家電製品ミニレビュー

ツインバード工業「ポップアップトースター TS-D404W」

~ほとんどの「食パン」が焼ける! 場所を取らないスリムなトースター

ツインバード工業「ポップアップトースター TS-D404W」

 焼きたての香ばしいトーストは、忙しい朝にはもってこいの気軽な朝食のひと品だ。シンプルなトーストを楽しむならば、ポップアップトースターを使えば、誰にでも簡単に外は「カリッ」、中は「ふわっ&モチモチ」のトーストが素早く、確実に調理できる。

 数あるポップアップトースターの中から、今回はツインバード工業の「ポップアップトースター TS-D404W」を紹介しよう。キッチンの狭い隙間にも置けるスリムなトースターだ。

メーカー名ツインバード工業
製品名ポップアップトースター TS-D404W
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格3,932円

 最大の特徴は、高さが240mmまでの山型パンがラクに調理できる幅広なパン投入口(スロット)だ。スロットは1つだけだが、一般的な角型食パンなら縦に2枚並べて1度に焼ける。しかも、スリムな本体ながら30mmの厚切りトーストにも対応する。

スリムなトースターでも、街で売られているほとんどの「食パン」に対応する

 トースターの大きさは、実測で105×365×208mm(厚み×幅×高さ)、重量は約1.4kgだ。本体の厚みがハガキ幅程度なので、2人用の小さなテーブルの上に食事をしながら乗せて使える。パンのスロット以外、本体は白い樹脂に包まれている。コードの長さは約1.4mだ。

 ヒーターは絶縁体に電熱線を通した「マイカ式」。ヒーターとパンの距離が近く、立ち上がりが早いので、パンを素早く、ムラも少なく焼きあげる。

 使い方は至極簡単だ。電源プラグをコンセントに差し込み、スライスされたパンをスロットに投入し、パンの焼き色を調節し、セットレバーを押し下げるだけだ。焼きあがれば自動的にトーストがポップアップして出てくる。

製品本体
操作面を正面として(写真左)、左側面(写真右)。シンプルなデザインのトースターだ
右側面(写真左)、裏側
パン投入口(写真上)。サイズは255×35mm(幅×奥行き)、底面(写真下)も樹脂製のボディに覆われている。コードはどの方向からでも引き出せる
操作ボタン類は、1つの面にまとめられている
絶縁体に電熱線を通した「マイカ式ヒーター」素早く調理する

 スロットに入るパンの大きさは、角型食パンを2枚同時に焼くなら、パンの幅は120mm以下、高さは90mm以上130mm以下、厚さは4~8毎切り(15~30mm)。山型パンなら、幅90mm以上130mm以下、高さは240mm以下、厚さは4~8毎切り(15~30mm)を横向きにして1枚ずつ焼く。

 つまり、街で手に入る食パンのほとんどに対応する。山型パンのように高さがあるパンもすんなり調理できるので、ホームベーカリーで焼いたパンもOKだ。30mmの厚さまで焼けるので、イングリッシュマフィンなら丸ごと、スライスされたベーグルやフランスパンも調理できる。

 レビューにあたり、6種類のパンを用意した。

・Pascoの「超熟」8枚切り 113×16×133mm(幅×奥行き×高さ)
・ヤマザキの「Pure Smile」6枚切り 122×20×123(同)
・リトルマーメイドの「イギリスパン(山型パン)」の4枚切り 100×28×165mm(同)
・VIE DE FRANCEの「ソフティブレッド」4枚切り 120×30×130mm(同)
・スーパー・マルエツのフランスパン「石窯バタール」 115×30×50mm(同)
・Pascoの「イングリッシュマフィン」 95×26mm(直径×高さ)

 「スロットに入るパンの高さ240mmまで」となっているが、パン投入口の最大実寸は255×35mm(投入口幅×奥行き)だった。ゆえに、最も幅のあるヤマザキのPure Smileを2枚(合計幅244mm)並べても全く問題なく投入できた。

 スロットの奥行きの半分以下の8枚切り(16mm)の薄いパンでも収まりが良い。セットレバーを押し下げると同時に、2枚の網がパンを挟み込み、2枚のヒーターの中央にセットされる。

トーストできるパンの大きさの目安。パンの高さは240mmまでOK。取扱説明書より抜粋
角型食パン8枚切り、2枚を入れたところ(写真上)。角型食パン6枚切り、2枚を入れたところ(写真下)
イギリスパン(山型パン)4枚切り、1枚を入れたところ(写真上)。ソフティブレッド4枚切り、2枚を入れたところ(写真下)
フランスパン3個を入れたところ(写真上)、イングリッシュマフィン2個を入れたところ(写真下)
8枚切りの薄い食パンでも、トースト中は網がパンを挟み込んでスロットの中央に納まる

香ばしく風味豊かなトーストが、2分半程度で焼きあがる

 早速それぞれのパンを調理してみよう。焼き色調節ダイヤルは全て3で焼いた。

 まず、Pascoの8枚切りの角型食パンを2枚並べて焼いた。多少焼きムラはあるが、2枚とも、表も裏もこんがりとキツネ色に焼きあがった。調理時間は2分20秒ほど。表面はパリッと歯ごたえが良く、中は熱々でモッチリと仕上がった。食感が良くて香ばしく、とてもおいしい。ヤマザキの6枚切りもほぼ同じ時間で、同じようにおいしく焼きあがった。

2枚同時に焼いた8枚切りの焼き色(左面側)。多少ムラはあるがキレイなキツネ色だ
2枚同時に焼いた8枚切りの右面側の焼き色。6枚切りも同じように焼けた
表面はパリッと、中は熱々でモッチリと仕上がった。とてもおいしい

 次に、山型のイギリスパン1枚を横向きにして焼いた。焼き上がりの時間は特に変わらない。山型のトップはパリパリ、表面は「耳」も含めサックサクだ。4枚切りの分厚いパンだが、中は熱々でふんわりと柔らかく、イギリスパン本来の軽い食感が楽しる。

4枚切りの山型パンの左面側(写真左)と右面側(写真右)の焼き色。トップはパリパリ、周りはサクサクに仕上がった
4枚切りの山型パンの中は熱々で、ふんわりとやわらかい。トーストのおいしさが堪能できる

 焼かなくてもふんわりと軽い歯ごたえのやわらかいソフティブレッドをトーストすると、分厚くてもさっくりと歯切れが良く、より軽くて食べやすい仕上がりだった。焦げの香ばしさが加わり、さらに食が進む。ソフティブレッドの高さは、トースターに収まるぎりぎりの130mmだが、頭頂部まできれいに焦げ目がついた。

 イングリッシュマフィンは2枚に開かずに、まるごと焼いた。水分量が多いマフィンだが、周りはパリッっとした食感で、中はモッチモチでアッツアツだ。一般的にはマフィンを半分に開いて焼き、カリカリ感と香ばしさを味わうと言われるが、丸ごと焼けば、オーブンから焼きあがった直後のようなおいしさが楽しめる。

 バタールは表面がバリバリなのに、中はモッチリとした歯ごたえがたまらない。厚みのある3、4切れを一度にテーブルの上で用意できるので、家族分のパスタに同時に添えられるだろう。

4枚切りのソフティブレッドは、さっくりと軽い歯ごたえ。厚切りでも食べやすい仕上がりだった。頭頂部まできれいに焦げ目がついた
高さ、または幅が90mm以上あれば、イングリッシュマフィンは丸ごと、厚切りのバタールもトーストできる
イングリッシュマフィンの中はモッチモチでアッツアツだ。焼きたてのようなおいしさだ

 とにかく、薄いパンから厚みのあるものまで、どれもこれもとてもおいしく仕上がった。表面は水分が飛んで香ばしく焼け、中は湯気が立ち上るほどアッツアツでしっとり。オーブントースターと違い、パンのそばにヒーターがあるので、仕上がりが早くパサパサになりにくいようだ。焼き色はパンの水分量で差が出るが、焼き上がり時間はほぼ一定だった。

 使っていて、便利だと思った点がいくつかあった。その1つは「リフトアップ機能」だ。セットレバーを、焼きあがってレバーが戻った位置よりも、手動でさらに上げられるので、90mm前後の背の低いパンでも取り出しやすい。イングリッシュマフィンやバタールに便利な機能だ。

 もう1つは、本体がさほど熱くならない点だ。狭いテーブルに置いた場合、使用中に思わず手に触れることがあったが、1、2回のトーストならば樹脂製の本体は温かい程度。5回連続でさすがに熱くなるが、それでも手で触れる程度だったので、気兼ねなくテーブルの上で調理できた(金属のスロット付近はもちろん高温なので、パンの出し入れは注意が必要だ)。

「リフトアップ機能」で背が低いパンも取り出しやすい
本体は樹脂に覆われているので、調理中の本体側面は温かい程度。食卓でも気兼ねなく使える

様子を見ながらトーストできる機能の他、冷凍パンも3分弱でトースト

「追加焼き」、「冷凍パン」専用のボタンがある。操作はセットレバーを押し下げてからどちらかのボタンを押すだけだ

 ところで、ポップアップトースターは焼いている最中は焼き色が確認できない。だが、本製品は好みの焼き加減に調節するために、ちょっとした機能がある。

 その機能とは、「追加焼き」と「取消」だ。「追加焼き」は、焼き色調節に関係なく30秒前後でポップアップする"チョイ焼き"モードだ。焼き色が足りない時、追加で焼くのにとても便利だ。温めなおしにも重宝する。操作はセットレバーを押し下げて「追加焼き」ボタンを押すだけだ。

 一方、少しでも焦げついた臭いがしたら、「取消」ボタンを押せば、即座にトーストがキャンセルできる。本体を掴みながら、無理やりセットレバーを戻さずに済むので、とても簡単&安心だ。ポップアップトースターの作動中は、パンの焼き色が見えないが、これらの2つの機能で失敗が回避しやすい。

「取消」ボタンを押せば、調理を一瞬に安全にキャンセルできる

 冷凍した食パンもとてもおいしくトーストできた。専用の「冷凍パン」ボタンを押せば、焼き色を調節せずにトースト時間を延長してくれる機能のおかげだ。操作は、セットレバーを押し下げて「冷凍パン」ボタンを押すだけ。生地の目が詰まった厚みが均等な角切り食パンは、冷凍していないものと同じような焼き色に仕上がり、冷凍していたのを忘れてしまうほど、外はパリッと、中はモチっとおいしい。違いといえば多少「耳」の焼き色が濃くなるが、これはこれで香ばしくておいしい。「焼き色調節3」のままで30秒ほど長い、2分50秒程度で焼きあがった。

 しかし、山型パンやバタールは、冷凍したまま焼くのはあまりお勧めできない。生地目が粗く、断面が斜めで厚みが均一でない耳は特に焦げ付きやすい。水分も抜けるため、舌触りがガリガリとおいしくない。水分量の多い冷凍マフィンも丸ごと焼くと焦げやすい。いずれも、ある程度解凍してからトーストした方が仕上がり、風味が断然よかった。

冷凍した6枚切りの角切り食パン(写真左)。冷凍していたとは思えないほどおいしいトーストが焼きあがった(右)
生地目が荒く、厚みが均一でない冷凍パンはフチ焦げやすい。中はしっとりとおいしいが、周りは水分が抜けてガリガリになってしまった

短時間で一気に焼き上げるポップアップトースターのトーストはおいしい

 消費電力は950Wだが、実測では955~970W前後だった。ヒーターがパンに近く、高い電力で一気に焼き上げるため、パンの内部に水分が残る。少しぐらい冷めてもパサパサにならないので、最後の一口までおいしいトーストが味わえた。今までは、調理の応用が効く点からオーブントースターしか使っていなかったが、ポップアップトースターで焼いたトーストの方がよりおいしいと感じた。

 使っていて少々不満に感じたのは、パンくずがスロットと本体の隙間に落ちてしまう事だ。スロット内部のパンくずは着脱式の「くず受け」に溜まり、ラクに掃除できるが、スロットと本体の隙間に落ちてしまったパンくずは、ヒーターの外側と本体の間をすり抜けて底から落ち、テーブルや棚を汚してしまうのが気になった。しかし、その隙間があるからこそ、本体が高温にならず食事を摂るテーブルの上でも気兼ねなく安全に使えるのだろう。

消費電力は955~970W前後で揺らいでいた。「冷凍パン」、「追加焼き」でも消費電力は変わらない
スロット内のパンくずは「くず受け」に落ちて掃除がラクだが……
本体上部の樹脂と、スロットの隙間にもパンくずが落ちる。くずはヒーターと樹脂本体の隙間を抜け、底から出てくるのでテーブルや棚がどうしても汚れてしまう

 安全面ではもう一つ、ロック機能がある。本製品には本体に収納できるスロットの「ふた」が付いており、使用時には「ふた」をきちんと本体に収納しないと、セットレバーが押し込めず、通電しない仕組みになっている。単なる埃よけだけでなく、ふたはロック解除キーも担っている。

本体の操作面の下部に収納してある「ふた」は、不使用時のスロットの埃よけだ
「ふた」は本体にきちんと収納すると、ロックボタンが押し込まれ、ロック機能が解除される仕組みだ

 レビューするにあたり連日何枚もトーストを食べ続けたのだが、外は「カリッ」、中は「ふわっ」のトーストは飽きないほどおいしい。食卓で調理できるほどスリムなので、焼き加減を吟味しながら、アツアツのトーストがいつでも楽しめる。「分厚い山型パン」もお手のものなので、トースト好きはもちろん、ホームベーカリーを持つ人にも大いにお勧めしたいポップアップトースターだ。

藤原 大蔵