LED電球、どれを買う?
東芝「E-CORE 一般電球形 7.7W LDA8L-G」
■パナソニックに続き、東芝も“光が広がる”タイプのLED電球を投入
東芝ライテック「E-CORE(イー・コア) LED電球 一般電球形 7.7W、 485lm(電球色) LDA8L-G」 |
先日、パナソニックの光が広がるタイプのLED電球「EVERLEDS 全方向タイプ」を紹介したが、東芝からも、同じく光が広がるLED電球が発売された。「E-CORE(イー・コア) 一般電球形 7.7W LDA8L-G」という製品だ。
このLED電球は、光の拡散性が約260度と、白熱電球(約300度)のように、光が横方向及び口金方向まで広がる点が特徴だ。LEDチップを覆うグローブは、球形に近づいた「マルチ拡散グローブ」を採用しており、光の拡散性の向上とともに、まぶしさ感を低減したあかりを実現しているらしい。
電球自体の明るさを示す全光束は485lmで、日本電球工業会の基準では「白熱電球の40W相当」という位置づけになる。以前紹介したE-COREの「スタンダードタイプ LDA7L」も同じ485lmだったが、本製品は密閉器具に対応しており、浴室や外灯など、取り付けられる範囲が広くなる。それでいて、放熱部はさらにコンパクトになり、形状もますます電球らしい形になった。さらに定格寿命は今までどおり40,000時間と変わらない。
ちなみに、パナソニック「EVERLEDS 全方向タイプ」と比べると、本製品は全光束が約100lmほど高い一方で、配向角が40度狭い。この両者にはいったいどのような差があるのか、という点についても見ていこう。
メーカー名 | 東芝ライテック |
製品名 | E-CORE 一般電球形 |
品番 | LDA8L-G |
全光束 | 485lm |
定格消費電力 | 7.7W |
口金 | E26 |
光色 | 電球色 |
配光角度 | 約260度 |
白熱電球と比較した明るさ (JELMA基準・ランプ単体) | 40W形相当 |
定格寿命 | 40,000時間 |
調光器対応 | - |
密閉器具対応 | ○ |
サイズ(高さ×直径) | 111×60mm |
重量 | 114g |
購入価格 (yodobashi.com) | 3,680円 |
※60W形白熱電球は三菱電機オスラムの 「LW100V57W2PZ」(2個パック143円で購入)を使用
※※100W形白熱電球は日立の15%省電力タイプのソフトシリカ「LW100V85W」(1個パック105円で購入)を使用
※※※電球形蛍光灯は、2008 年の特集で 総合的に性能の高かった
パナソニックの 「パルックボール プレミアQ(クイック)」(1,390円で購入)を使用
■サイズ比較
実測したサイズは111×60mm(高さ×直径)。白熱電球よりも大きめだが、シルエットはまさしく電球そのものだ。マルチ拡散グローブは不透明な樹脂製で、電球全体の占める割り合いは大きいが、その分、放熱部はコンパクトで、しかもフィンレスだ。電球らしいくびれもあり、口金付近は白熱電球と変わらない形状で、器具を選ばなそうだ。
重量は実測で114gと、軽量化が進む同社の「E-CORE」シリーズの中では重め。それでもLED電球の中ではまだ軽い部類に入るので、取り付ける器具への負担はさほど考えなくてもよいレベルだろう。
高さは111mm(中央)。60W形白熱電球(左)より17mmも背が高いが、電球形蛍光灯よりも低い。大きめの光源部にくびれのあるコンパクトなフィンレスの放熱部が電球らしい。重量は114gとLED電球の中では中ぐらい | 直径は60mm(中央)で、白熱電球や電球形蛍光灯よりも5mm大きい。光源部は不透明な樹脂製で、LEDチップはまったく透けない |
■器具に取り付けたようす
器具とのバランスはとても良い。グローブのまん丸に入ったロゴや、器具から覗いている様子は、いかにも電球らしい。白熱電球よりも大きくても、放熱部がとてもコンパクトでくびれがあるため、器具をかなり覗き込まないと見えないほどだった。多くの器具に違和感なく取りつけられそうだ。
【白熱電球:60W形】 電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影した | 【電球形蛍光灯】 電球の直径は白熱電球と同じだが、高さがあるため、内側のらせん状の蛍光管が透けて見える | 【E-CORE LDA8L-G】 放熱部がコンパクトなのでかなり奥まで覗き込まない限り見えてこない。大きめではあるものの、電球の雰囲気にかなり近い |
■光の広がりかたと配光性
拡散性は電球形蛍光灯に近い雰囲気だった。光は光源部を中心に、横方向へも床方向へも拡散している。実は本製品には、電球内部にリフレクターやレンズは搭載されおらず、グローブ内部で光を乱反射させて拡散する「マルチ拡散グローブ」仕様となっているが、この効果がはっきりと現われているようだ。
【白熱電球:60・40W形】 ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている | 【電球形蛍光灯】 白熱電球と同じようにソケット付近も光が届く。しかし遠くまでは光が届かない印象だ | 【E-CORE LDA8L-G】 「マルチ拡散グローブ」の効果か、横方向、床方向にも光が拡散している。床への明るさは白熱電球ほどではないものの、電球形蛍光灯とほとんど変わらない拡散性がある |
電気スタンド型の器具に取り付けてみると、本製品の光が下方向へ届いているのがわかる。細かくみれば上方向への光の方が強いが、LED電球にありがちなクッキリとした影もできず、柔らかな光が拡散する。器具のシェードは、全体の2/3以上が明るく輝いており、器具が持つ雰囲気が十分に活かせている。このようなスタイルの器具にも問題なく取り替えられるだろう。
【白熱電球:60W形】 シェードは中心からまんべんなく光り、シェードの上下からほぼ同じ明るさの光が漏れる印象がある | 【電球形蛍光灯】 白熱電球と遜色なく、シェードのほぼ中心からまんべんなく光る。シェードの上下からもほぼ同じ明るさの光が漏れる | 【E-CORE LDA8L-G】 上方に強い光を放つが、下方へもしっかりと光が届いている。器具シェードは2/3以上が明るく輝いている |
■明るさ(55cm直下の照度)
直下照度は510lxで、40W形白熱電球と同じ全光束でありながら、白熱電球、60W形電球形蛍光灯よりも確実に明るかった。この明るさならば、40W形白熱電球からの取替えても明るさを我慢する必要はないだろう。現在60W形電球形蛍光灯の取り替えても全く遜色ない明るさが得られそうだ。
【白熱電球:60W形 800lx】 光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した | 【白熱電球:40W形 467lx】 |
【電球形蛍光灯:475lx】 | 【E-CORE LDA8L-G 510lx】 光が広がるタイプでも、直下照度は40W形白熱電球や電球形蛍光灯以上の明るさが得られた |
拡散性が高く、しかもなかなか明るいLED電球だ。同等の明るさの白熱電球、電球形蛍光灯と取り替えても、明るさを我慢することはない。 器具が放つ光の印象もほとんど変わらずに、スムーズな取り替えができそうだ。これなら、実使用でも十分に活用できそうである。
【お詫びと訂正】初出時、誤った文章を表示しておりました。訂正してお詫びさせていただきます。
【実使用編】
ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探って行く。なお、密閉器具にも対応しているので、浴室や密閉型のインテリアライトにも使用した。
■玄関
玄関には全く問題ない。60W形白熱電球からの取り替えの場合は若干暗くなるが、やや落ちるというレベルなので、現実的な選択肢と言って良いだろう。玄関全体が明るさに均一感があり、LED特有の強い影ができない。光色も自然な暖かみがあり、柔らかな印象の玄関が演出できるだろう。
【白熱電球:60W形】 床面まで光が届き、十分な明るさがある | 【白熱電球:40W形】 玄関としては、もうすこし明るさが欲しいか |
【電球形蛍光灯】 比較すると色が不自然に感じる。また、点灯して明るさが安定するまで時間がかかる | 【E-CORE LDA8L-G】 40W形白熱電球、蛍光灯よりも明るく、特に不満を感じない。影の落ち方も柔らかく、雰囲気が良い |
■浴室
浴室にも実用十分な明るさが得られる。40W形白熱電球や、60W形電球形蛍光灯よりも明るく、光の広がりかた、器具の輝き方も全く申し分ない印象だった。十分に心地良い印象だ。
【白熱電球:60W形】 浴室全体が十分に明るい | 【白熱電球:40W形】 60W形と比べるとやや暗めだが、十分に使えるレベルだ |
【電球形蛍光灯】 比較すると色が不自然に感じる。また、点灯して明るさが安定するまで時間がかかる | 【E-CORE LDA8L-G】 40W形白熱電球、蛍光灯よりも明るく、特に不満を感じない。影の落ち方も柔らかく、雰囲気が良い |
※浴室で使用する場合は、器具が防滴構造であることが条件となります
■トイレ
トイレでの使用も全く申し分ない。十分に明るく、影も穏やかな柔らかな印象が演出できる。
とは言え、短時間しか過ごさない場所に、一般型LED電球よりも高価な本製品を使うのはもったいない。お使いの器具が密閉式でないならば、低価格化が進んだ一般型LED電球でも十分だろう。
なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。
【白熱電球:60W形】 明るく気持ちよく過ごせる | 【白熱電球:40W形】 少し暗いが、狭い空間なので、まだまだ十分に明るく感じる | 【E-CORE LDA8L-G】 十分に明るいが、短時間しか使わないトイレに、この高価なLED電球は少々もったいない |
■リビングルーム
透過タイプの器具との相性はとても良い。比べれば60W形白熱電球よりは暗くなってしまうが、器具はほぼ均等に輝き、シェードを通して壁面や天井へと光が届いている。60W形電球形蛍光灯よりも明るく、光色も良好なので、リビングルームのあかりとしては十分と言える。リビング全体が暖かみのある落ち着いた雰囲気が演出できた。
非透過タイプの器具とも相性が良かった。天井からの反射光もあり、器具が持つ印象、光と影のコントラストも大きく変わらず、電球らしい印象を備えている。60W形白熱電球との交換でも、実用の範囲内にあるだろう。
【E-CORE LDA8L-G×2 インテリアライト2台】 低い位置に置いても、部屋全体に明るさが届く。くつろぎ感や落ち着きがより演出できるような使い方にも、とても向いている。テーブル面は十分に明るく、一般型のLED電球では作り出せない雰囲気が得られる |
複数の局所照明を組み合わせる使い方もお勧めだ。部屋全体に柔らかな光が届き、まるでホテルの居室のようなくつろぎ感が演出できる。テーブル面も十分に明るさが広がり実用的だ。高所の器具への取り付けも良いが、光が上下左右に広がるので、低い位置の器具に取り付けても白熱電球のような演出ができる。これは「光が広がるタイプ」のLED電球だからこそできることだ。
■リビングルーム(インテリア照明)
密閉型のインテリア照明にもお勧めできる。器具は光のムラがなく均等に輝き、印象は白熱電球と変わらない。ただし、40W形白熱電球以上の明るさになるため、直視するには明るすぎる。アクセント的な使い方よりも、部屋全体を優しく照らすような使い方に向いている。
【白熱電球:20W形】 明るさを抑えた白熱電球を使用した写真。このぐらいなら、目の触れる高さにおいて直視してもあまり眩しさを感じない | 【白熱電球:40W形】 正直、明るすぎる。直視すると不快な眩しさを感じてしまう | 【E-CORE LDA8L-G】 直視するには明るすぎるが、器具に光のムラができず均等に輝く。距離を置いて、部屋全体をやさしく照らすような使い方に向いている |
■食事の風景
食事のシーンにも十分に活用できそうだ。明るさは十分あり、色の再現性も、若干の色かぶりが見られる程度。全体がおいしそうに見える。食器の材質による白さの違いや、ランチョンマットの色合いも識別できた。きらめき感は白熱電球よりも落ちるが、その分落ち着いた、暖かな雰囲気の食卓が演出できるだろう。
■消費電力は7W。40W形白熱電球なら1年9カ月、60Wなら1年2カ月で元がとれる
消費電力は実測値で7Wだった。全光束が同じ40W形白熱電球と交換すれば、1/5以上の節電ができる。電球代の元を取る期間は、60W形との交換で1年2カ月、40W形だと1年9カ月。初期費用が高めのため、LED電球の中では、回収に時間がややかかるグループに入る。
電球形蛍光灯との取り替えは、4年6カ月で元がとれる。この試算結果はLED電球の中では比較的早めで、2個目の電球形蛍光灯に替える時点で逆転する。現在使っている電球形蛍光灯で満足しているなら変える必要はないが、明るく演色性は良好、しかも消費電力も低いので、寿命が来たら交換を検討していただきたい。
光源 | 消費 電力 | 1カ月 | 3カ月 | 半年 (6カ月) | 1年 | 1年 2カ月 | 1年 9カ月 | 2年 | 4年 | 4年 6カ月 |
E-CORE LDA8L-G | 7W | 3,717円 | 3,792円 | 3,905円 | 4,129円 | 4,204円 | 4,466円 | 4,578円 | 5,476円 | 5,700円 |
白熱電球 60W形 | 54W | 370円 | 966円 | 1,932円 | 3,792円 | 4,459円 | 6,689円 | 7,583円 | 15,166円 | 17,098円 |
白熱電球 40W形 | 37W | 269円 | 665円 | 1,329円 | 2,587円 | 3,054円 | 4,581円 | 5,174円 | 10,348円 | 11,677円 |
電球型 蛍光灯 | 10W | 1,445円 | 1,554円 | 1,719円 | 2,047円 | 2,157円 | 2,540円 | 2,704円 | 4,018円 | 5,737円 |
※電気代は1kWh=22円で計算
【白熱電球:60W形】 消費電力は56W。消費電力1Wあたりの発光効率は、14.46lm/Wになる | 【白熱電球:40W形】 消費電力37W。発光効率は、13.1lm/W |
【電球形蛍光灯】 消費電力10W。発光効率は75lm/W | 【E-CORE LDA8L-G】 消費電力は7W。発光効率は69.29lm/W |
■長時間点灯する、雰囲気を大切にしたいシーンにお勧め
高い拡散性とともに、明るさも備えたLED電球だ。雰囲気を大切にしたいリビングルームから、密閉器具を使用する浴室や外灯まで、広い範囲でお勧めできる。40W形白熱電球よりも明るく、60W形電球形蛍光灯にも近いので、60W形白熱電球との取り替えも十分にアリだろう。光色も暖かみがあり自然で、影の落ち方も柔らかい。AMラジオに雑音が入る事もなかったので、ノイズの心配も特になさそうだ。
初期購入費は低価格化が進むLED電球の中では高価だが、スタンドやインテリアライトなど、器具が放つ光の印象が白熱電球とほとんど変わらないのも、一般的なLED電球ではなかなか得られない特徴だ。明るいことはもちろん、インテリアの雰囲気や器具のデザイン性を損なわずに、高い節電効果が期待できるので、人がゆったりとくつろぐシーンにこそお勧めしたいLED電球である。
■パナソニックの“光が広がる”バージョンとどう使い分ける?
最後に、他社の光が広がるタイプとの使い分けも提案させていただこう。
光が広がることを謳ったLED電球は、前回紹介した「パナソニック LDA7L-G」が既に出ているが、全光束や配光角度でスペックに違いがある。今回紹介した東芝「LDA8L-G」の全光束は485lm、配光角度は約260度。それに対して、パナソニックは390lm、約300度となる。数値だけで判断すると、東芝の方が明るくて、パナソニックはより光が広がるということになる。
このスペック面の違いに加え、光の拡散方法の違いから、それぞれの「光り方」にも特徴的な違いが現れる。東芝は、グローブの上部がまぶしさを感じるほど明るくなり、放熱部に近づくにしたがって減光する。一方パナソニックは、放熱部付近から強い光が放たれ、上方は直視してもさほどまぶしくならないのだ。また、電球を床に置くと、東芝は光が全体的に柔らかく拡散するのに対し、パナソニックは床から横方向に力強い光が照射される。結果的に床面は、全光束に差はあるものの、パナソニックの方が東芝よりも明るい印象となるのだ。
この特徴を活かすなら、東芝は電球が直接見えにくい器具や、人からある程度離れた器具で、部屋全体に光を行き渡らせるような使い方に向いている。一方パナソニックは、人の近くに置き、器具の輝きや雰囲気を大切にした使い方が向いていると言えるだろう。具体的にいえば、浴室ならば東芝、手元に近いスタンドライトならばパナソニックがお勧めだ。
東芝とパナソニックの“光が広がるタイプ”の違い。東芝はグローブの上部が明るく、放熱部付近は減光している(写真左)。一方パナソニックは、放熱部付近から強い光りが放たれ、グローブの上部はそこまで明るくならない | 東芝は全体的に緩やかに光が広がるのに対して(写真左)、パナソニックは口金付近から横方向に強く光りが届いている(どちらも同じ条件で撮影し、合成した) |
一口に「全方向タイプ」と言っても、それぞれに特徴がある。器具の特徴や位置、目的を十分考慮に入れた上で、最適なLED電球を選びたい。
東芝「E-CORE 一般電球形 7.7W LDA8L-G」はこんなLED電球
・光の拡散性は高く、白熱電球に近い
・白熱電球と交換する場合、40W形なら文句なし、60W形はやや暗めだが十分使用に値する
・密閉器具にも対応。器具のデザイン性や雰囲気を大切にしたい空間にお勧め
・白熱電球との交換で、40W形は1年9カ月、60W形は1年2カ月で元が取れる(1日8時間使用)
2011年7月1日 00:00