家電製品ミニレビュー

2020年、外で涼むなら首掛けクーラー!「ネッククーラーNeo」の冷却効果をチェック!

サンコー「ネッククーラーNeo」(価格:5,980円)

昨年大ブレイクした携帯ファン。しかしAfterコロナの今年は、飛沫感染の点から街中でファンを使うのをためらう人もいるのではないだろうか。

そこに登場したのが、扇風機ではなく首にかけるクーラー。しかもこのクーラーは冷風を送るのではなく、首にかけることで体を直接冷やしてくれる。だからコロナが完全収束しないご時勢でも、扇風機のようにためらうことなく、町でオフィスで、電車で、涼しさを独り占めできる!

今年は使うのがためらわられるハンディ扇風機。周りにひとがいない場所で使う分には問題ないのだが……

なるほど! 「理」にかなったネッククーラー

ネッククーラーは、首にかけるエアコンだ。首には脳に血を送る頸動脈と、脳から心臓に戻る血を送る勁静脈という太い血管が皮膚近くを走っているため、多くの血液が流れる。また心臓にも近く医療現場でも首の頚動脈から薬を入れることがある。

そこにこのネッククーラーをつけるとどうなるだろうか? ひんやりと気持ちのいい、アルミプレートはちょうど頸動脈・静脈にあたる部分を冷やし始めてくれる、すると、これらの血管を通った血液の温度が下がり、からだ中に運ばれ、結果として体全体が冷えてくるというワケだ。

電源はUSBバスパワー方式で、手持ちのモバイルバッテリーをつなげて使う。

頭を天に向けて前から見たところ。青が静脈、赤が動脈(出典:Henry Gray (1918年) Anatomy of the Human Body;Public Domain)
首の脈打つ部分の当たるようにネッククーラーをかけると、体全体が冷え始める

夏の暑い日、田舎のおばあちゃんが水で濡らしたタオルを首に巻いてくれた覚えはないだろうか? あれも原理的には同じことで、首を冷たいタオルで巻くことで、血液の温度を下げて全身が涼しくなるという具合だ。

また地方に行くと、運動部の中高生が、田んぼの用水路に足を突っ込んでいる景色を見たことがないだろうか? これも同じ原理で、足を冷やすことで、全身をめぐる血液を冷やして冷を取ろうという方法だ。

折りたたむと非常にコンパクトでスマホより小さい。ヘッドフォンより小さくなる。重さは、メーカーによるとパブリカ1個分(笑)。モバイルバッテリーは別売

そんな理にかなったネッククーラーだけに、発売から40日あまりで既に販売数を10万個突破。今は8月下旬発送の予約受付中となっている。

手持ちのモバイルバッテリーで20時間連続駆動

使い方は簡単。ヘッドホンのような本体を首にかけ、襟元で脈打っている動脈にアルミプレートが当たるようにするだけ。最初は少し息苦しさを感じるかもしれないが、次第に慣れるだろう。

また女性のように首が細い場合は、専用のアダプタを襟元に取り付けて調整できる。男性ならまずアダプタなしで大丈夫。首回りは37〜50cmとかなり高い自由度となっている。

首の左右で脈打つ動脈を捜す。真横よりちょっと前側(あごの付け根あたり)にある
動脈にアルミのプレートが当たるように首にかける
ヘッドホンのように伸縮するので首のサイズに合わせて調整
首が細い女性などは、付属のアダプタを取り付ける

電源は別売のモバイルバッテリーを使う。メーカーのサンコーによれば、10,000mAh程度のモバイルバッテリーなら20時間の連続利用が可能という。

営業職などで外回りの多い方でも20時間あれば余裕。10,000mAhのモバイルバッテリーがあれば、スマホの充電と訪問先までの涼を取るのに十分だろう。今年と来年はないが、夏のコミケの必須アイテムになること間違いない!

おそらく皆さんの手元にあるのは、たいてい10,000mAhのモバイルバッテリーだろう。そんなに長時間使わない場合は、スマホを充電するにはちょっと心もとなくなった、5,000〜7,000mAhの古いモバイルバッテリーでもいい
胸元のコントローラで3段階の強さを切り替えられる。クリップも付いているので胸ポケットなどに引っ掛けておいてもいい

動作モードは3種類で、「弱/強/揺らぎ」の3パターン。本体から伸びるコードの途中には、ヘッドフォンのボリュームコントロールのような部分があり。ここでモード切り替えと電源のON/OFFができる。このコントローラにはクリップが付いているので、服のポケットなどに引っ掛けておけるので便利だ。

操作で少し戸惑うのは、電源のONとOFF。一般的なガジェットは、ボタンの長押しで電源のON/OFFができるが、本製品は電源ONがクリック、モード切替がクリック、電源OFFが長押しとなっている。最初は戸惑うが、数回使ううちになれるだろう。

運転モードによる温度の違い。冷たさが気になる場合は、外気-3〜-5℃の「弱」、涼しさを求めるなら外気-15℃程度の「強」で。「弱」でちょっと暑いかな? と感じる場合は、温度を2℃ほど上下させ冷たさを強調する揺らぎモードがオススメ

立ち上がりはヒンヤリ! もどかしさの後快適♪

ネッククーラーには、ペルティエ素子というというものが組み込まれており、電流を流すと片面が冷たくなる代わりに、その反対面から熱を出す。そのためアルミの冷たい面の反対には、2cm角ほどの小さなファンが設けられている。

しかしファン音はそれほど大きくなく、風量もさほどないので、通勤電車のロングシートで使っていても注目されたり、迷惑になることはないだろう。

「強」で使っても、本機から1cm離れた両サイドで吹き出す風は測定不能。動作音は本機から30cm離れた場所でも測定不能(エアコンの運転音に掻き消される)
ハンディファンを「中」で運転すると、かなりの風量がある。しかも風速11km/hで、運転音は96db! なんとカラオケ店内や工場レベルの騒音!

首に掛けた後はスイッチONですぐに首が冷たくなり始める。しかし電源ONから数十分は、首だけヒンヤリするだけで、なかなか体が冷えてこないのでもどかしい。

天候などにも影響されると思うが、筆者が使ってみた限り30分はもどかしさを感じるだろう。しかしそれを過ぎると、「あれ? 気温の割には涼しいぞ!」と実感できるだろう。

ネッククーラーをつける前は、腹部が33.8℃
強でおよそ1時間後。腹部は30.5℃まで3℃以上下がった

また首元が冷えすぎて冷たい、痛いということもない。この感覚を文章でお伝えするのは非常に難しいが、首周りに熱さまシートを貼った瞬間の冷たさが続くという感じだ。

全身のサーモグラフィを見ても分かるとおり、1時間ほどで体全体の表面温度が下がっていることが分かるだろう。節電でちょっとオフィスが暑いと感じる方、外回りが多い方などにオススメしたい。

昨年も同様の製品が大プレイクしたサンコー。今年はより装着感が良くなって違和感なくつけられる。価格も公式サイトなら5,980円とお買い得だ。

気温27℃だが、左右の冷却部はおよそ14℃低い! 冷たすぎず、温すぎずちょうどいい!

藤山 哲人

家電の紹介やしくみ、選び方や便利な使い方などを紹介するプロの家電ライター。独自の測定器やプログラムを開発して、家電の性能を数値化(見える化)し、徹底的に使ってレビューするのをモットーとしているため「体当たり家電ライター」との異名も。 「マツコの知らない世界」(番組史上最多の5回出演)「ゴゴスマ」(生放送2回)「華大の知りたいサタデー」(生番組4回)「アッコにおまかせ」「NHKごごナマ」(生放送2回)「カンテレ ワンダー」(5回)「HBC 今ドキ!(生中継4回)」はじめ、朝や昼の情報番組に多数出演し、現在インプレスの「家電Watch」「PC Watch」やサイゾー「ビジネスジャーナル」などのWeb媒体をはじめ、毎月ABCラジオなどで連載やコーナーを持っている。 趣味は、鉄道、飛行機、バス、車の旅行や写真とシステム&構造。電子工作、プログラム。あと神社めぐり。

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