LED電球、どれを買う?

西友「オームLED電球 LDA6L-H31」

~970円のLED電球は、電球型蛍光灯との交換にもオススメ
by 藤原 大蔵

全国チェーンのスーパー大手「西友」が販売する970円のLED電球。でもちゃんと使える?

西友が970円という格安の値段で販売する、オーム電機の「オームLED電球 LDA6L-H31」。電球色タイプの全光束は325lm。昼白色タイプも販売される

 先週、全国規模で展開するーパー「イトーヨーカドー」やコンビニエンスストア「セブンイレブン」で購入できる1,280円のLED電球「セブンプレミアムLED電球」を紹介したが、このように小売店が主導となり、購入しやすい価格のLED電球を販売する例は少なくない。

 今回紹介する、オーム電機の「オームLED電球 LDA6L-H31」もその1つだ。こちらを販売するのは、イトーヨーカドーと同様、全国に展開するスーパー「西友」。その販売価格は、970円。これまでレビューしたLED電球の中でも、一番安い。

 このオームLED電球は、西友がLED電球のさらなる普及と、今冬の節電を応援すべく、積極的に価格を見直したものだ。最近はLED電球の価格が安くなってきているとはいえ、それでも国内大手メーカーの製品となると、価格は2,000円前後が主流。しかし本製品なら、その半分程度の価格で購入できる。それだけでも十分に魅力的だ。しかも、家電量販店へわざわざ出向かずに、食材や日用品と一緒に手にとって購入できる気軽さもある。

 電球色タイプの明るさは全光束325lm(ルーメン)。日本電球工業会の基準では「30W形白熱電球相当」となる。セブンプレミアムLED電球と比べると、スペック上の明るさは低いが、果たしてどうなのだろうか。

 今回は、低価格化が進むLED電球の中でも特に求めやすい価格設定の、このLED電球を紹介しよう。


販売店舗西友
メーカー名オーム電機
製品名オームLED電球
品番LDA6L-H31
全光束325lm
定格消費電力6W
口金E26
光色電球色
色温度-
白熱電球と比較した明るさ
(JELMA基準・ランプ単体)
30W形相当
定格寿命40,000時間
調光器対応-
密閉器具対応-
サイズ(高さ×直径)108×59mm
重量104g
購入価格970円
(西友にて購入)
※60W形白熱電球は三菱電機オスラムの 「LW100V57W2PZ」(2個パック143円で購入)を使用 
※※40W形白熱電球は三菱電機オスラムの 「LW100V38W2PZ」(2個パック143円で購入)を使用
電球形蛍光灯は、2008 年の特集で 総合的に性能の高かった 
パナソニックの 「パルックボール プレミアQ(クイック)」(1,390円で購入)を使用


【基本スペック編】

サイズ比較

 サイズは実測で108×59mm(高さ×直径)。口金に向かってくびれのある、電球らしいフォルムだ。LEDを覆うグローブは半透明の樹脂製で、透明感も白熱電球によく似ている。

 放熱部は白色に塗装された凹凸のあるヒートシンクタイプで、グローブとの境目にゴールドのリム(円環)が施されている。このデザインは好みが分かれそうだが、LED電球全体の中でも背が低い部類に入るので、器具と合えば、さほど目立つものではないだろう。

 重量は実測で104gと、LED電球全体ではやや重めの部類に入る。白熱電球と比べても重いが、1~2個の電球を取り付ける器具ならそこまで心配する重さではない。

高さは108mm(中央)で、白熱電球(左)より14mm背が高い。白色に塗装された放熱部が凹凸しているが、くびれもあり、全体的なフォルムは電球らしい。口金付近の直径は30mmで、白熱電球よりも細い。重量は104gで、LED電球全体の中ではやや重たい部類に入る直径は59mm(中央)。樹脂製のグローブには透明感があり、先端にはロゴも。電球らしい雰囲気だ。内部のLEDチップはほとんど見えない

器具に取り付けたようす

 器具とのバランスは良い。白熱電球に近い表情のグローブに先端のロゴが電球らしく、大き目の白熱電球を取り付けた印象だ。若干ゴールドのリムが見えるものの、ほとんど気にならない程度に収まった。

【白熱電球:60・40W形】
電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影した
【電球形蛍光灯】
電球の直径は白熱電球と同じだが、背が高いため、内側のらせん状の蛍光管が透けて見える
【西友・オームLED電球】
大き目の白熱電球を取り付けた印象。ゴールドのリムが多少見えるが、ほとんど気にならない程度だ

光の広がりかたと配光性

 光の広がりは、光源部を中心にほぼ球形に拡散するものの、ソケット方向や横方向へ強い直接光は届かない。一般的なLED電球に見られるような、直線的な光を放っている印象だ。一方で、真上や斜め上へは遠くまで光が届いている印象だ。

【白熱電球:60・40W形】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている
【電球形蛍光灯】
白熱電球と同じようにソケット付近も光が届く。しかし遠くまでは届かない印象だ
【西友・オームLED電球】
光はほぼ球形に拡散するが、ソケット方向や横方向へはあまり光が届かない。LED電球では一般的な直下の明るさに強いタイプで、光が遠くまで届く

 拡散性ではこのようにLED電球特有のクセが出るだけに、電気スタンド型の器具にはしっくりこない。光はシェード(傘)の上方に偏ってしまい、そこから漏れる光も上下によって明るさの差がついてしまう。白熱電球や蛍光灯のような配光性はさほど期待できないので、このような使い方はあまりお勧めしにくい。

【白熱電球:60W形】
シェードは中心からまんべんなく光り、シェードの上下からほぼ同じ明るさの光が漏れている
【電球形蛍光灯】
白熱電球と遜色なく、シェードのほぼ中心からまんべんなく光る。シェードの上下からもほぼ同じ明るさの光が漏れる
【西友・オームLED電球】
器具のシェードは半分ほど明るくなり、ムラができてしまう。器具の上方向に光が集中し、下方向へはあまり届いていない。このような器具との相性は良くない

明るさ(55cm直下の照度)

 直下照度は365lxだった。数値的には40W形白熱電球よりも大幅に低い数値になるものの、見た目の印象は、白熱電球よりも極端に暗くなるわけでもなかった。全光束値から、「30W形白熱電球相当」の明るさ、というのは妥当といったところだろう。

【白熱電球:60W形 800lx】
光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した
【白熱電球:40W形 467lx】
【電球形蛍光灯: 475lx】【西友・オームLED電球: 365lx】
全光束値の「30W形白熱電球相当」の明るさは妥当だろう。直下照度は40W形白熱電球よりも数値的には低いが、肉眼では差はさほど感じられなかった


 全光束値が低いだけに、飛びぬけた明るさは得られない。しかし、485lm以下のLED電球全体では中ぐらいの明るさで、サイズもコンパクトだ。価格以上の実力は十分に感じられるポテンシャルが感じられた。



【実使用編】

 ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探って行く。なお、密閉器具には対応していないので、浴室や密閉型のインテリアライトには使用していない。


玄関

 40W形白熱電球との交換であれば、さほど印象が変わらない明るさが得られた。白熱電球とは異なるが、温かみのある光色は自然な色合いを演出し、玄関のあかりとして十分な実用性が感じられた。電球を覆わないタイプの器具に取り付けるなら、取り替えてもさほど不満を感じないだろう。

【白熱電球:60W形】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【白熱電球:40W形】
玄関としては、もうすこし明るさが欲しいか
【電球形蛍光灯】
比較すると色が不自然に感じる。また、点灯して明るさが安定するまで時間がかかる
【西友・オームLED電球】
明るさの印象は40W形白熱電球とあまり変わらない。光色は電球らしく、照らされた物の色合いも自然だ。問題なく使えるだろう

トイレ

 トイレも、40W形白熱電球と取り替えなら印象は悪くなかった。暑苦しくない光色は狭い空間にも合い、明るさも清潔感も十分に感じられた。

 なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。

【白熱電球:60W形】
明るく気持ちよく過ごせる
【白熱電球:40W形】
少し暗いが、狭い空間なのでまだまだ十分に明るく感じる
【西友・オームLED電球】
実用的な明るさは十分に感じられた。40W形白熱電球よりも若干暗くなるが、比較しなければほとんど気にならない程度

リビングルーム

 透過タイプの器具と合わせた場合、60W形白熱電球から取り替えるとかなり暗い印象になってしまうのは避けられない。部屋全体の明るさは落ちてしまう。

 逆に、明るさを意図的に抑えたいのであれば、このLED電球に取り替えるのもアリだろう。他の照明器具を組み合わせた使い方にも向いている。テーブル面の明るさも、電球形蛍光灯並みに確保できる

【白熱電球:60W形×2 透過タイプのシェード】
光が部屋全体に行き渡り、十分な明るさがある
【電球形蛍光灯×2 透過タイプのシェード】
白熱電球のように上方向・側面へも光が広がる。しかし、テーブルはLED電球よりも暗い印象で、色被りによりくすんで見える
【西友・オームLED電球×2 透過タイプのシェード】
部屋全体は60W形白熱電球から取り替えるとかなり物足りない。しかし、テーブル面の明るさは電球形蛍光灯とさほど変わらない。意図的に明るさを抑える使い方や、別の照明器具と組み合わせるのはアリだろう

 一方、非透過タイプでは、雰囲気が良かった。全体的な明るさは抑え気味になるものの、テーブル面や棚へは実用的な明るさが感じられ、明るさのコントラストが小気味良い。光色は自然な温かみが感じられ、落ち着いた雰囲気はリビングルームに似合っている。もちろん、アクセント照明などと組み合わせることもお勧めだ。

【白熱電球:60W形×2 非透過タイプのシェード】
十分な明るさが得られ、コントラストのある空間になっている
【電球形蛍光灯×2 非透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部へも光が広がるが、透過タイプと同様、色がいまひとつ
【西友・オームLED電球×2 非透過タイプのシェード】
暗くはなるが、落ち着いた雰囲気は逆に好印象。多少暗くても部屋全体の明るさのバランスが良く、光色もくつろぎの空間に似合っている。テーブル面の明るさも、蛍光灯と変わらない

食事の風景

 演色性は良好だ。食べ物は全てが新鮮かつおいしそうに映り、LED電球にありがちな不自然な色の偏りがほとんど感じられなかった。食べ物のほか、食器の材質による微妙な白さの違い、テーブルの木肌の色合いも自然で、食事のシーンのあかりとして演色性を満たしていると感じられた。器具が食卓に近ければ、明るさも十分に得られるだろう。

【白熱電球:60W形】
食事は全体的においしそうに見える。ただし赤みが強いため、モスグリーンのランチョンマットが茶色に見える
【電球形蛍光灯】
色味のバランスが崩れてしまい、食卓全体がくすんだ印象になってしまう。特に、ハムの色が気になる
【西友・オームLED電球】
演色性は良好で、食事のシーンにも十分に活用できる。食べ物は全体的に自然な色合いでおいしそうに見える。微妙な色合いも十分に再現されている


さすが970円! 消費購入費はあっという間に回収できる!

 970円という価格の安さもあって、従来光源と取り替えてすぐに電球代が回収できるのが特徴だ。

 本製品の消費電力は実測値で5W。消費電力が37Wの40W形白熱電球と交換すれば、極端に明るさを落とさずに1/7以上の節電ができる。このため、電球代はたった7カ月で元が取れてしまう。この初期投資回収までの期間の短さは、LED電球全体の中でも上位となる。

 また、明るさは落ちてしまうのを承知の上で60W形白熱電球と取り替えた場合は、回収期間はもっと短くなる。電気代で1/11以上の節電ができるため、5カ月で元が取れてしまう。節電と割り切り、明るさを抑えて問題ない場所で利用する価値は、十分にあるだろう。

 お勧めしたいのが、電球形蛍光灯との交換だ。購入費が電球形蛍光灯よりも安く、しかも消費電力は半分程度というのが主な理由だ。広い部屋全体を煌々と照らせる明るさは無いが、演色性、長寿命、点滅に因る劣化の心配が無く、点灯した瞬間から明るい……など、電球形蛍光灯には望めないメリットを多く備えているので、蛍光灯が寿命を迎えた際には、蛍光灯ではなく本製品に取り替えるのも十分にアリだろう。

【西友「オームLED電球 LDA6L-H31」】
従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算
光源実測
消費
電力
1カ月3カ月5カ月7カ月9カ月1年2年4年
西友・オーム
LED電球
5W1,307円1,360円1,414円1,467円1,521円1,601円1,922円2,565円
白熱電球
60W形
54W370円966円1,633円2,230円2,897円3,792円7,583円15,166円
白熱電球
40W形
37W269円665円1,132円1,527円1,994円2,587円5,174円10,348円
電球型
蛍光灯
60W形
10W1,445円1,554円1,664円1,773円1,883円2,047円2,704円4,018円
※表中の金額は、電球代と電気代をプラスした「維持費」  ※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球には、4カ月ごと、電球形蛍光灯は2年9カ月ごと電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算

【白熱電球:60W形】
消費電力は56W。消費電力1Wあたりの発光効率は14.46lm/Wになる
【白熱電球:40W形】
消費電力37W。発光効率は13.1lm/W
【電球形蛍光灯】
消費電力10W。発光効率は75lm/W
【西友・オームLED電球】
消費電力5Wで、発光効率は65lm/Wだ。電球代が安いうえに消費電力は蛍光灯の約半分。電球代はすぐに元がとれる


狭い空間の明かりに十分な実力。白熱電球はもちろん電球型蛍光灯との交換にもお勧め

 970円という圧倒的な低価格から、性能の悪さを懸念している人もいるかもしれないが、決してそんなことはない。明るさは全光束値に見合っており、40W形白熱電球や60W形電球形蛍光灯からの取り替えに、現実的な実力を備えている。特に、照らされる物が自然な色合いに見える演色性については、高く評価したい。

 消費電力もLED電球全体の中でも低く、取り替えて半年前後に電球代の元が取れるのも魅力的だ。夏にひき続き、今冬も一般家庭における節電が求められていることから、たとえ長時間点灯しない場所でも、消費電力の低いLED電球に取り替えるのは少なからず効果があるはずだ。

 お勧めの取り付け場所は、食卓の真上に取り付けるペンダントライトなどの局部照明だ。玄関やトイレ、廊下など、家の中の比較的狭い空間にも良いだろう。ちなみに、AMラジオの側で本製品を点灯しても、受信障害を受けることもなかった。

 日々の暮らしに身近なスーパーで安価で手に入り、相応の実力も備えているのは、やはり魅力的。「ウチは白熱電球を使う場所が少ないし、さほど長時間点灯しないから」と、取り替えを見送っている方も、ぜひ試してほしい。もはやLED電球は特別なものではなく、気軽に購入できる身近な商品に変わりつつあるようだ。

 なお、原稿執筆時点では、西友のネットスーパーでは取り扱っていないようだ。購入を検討されている方は、お近くの西友でお求めいただきたい。


西友「オームLED電球325lm」はこんなLED電球

・40W形白熱電球、60W形電球形蛍光灯との交換に

・光色は自然な電球色で演色性は良好。食事のシーンにもOK

・元を取るまでの期間は短い。40W形白熱電球なら7カ月、電球型蛍光灯との交換にもお勧め
(1日8時間使用)

 ・まだLED電球を使っていない人のエントリーモデルとしてオススメ






2011年11月21日 00:00