【特別企画】

第2回:アイリスオーヤマ「ECOLUX(エコルクス)」

by 藤原 大蔵


電機メーカー以外からも参戦 : アイリスオーヤマ「ECOLUX(エコルクス)」


 シャープに続き、3千円台から買える低価格LED電球を市場に投入してきたのが、収納器具やペット用品のメーカーとして有名なアイリスオーヤマ。「ECOLUX(エコルクス)」という名のLED電球を販売している。

白熱電球60W相当という「ECOLUX(エコルクス) LED-6L261」こちらは白熱電球40W相当という「LED-4L261」。製品の外観は60Wタイプとほとんど同じ

 電球色のラインナップは、“電球60W相当の明るさ”という60Wタイプの「LED-6L261」と、“電球40Wタイプの明るさ”という40WタイプのLED-4L261の2種類。どちらも大きさは一緒だ。電球の3/4は放熱用のヒートシンクで覆われているため、光源部(樹脂製)の面積はやや狭めだが、パッと見ではコンパクトな印象を受ける。

 Amazon.co.jpでの価格は、LED-6L261が3,780円、LED-4L261は3,480円(価格は10月5日購入日時点のもの)。調光器には対応していない。

【お詫びと訂正】初出時、密閉型器具に対応しているとの内容がありましたが、本製品では密閉型器具での使用は推奨されていません。お詫びして訂正させていただきます。

【アイリスオーヤマ:LED電球の電球色ラインナップ】
シリーズ名ECOLUX(エコルクス)
60Wタイプ
ECOLUX(エコルクス)
40Wタイプ
品番LED-6L261LED-4L261
実売価格
(Amazon.co.jp 10月5日購入時点)
3,780 円3,480 円
口金タイプE26E26
全光束280 lm180 lm
消費電力(記載値)6W4.3W
色温度記載なし
定格寿命40,000時間
調光器対応-
密閉型器具-




【基本スペック編】


サイズ比較


 高さは60Wも40Wタイプも108mmと、LED電球の中ではコンパクトな部類に入る。その分、幅は太めなので、ずんぐりとした印象だ。冒頭でも述べたが、光源部よりもヒートシンク(放熱部)の方が大きく、電球を真上から見てもヒートシンクが見えてしまう。

【エコルクス:60W】
高さは108mm(右)で、白熱電球との差は14mm。ヒートシンク部が全体の3/4を占めている点が特徴。ちなみに、重さは164gだった
【エコルクス:60W】
直径は60mm(右)で、白熱電球よりも5mm太い。光源部分は樹脂製。ヒートシンクのギザギザが確認できる
【エコルクス:40W】
40Wタイプは60Wタイプと全く同じ高さ。もちろん材質と形状も同じ。ただし、重さは160gとわずかに軽い
【エコルクス:40W】
直径は60Wタイプとまったく同じ

光の広がりかた

 ガラス球は小さいものの、光は電球の上方からほぼ球形に拡散している。しかしソケット方向には、直接光が届いておらず、器具によっては、光源部がやや暗めに見えることもあるだろう。

【白熱電球:60W】
ソケットぎりぎりまで明るいため、床面に近いところから、電球を中心に光が広がっている
【エコルクス:60W】
ほぼ球形に光が拡散しているが、ヒートシンク部が大きいため、床面にはあまり光が回らない
【白熱電球:40W】
光の広がり方は60Wと同じ
【エコルクス:40W】
40Wタイプは60Wタイプと同じ性質だ

※光の広がり方を見るため、撮影時同じ明るさに見えるよう補正している

器具に取り付けたようす

 LED電球の中では背が低いため、器具とのバランスは良い。しかし、ヒートシンク部が大きく、器具から見えてしまう。好みが分かれるところだろう。

【白熱電球:60W】
電球の端がちょっと覗いている程度で撮影
【エコルクス:60W】
ヒートシンク部分が大きく、器具から見えてしまう
【白熱電球:40W】
見え方は60Wのものと同じ
【エコルクス:40W】
60Wタイプと同じく、ヒートシンク部分が覗いてしまう

明るさ(55cm直下の照度)


 直下照度を比べると60Wタイプも40WタイプもLED電球の中では暗く、白熱電球の半分の明るさにも満たない結果となってしまった。文字が読めるほどの明るさはあるものの、取り替えた場合は、その差はとても気になるだろう。

【白熱電球:60W 800lx】【エコルクス:60W 359lx】
【白熱電球:40W 437lx】【エコルクス:40W 193lx】

省エネ性能


 60Wタイプ、40Wタイプとも、白熱電球に比べて1/9以上の消費電力の良さを実現している。細かい話だが、60Wタイプでは5Wと、LED電球では一般的な6Wよりも低い結果が得られたため、電力使用量をわずかでも抑えたい人には向くだろう。

【白熱電球:60W 56W】【エコルクス:60W 5W】
【白熱電球:40W 38W】【エコルクス:40W 3W】

【60Wタイプ:省エネ性能比較】
製品名白熱電球
(三菱オスラム)
ECOLUX
60Wタイプ
品番LW100V57W2PZ
(2個パック)
LED-6L261
定格寿命1,000時間40,000時間
1日8時間使用した場合の寿命125日
(約4カ月)
5,000日
(約13年8カ月)
1年間で必要な電球個数
(365日 x 8時間÷定格寿命)
2.92個0.073個
電球一個の値段71.5円3,780円
実測消費電力56W5W
1日の電気代9.8 円0.8円
1年間の電気代の目安3,577 円292円
1年間の電球代の目安209 円276円
1年間の維持費
(1年間の電球代+電気代)
3,786 円568円


【40Wタイプ:省エネ性能比較】
製品名白熱電球
(三菱オスラム)
ECOLUX
40Wタイプ
品番LW100V38WW2PZ
(2個パック)
LED-4L261
定格寿命1,000時間40,000時間
1日8時間使用した場合の寿命125日
(約4カ月)
5,000日
(約13年8カ月)
1年間で必要な電球個数
(365日 x 8時間÷定格寿命)
2.92個0.073個
電球一個の値段71.5円3,480円
実測消費電力38W3W
1日の電気代6.6円0.5円
1年間の電気代の目安2,409円182.5円
1年間の電球代の目安209円254円
1年間の維持費
(1年間の電球代+電気代)
2,618円437円

※消費電力はワットチェッカーで測定


 一番気になったのが、他製品と比べると明らかに暗く感じられる点。実際に照度を計測しても、いずれも白熱電球の60/40Wよりも半分を下回る結果となった。ソケット方向にも光があまり回らないため、壁面への明かりの反射も少ない。白熱電球の置き換え用途では不安に感じる。



【実使用編】

 それでは、実際の家庭でどのように映るのかを見てみよう。なお、密閉型器具での使用は推奨されていないため、風呂場、密閉型のインテリアライトの使用シーンは掲載しない。

玄関


 60Wタイプでも十分な明るさを感じない上、靴箱の上に置いたグリーンの色がくすんで見えてしまうのが気に掛かる。40Wタイプはさらに暗く、人を迎え入れる空間には向かない。

【白熱電球:60W】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【エコルクス:60W】
白熱電球に比べると、かなり暗い印象になってしまう
【白熱電球:40W】
玄関としてはもうすこし明るさが欲しい印象
【エコルクス:40W】
かなり暗く玄関には適さない明るさになってしまった

トイレ


 60Wタイプなら、トイレのような狭い空間での使用であれば実用的な明るさは十分得られる。ただし、やはり光色にクセがあり、清潔感のある色味には映らない。

【白熱電球:60W】
明るく気持ちよく過ごせる
【エコルクス:60W】
狭い空間なので、壁面の反射からぎりぎり明るさが確保できている印象
【白熱電球:40W】
少し暗いが狭い空間なので、まだまだ十分に明るく感じる
【エコルクス:40W】
かなり暗く、あまり実用的とは言えない

リビングルーム(全体照明)


 ヒートシンク部が大きいものの、器具全体が光っており、器具の見え方自体は白熱電球とは大きく変わらない。しかし、部屋が全体にくすんで見えてしまうため落ち着かない。また、上部が開いた器具でも天井面にあまり光りが届かず、器具の特徴が活かせない。というわけで、全体照明としてはあまりおすすめできない。

【白熱電球:60W×2 透過タイプのセード】
光が部屋全体に行き渡り十分な明るさが得られている
【エコルクス:60W×2 透過タイプのセード】
まずまずの明るさは得られるものの、全体的にくすんだ印象となってしまう
【白熱電球:60W×2 非透過タイプのセード】
十分な明るさが得られ、コントラストのある空間になっている
【エコルクス:60W×2 非透過タイプのセード】
シェードは上部が開いているが、LED電球のヒートシンクが大きいため、天井面に光がほとんど届いていない。そのため、部屋の上下で明るさが大きく異なる

リビングルーム(間接照明)


 光色のクセはそれほど気にならず、特に問題なく使用できるように感じられた。間接光の場合、特定の作業のための明かりではないことが大きいだろう。

【白熱電球:60W】
テレビの画面の明るさと同じぐらい明るく、間接照明としては少し明るすぎかもしれない
【エコルクス:60W】
多少色味にクセはあるものの、まずまずの結果が得られた
【白熱電球:40W】
テレビの画面の明るさに合った、ちょうど良い明るさだ
【エコルクス:40W】
かなり暗い印象になるが、間接光としてならばこういう使い方もアリだろう

食事の風景

 食卓全体がくすんで見える。食事のシーンの明かりとしては正直に言ってお薦めできない結果となってしまった。

【白熱電球:60W】
皿の白、卵の白身の差がはっきり感じ取れる。野菜は色鮮やか。パン、ハムは新鮮で食欲をそそる色味。コーヒーの濃い色も透明感がある。色の分離性が良く、全体的においしそうに見える
【エコルクス:60W】
撮影時に明るさを補正しているため、実際はこの写真よりも暗め。そのうえ、食べ物全てが黄色っぽい色被りを起こしており、食事がまったくおいしそうに見えなかった。食事のシーンには適さないだろう



やや暗めなので間接光や防犯灯などにお勧め


 全体的には暗く、演色性が低いので、かなりくすんだ印象になってしまうのはとても残念だ。複数個を同時に使用するのであれば、その暗さとくすんだ印象はやや和らぐ傾向にはあるのだが……。

 その点を考慮すると、もともと明るさがそれほど求められない間接照明や、アクセント照明には向く。一晩中点けっぱなしにしたほうが効果的な、防犯灯、屋外灯などにはとても有用だろう。



2009年11月27日 00:00