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アイロボット買収「メリットしかない」園児たちとルンバで大掃除
2025年12月18日 17:33
アイロボットジャパンは18日、恒例となったルンバの年末イベント「ルンバのお助け大掃除@認定こども園」を開催。ルンバが園児たちと一緒に年末の汚れを落とすという取り組みが行なわれた。
このイベントでは、アイロボットによる「ロボットと楽しむおそうじ授業」もあり、そこで11月1日付で就任したばかりの山田毅 代表執行役員社長が、園児たちにロボット掃除機の仕組みなどを説明。一緒に理想のロボット掃除機を考えるといったコーナーもあった。
ルンバについては、米iRobotの連邦倒産法第11章(チャプター11)に基づく破産手続き開始について発表されたばかりで話題となっている。そうした中で山田社長からは、ルンバとアイロボットの今後について「メリットしかない」と報道陣に前向きな姿勢が示され、同社の現状とこれからについて語られた。
元気な園児たちとルンバが一緒に掃除
今回の大掃除が行なわれたのは、東京都江東区にある認定こども園 文化教養学園。これまでも、神田明神や老舗銭湯「さくら湯」で同様の大掃除イベントを行なってきたが、昨今の人手不足なども背景に、アイロボットからの呼びかけに応じた同園が今回の会場に選ばれた。
山田社長による直々の「おそうじ授業」では、園児たちの前で、アイロボットのルンバやブラーバなどのロボット製品について説明。園児たちは「ロボット」について、「シンカリオン」や「ドラえもん」「ベイマックス」などをよく知っていたほか、実際にルンバがいる家庭もあり、園児たちにも一定の認知度があるようだった。
掃除をする時の「ロボットと人間の違い」なども山田社長が説明しながら、実はロボットも人間に近い仕組みで掃除をしていることを教えると、園児たちも真剣に話に聞き入っていた。
その後は、野上茜 園長と園児たちで「理想のお掃除ロボット」を考える時間に。本体はルンバと同じ円形だったものの、園児たちの要望でたくさんの手がついたり、耳もつくなど、だんだんとユニークな姿になっていく。今回参加した園児の組名にちなんで「すみれくん」と名付けられた。
いよいよメインの掃除タイムに突入。雑巾を手にした園児たちと一緒に、3台のルンバが床の掃除を開始した。最初は園児たちが珍しそうにルンバの周りを囲んで集まり、ルンバがなかなか進めない一幕もあったものの、次第にルンバと一緒に雑巾がけをして、室内はピカピカのキレイな状態に。園児たちも楽しそうに掃除する姿が印象的だった。
中国Piceaからの買収は「メリットしかない」日本もより開発に関わる形へ
イベント後に山田社長への取材を行ない、今後のアイロボットやルンバについて説明があった。
既報の通り、米iRobotは米国時間14日付けで、連邦倒産法第11章(チャプター11)に基づく破産手続きを開始したと発表。中国Shenzhen PICEA RoboticsとSantrum Hong Kong(以下Picea)による買収に向けた再建支援契約(Restructuring Support Agreement:RSA)を結んでおり、今後の動向について注目されている。
今回のイベントで「子供の笑顔、元気な声を聞いて、よかった」と語る山田社長は、改めて、資本関係が変わってもルンバというブランドは継続することを強調。販売動向については、まだ米国発表があったばかりで変動はないものの、販売やサポートについて「何も変わりません。そこは心配なくお客様に使っていただければ」とコメントした。
米iRobotの買収に向けて再建支援契約を結んだのは、同社の債権者および契約製造業者であるPicea(パイシア)。
山田社長は同社について「世界のロボット装置の委託製造会社としては最大であり、ここ数年、その一部を我々に供給していただいていた。今回そのパートナーさんと一緒になる形。これは圧倒的なメリットしかありません。製造業に携わっている人間だったらわかると思いますが、やはり、製造と一緒になる、垂直統合していくということは、ものすごいメリット」と語る。
「生産量がPiceaグループへ入ることによって圧倒的に増えます。製造業で一番強いのは『ボリューム』。我々はその圧倒的なボリュームを持った資本の中に入っていく。さらに彼らは部品も作っています。ロボット掃除機に使われるLiDAR(ライダー)センサーですとかモーター、そういったキーコンポーネント、基幹部品ですね。これを内製しています。その内製した部品を使って、我々アイロボットの製品を世界中に供給できます。こんなにメーカーとして強い体制はないので、非常にいい内容だと思います」と前向きな姿勢を示した。
日本法人であるアイロボットジャパンの今後についても「より一層開発に関わっていけると思っています。今まで自分たちでは製造していなかったので、どこかへ製造委託していました。この開発から生産までのサイクルが、ぐっと短くなりますので、やはり地域に即した製品が出てくるだろうと。そこはアジアという立地もメリットとしてありますから、よくなっていくと思っています」と述べた。
