狭い一般型のLED電球では作り出せない、電球らしい雰囲気が得られる |
さらに、複数の局所照明を組み合わせた使い方もお勧めだ。明るさを若干抑えつつ、部屋全体が柔らかな光に包まれ、薄暗さを感じないくつろいだ雰囲気が演出できる。器具もある程度距離があれば、眩しさもさほど感じず快適だ。
■リビングルーム(インテリア照明)
密閉型のインテリア照明にも適している。器具に光のムラは浮かばず、ミニクリプトン電球と全く遜色ない印象だった。ただし、40W形は直視するには眩しい。部屋全体を照らす局所照明の1つとして利用するのがいいだろう。
【ミニクリプトン電球:40W】 40W形はかなり明るい。直視するには不快な眩しさを感じてしまう | 【小型電球形蛍光灯】 明るさの印象はミニクリプトンよりも落ちるが、やはり眩しい | 【日立:LDA7L-G-E17/S】 器具に光のムラはできず、均一に輝く。ただし40W形ミニクリプトン電球よりも明るくなるので、距離を置いて、全体照明の1つとして、局所照明として活用するのが良いだろう |
■食事の風景
食事のシーンにも大いにお勧めできる。演色性を示す平均演色評価数は提示されていないが、かなり良い印象だった。光色はミニクリプトン電球よりも赤みが抑えられるが、食事全体がおいしそうに見え、ハムや目玉焼きの白味もくすんだ印象はなかった。食器の材質による白さの違い、ランチョンマットの本来の色合いも再現されていた。食卓の上に吊るすペンダントにも適しているだろう。
■40W形ミニクリプトン電球と交換で、元が取れるのは【1年9カ月】
カタログ上の消費電力は7Wだが、実測では5Wだった。40W形ミニクリプトン電球以上の明るさが得られながら、消費電力は1/7も節約できる。初期費用は高めだが、電球代も、約1年9カ月で回収でき、さらに10年以上使い続けられる。
電球形蛍光灯からの交換は、蛍光灯を4個目に取り替える8年4カ月目でランニングコストが逆転する試算となった。電球代の回収だけを考えるならば、交換してもあまりメリットはないだろう。けれど、演色性は比べ物にならない程良好で、コンパクト。その上、大幅に明るく、点灯回数による寿命への影響も受けない点は蛍光灯では得られない大きなメリットだ。既に何年か小型電球形蛍光灯を使っているならば、取り替えに十分に値するだろう。
光源 | 実測 消費 電力 | 1カ月 | 3カ月 | 半年 (6カ月) | 1年 | 1年 9カ月 | 2年 | 8年 4カ月 |
日立 LDA7L-G-E17/S | 5W | 4,007円 | 4,060円 | 4,141円 | 4,301円 | 4,542円 | 4,622円 | 6,657円 |
ミニクリプトン 電球 40W | 35W | 436円 | 807円 | 1,363円 | 2,727円 | 4,646円 | 5,203円 | 20,134円 |
小型電球型 蛍光灯40W | 7W | 817円 | 890円 | 999円 | 1,218円 | 1,547円 | 1,656円 | 6,770円 |
※1日の使用時間は8時間と仮定 ※ミニクリプトン電球は8カ月ごと、電球型蛍光灯は2年9カ月ごとに
電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算
【ミニクリプトン電球:40W】 消費電力35W。消費電力1Wあたりの発光効率は14lm/Wになる | 【小型電球形蛍光灯】 消費電力7W。発光効率は46lm/W | 【日立:LDA7L-G-E17/S】 消費電力は5W。公表されている発光効率は72.86lm/Wととても高い |
■40W形ミニクリプトン電球からの取り替えの大本命。多くの器具にすんなり取り付けられる
日立アプライアンスの「LDA7L-G-E17/S」の良さは、明るさと配光性が両立しており、電気代は大幅に節約できることだ。その上、径の小さなダウンライトにもそのまま取り付けられるコンパクトさは他ではなかなか見当たらない。光色は若干異なるが、演色性も良く、40W形ミニクリプトン電球と取り替えて不満らしい点がほとんど感じられない。
量販店の実売で1個4,000円近い価格はかなり高価だ。だが、明るさ、光の広がり、演色性という3つの「あかりの質」が揃い、断熱材施工器具や密閉器具を含む、ほとんどの小型の器具にすんなりと取り付けられるという条件が揃っているのは、価格に見合った価値はある。
実際に数多くのシーンで使用した印象から、家中の多くのシーンで活用できる。玄関、廊下、浴室にトイレなど、狭く、長時間過ごさない場所ならい1灯で十分に明るく快適で、演色性も良好だ。2灯使いならば、くつろぎのリビングルームでも居心地の良い雰囲気が演出できる。「器具が小さくて小型電球形蛍光灯が使えなかった」、「E17口金の明るいLED電球を探していた」と言う方に、大いにお勧めできるLED電球だ。
・40W形小型電球と遜色ない明るさ
・径の小さなダウンライトにもそのままとりつけられるほどコンパクト
・光の拡散性が高い。さらに断熱材施工器具、密閉器具にも対応
・40W形ミニクリプトン電球と交換した場合、1年9カ月で電球代が回収できる(1日8時間使用)
2012年11月15日 00:00