LED電球、どれを買う?
第3回:三菱電機オスラム「PARATHOM A55」

~自然な色合いでリビングにも食卓にも
by 藤原 大蔵



電球色、60Wタイプのみのシンプル構成 : 三菱電機オスラム「PARATHOM A55」


三菱オスラム「PARATHOM(パラトン)A55 LEA6L」
 今回紹介するのは、三菱電機オスラムの「PARATHOM(パラトン) A55」というLED電球。同社では「PARATHOM CLASSIC(パラトン・クラッシック)」シリーズという、演出や装飾照明用のLED電球が既に発売されていたが、今回のA55は、一般照明用として新たにラインナップに加わった形だ。

 パラトンA55のラインナップは、直下部の明るさが60W白熱電球に相当する電球色の「LEA6L」の1製品のみと、とてもシンプルな構成になっている。他社に見られる、40Wタイプや昼白色タイプなどは発売されていない。

 スペック面では、電球色ではあるが色温度が3,000Kと、一般的な白熱電球より白っぽい光色が特徴。デザインでは、光源部が大きく、ヒートシンク部も白っぽいデザインが個性的だ。調光器、密閉型器具には対応していない。

 ヨドバシカメラでの価格は、3,980円(10月5日購入時点)となっている。

シリーズ名PARATHOM(パラトン) A55
品番LEA6L
実売価格
(ヨドバシカメラ 10月5日時点)
3,980円
口金タイプE26
全光束350lm
消費電力(記載値)7.6W
色温度3,000K
定格寿命40,000時間
※平均演色評価数Ra82
調光器対応-
密閉型器具-

※色彩の再現度を示す値。100に近いほど再現度が高い



【基本スペック編】

サイズ比較

 電球の高さは111mmとLED電球の中では平均的だが、直径は54.5mmと、白熱電球とほぼ同じ。LED電球の中で特にスリムな印象だが、ヒートシンクのフィンが太目で、どことなく柔らかな雰囲気を感じる。白熱電球のような“くびれ”もあり、光源部は曇りガラスのような樹脂製で、LED電球全体で見れば、白熱電球に近い形状をしている。

【パラトンA55】
高さは111mm(右)で、白熱電球との差は17mmになる。光源部分の割合も大きく、ヒートシンク部も白色でフィンも太め。白熱電球の柔らかなイメージを残している。重さは134gと軽量な部類に入る
【パラトンA55】
直径は54.5mm(右)と、白熱電球とほとんど変わらない印象だ。光源部分は白い樹脂製で、並べてみるとほとんど同じイメージだ

光の広がりかた


 光は光源部を中心にほぼ球形に拡散している。LED電球の最大直径部分が光源に含まれているので、ソケット方向にも直接光が届いている。器具に取り付けた場合でも、光の広がりが期待できそうだ。

【白熱電球:60W】
ソケットぎりぎりまで明るいため、床面に近いところから、電球を中心に光が広がっている
【パラトンA55】
ほぼ球形に光が拡散している。光源部分の割合が大きいため、床面にも直接光が届いている

器具に取り付けたようす

 器具を覗き込んでも、LED電球だとはわかりにくく、白熱電球の印象にとても近い印象。器具とのバランスも良い。電球の直径が白熱電球とほぼ同じで、ヒートシンクも小さめなことが大きいだろう。

【白熱電球:60W】
電球の端が少し覗いている程度で撮影
【パラトンA55】
LED電球の背の高さは平均的だが、樹脂製の光源部の印象が白熱電球と似ているため、見え方が自然だ

明るさ(55cm直下の照度)


 直下照度は391lxと、40Wの白熱電球に近い明るさ。LED電球の中では平均的な明るさとなる。白熱電球と交換するとなると、暗めになる点は覚悟しなければならない。

【白熱電球:60W  800 lx】【パラトンA55 391lx】  
LED電球の中では平均的な明るさだ

省エネ性能


 定格消費電力は7.6Wと記載されていたが、実測の消費電力は6W。他のLED電球と同様、白熱電球に比べて1/9以上の消費電力の良さを実現している。

【白熱電球:60W 56W】【パラトンA55 6W】

【60Wタイプ:省エネ性能比較】
製品名白熱電球
(三菱電機オスラム製)
パラトンA55
品番LW100V57W2PZ
(2個パック)
LEA6L
定格寿命1,000時間40,000時間
1日8時間使用した場合の寿命125日
(約4カ月)
5,000日
(約13年8カ月)
1年間で必要な電球個数
(365日 x 8時間÷定格寿命)
2.92個0.073個
電球一個の値段71.5円3,980円
実測消費電力56W6W
1日の電気代9.8 円1円
1年間の電気代の目安3,577 円365円
1年間の電球代の目安209 円291円
1年間の維持費
(1年間の電球代+電気代)
3,786 円656円

※消費電力はワットチェッカーで測定 



消灯したすぐ後の三菱オスラムのLED電球の様子。実使用にはさほど影響はないが、消灯直後は完全にLEDが消えきらない
 白熱電球と直径がほぼ一緒なので、器具に取り付けても印象がほとんど変わらない。しかも、白熱電球のような穏やかな光りの拡散性が望める。白熱電球と比べると暗めになるのはLED電球の宿命だが、それ以外はほぼ白熱電球と同じだ。ヒートシンクのフィンの数は他のLED電球に比べると少ないが、熱さは同じぐらいだった。

 細かい話だが、パラトンA55は点灯時と消灯時に他のLED電球とは違う様子を呈す。点灯時は、電源を入れて一瞬遅れて点灯する。一方、消灯時は即座にLEDが消えきらず、10秒ほどかけてゆっくりとLEDが消えてゆく。実使用には大きな影響がない程度だが、念のため記しておく。




【実使用編】

 ここからは、家庭の中でどのように見えるかを、実際の器具に取り付けて見てみよう。なお、密閉型器具での使用はできないため、風呂場、密閉型のインテリアライトの使用シーンは掲載しない。

玄関


 白熱電球よりも赤みが抑えられた、温かみのある白っぽい光色が特徴。LED電球の中では平均的な明るさで、白熱電球と比べると少し暗くはなるが、色味が自然で雰囲気が良いため、使用しても問題ないだろう。

【白熱電球:60W】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【パラトンA55】
少し暗くなるが、色味が自然で雰囲気が良い


トイレ


 白熱電球よりも多少暗くはなるが、十分な明るさが確保できる。光色も白色が強調される傾向があり、清潔感が望める。

【白熱電球:60W】
明るく気持ちよく過ごせる
【パラトンA55】
狭い空間ということもあって、十分に明るく感じる


リビングルーム(全体照明)


 光が透過するシェードとの相性が特に良かった。器具全体がくまなく光り、器具の上部の限られた孔から光りが天上面へ抜けている。また、非透過タイプでも白熱電球と同じような印象が得られる。

 なお、白熱電球の光色をベースにして撮影したため、画像が青っぽい印象を受けるが、肉眼では温かみの残る良い色調だった。

【白熱電球:60W×2 透過タイプのシェード】
光が部屋全体に行き渡り十分な明るさが得られている
【パラトンA55×2 透過タイプのシェード】
器具全体に光りが十分にまわっており、白熱電球と比べなければ十分な明るさがある。くすみ感がなく、白熱電球より赤みが抑えられた光りとなる

【白熱電球:60W×2 非透過タイプのシェード】
十分な明るさが得られ、コントラストのある空間になっている
【パラトンA55×2 非透過タイプのシェード】
器具の上部から天上面に光りが回っている。白熱電球と色味が変わるが、とても自然な印象になる

リビングルーム(間接照明)


 温かみは保ちながら、赤みが抑えられた光色の間接光が部屋全体に柔らかく広がる。十分に使用に値するだろう。

【白熱電球:60W】
テレビの後ろに設置した例。間接照明としては少し明るすぎか
【パラトンA55】
間接光として明る過ぎず、柔らかな光りが部屋全体に行き渡る

食卓

 白熱電球よりも赤みが抑えられ、演色性がとても良い。食べ物全体がとても色鮮やかに目に映り、おいしそうだ。卓上と照明器具の距離が近ければ十分な明るさが得られるので、食事のシーンはもちろん、色合いを気にするシーンにもお薦めできるLED電球だ。

 細かい話になるが、撮影時のホワイトバランスを白熱電球(2,850K)に色温度を合わせているため、青っぽい印象を受けるが、肉眼で見る限りは、とても自然な色合いに映った。

【白熱電球:60W】
全体的においしそうに見える
【パラトンA55】
やや青っぽい印象を受けるが、これは撮影時のホワイトバランスを白熱電球に合わせているため。肉眼で見ると、とても自然な色合いに映っている
【パラトンA55 再撮影】
ホワイトバランスを変え再撮影。肉眼で見ると、このような感じに見える。とても自然な色合いに見え、食べ物全体が新鮮においしそうに感じる。野菜の色の分離性も良く、微妙な色合いもよくわかる



自然な色合いでリビングにも食卓にもお勧め


 自然な色合い、十分な光の広がり具合、
白熱電球に似た形状と、全体的に優れたLED電球といえそうだ。購入時はやや高めの色温度が気になったが、それがデメリットとなることはなかった。リビングでも食卓でも、違和感なく白熱電球と取替えられるだろう。それだけに、密閉器具に対応していないのが残念ではある。


2009年11月30日 00:00