家電製品ミニレビュー
吸じん力が高く手入れも楽なシャープの加湿空気清浄機
by 中野 信二(2014/10/29 07:00)
空気清浄機を導入するのは久しぶりだ。昔使っていた空気清浄機は、とにかく手入れが面倒だったので、タバコをやめたときに捨ててしまった。それ以来、換気は窓を開けてしていたが、PM2.5の話題をニュースで見てからは、窓を開けなくなった。というわけで、久しぶりに空気清浄機を購入することにした。
肌が乾燥しやすくネコを2匹飼っているので、加湿機能の付いた空気清浄機の中からプラズマクラスターの消臭効果に期待し、シャープの「プラズマクラスター加湿空気清浄機 KI-EX55」(以下、KI-EX55)を選んだ。KI-EX55は、2014年モデルの上位機種で、「プラズマクラスターパワフルショット」や「ココロエンジン」など下位機種にはない機能を搭載している。
メーカー名 | シャープ |
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製品名 | プラズマクラスター加湿空気清浄機 |
品番 | KI-EX55 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 52,920円 |
KI-EX55は、2つの特徴的な機能を持っている。1つは、本体前方のルーバーから高濃度プラズマクラスターを集中して放出する「プラズマクラスターパワフルショット」(以下、パワフルショット)。2つめは、強めの風量で、合計60分かけて微粒子を通常運転より多く吸じんする「パワフル吸じん運転」だ。
パワフルショットとパワフル吸じん運転を試す
それでは早速、パワフルショットとパワフル吸じん運転を試してみよう。まずはパワフルショットから。
・プラズマクラスター25000を前方に放出するパワフルショット
パワフルショットでは、本体の前ルーバーから、除菌や消臭、静電気抑制に加え、肌の保湿効果もある高濃度プラズマクラスター25000を、(放っておくと)約8時間、2m先まで届くくらいの風量で放出する。途中で停止するには停止ボタンを押し、ボタンを押す前の状態に戻したいときはショットボタンを押す。
運転音は、会話をするのに耳障りなレベル。4~5分だけ運転するなら大丈夫だが、数時間続くのは辛い。出かける時に運転させ、ソファーや洗濯物などに直接あてて除菌・消臭するという使い方がオススメだ。
実際に、上着やYシャツなどをかけていて、年をとるにつれて増えてくる加齢臭のニオイが漂うクローゼットにパワフルショットをしてみた。2時間後、ニオイはほぼ消えていた。
・花粉などを一気に除去するパワフル吸じん運転
パワフル吸じん運転では、60分かけて微粒子を通常運転より多く吸じんする。最初の10分は、本体上部から高濃度プラズマクラスター25000を放出し、静電気で壁などに微粒子が付着するのを抑えながら一気に吸じんする。そして、残りの50分では、高感度ホコリセンサーの感度を自動で高め、微粒子を検知しながら、より強力な風量で吸じんする。
我が家では、窓の近くにKI-EX55を設置しているが、センサーの感度を高めた運転が始まると、カーテンがなびくほど風量は強力だ。運転音も大きくて、声を大きくしないと会話ができないほどだ。
体感では、空気清浄運転の風量強(52dB)よりも大きいと思う。床に響くほど細かい振動も感じるので、マンション等で下の階に住人が居る場合は、夜間の使用は控えたほうが良いだろう。
実際に、外出先から帰宅した直後にボタンを押してみたが、衣服や体についた花粉やホコリを十数分で一気に吸い込んでくれるので、自分の周りの空気がかなりスッキリする。音がうるさく振動も大きいが、長くても15分~20分運転できれば空気はキレイになる。
ちなみに、パワフル吸じん運転の風量があまりにも強かったので、電気代を表示してみた。すると、おまかせ自動運転時で4円/24hだった電気代が、35円/24hに跳ねあがっていた。
5つのセンサーで部屋の状況を見張って運転する
さらに新モデルでは、「高感度ホコリセンサー」と「照度センサー」が搭載されている。従来の「ニオイセンサー」「温度センサー」「湿度センサー」と合わせて、ホコリ、明るさ、ニオイ、温度、湿度を5つのセンサーでみはって運転する。
高感度ホコリセンサーは、0.5μm(ミクロン)の微粒子を検知するという。一方、照度センサーは、部屋の明るさを検知し、暗くなると運転音やモニターの明るさを抑えて運転する。
また、空気の汚れ具合や温度・湿度の目安を知らせる「PM2.5モニター」を搭載している。PM2.5などの微粒子濃度の目安を独自のアルゴリズムで判別し、本体の表示部に消灯→橙→赤の3段階で知らせる。濃度が高い時(赤)は、風量を強めて集じんする。
もっとも効果を実感したのはニオイセンサー。ネコがトイレをしたり、自分がKI-EX55の後ろに立つと、ニオイモニターが赤くなり、勢いよく部屋の空気を吸い込んでいた。今回は、使用中には窓を閉めていて、外気がほとんど入らなかったので、PM2.5モニターが表示されることはなかった。正直、ホッとした。
トリプルクリーンシステムで部屋の空気をキレイにする
運転モードは、加湿空気清浄と空気清浄の2種類。操作パネルの「おまかせ自動 スタート」を押すと、加湿空気清浄運転が始まる。空気清浄運転には、加湿空気清浄運転中に「加湿/切」ボタンを押して切り換える。
部屋の空気は、「トリプルクリーンシステム」でキレイにする。このシステムは、「プラズマクラスターで除電」→「スピード循環気流&背面ワイド吸引」→「静電HEPAフィルター」の流れで空気をキレイにする。
風量は、ボタンを押すたびに「おやすみ」→「梅雨」→「花粉」→「静音」→「中」→「強」の順に切り替わる。風量をおやすみにすると、肌がうるおう湿度を保つ運転をするほか、照度センサーで明るさを見張り、部屋が暗くなるとモニターの明るさや運転音を抑える。
フィルターは、静電HEPAフィルター(10年間交換不要)のほか、「活性炭+無機吸着材」「人工酵素」「科学吸着材」の3種類の脱臭機能で、ニオイの元となる悪臭成分を分解・脱臭しつつ、有害ガスも低減する「ガスもと~る脱臭フィルター(10年間交換不要)」と、500μm以上の大きなホコリをキャッチする「抗菌・防カビ後ろパネル(交換不要)」の3種類を搭載している。
専用器にも引けを取らない加湿機能
加湿機能の加湿方式は気化式。加湿量は風量強で最大550mL/h。加湿機能では、18℃~24℃なら60%というように、部屋の温度に合わせて湿度を調整する。
乾燥が気になる季節だが、KI-EX55を稼動している部屋にいる間は、肌がかさつくことはなかった。
給水タンクは、容量約3.5Lと水をたっぷり入れられる。KI-EX55を24時間連続で運転している間、ずっと加湿機能をONにしていたが、適湿の間は加湿しないため、4日ほど給水せずに過ごせた。また、持ち運びに便利なハンドルがついている。ハンドルを下にして置くと自立する。
「ありがとう」と言いたくなるココロエンジンの気配り
また、ココロエンジンのメッセージが役に立った時もあった。ココロエンジンは、同社独自のAI(人工知能)で、生活環境の状態や、家電の使用状況に合わせて、使い方などアドバイスしてくれる。
KI-EX55では、こちらが何気なく「聞いて」ボタンを押した時に、「今日はとても乾燥しています」と答えてくれたり、空気清浄運転しかしていなかった時に「しばらく加湿しないときは、タンクやトレーに残ったお水を捨ててくださいね」と教えてくれたりした。
時には、部屋やKI-EX55の状態によって「空気がきれいになりました」「タンクのお水が、なくなりました」というように、自動でしゃべりかけてくる言葉もある。教えてくれたおかげで覚えたことや、うっかり忘れていたことを気づかせてくれるなど、思っていたよりも、いろいろな場面でアドバイスに助けられた。
なんと言っても手入れが楽なのが嬉しい
3週間ほど使っていて、唯一気になったのは、照度センサー以外のセンサーが本体の後方に搭載されているため、本体前方のほこりやニオイに対する反応があまり良くないこと。空気が循環しているのでしばらくするとセンサーが検知し、風量を強くする。集めた空気を本体の後側から吸い込むので仕方がないが、ホコリやニオイをいち早く除去したい場合、少しストレスを感じる。
とはいえ、フィルター等の手入れが手間なくできるのは魅力的。抗菌・防カビ後ろパネルは、よほど汚れない限り、本体から外さずに1カ月に1回、掃除機でホコリを吸うだけで、交換せずにずっと使える。静電HEPAフィルターとガスもと~る脱臭フィルターは、吹き出し口からニオイがしてきたら、フィルター表面のホコリを掃除機で吸うだけでOK。
唯一、抗菌・防カビ加湿フィルターだけ、ニオイが気になってきたら、重曹やクエン酸を水やぬるま湯で薄めて、つけ置き洗いする必要があるが、昔使っていた空気清浄機に比べたらかなり楽だ。
筆者のように、フィルターの手入れや交換が面倒で空気清浄機の使用をやめた人や、そもそも手入れが面倒くさそうで購入を断念してきた人、そしてココロエンジンの「給水、ありがとう」といったメッセージで和みたい人にもオススメしたい製品だ。