LED電球、どれを買う?

セブン&アイ「セブンプレミアム LED電球 450lm」

~コンビニで買える1,280円のLED電球ってどうなの?
by 藤原 大蔵

近所のセブンイレブンで千円ちょっと買えるLED電球。それって本当に使えるの?

セブン&アイ・ホールディングス「セブンプレミアム LED電球450lm(電球色)」コンビニやスーパーで気軽に購入できるLED電球だ

 誰もが日常的に立ち寄るコンビニで、牛乳やお弁当と一緒に、LED電球も気軽に買える時代が到来してしまった。買える場所も気軽なら、価格も1,280円と割安で、「ちょっと試しに買ってみようかな?」と思えるほどお手頃だ。ただ、そこまで手軽に買える製品が、本当にちゃんと使えるものかどうか、という疑問も少なからずある。

 そこで今回は、セブン&アイ・ホールディングスの「セブンプレミアム LED電球」を紹介しよう。コンビニエンスストアの「セブン-イレブン」や、大手スーパーの「イトーヨーカドー」などで販売されるPB(プライベートブランド)商品だ。

 このLED電球は、セブン&ホールディングスとLGジャパンの共同企画で登場したもので、明るさは、全光束450lm(ルーメン)。日本電球工業会の基準で「30W形白熱電球相当」となる。その実力はいかほどのものなのか、これまでのLED電球と同様、探っていくことにしよう。


メーカー名セブン&アイ・ホールディングス
製品名セブンプレミアムLED電球
全光束450lm
定格消費電力7.5W
口金E26
光色電球色
色温度-
白熱電球と比較した明るさ
(JELMA基準・ランプ単体)
30W形相当
定格寿命40,000時間
調光器対応-
密閉器具対応△ ※
サイズ(高さ×直径)116×59mm
重量128g
購入価格1,280円

※パッケージには「密閉形器具または密閉に近い器具では温度上昇が大きくなり、
寿命が短くなる場合があります」との注意書きがあります。

60W形白熱電球は三菱電機オスラムの 「LW100V57W2PZ」(2個パック143円で購入)を使用 
100W形白熱電球は日立の15%省電力タイプのソフトシリカ「LW100V85W」(1個パック105円で購入)を使用
※※電球形蛍光灯は、2008 年の特集で 総合的に性能の高かった 
パナソニックの 「パルックボール プレミアQ(クイック)」(1,390円で購入)を使用

 



【基本スペック編】

サイズ比較

 サイズは実測で116x59mm(高さx直径)と、白熱電球と比べれば大きめだ。放熱フィンはあるが、白色で細かな凹凸のせいか、さほどゴツゴツとした印象にはならない。口金方向へ向かって徐々に細くなるくびれがある一方、樹脂カバーは大きめ半球ドーム型で、全体的に電球らしいフォルムになっている。電球形蛍光灯とはさほど変わらないぐらいなので、いろいろな器具に取り付けられるだろう。

 重量は実測で128gと、LED電球全体ではやや重い部類といったところ。しかし、これまで多くのLED電球を紹介してきたが、これよりも重い電球でも、特に実使用では問題は起こらなかった。1~2個程度で済む器具ならば、さほど心配するほどではないだろう。

高さは116mm(中央)。白熱電球(左)より22mmも背が高いが、電球形蛍光灯とさほど変わらない。凹凸のあるフィンだが白色で電球らしいフォルムだ。重量は128gとLED電球の中では重い部類に入る直径は59mm(中央)で、白熱電球や電球形蛍光灯よりも4mmだけ大きい。光源部は半透明な樹脂製で、LEDチップは全く透けて見えない。カバー先端のロゴには「SEVEN & i」のロゴが入っている


器具に取り付けたようす

 器具とのバランスは良い。放熱部は多少見えてしまうが、白色なのでそれほど気にならなかった。樹脂製のカバーの先端のロゴも電球らしく、大き目の白熱電球を取り付けた印象だ。

 ただし、顔の近くに吊り下げられるペンダントの場合、白熱電球よりは光源部が目に触れやすくなるので、器具の高さを調節する必要があるだろう。

【白熱電球:60W形】
電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影した
【電球形蛍光灯】
電球の直径は白熱電球と同じだが、高さがあるため、内側のらせん状の蛍光管が透けて見える
【セブンプレミアム】
光源部分が大きく、白色の放熱部はさほど気にならない見え方だ。大き目の電球が取り付けてある印象で、違和感はない


光の広がりかたと配光性

 光の広がりは光源部を中心にほぼ球形に拡散する。光が拡散しやすい“全配光タイプ”ではないが、一般的なLED電球としては、光がワイドに広がっている。床面へは弱いが、横方向も含め、遠くまで光が届く印象だ。

【白熱電球:60・40W形】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている
【電球形蛍光灯】
白熱電球と同じようにソケット付近も光が届く。しかし遠くまでは光が届かない印象だ
【セブンプレミアム】
床面への光の広がりは弱いが、電球を中心に光が横方向、斜め上へも力強く届くようだ

 電気スタンド型の器具に取り付けると、明るさはシェード(傘)の上方に偏り、上下の差ができてしまう。白熱電球や蛍光灯のような配光性はあまり期待できない。一方で、横方向へは力強く光が届き、下方へもある程度の直接光が届いている。シェードの半分以上が明るく輝くので、部屋のコーナーに置くインテリアライトとしてならば、活用できるだろう。

【白熱電球:60・40W形】
シェードは中心からまんべんなく光り、シェードの上下からほぼ同じ明るさの光が漏れている印象
【電球形蛍光灯】
白熱電球と遜色なく、シェードのほぼ中心からまんべんなく光る。シェードの上下からもほぼ同じ明るさの光が漏れる
【セブンプレミアム】
白熱電球や蛍光灯のような配光性ではないが、横方向へは力強く光が届き、器具の輝き方もさほど違和感がない。インテリアライトとしてならば活用できるだろう


明るさ(55cm直下の照度)

 直下照度は604lxで、思いのほか明るかった。「30W形白熱電球相当」の全光束でありながら、40W形白熱電球や電球形蛍光灯よりも確実に明るい。さすがに60W形白熱電球(800lx)ほどの明るさはないが、多少暗くなる事を承知の上でなら、60W形白熱電球の取り替えも考慮に入れられるだろう。

【白熱電球:60W形 800lx】
光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した
【白熱電球:40W形 467lx】
【電球形蛍光灯 475lx】【セブンプレミアム 604lx】
直下照度は40W形白熱電球や電球形蛍光灯よりも確実に明るい

 多少大きめではあるが、明るさ、拡散性ともに期待以上の結果が得られた。55cm直下で604lxという明るさは、この夏の「LED電球はこれを買うべし!」のランキングに当てはめれば、2位となる明るさだ(485lm以下の明るさ部門の場合)。プライベートブランドだからと言って侮れないLED電球と言えそうだ。


【実使用編】

 ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探って行く。

 なお、パッケージには「密閉形器具または密閉に近い器具では温度上昇が大きくなり、寿命が短くなる場合があります」とあり、密閉器具への使用を推奨はしていない。しかし、禁止しているわけではないので、敢えて浴室や密閉型のインテリアライトにも使用した。


玄関

 玄関の使用に問題ない明るさが得られた。60W形白熱電球には及ばないが、40W形白熱電球や電球形蛍光灯よりも明るく、十分に快適と感じられる。光色は自然な温かみがあり、影の落ち方も柔らかい。結論として、玄関の明かりとして申し分なく使えるだろう。

【白熱電球:60W形】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【白熱電球:40W形】
玄関としては、もうすこし明るさが欲しいか
【電球形蛍光灯】
比較すると色が不自然に感じる。また、点灯して明るさが安定するまで時間がかかる
【セブンプレミアム】
十分に快適と感じられる明るさが得られた。影の落ち方も柔らかく、自然なあたたかみのある光色で親しみのある玄関が演出できる

浴室

 浴室でも、十分な明るさが得られる。器具を通しても電球形蛍光灯の上を行く明るさがあり、浴室全体に光がしっかりと届いている。自然な電球色は、リラックスする時間に相応しい光色だろう。明るさ、光色と共に、浴室でも十分活用できる。

 繰り返しになるが、本製品には「密閉形器具または密閉に近い器具では温度上昇が大きくなり、寿命が短くなる場合があります」という注意書きがある点にはご注意いただきたい。

 ちなみに、直径10cmの円筒形の器具にとりつけて、気温23℃の浴室で1時間点灯したところ、器具はじかに触れる程度の温かさになった。放熱部もかなりの熱さだが、裸電球の状態の時とさほど変わらない印象。とはいえ、電球の温度上昇は寿命に影響を及ぼすと注意書きがあるので、使わない時は消灯を心がけるといいだろう。

【白熱電球:60W形】
浴室全体が十分に明るい
【白熱電球:40W形】
明るさはやや落ちるものの、浴室全体に光が行き渡る
【電球形蛍光灯】
満足のいく明るさは得られるが、明るさが安定するまでに時間がかかるのは難点
【セブンプレミアム】
浴室全体に光が行き渡り、快適と感じられる明るさが得られた。光色は電球形蛍光灯以上で、点灯した瞬間から明るい


トイレ

 トイレのような狭い空間でも、申し分ない明るさが得られる。40W形白熱電球よりも明るく、拡散性の良さから壁面からの反射光も望め、影の落ち方は全体的に柔らかい。清潔感のある明るさ、光色、雰囲気が得られる。特にオーバースペックという印象も感じられず、ちょうど良いだろう。

 なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。

【白熱電球:60W形】
明るく気持ちよく過ごせる
【白熱電球:40W形】
60Wと比べれば暗いが、狭い空間なのでまだまだ十分に明るく感じる
【セブンプレミアム】
清潔感のある明るさ、光色で快適に使えるだろう。影の落ち方も柔らかく、雰囲気が良い


リビングルーム

 透過タイプの器具との相性は良い。テーブル面は電球形蛍光灯よりも明るく、光色も自然。器具を通して部屋全体へも光が届き、全体の明るさのバランスはとても良い。60W形白熱電球のように、部屋全体が明るくなるわけではないが、リビングルームとして心地良い落ち着きが感じられた。白熱電球から取り替えても極端に暗くならず、さほど不満は感じないだろう。

【白熱電球:60W形×2 透過タイプのシェード】
光が部屋全体に行き渡り、十分な明るさがある
【電球形蛍光灯×2 透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部、側面へも光が広がる。しかし、テーブルはLED電球よりも暗い印象で、色被りによりくすんで見える
【セブンプレミアム×2 透過タイプのシェード】
電球型蛍光灯以上の明るさがあり、白熱電球から取り替えても不満は少ないだろう。光色も良く、部屋全体の明るさのバランスも良好だ

 非透過タイプの器具も良い結果が得られた。テーブル面は十分に明るく、天井へはある程度の直接光が届く。あたたかみのある落ち着いた雰囲気はくつろぎの空間に申し分ない。白熱電球から取り替えて、こちらも良い印象だった。

【白熱電球:60W形×2 非透過タイプのシェード】
十分な明るさが得られ、コントラストのある空間になっている
【電球形蛍光灯×2 非透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部へも光が広がるが、透過タイプと同様、色がいまひとつ
【セブンプレミアム×2 非透過タイプのシェード】
テーブル面は十分に明るく、コントラストのバランスも良好で、重苦しい雰囲気にならない。落ち着いた雰囲気のリビングルームが演出できる


リビングルーム(インテリア照明)

 注意書きを承知のうえで、密閉型のインテリア照明にも取り付けた。40W形白熱電球よりも明るく、直視するには眩しすぎほどだ。その明るさを活かし、全体照明の一つとして利用するのに向く。目立った光のムラも浮き上がらず、器具の印象も大きく変わらない。

【白熱電球:20W形】
明るさを抑えた白熱電球を使用した写真。このぐらいなら、目の触れる高さにおいて直視してもあまり眩しさを感じない
【白熱電球:40W形】
正直、明るすぎる。直視すると不快な眩しさを感じてしまう
【セブンプレミアム】
40W形白熱電球よりも明るいため、アクセント照明としては眩しすぎる。ただし、光のムラができにくいので、直視しない場所に置く全体照明として利用するには良いだろう


食事の風景

 食事のシーンにも活用できる。食事はおいしそうに見え、食器の材質による白さの違いなど、微妙な色合いも識別できる。細かい事を言えば、全体的にオレンジ色が強調される傾向はあるが、比較しなければ気にならないレベル。電球形蛍光灯よりも格段に演色性が良い。

【白熱電球:60W形】
食事は全体的においしそうに見える。ただし赤みが強い光色のため、モスグリーンのランチョンマットが茶色に見える
【電球形蛍光灯】
色のバランスが崩れ、食卓全体がくすんだ印象になってしまう。特にハムの色味が気になる
【セブンプレミアム】
全体的にオレンジ色っぽい色が強調されるが、食べ物は十分おいしそうに見えており、微妙な色も識別できた。色味が大切な食事のシーンにも十分に活用できるレベルで、電球形蛍光灯よりも格段に良い印象だ


消費電力は7W。40W形白熱電球との交換で、消費電力は1/5以上。8ヶ月で元がとれる

 セブンプレミアムLED電球の消費電力は実測値で7W。消費電力が37Wの40W形白熱電球と交換すれば、明るさをアップしつつ、1/5以上の節電が可能だ。また、初期費用にかかる電球代の元がとれるのも早く、たった8カ月と、LED電球全体の中でも特に早い。明るさを多少我慢して60W形白熱電球と交換すれば、電気代は1/8になり、5カ月で元が取れてしまう。

 電球形蛍光灯からの取り替えもお勧めできる。なんと、電球代はたった1カ月で元が取れてしまう試算結果となった。比較に用いた電球形蛍光灯よりも電球代が安く、電気代も低く抑えられるからだ。消費電力の差はわずか3Wなので、現在問題なく電球形蛍光灯を使用しているのなら急ぐほどではないが、明るさや光色、つけた瞬間から明るいという優位性を考えると、このLED電球に取り替えて損は無いはずだ。

【セブン&アイ「セブンプレミアムLED電球」】
従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算
光源実測
消費
電力
1カ月3カ月5カ月8カ月9カ月1年2年4年
セブンプレミアム
LED電球
7W1,317円1,392円1,467円1,579円1,617円1,729円2,178円3,076円
白熱電球
60W形
54W370円966円1,633円2,528円2,897円3,792円7,583円15,166円
白熱電球
40W形
37W269円665円1,132円1,725円1,994円2,587円5,174円10,348円
電球型
蛍光灯
60W形
10W1,445円1,554円1,664円1,828円1,883円2,047円2,704円4,018円
※表中の金額は、電球代と電気代をプラスした「維持費」  ※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球には、4カ月ごと、電球形蛍光灯は2年9カ月ごと電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算
【白熱電球:60W形】
消費電力は56W。消費電力1Wあたりの発光効率は、14.46lm/Wになる
【白熱電球:40W形】
消費電力37W。発光効率は、13.1lm/W
【電球形蛍光灯】
消費電力10W。発光効率は75lm/W
【セブンプレミアム】
消費電力は7W。発光効率は64.29lm/W


コンビニで手軽に買えて、しかも明るい。家中のあかりにお勧め

 近所のコンビニやスーパーで買えるLED電球だが、その実力は全く侮れない。しかも、価格も安く、十分な明るさもありオトク感がある。電球形蛍光灯からの取り替えにもお勧めできる、質の高いLED電球だった。

 また、使用上の注意はされているものの、密閉器具にも取り付けられる点は評価できる。なぜなら、コンビニやスーパーは、老若男女、家電の知識の有無に関係なく買い物をする場所。そこで扱うLED電球だからこそ、今までの白熱電球と同じ感覚で取り替えられるのは重要だろう。できれば、注意書きなしで完全対応を謳ってくれるのがベストだが、そうなると今度は1,280円では購入できないかもしれない。

 40W形白熱電球を使っている場所ならば、それ以上に明るくなるので、玄関やトイレ、浴室や洗面所など、さほど広くない空間には特にお勧めできる。複数個同時に使うならば、光色と共に演色性も良好なLED電球なので、リビングルームからダイニングキッチンまでと利用範囲は広い。AMラジオの側で点灯しても、雑音が入ることもなかった。

 価格も購入場所もお手軽で、PB製品ながら実力はしっかり備えたLED電球だ。ちなみに、近所にセブンイレブンやイトーヨーカドーがないという人でも、同グループのネットショップでも購入できる。家中のあちこちで気軽に利用できる、節電効果の高いあかりとして、安心してお勧めできるLED電球だ。


【セブン&アイ「セブンプレミアム LED電球450lm」はこんなLED電球】

・40W形白熱電球との取り替えなら明るさは確実にアップ

・拡散性も良好。自然な電球色で食事のシーンにもOK

・コンビニで気軽に購入できる。実売1,280円という安さも魅力

 ・40W形白熱電球と交換した場合、8カ月で元が取れる(1日8時間使用)








2011年11月15日 00:00