家電製品ミニレビュー

ジェントス「Explorer EX-1015S」

~まぶしさが少ないポータブルLEDランタン

万一の停電に備えるランタン

ジェントス「Explorer EX-1015S」

 家電WatchがLEDランタンの紹介を始めたのは、東日本大震災後の計画停電がきっかけだったが、震災にかぎらず、大雨や台風の際の停電時にもランタンは必需品だ。今回は、コンパクトで廉価なランタンとして、ジェントスの「Explorer EX-1015S」(以下 EX-1015S)を紹介しよう。

 EX-1015Sは、今年3月に発売された製品で、本体が伸縮するコンパクトさが特徴だ。もともとは、キャンプやハイキング、バイクによるツーリングなどに適した製品だが、実際に使ってみたところ、防災用のLEDランタンにも適していた。今回は防災用品としての機能を紹介しよう。

メーカージェントス
製品名Explorer EX-1015S
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格1,518円

縮めるとコンパクトな本体

 EX-1015Sのパッケージはブリスター型で、テスト用の乾電池と取扱説明書が付属している。

パッケージ
パッケージ裏面
パッケージの内容。テスト用の乾電池と折りたたまれた取扱説明書が入っている
付属している乾電池はパナソニックの同梱用アルカリ電池
裏面の台紙にエネループ対応と書かれている

 EX-1015Sの最大の特徴は本体が伸縮することだ。普段は本体を縮めておき、使用するときは本体を伸ばしてから点灯する。

本体全景

 本体は、上から見ると三角形をしている。幅は54mm、奥行きが53mm、高さは縮めた状態で約100mm、伸ばした状態で154mmになる。

 もともとは、リュックに入れて持ち歩くための伸縮機能だが、枕元などにLEDランタンを置く際にも、本体が小さいのは好ましい。

本体を上から見ると三角形をしている
底面にはフックはない
本体を縮めた状態
本体を伸ばした状態
縮めた状態では10cm強の長さ
伸ばした状態では、15cm強になる

 LEDは白色の明るいものが1個。LEDは上に向けて配置されており、ランタンの天井にあるドーム型の反射板に反射して周囲を照らす。

シェードを外した状態
この状態で上から見るとLEDが見える

 電源は単四乾電池4本で、本体の底部から入れる。付属の電池はパナソニックブランドの海外製アルカリ乾電池だった。指定はアルカリ乾電池で、エネループにも対応が明記されている。なお、エネループ以外のニッケル水素電池は対応が確認されていない。

本体の底を回して乾電池を入れる
端子の構造
乾電池は2本がプラス極、もう2本がマイナス極を下に向ける
乾電池を入れた状態で160gしかない

 上面の吊り下げ用フックは、半円の金具を組み合わせた形で高さがなく、あまり太いものには掛けられない。吊り下げで使う場合は、S字状の金具やカラビナなどを用意した方が良いだろう。また、底面にはフックは用意されていない。

フックは半円の金具2つを組み合わせる構造
フックを立てた状態

日常生活に使いやすい特性

 使う時は、まず本体を伸ばす。電源スイッチは、本体を縮めた状態ではカバーされており誤動作を防いでいる。

電源スイッチも三角形だ
電源スイッチを押してHighで点灯した状態
下にあるLEDからの光が、上にある反射板に反射して周囲をて明日
ほぼ全方向を照らす。真横にある壁ではなく、本体のすぐ下が明るいのに注意

 操作は電源スイッチだけで、1度押すとHigh、もう一度押すとLow、更に押すと「SOS」のモールス信号で点滅する。

 また、ジェントスのLEDランタンに共通の特徴だが、いったん「High」などのモードを選び、3秒以上経過すると、次に押したときは「OFF」になる。つまり、「High→Low→SOS→OFF」という手順を踏まずに、「High(3秒経過)→OFF」で終了できる。とてもスマートな印象で使いやすい。

 なお、Lowモードは常夜灯に近く、日常的に使うには明るさ的に物足りない。実用的にはHighモードで使う製品と思った方が良い。

 Highモード時の白色LEDの灯りは、約50lmという数字以上に明るく感じる。机の上に置くと、6畳ほどの部屋の家具の配置などは把握できる明るさだ。また、光が一度反射板に当っていることと、シェードの部分が半透明に加工されていることで、まぶしさがない。

周囲の床を照らすので、取扱説明書がほぼ全部読める
ベッドに置いた状態。個人用の灯りとしては必要な明るさがある
机の上に置いた状態。あまりまぶしさを感じさせないので、補助光として机の上に置くのに適している

 例えば、テーブルの上にランタンを置き、その下に皿を置いて食事しているときにまぶしさを感じない。また、光がやや下方向を照らしているので、テーブルの上や机の上に置いたときに、作業がしやすい。反射板の位置が高いことと、下方向を照らすように設計されていることで、ランタンの真横ではなく、周囲が明るい配光になっているのだ。

 こういう配光特性なので、皿に盛った料理をうまく照らしてくれる。食事時に使いやすいランタンだ。また、ランタンの足元にA4ほどの用紙を置いても、だいたい読めるぐらいの照明範囲の広さと明るさがある。ランタンの足元に本を置く形で使えば、読書にも向いている。

右は、単三電池を使う電球色LEDランタン「EX-1977IS」
縮めた状態では、高さに差がある
伸ばした状態では、EX-1015Sの方が高くなる
EX-1015Sで、防災用のカレーを照らした状態
EX-1977ISのほうが、やや明るいが、まぶしさを感じる角度がある

 一般的なLEDランタンは、屋外での使用が前提のため、真横や斜め上方向を照らすものが多く、まぶしすぎたり、室内では使いにくい場合がある。EX-1015Sは、それらに比べると室内で使いやすく、日常生活に使えるランタンと言える。

 乾電池の寿命は、Highモードで約8時間、Lowモードで約35時間、SOSモードで約32時間とされている。Highモードでは、明るさが確認できなくなる状態までは10時間ほど持つ。しかし、4時間目以降は、明るさが落ちる。実用的には6時間ぐらいが使用限度だ。

 つまり、Highモードで点けっぱなしにするような使い方では、ほぼ一晩で電池を使いきってしまうので、予備の乾電池は用意した方が良い。

コンパクトで使いやすいLEDランタン

 EX-1015Sは、伸縮することを除けば、ごく普通のLEDランタンのように見える。しかし、むやみに明るさを求めず、まぶしさを抑えた特性は、室内で使う防災用品として優れた特徴だ。万一の際に、一晩これで暮らすことは、十分にできる。

 前回紹介した、同じジェントスの高級機種「EX-620LGP」の導光板を使用した、LEDランタンとしては類のない均一な光とは比べられないが、ポータブルな大きさのLEDランタンとしては、光の特性が優しく、使いやすい製品になっている。バッグの隅に入れて置けるサイズなので、防災用に限らず海外旅行などにも用途があるだろう。

伊達 浩二