【特別企画】

ケンコー「LED電球 KDL5FW26(電球色)」

~自然な色合いを実感。演色性の高いLED電球
by 藤原 大蔵

高い演色性、白熱電球らしい光と色合いのLED電球

ケンコー「LED電球 KDL5FW26 (電球色)」。全光束は440lm

 明るさ・配光性と並んで、照明に求められる質が「演色性」だ。照明によって照らされたモノが、本来持っている色に近いほど「演色性が良い」、逆に色が違うほど「演色性が低い」ということになる。

 演色性の良し悪しは、「平均演色評価数(Ra)」という単位で表され、数値が「100」に近いほど演色性が高くなる。例えば白熱電球ならこの数値が「Ra100」と高いが、LED電球の場合は「Ra75~80」ぐらいのものがほとんど。中にはその値を明記していないものもあったりする。

 しかし、今回取り上げるケンコーのLED電球「KDL5FW26 (電球色)」は、平均演色評価数が「Ra85」と、非常に高い。この値はLED電球の中では間違いなくトップクラスとなる。ケンコーは写真・映像用品、光学製品を製造・販売する、デジカメ業界で有名なメーカー。写真のデキは光源の質によって大きく左右されるが、色にこだわったのは写真メーカーならではかもしれない。


メーカー名ケンコー
品番  KDL5FW26  
定格消費電力6.5W
口金E26
光色電球色相当
色温度3,000K
平均演色評価数Ra85
全光束440lm
白熱電球と比較した明るさ
(JELMA基準・ランプ単体)
30W形相当
定格寿命40,000時間
調光器対応-
密閉器具対応-
サイズ(高さ×直径)115×61mm
重量150g
購入価格
(Amazon.co.jp 4/8時点)
2,960円

 今日はこの、演色性が高いケンコーのLED電球について紹介しよう。全光束は440lm。業界団体の「日本電球工業会(JELMA)」に準じると、白熱電球と比較した明るさは30W形相当ということになる。

 ちなみに、LED電球の要となるLEDチップは、青色LEDや白色LEDなどの開発で知られる日亜化学工業製で、業務用照明を扱うスタンレー電機でアセンブリ(組み立て)されたものを使用しているという。日亜化学工業とスタンレー電機はJELMAの会員となっている。

 なお、本製品には特にシリーズ名がないので、本文中では「ケンコー」と記す。

※60W形白熱電球は三菱電機オスラムの 「LW100V57W2PZ」(2個パック143円で購入)を使用
100W形白熱電球は日立の15%省電力タイプのソフトシリカ「LW100V85W」(1個パック105円で購入)を使用
※※
電球形蛍光灯は、2008 年の特集で 総合的に性能の高かった
パナソニックの 「パルックボール プレミアQ(クイック)」(1,390円で購入)を使用



【基本スペック編】

 

サイズ比較

 サイズは実測で115×61mm(高さ×直径)と、LED電球の中では平均的な大きさだ。放熱部のヒートシンクは白色でくびれがあり、また樹脂製の半透明のドーム型カバーが大きいこともあって、電球らしい姿に映る。ただし、口金付近の直径は38.5mmと、白熱電球(32mm)よりも太い。取り付ける器具のソケットまわりを確認する必要があるだろう。

 重量は150gと、軽量化が進むLED電球の中では重め。ただ、これまでもさらに重いLED電球を試してきたが、器具が傾いたりするようことは無かったので、これなら家庭用器具に取り付けられる範囲内と言える。

高さは115mm(中央)と、60W形白熱電球(左)より2cmほど背が高い。放熱部にくびれがあり、白色のヒートシンクは溝も浅くゴツゴツ感は無いが、口金付近の直径は38.5mmと、白熱電球(32mm)よりも6mmほど太いため、取り付ける器具の確認が必要だ。重量は150gとLEDの中では重め直径は61mm(中央)で、白熱電球や電球形蛍光灯よりも大ぶりな印象になる。光源部は樹脂製で透明度が高いが、LEDチップはほとんど透けて見えない


器具に取り付けたようす

 器具に取り付けたところ、全体的には電球らしい、自然な印象だった。大きめなので、放熱部とカバーのつなぎ目は見えてしまいやすいが、白色なのでほとんど気にならない。その先にある放熱部も、器具をかなり覗き込まないと見えてこない。樹脂製のカバーは透明感が高めだが、LEDチップが透けて見えることもない。

【白熱電球:60W形】
電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影した
【電球形蛍光灯】
電球の直径は白熱電球と同じだが、背が高いため、内側のらせん状の蛍光管が透けて見える
【ケンコー】
全体的には電球らしい、自然な印象だ。樹脂製の光源部とヒートシンクの白色のつなぎ目はどうしても見えてしまうが、放熱部はかなり覗き込まないと見えない

光の広がりかたと配光性

 壁面のそばで電球を上向きにセットし、どのように光が壁面に広がるかを見てみた。光は光源部を中心にほぼ球形に拡散しているものの、ソケット方向や横方向へは光が強く届かない。一方で、電球の上方については、遠くまで光が届いている印象である。

【白熱電球:60・40W形】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている
【電球形蛍光灯】
白熱電球と同じようにソケット付近も光が届く。しかし遠くまでは光が届かない印象だ
【ケンコー】
ほぼ球形に光は拡散しているが、電球の横方向、ソケット付近への光の回り込みは弱い。遠くまで光が届いているのはLED電球らしい

 電気スタンド型の器具に取り付けたところ、光は器具のシェードの上方に偏った。シェードから漏れる上下の光は明るさが異なり、シェードにも明るさのムラが現われる。器具の真下へも、光は届きにくい。

 ただし、樹脂カバーが大きいためか、横方向へはシェードを通してある程度光が届いている。読書灯として使うには力不足かもしれないが、インテリアライトとしてなら使えそうだ。

【白熱電球:60W形】
シェードは中心からまんべんなく光り、シェードの上下からほぼ同じ明るさの光が漏れている
【電球形蛍光灯】
白熱電球と遜色なく、シェードのほぼ中心からまんべんなく光る。シェードの上下からもほぼ同じ明るさの光が漏れる
【ケンコー】
下半分はあまり明るくならずムラができてしまう。しかし、横方向へもある程度光が届くので、インテリアライトとしてなら悪くないかもしれない

明るさ(55cm直下の照度)

 光源から55cm直下の照度は514lxと、40W形白熱電球や電球形蛍光灯よりも確実に明るい。日本電球工業会の基準に合わせれば、全光束は白熱電球30W形相当であることを考えれば、この結果は健闘しているだろう。

 60W形白熱電球と比べると、やや暗めではあるものの、ひどく暗いというほどではない。特に、机上や壁面への光の広がり方が電球らしく、好印象だ。

【白熱電球:60W形】
光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した
【白熱電球:40W形 467lx】
【電球形蛍光灯: 475lx】【ケンコー:514lx】
40W形白熱電球よりも確実に明るかった。60W形白熱電球と比較しても、ひどく暗い印象にはならない

 JELMA基準では白熱電球30W形相当の明るさではあるが、実際には40W形白熱電球よりも明るく、60W形白熱電球と比べてもそこまで暗くはならなかった。拡散性はボチボチといったところだが、器具との相性は良かった。

 色についてはこれから詳しく見ていくが、点灯した時の光色や色の見え方は、白熱電球にとても近く、自然な印象を受けた。実使用シーンでも期待が持てそうだ。


【実使用編】

 ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探って行く。なお、密閉型器具に対応していないので、浴室や密閉型のインテリアライトでは使用しなかった。

玄関

 玄関との相性は良かった。全光束は40W形白熱電球相当ではあるが、実使用での明るさは、60W形白熱電球と40W形白熱電球の中間ぐらいの印象といったところ。それでも、空間全体に光が良く届き、十分に明るいと感じられた。影の落ち方も穏やかで、光色がとても自然。白熱電球の印象のまま、スッキリと落ち着いた印象の玄関が演出できるだろう。

【白熱電球:60W形】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【白熱電球:40W形】
玄関としては、もうすこし明るさが欲しいか
【電球形蛍光灯】
比較すると色が不自然に感じる。また、点灯して明るさが安定するまで時間がかかる
【ケンコー】
60W形白熱電球と並べて比較すれば暗く感じるが、肉眼では十分な明るさを感じた。光色も電球らしい自然な印象だ

トイレ

 トイレのような狭い空間での使用は、光色、明るさともにまったく申し分ない。電球らしい自然な光色でありながら、暑苦しさが抑えられ、とても快適だ。40W形白熱電球よりも明るく強い影も落ちないので、居心地の良い清潔感のあるトイレになった。

 なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。

【白熱電球:60W形】
明るく気持ちよく過ごせる
【白熱電球:40W形】
少し暗いが、狭い空間なのでまだまだ十分に明るく感じる
【ケンコー】
明るさは申し分なく、光色も清潔感がある。暑苦しくならず快適に過ごせるだろう

リビングルーム

 透過タイプの器具の場合は、少々物足りない印象になってしまった。もともとそこまで明るいLED電球ではないため、器具を透過した光も壁面まで強く届いてくれない。

 しかし、直接光が届いているテーブルや棚は電球形蛍光灯よりも明るかった。また、光色は電球に近く自然な色合いは。印象は電球形蛍光灯よりもとても良かった。明るさよりも色を重視したいなら、アリだろう。

【白熱電球:60W形×2 透過タイプのシェード】
光が部屋全体に行き渡り、十分な明るさがある
【電球形蛍光灯×2 透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部、側面へも光が広がる。しかし、テーブルはLED電球よりも暗い印象で、色被り(余計な色が加わること)によりくすんで見える
【ケンコー×2 透過タイプのシェード】
部屋全体の明るさとしては物足りない印象だ。机上面は十分に明るいが、シェードを通した明るさが、壁面に届かない。ただ、自然な電球色で暑苦しさがないのは良かった

 非透過タイプの器具との相性はとても良かった。室内の明暗のコントラストがスッキリと整理され、落ち着いた雰囲気が演出できる。テーブル付近の明るさも十分だ。インテリアライトなどの部分照明と組み合わせれば、より印象的なリビングルームが演出できるだろう。

【白熱電球:60W形×2 非透過タイプのシェード】
十分な明るさが得られ、コントラストのある空間になっている
【電球形蛍光灯×2 非透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部へも光が広がるが、透過タイプと同様、色がいまひとつ
【ケンコー×2 非透過タイプのシェード】
相性はとても良い。明るさのコントラストがバランス良くスッキリとし、落ち着いた雰囲気が演出できる。テーブル面も十分に明るかった

食事の風景

 色味が重要な食事のシーンには、特にお勧めしたい。食べ物全てが新鮮でおいしそうに見え、食欲を大いにそそる。また、食器の質感による色の違いや、白熱電球の下では茶色に見えてしまうモスグリーンのランチョンマットの色も、イメージどおりに再現されている。その上、LED電球特有の「人工的な電球色」にならず、食卓全体が白熱電球のような、華やかで自然な光色に包まれる。食卓に近めの器具に取り付ければ、明るさについても問題ない。

 結論を言えば、白熱電球から取り替えても全く違和感が無いだろう。

【白熱電球:60W形】
食事は全体的においしそうに見える。ただし赤みが強いため、モスグリーンのランチョンマットが茶色に見える
【電球形蛍光灯】
色味のバランスが崩れてしまい、食卓全体がくすんだ印象になってしまう。特に、ハムの色が気になる
【ケンコー】
食卓にふさわしいLED電球だ。食べ物全てがおいしそうで新鮮に見え、食欲をそそる。色被りによるくすみが全く感じられず、透明感のある自然な電球色だ。微妙な色合いや質感も再現されている


消費電力はたった5W。60W形白熱電球との交換なら11カ月で元がとれる

 ケンコーの消費電力は5Wだった(実測値)。明るさは落ちてしまうが、60W形白熱電球(消費電力は56W)と交換すれば1/11以上も節電できる。40W形白熱電球(37W)と交換でも、1/7以上と大きな節電効果が期待できる。

 電球代と電気代込みでいつ元が取れるかを試算した場合、60W形白熱電球からなら11カ月、40W形白熱電球からなら1年4カ月以内だった。この試算結果は、LED電球の中でも比較的早く元が取れるほうだ。消費電力が低めな点、電球の初期購入費が3,000円以下と安めなことが影響しているだろう。

 60W形白熱電球から取り替えた場合だと、明るさは多少我慢しなければならない。しかし、良い光色、演色性は他にはないので、快適さを損なわない範囲内で明るさを見直せば、大きな節電効果になるだろう。

【白熱電球:60W形】
消費電力は56W。消費電力1Wあたりの発光効率は、14.46lm/Wになる
【白熱電球:40W形】
消費電力37W。発光効率は、13.1lm/W
【電球形蛍光灯】
消費電力10W。発光効率は75lm/W
【ケンコー】
消費電力5W。発光効率は88lm/Wと高い

 電球形蛍光灯と比較した場合、元が取れるまでに4年6カ月とLED電球の中では比較的早い。これはちょうど2つめの電球形蛍光灯に替える時に逆転する。現在電球形蛍光灯で満足しているのであれば、急いで替える必要はないかもしれない。しかし、消費電力はその半分近くになるので、節電効果はすぐに現われるだろう。

【ケンコー KDL5FW26】
従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算
光源消費電力1カ月3カ月半年
(6カ月)
11カ月1年1年
4カ月
2年4年4年
6カ月
ケンコーLED5W2,987円3,040円3,121円3,254円3,281円3,388円3,602円4,245円4,405円
白熱電球60W形54W370円966円1,932円3,493円3,792円5,055円7,583円15,166円17,098円
白熱電球40W形37W269円665円1,329円2,389円2,587円3,449円5,174円10,348円11,677円
電球型蛍光灯10W1,445円1,554円1,719円1,992円2,047円2,266円2,704円4,018円5,737円
※表中の金額は、電球代と電気代をプラスした「維持費」  ※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球には、4カ月ごと、電球形蛍光灯は2年9カ月ごと電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算


高い演色性が魅力的なLED電球は、食卓にぴったり

 なんと言っても、演色性の高さが素晴らしい。食卓のシーンでは、すべての食べ物が新鮮でおいしそうに見え、白熱電球とほとんど変わらない自然な電球色だった。食卓のあかりとしては、これまで数々のLED電球を試したが、イチオシでお勧めしたい。煌々とした明るさは望めないが、ここまで自然な光色のLED電球はまだまだ少なく、選ぶ価値は十分にある。

 食卓以外にも、自然な光色と高い演色性は、多くの生活シーンで活用できるだろう。玄関や洗面所、トイレなどの少し狭い空間ならば、暑苦しさを抑えた自然な電球色の光で、一灯でも十分な明るさが感じられた。多灯タイプや複数の器具との併用ならば、広いリビングでも心地良いあかりが演出できるだろう。逆に言えば、一灯で部屋全体を使うような用法は避けておくのが無難だ。

 もちろん、低消費電力、40,000時間の長寿命というLED電球ならではの特徴もある。特に消費電力は、消費電力1Wあたりの発光効率はどちらも88lm/Wと、白熱電球とはまるで比べ物にならないほど効率が良い。またノイズの不安もないようで、点灯時に「ジー」などの異音はせず、AMラジオのそばで使用しても音が乱れるなどの影響は全く無かった。

 ケンコーのLED電球に取り替えれば、照明で重要な高い演色性を得ながら、同時に高い節電効果が期待できる。人工的な雰囲気にならずに、生活にスッと馴染むLED電球としてぜひお勧めしたい。


ケンコー「LED電球 KDL5FW26 (電球色)」はこんなLED電球

・非常に高い演色性。食卓など色が重要なシーンには断然オススメ

・若干暗めだが、暑苦しさを抑えた自然な電球色は生活シーンに馴染みやすい

・60W形白熱電球と交換なら11カ月、40W形なら1年4カ月で元が取れる(1日8時間使用)







2011年4月25日 00:00