家電製品ミニレビュー
普段は静か。おでかけ時にパワフル運転する空気清浄機
by すずまり(2014/6/19 07:00)
去る3月末、消費税率アップ前の駆け込み気流にのって加湿空気清浄機を購入した。もともと空気清浄機に興味はあったが、1人暮らしでは大きな空気清浄機を置くほどではないだろうと諦めていた。しかし、本誌のレビューでパナソニックの加湿空気清浄機「F-VKJ20」を試用し、空気清浄機は空気を清浄に保つだけでなく、掃除を楽にしてくれる効果もあると気づいて以来、欲しくてしかたなかったのだ。
かなり悩んだ末に購入したのは、同じパナソニックの加湿空気清浄機「F-VC50XJ」である。
メーカー | パナソニック |
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製品名 | 加湿空気清浄機 F-VC50XJ(F-VXJ50同等品) |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | ヨドバシカメラ新宿西口本店 |
購入価格 | 29,800円(消費税5%当時の税込み価格) |
決め手としては、適用床面積がちょうどよかったこと、レビュー時に気に入った「留守そうじ」機能をこの機種も搭載していること、スリムなデザインだったこと、ターボ時でも運転音が51dBと静音設計なこと、ハウスダストセンサーが搭載されていたこと、加湿機能がついていたことが挙げられる。スペックは同社の空気清浄機「F-VXJ50」と同等で、量販店向けモデルとなる。
これまで2カ月半に渡って使い続けているが、不満はゼロ! 半分は勢いだったとはいえ、納得できる買い物になった。
設置場所になじみやすいスリムなデザイン
F-VC50XJのサイズは360×230×570mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは8.3kgである。お世辞にも小さいとはいえない。検討時は数社比較したわけだが、選ぶ際に印象を左右したのがボディのラインだった。数値の差はほとんどなくても、曲線があるとどうしても存在感が増してしまう。F-VC50XJはどちらかというと鋭角的なデザインで、かわいさはない。しかしそのおかげで限られたスペースに置いても大丈夫かなと思えたのだ。
設置性の面では、F-VC50XJは正面の下と横から吸い込む方式を採用しているため、壁1cmまで寄せられるという点もポイントが高かった。荷物が多く雑然とした我が家の場合、どうしても壁ギリギリになる可能性もある。その際も安心と判断した。
実際設置したところ、限られたスペースに上手い具合にハマってくれた。角張ったデザインが部屋の雰囲気にあっていたようだ。
本体は天面に操作ボタンを配置。フィルターには集じんフィルターと脱臭フィルターを搭載している。水タンクの容量は約2.3L。取り外し可能で、自立する。
動作音も静かで、仕事をしていても気にならない
空気清浄機というと、設置場所もさることながら、その動作音も気になるところだ。その点F-VC50XJは、普段はほとんど音もなく静かで、まったくストレスを感じていない。
通常の運転モードとしては、加湿、空気清浄が自動の「おまかせ」のほかに、風量(風量自動、ターボ、中、静音)、気流(気流自動、ハウスダスト、けむり)が任意選択できるほか、「ラク家事」として、「衣類脱臭」と「留守そうじ」機能が用意されている。
運転音は、空気清浄で風量が「ターボ」なら51dB。「中」は29dB、「静音」なら18dBだ。加湿空気清浄の場合「ターボ」は同じ51dB。「中」はわずかに増えて34dB、「静音」は25dBだ。
筆者の使い方としては、普段はエコナビ有効の「おまかせ」で、出かけるときに「留守そうじ」に切り替えるというパターンで落ち着いている。
さすがに「ターボ」運転ではゴーという大きな音はするが、「おまかせ」の場合「ハウスダストセンサー」がハウスダストを検知すると動作するため、空気が綺麗なうちはほとんど動作しない。そばを行き来したり、室内で風の流れが変わるなどしてハウスダストが生じるとレベルに応じて作動する。
購入当初は部屋の空気の汚れもひどかったのか、センサーが頻繁に作動してはターボクラスの音がしていた。しかし、ハウスダストを検知したときのツインルーバーやフロントパネルの動きが面白く、がんばってる感がしてむしろ好ましさすら感じていたほど。それも最近ではだいぶおとなしく、作動しても「静音」レベルだ。
一方「留守そうじ」は、スイッチ切り替えタイミングから約1時間ほど、「中」から「ターボ」レベルで作動する。動作音としては最大クラスになるのだが、幸いなことに本人は留守中なのだ。おかげで、在宅時には静かに過ごせるのだからありがたい。
運転音は静かだが、ホコリが減った!
F-VC50XJの適用床面積の目安は、空気清浄で24畳、加湿空気清浄で23畳となっている。我が家は木造で6畳と4.5畳の2部屋をぶち抜きで使っており、空間としては4畳程度のキッチンも含めて1つの空間のようになっている。F-VC50XJは仕事場として使っているエリア(4.5畳分)に設置しており、適宜場所を動かしたり、向きを変えたりしながら使用している。
普段あまり静かなので、ちゃんと仕事してるのかと不安になってフロントパネルを開けてみたところ、HEPA集じんフィルターにびっしりとホコリがついていた。吸い込んでいる様子そのものは目視できないが、しっかり働いていたようだ。ダニのフンや花粉などのアレルゲンはもちろんだが、PM2.5にも対応しているというので心強い。
ホコリが目立ちやすい液晶モニタの上や、プリンターの上をチェックすると、導入前に比べて明らかにホコリの量が減った。また、部屋の隅に溜まりがちだった綿ボコリも半分以下になったと思う。
まったく汚れないかというとそんなことはない。しかし、ホコリで真っ白になるということもない。掃除の手間を省くため、でかける前にはエアダスターやうちわで床のホコリも舞い上げてから「留守そうじ」にしているので、それもかなり影響していると思われる。
ただし、部屋の構造や棚、荷物などいろいろなものの影響もあってか、効果としては今のスペースでギリギリなのではないかと感じている。しかし、6畳スペースを含めて全体としての量は間違いなく減っており、部屋のコーナーを掃除するためにハンディクリーナーを使用する回数も激減した。
加湿機能はほどほどかも
F-VC50XJの給水タンクには約2.3L入る。性能としてはターボ運転で500mL/h、タンク1杯分の連続運転可能時間は約4.6時間となっている(室内の温度が20℃、湿度が30%の場合)。
タンクは縦に長いため環境によっては直接給水しにくいかもしれないが、設置がワンタッチで非常に着脱しやすいところは気に入っている。
動作次第だが、タンクはだいたい1日で空になるようだ。気流に乗って空間全体の湿度が高められることを望んでいたが、実際運転させてみると、空間全体というよりは、本体周辺の湿度が高まっているような感覚があった。仕様ではプレハブ洋室で14畳、木造和室8.5畳までとのことなので妥当なのかもしれないが、「留守そうじ」をさせたあとは、仕事部屋の一部だけでもんわりとした湿気を感じることがよくあった。
また、「現在湿度の目安」として、30から10%刻みで70%まで数字が表示されるのだが、近くに置いておいた卓上の湿度計よりはかなり高めに表示される傾向も見られた。湿度を知りたいなら、別途湿度計を用意したほうがよさそうだ。
加湿機能に関しては望む結果となっているとは言いがたいのだが、自分がよくいる場所付近が重点的に加湿されると考えて、現在のところはヨシとしている。
本体のメンテナンスは、集じんフィルターは2週間に1回、脱臭フィルターは基本的に手入れは不要で約10年は持つという。あとは3カ月に1回、ハウスダストセンサーの汚れを拭き取る程度となる。加湿タンクに限っては、毎日水洗いが必要になり、毎日使うならトレイや加湿フィルターセットも1カ月に1回のペースで水洗いが必要になるので注意しよう。
メンテナンスも簡単でおすすめの加湿空気清浄機!
F-VC50XJは中堅クラスのモデルだが、サイズ、性能ともに我が家にはぴったりの選択だったようだ。ホコリのための拭き掃除が激減しただけでも、その存在のありがたさを感じている。
夜は照度センサーによって暗くなると「おやすみ自動運転」に切り替わり、表示ランプや運転音を抑制してくれる。朝、部屋に光を入れると動作を開始する。おかげで任意で運転を切ったことはなく、動作音が気になって睡眠を妨げられたなどということもまったくない。何もかもおまかせである。特に動作音の静かさはF-VC50XJの最大の特長で、在宅ワーカーとしては非常に嬉しい。
F-VC50XJはとにかくおまかせで楽ちんな加湿空気清浄機だ。これから導入を考えている方は一度チェックしてみていただきたい。