家電製品ミニレビュー

PM0.1まで取り除く高性能扇風機「Dyson Pure Cool」

空気清浄機能は+α

ダイソン「Dyson Pure Cool(ダイソン ピュア クール)」

 今回紹介するのは、空気清浄機能を新たに搭載したという扇風機「Dyson Pure Cool(ダイソン ピュア クール)」だ。独自開発したという360°グラスHEPAフィルターを採用しており、最近話題のPM2.5よりも遙かに小さいというPM0.1レベルの微細物質まで除去できるという。

メーカー名ダイソン
製品名Dyson Pure Cool
購入場所Amazon.co.jp
購入価格65,000円

 結論から言ってしまうと、この製品はあくまでファン(=扇風機)であり、空気清浄機ではない。ファン+αとして空気清浄機能を搭載したという印象だ。一般的な空気清浄機に比べると清浄スピードも、空気を吸い込み、送り出す力も弱い。ただし、フィルターの性能は確かで、微細なゴミもしっかり取れている印象だ。

 Dyson Pure Coolは、“羽根のない扇風機”として知られるエアーマルチプライアー技術を採用しており、土台部分から吸い込んだ空気を上部から送り出す。その際、円形開口部を通過させることで空気を加速、周囲の空気を巻き込み、増幅させることで、強い風量を生み出す。

 本体は、エアマルチプライアーの「AM07 リビングファン」のデザインを踏襲しており、見た目だけではほとんど違いがわからないくらいだ。

 一番の違いは、土台部分に配置された360°グラスHEPAフィルターだ。フィルターは、空気を通すことで、空気中に含まれる微細な物質を取り除くものだが、様々な種類がある。たとえば、空気清浄機などでよく採用されているHEPAフィルターは、0.3μmのホコリを99.97%捕塵する。

モーター部分を取り囲むようにして配置されている360°グラスHEPAフィルター
独自に開発したフィルターでPM0.1の超微細な物質まで除去するという

 中国の大気汚染問題などで注目が集まったPM2.5などは粒子径が2.5μm以下のものだが、HEPAフィルターで取り除くことができる。

フィルターは定期的な交換が必要。フィルター寿命は、1日12時間使った場合で約1年ほど。時期がきたらサインが表示される

 ダイソンが注目したのは、更に小さなPM0.1という物質だ。粒子径が0.1μm以下の非常に小さな粒子で、体内に入ると深刻な影響を及ぼす可能性があるという。360°グラスHEPAフィルターでは、PM0.1を除去できるフィルターを自社で開発。1.1平方mのマイクログラスファイバーを254回折った高密度のフィルターで、360°から空気を吸い込むことができる筒状になっている。

 フィルターはモーターを取り囲むような筒状で、外側まで一体になっている。フィルター寿命は、1日12時間使った場合で約1年ほど。

 本体の組み立ては簡単。フィルターを土台にセットし、開口部をセットするだけで終わりだ。本体サイズは196×1,018mm(直径×高さ)。

 一般的な扇風機に比べて、組み立てもずっと簡単で、設置スペースは直径20cm以内。風量は10段階で調節可能で、最大9時間までにスリープタイマーも備える。付属のリモコンはこれまたシンプル。磁石が内蔵されているので、本体上部にくっつけて収納できる。操作も簡単で、とてもユーザーフレンドリーな印象だ。

製品パッケージ
組み立て前の状態
土台部分に開口部をセットするだけで簡単に組みたてられる
本体側面

音が小さくて快適!

 使い始めてまず驚いたのが音が小さいということ。使い始めた当初は、まだ肌寒く感じる時期だったので、風量を2~3にして室内の空気を攪拌させる目的で使っていたが、使っているのを忘れてしまうほど、静かで快適。気温が低くても寒さを感じないような柔らかな風は、羽根を使わずに送風するエアマルチプライアーならではだろう。

付属のリモコン
本体上部に収納できる
運転状況は土台部分に表示される

 空気清浄機能の方は、正直、違いが分からなかった。例えば、一般的な空気清浄機の場合、空気の汚れを検知して、状態をライトなどで表示、運転状況を自動で制御するなどの複雑な機能が搭載されているが、Dyson Pure Coolではそのような機能はない。ただ淡々と送風運転しているという印象なのだ。

フィルター周囲にホコリがびっしり

 しかし、使い始めて3週間ほど経つと、様子が変わってきた。土台のフィルター部分の周りに細かいホコリがびっしりと付いていたのだ。これは、従来のエアマルチプライアー製品にはなかったことだ。ぐるりと360度、びっしりホコリが付いていたので、しっかり空気を吸い込んでいるということを実感できた。

土台部のフィルター周辺に細かいホコリがびっしりと付着していた
開口部にもホコリが
風の跡に沿ったようにホコリが付着していた

 そして、ホコリは上部の開口部にも付着していた。空気の流れをたどるような線状のホコリだった。最初これを見た時は、開口部からはフィルターを通過した空気が出てくるはずなのになぜ? と考えこんでしまったが、よくよく考えると、開口部から出る風は、土台部から吸い込んだ空気だけではなく、周囲の空気も巻き込んでいる。柔らかい布などでホコリを取り除く、定期的なメンテナンスは必須といえそうだ。

 ちなみに、8畳のスペースを清浄するのにかかる時間は約25分、10畳は約30分、26畳で約60分ほど。高機能の空気清浄機と比べると、明らかに遅い。この製品はあくまでファン機能が主体であり、例えば花粉症に悩まされているのなら、Dyson Pure Coolではなく、空気清浄機を選ぶべきだろう。

蒸し暑いこれからの季節に

設置スペースが少なく、音も小さいので、寝室や子供部屋など、パーソナルスペースにおすすめ

 暑くなってからは風量を6くらいに上げて、扇風機として活躍している。風量を大きくするとその分、運転音は大きくなるが、会話やテレビの邪魔をするほどではない。正直、エアマルチプライアーの初代機を使った時は、その運転音の大きさにびっくりしたが、初代機発売から5年経過して、確実に進化を遂げているという印象だ。

 また、縦に細長い開口部から送り出される風は、一般的な扇風機より範囲が広く、心地良い。身体に当たっても負担に感じない柔らかい風は、暑さ対策としても有効だ。

 快適性や安全性の高さを考えると、子供部屋用のファンとしてオススメ。空気清浄の観点からいうと、長時間密室になる寝室での使用も良さそうだ。

阿部 夏子

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