LED電球、どれを買う?
パナソニック「EVERLEDS 11.0W 全方向タイプ LDA11L-G」
■明るくなったパナソニックの「全方向タイプ」は、光がさらに広がっている
EVERLEDS(エバーレッズ) 11.0W 全方向タイプ LDA11L-G。全光束は640lm |
LED電球でありながら、光の配光角が約300度と、白熱電球並みの拡散性が特徴のLED電球といえば、パナソニックの「EVERLEDS(エバーレッズ) 全方向タイプ」だが、この秋、明るいタイプがラインナップに加わった。「LDA11L-G」である。
同社の全方向タイプでは、過去に「LDA7L-G」という製品を紹介した。こちらは、2011年夏の「LED電球はこれを買うべし!」の485lm未満部門(40W形白熱電球以下の明るさ)で好成績をあげているが、今回紹介するLDA11L-Gは、より明るいバージョンとなる。
LDA7L-Gは全光束が390lmで、日本電球工業会の基準で「30W形白熱電球相当」の明るさだったのに対して、LDA11L-Gは640lmと「白熱電球の50W形相当」の明るさがあるという。一般家庭でもっとも使われている60W形白熱電球の明るさにぐっと近づいた。
実は本製品、明るくなっただけでなく、光の拡散性にも磨きがかかっている。先に述べてしまうが、光の広がりが、口金付近から横方向、そして上方へと滑らかに、より自然に電球らしくなったのだ。プレスリリースによると、電球内部のLEDチップの配置や光拡散リングの見直したとのことだが、実際に比較してみてもその差は明らか。広い範囲に均一に光が広がる効果をもたらしている。
それでは、より明るくなり、白熱電球並みに光が広がったLED電球「LDA11L-G」について、いつものようにレビューを始めよう。
メーカー名 | パナソニック |
シリーズ名 | EVERLEDS(エバーレッズ) 全方向タイプ |
品番 | LDA11L-G |
全光束 | 640lm |
定格消費電力 | 11W |
口金タイプ | E26 |
光色 | 電球色相当 |
色温度 | 2,800K |
白熱電球と比較した光量 (ランプ単体) | 50W形相当 |
定格寿命 | 40,000時間 |
調光器対応 | - |
密閉器具対応 | ○ |
配光角度 | 約300度 |
サイズ (高さx直径) | 124 x 60 mm |
重量 | 122 g |
実売価格 (yodobashi.com) | 3,980円 |
※※100W形白熱電球は日立の15%省電力タイプのソフトシリカ「LW100V85W」(1個パック105円で購入)を使用
※※※電球形蛍光灯は、2008 年の特集で 総合的に性能の高かった
パナソニックの 「パルックボール プレミアQ(クイック)」(1,390円で購入)を使用
■サイズ比較
サイズは実測で124×60mm(高さ×直径)と、今年紹介したLED電球の中では一番背が高い。それでも放熱部はフィンのないスッキリした仕上げで、口金方向へ向かって徐々に細くなっている。LEDチップを覆う樹脂カバーは丸く、全体的なフォルムは電球らしい印象だ。電球の高さに問題がなければ、多くの器具に取り付けられるだろう。
重量は実測で122gと、エバーレッズシリーズの一般電球形のLED電球の中では最も重い。電球の重さによる器具への負担は少ない方が良いが、それでもLED電球全体では中ぐらい。1~2個の電球を取り付ける程度の器具ならば、さほど心配することもないだろう。
■器具に取り付けたようす
器具とのバランスは良い。背は高いものの、取り付けた器具から大きく飛び出すことなく、シェード内に収まっている。たとえ見えたとしても、見えるのは電球らしいまん丸のカバーが大半。放熱部はほんの少し覗いて見える程度だった。
あまり気にしすぎるほどではないだろうが、もし顔の近くに吊り下げられるペンダントを使っているならば、眩しい光源部が目に入りにくいよう、器具の高さを配慮する必要があるだろう。
■光の広がりかたと配光性
光の広がりは、光源部を中心に、床面から横方向、さらに上方へもたっぷりと届く。これは文字通り「全方向タイプ」の輝きだ。比較しなければLED電球とわからないほど、全体的に均一に光が拡散している。さらに、白熱電球よりも伸びやかに、遠くまで光が届くのが印象的だ。
【白熱電球:60・40W形】 ソケットぎりぎりまで明るく、電球を中心に床面に近いところから光が広がっている | 【電球形蛍光灯】 白熱電球と同じようにソケット付近も光が届くが、光は遠くまで届かない印象だ | 【エバーレッズ 全方向タイプ640lm】 白熱電球と同じように、電球を中心に光が横へも床面へもほぼ均一に力強く広がっている |
電気スタンド型の器具に取り付けてみると、拡散性の良さはよりはっきり見て取れた。下方向、横方向、上方向へと光が届いている。器具の輝きもムラが少なく申し分ない。
■明るさ(55cm直下の照度)
直下照度は748lxで、60W形白熱電球の800lxにほとんどひけをとらない明るさだった。しかも、テーブル全体、壁面へもたっぷりと光が届いており、全体的に見れば60W形白熱電球よりも大幅に明るい印象になったのは驚きだ。全光束は50W形白熱電球相当となっているが、これならば60W白熱電球と取り替えて「暗くなった」とは思わないだろう。
【白熱電球:60W形 800lx】 光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した | 【白熱電球:40W形 467lx】 |
【電球形蛍光灯 475lx】 | 【エバーレッズ 全方向タイプ640lm】 数値的には、直下照度は60W形白熱電球より暗い。しかし肉眼では、暗くなるどころか、拡散性の良さからむしろ明るく感じるほどだ。もちろん40W形白熱電球、電球形蛍光灯の明るさを軽く超える力強い明るさがある |
光の拡散性、明るさ共に60W形白熱電球と比較しても遜色ない結果が得られた。唯一気になるのは大きさぐらいだが、電球が飛び出さない器具ならば、白熱電球と取り替えてもなんら違和感が無いだろう。実使用でもその実力を発揮しそうである。
【実使用編】
ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探って行く。密閉器具に対応しているので、浴室や密閉型のインテリアライトにも使用した。
■玄関
玄関に60W形白熱電球を取り付けているなら、LDA11L-Gに取り替えればさらに明るくなる。光色も温かみがあり、人を迎え入れる空間の明かりとして全く申し分ない。影の落ち方も穏やかで、明るく健康的な雰囲気が演出できる。密閉型や電球全体をシェードで覆う器具でも問題なく取り付けられる。
【白熱電球:60W形】 床面まで光が届き、十分な明るさがある | 【白熱電球:40W形】 玄関としては、もうすこし明るさが欲しいか |
【電球形蛍光灯】 比較すると色が不自然に感じる。点灯して明るさが安定するまで時間がかかるのも、ON/OFFを頻繁に切り替える玄関には不向きだ | 【エバーレッズ 全方向タイプ640lm】 60W形白熱電球よりも、玄関全体が明るい印象になった。暖かみのある光色は玄関に相応しく、影も柔らかい |
■浴室
浴室も非常に良かった。密閉器具でも、光は浴室全体にくまなく行き渡り、60W形白熱電球よりもさらに明るい印象になった。光色も自然な電球色で、リラックスする空間に相応しい。浴室でも使用できるLED電球として、トップクラスの結果と言って良いだろう。
【白熱電球:60W形】 浴室全体が十分に明るい | 【白熱電球:40W形】 明るさはやや落ちるものの、浴室全体に光が行き渡る |
【電球形蛍光灯】 満足のいく明るさは得られるが、明るさが安定するまでに時間がかかるのは難点 | 【エバーレッズ 全方向タイプ640lm】】 明るさは60W形白熱電球の上を行く。光が浴室全体にたっぷりと行き渡り、清々しい明るさが心地良い |
※浴室で使用する場合は、器具が防滴構造であることが条件となります
■トイレ
トイレのような狭い空間では、壁面からの反射光が強いため、60W形白熱電球よりもさらに明るい印象となる。滞在時間が限られる狭い空間なので、実使用には40W形白熱電球の明るさがあれば十分なのだが、より明るいトイレが好みならば、この選択も十分にアリだろう。影も柔らかく、清潔感もアップしている。まとめれば“快適”だ。
なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。
【白熱電球:60W形】 明るく気持ちよく過ごせる | 【白熱電球:40W形】 60Wと比べれば暗いが、狭い空間なのでまだまだ十分に明るく感じる | 【エバーレッズ 全方向タイプ640lm】 壁面からの反射光で、60W形白熱電球よりも大幅に明るい印象になる。オーバースペックとも言えるが、影の落ち方が柔らかいのが好印象。明るいトイレが好みであればこの選択もアリだろう |
■リビングルーム
透過タイプの器具は、相性の点からバッチリだ。明るさは白熱電球と同等以上で、光の広がり方も全く申し分ない。器具を通して天井、壁面へと光がしっかり届いて、暖かい雰囲気に包まれる。暖かみのある光色は、自然でリビングルームにも適している。白熱電球から取り替えて不満は全く感じないだろう。
非透過タイプの器具でも、とても良い結果が得られた。テーブル面は白熱電球より明るく、壁面へもしっかり光が届いている。白熱電球は天井が一番明るくなるのに対して、LDA11L-Gは部屋全体の明るさ感がアップした印象で、むしろ部屋全体の明るさのバランスは良いかもしれない。60W形白熱電球から取り替えても、こちらもまったく不満を感じられなかった。
また、複数のスポット照明を組み合わせて、低い位置からリビングルーム全体を照らす使い方もお勧めだ。テーブルの上は本がしっかり読めるほどの明るさも得られ、60W形白熱電球を上回る明るさが部屋全体に行き渡り、まるでホテルのような居心地の良いくつろぎ感が演出できる。このような使い方もお勧めだ。
■リビングルーム(インテリア照明)
密閉型のインテリア照明にもお勧めできる。器具には光のムラがあまり浮き上がらないので、白熱電球と変わらない。ただし、40W形白熱電球よりも明るく、直視するには眩しすぎるので、部屋の全体照明として活用する使い方がいいだろう。
【白熱電球:20W形】 明るさを抑えた白熱電球を使用した写真。このぐらいなら、目の触れる高さにおいて直視してもあまり眩しさを感じない | 【白熱電球:40W形】 正直、明るすぎる。直視すると不快な眩しさを感じてしまう | 【エバーレッズ 全方向タイプ640lm】 器具は均等に輝いているが、40W形白熱電球よりもかなり明るい。目に触れやすいアクセントライトよりも、全体照明の一つとして活用するのが良いだろう |
■食事の風景
食事のシーンにも十分に活用できそうだ。肉眼で、食事は全ておいしそうに見え、ハムもくすんだ色にならなかった。食器の材質による白さの違いもわかり、ランチョンマットの色合いは白熱電球よりもむしろ自然に見える。食卓全体に光が行き渡り、明るく華やかな雰囲気が演出できるだろう。
細かいことを言えば、白熱電球と並べてしまうと、多少黄色が強調されて見える。しかし色被りというよりは、光色の差と言えそうだ。
■60W形白熱電球と交換で、元が取れるのは【1年4カ月】
消費電力は実測で11Wだった。消費電力が56Wの60W形白熱電球と交換しても、明るさは落とさずに1/5の節電が可能だ。11Wという数値は、今年レビューしたLED電球の中でも最も高い消費電力となってしまうのだが、明るさ、拡散性共に60W形白熱電球とひけをとらず、密閉器具にも対応している点で、大きなアドバンテージを感じる。
初期費用にかかる電球代の元を取る期間は、約1年4カ月という試算になった。1年前後で元が取れるLED電球が多く登場してはいるが、明るく、光が広がるという“明かりの質”を考えると、そこまで悪い選択ではないだろう。
しかし、電球形蛍光灯と比較するのは現実的とは言えない。なぜなら、試算では蛍光灯を4つ目に取り替えた13年4カ月(160カ月)で、やっと初期投資額を回収する。しかし、これだとLED電球の定格寿命(毎日8時間で13年8カ月)がすぐ迫ってしまう。これは電球形蛍光灯よりも高価で、かつ消費電力もさほど変わらない点が要因だ。確かに、明るさや光色、点灯回数による寿命を受けない点で優位性はあるが、現在、まったく不満なく電球形蛍光灯を使用しているのなら、無理に取り替える必要はないだろう。
※表中の金額は、電球代と電気代をプラスした「維持費」 ※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球には、4カ月ごとに電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算
【白熱電球:60W形】 消費電力は56W。消費電力1Wあたりの発光効率は14.46lm/W | 【白熱電球:40W形】 消費電力37W。発光効率は13.1lm/W |
【電球形蛍光灯】 消費電力10W。発光効率は75lm/W | 【エバーレッズ 全方向タイプ640lm】 消費電力は11Wで、発光効率は58.18lm/W。電球形蛍光灯よりも電力を消費するが、実際は比較にならないほど明るい |
光源 | 消費 電力 | 1カ月 | 3カ月 | 半年 (6カ月) | 1年 | 1年 4カ月 | 2年 2カ月 | 4年 | 8年 | 13年 4カ月 |
エバーレッズ 全方向タイプ 640lm | 11W | 4,039円 | 4,157円 | 4,334円 | 4,688円 | 4,924円 | 5,514円 | 6,812円 | 9,644円 | 13,421円 |
白熱電球 60W形 | 54W | 370円 | 966円 | 1,932円 | 3,792円 | 5,055円 | 8,251円 | 15,166円 | 30,332円 | 50,553円 |
白熱電球 40W形 | 37W | 269円 | 665円 | 1,329円 | 2,587円 | 3,449円 | 5,641円 | 10,348円 | 20,696円 | 34,493円 |
電球型 蛍光灯 | 10W | 1,445円 | 1,554円 | 1,719円 | 2,047円 | 2,266円 | 2,814円 | 4,018円 | 8,036円 | 14,320円 |
※電気代は1kWh=22円で計算
■明かりの質は“トップクラス級”。60W形白熱電球と肩を並べるLED電球
パナソニックの「LDA11L-G」は、不満らしいものが挙げられないほど違和感の無い、完成度の高いLED電球だった。60W形白熱電球から取り替えると、全体的な明るさの印象・拡散性はかえって良くなったと感じられるほど。光色も自然な電球色で演色性も良かった。やや背が高いが、全体的な雰囲気や装飾性は損なわれず、白熱電球と変わらない使い心地が味わえるだろう。
敢えて欠点を挙げるなら、価格だ。低価格化が進んでいるLED電球の中で、実売価格が3,980円というのは、今となってはかなり高価な印象は否めない。しかし、直下照度も含めて60W形白熱電球と肩を並べられる明るさ、効率的な光の拡散性が両立していながら、密閉器具対応のLED電球はとても少ない。価格に見合った価値は十分に感じられる。
もちろん、40,000時間の長寿命や、点灯した瞬間から明るく、点滅による寿命への影響も無いなどの、LED電球の利点は従来どおり。ちなみに、ラジオに近づけてみても、受信障害を受けることもなかった。
とにかく汎用性が高く、60W形白熱電球から取り替えても違和感を感じさせない使いやすいLED電球だ。明るさ、拡散性、インテリアの雰囲気、器具の印象など、全て白熱電球のイメージのまま、高い節電効果が得られるのは間違いない。選ぶのに迷ったなら「白熱電球から最もスムーズに取り替えられるLED電球」として、エバーレッズ・全方向タイプの640lmは大いにお勧めだ。
パナソニック「EVERLEDS 全方向タイプ LDA11L-G 640lm」はこんなLED電球
・全方向(300度)に光が広がる、白熱電球のような高い拡散性
・60W形白熱電球を越える明るさと使用感
・密閉器具にも対応。器具のデザイン性や雰囲気を大切にしたい空間に
・60W形白熱電球と交換した場合、1年4カ月で元が取れる(1日8時間使用)
2011年11月4日 00:00