老師オグチの家電カンフー
増殖する「肩掛け家電」の謎
2020年6月10日 07:30
モバイル扇風機やネッククーラー、スピーカー・イヤホンなど、この頃やたら目立つようになった、肩に掛けて使うタイプの製品。肩がモバイル家電の一等地になってきたようです。タイトルには「謎」と書きましたが、理由はいくつか考えられます。
まずは、目や耳、口といった、情報をやりとりする器官が頭部に集中しており、そこに近い肩は置き場所として安定していること。それでいて重さも感じにくい。さらには、ハンズフリー。
たとえば、初期のワイヤレスイヤホンではバッテリーなどを含む本体が大きく重くなりがちだったので必然的に肩掛けタイプになりました。その後、イヤホンは左右分離型が登場し、肩の土地が空きがちになったこともあり、肩掛けならイヤホンでなくても良くない? と肩掛けスピーカーが誕生する流れになった気がします。耳を塞がないので開放感がありますし。
この季節にリリースが増えるのは、涼を取るためのアイテムです。首には太い血管が近くを通っているので、ここを冷やすことで体温を効果的に下げられます。今年はマスクで顔面に熱がこもりがちになるので、例年以上に売れるかもしれません。
首なら脈拍も取れるでしょうから、血圧や心拍数、体温、呼吸数を計測して、温度やマッサージでリラックスを促進するような製品も考えられます。もしくは、マスクに代わるウイルス対策の製品が開発されれば、それが肩掛けタイプになるでしょう。
「首を取る」「首根っ子を押さえる」「巨人の肩に立つ」「肩の荷が重い」といったフレーズがあるように、肩や首は、人体にとっても要所です。頭と身体を結ぶ、人体のイスタンブール。そういう意味では、ヘルスケア分野の製品が本命な気がします。ネックレスぐらい重さを感じさせないものになれば、リストバンドタイプの活動量計に取って代わるかもしれません。
手首なら左右ありますが、首回りはひとつなので陣取り合戦は今後加速していきそうです。陣取り合戦といえば、家電 Watchの編集長も替わりました。この陣地(連載)にて3人目の大将(編集長)。肩の力を抜いたまま続けつつ、クビにならないよう精進する所存です。