家電製品ミニレビュー
塊肉の回転焼きからノンフライ調理、トーストまでできる! サンコー「塊肉回転コンベクションオーブン」
2018年5月28日 07:00
最近、ローストビーフを簡単に作れるレシピや、低温調理などが流行り、家庭でも塊肉を食べる機会が増えてきている。今回取り上げるサンコーの「塊肉回転コンベクションオーブン」もそんな流れを受けて発売された製品だ。もともと、サンコーはPCやスマホの周辺機器を主に取り扱っていたメーカー兼輸入代理店で、昨年から積極的に生活家電や調理家電を展開している。早速、「塊肉回転コンベクションオーブン」の実力を試してみた。
メーカー名 | サンコー |
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製品名 | 塊肉回転コンベクションオーブン |
実勢価格 | 1万2,800円 |
多彩な調理ができる「塊肉回転コンベクションオーブン」
まずは外観から見ていこう。サイズは約350×435×365mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は6.3kg。本体はドーム型となっており、一般的な炊飯器やノンフライ調理器よりも大きく、キッチンに置くと存在感は非常に大きかった。
本体上部のハンドルを持ってフタ持ち上げると、内部にアクセスできる。フタの前方には操作パネルが配置され、電源のオンオフ、モード選択、温度やタイマーのセットなどができる。このフタの内側にヒーターとファンが配置され、上部ヒーターからの放射熱と、ファンが起こす対流熱により、食材が焼ける仕組みだ。
庫内への食材の設置方法は2つある。1つは付属の焼き網を敷いた上に置く方法だ。ノンフライ唐揚げやトースト、揚げ物の温め直しなどに利用できる。
そしてもう1つがこの製品の特徴でもある、付属の焼き串に食材を刺して焼く方法だ。この串は、加熱と同時に自動でぐるぐると回転させることができる。この機能によりヒーターを配置した上面だけが焦げたりせず、塊肉でも全面をしっかりと焼けるというわけだ。
プリセットもあるが焼き時間や温度は手動が楽
早速塊肉を焼いて、ローストビーフを作ってみた。用意したのはオーストラリア産の肩ロース肉。400gほどの重さだ。横から焼き串を刺し、さらに付属のフォークで肉を固定する。このフォークによって、串だけが回転する空回りを防ぐことができる。
残念ながら「塊肉回転コンベクションオーブン」には、詳しいレシピが付属しない。付属マニュアルでは「調理時間の目安」と、プリセットされている「調理メニュー」の設定内容が記載されており、それらを参考に調理していくことになる。レシピ通りにしか料理をしたことがない人には使いにくいかもしれない。
ローストビーフはプリセットの「BBQ」モードを利用して焼いてみた。これは190℃で15分間、串を回転させながら焼くモード。事前に5分ほど予熱を行なった上で焼き串をセットした。スイッチを入れると庫内で焼き串に刺さった肉が回るのが、フタの窓から見える。ヒーターでの加熱時は、その光で中の様子が分かるのが嬉しい。
また電源が入るとファンが回転するため、風切り音が響く。動作時の音量はかなり大きめだ。タイマー時刻の15分が経過すると、アラームが鳴りファンが停止する。また動作時間中にフタを開けるとヒーター、ファンともに停止する仕組みになっていた。
塊肉には、当然ながら15分では中まで火が通らないため、しばらく庫内に置いておく。その時アルミホイルなどで肉を包んで保温すると良いだろう。30分ほど寝かせたところで肉を取り出し焼き串を抜いてカットした。肉の内部はまだ赤く半生のまま。ローストビーフとして成功といえる出来栄えだ。
今回のローストビーフは成功したが、肉の形による加熱ムラは比較的起きやすく、また内部までしっかり火を通すための工夫も必要だ。今回のように保温して火を通すほか、より低温で加熱して中まで火を通し、最後に表面に焼き色を付けるという使い方もできるだろう。加熱温度は、50~230℃で調整可能なので、温度や加熱時間を手動で設定すれば、いろいろな料理ができそうだ。
肉以外にもいくつかの食材に挑戦した、季節的にサンマは手に入らなかったため鮎を焼いてみたが、これも美味しくできた。ただし加熱の途中に、内臓が飛び出してしまうことがあったので、切れ目などを入れて破裂を防ぐといいだろう。
またマニュアルに掲載されている焼きとうもろこしにも挑戦してみたが、焼く以前に、付属の焼き串でとうもろこしを貫通できなかった。付属の串が太めなので、回転焼きの食材選びが重要になってくる。回転焼きを楽しむなら、焼き串をしっかり刺せる、もしくはフォークで固定できる食材をチョイスしよう。
たっぷりとノンフライからあげが作れる
続いて、ファンによる対流熱を利用したノンフライ調理に挑戦してみた。まずは基本となるのがノンフライ唐揚げだ。鶏モモ肉に衣を付けて焼き網に置いていく。多くのノンフライ調理器と比べて焼き網が広いため、一度に作れる量は多そうだ。約300gのモモ肉1枚分を置いても余裕があった。
ノンフライ唐揚げはマニュアルモードを利用。210℃、15分でセットした。色付きはそれほどでもないが、裏返したりする手間もなく、15分でノンフライ唐揚げが出来上がった。写真は粉をはたいたタイプでこれも美味しくできたが、さらに水に溶いた衣をまとったノンフライ唐揚げは、よりジューシーに出来上がった。
気になったのは焼き網の隙間がちょっと大きいこと。唐揚げなら、大きめにカットしないと隙間から落ちたり垂れたりしてしまう。同様にフライドポテトなども調理したが、焼き網の隙間に対して直角になるように置かないとこぼれてしまった。この焼き網の間隔の広さはその他の調理でも気になることがあった。
とは言え、焼き網を使った焼き物は汎用性が高く、焼き魚やステーキなどもできる。特に上面だけを焦がしたい、魚の干物などにも向く。
最近は、家庭で揚げ物を作ることが減り、コンビニやスーパーなどで買ってきたお惣菜の揚げ物を食べる「中食」の傾向がある。そこで市販の揚げ物の温め直しも行なってみた。用意したのはコロッケやフィッシュフライなどのフライものと春巻きだ。付属のマニュアルを参考に、焦げないよう、200℃で10分ほど加熱してみた。
この温め直しは非常にカリッと美味しくできた。特によかったのが春巻きだ。お惣菜の春巻きはどうしても皮がべちゃっとしてしまい、また揚げたてと比べて脂っぽくなる。しかし「塊肉回転コンベクションオーブン」で温めると皮がパリッと再生され、さらに余分な油も落とすことができた。トースターでも同様の温め直しはできるが焦げやすい。「塊肉回転コンベクションオーブン」なら、熱風で加熱できるため焦げるよりも早く油を落とし、皮の水分を抜いてパリッと仕上げられる。
トーストも焼けるが、水分は抜ける
さらに日常的な使い方として、「塊肉回転コンベクションオーブン」ではトーストも焼ける。通常の食パンなら、焼き網の上に2枚置ける。庫内スペースはもう少し余裕があるが、焼き網に突起があるため、1度に2枚となる。最高温度である230℃で7分程焼いてみた。ヒーターに近い上面は、まんべんなく焦げ目が付くのだが、残念ながら下面に焦げ目はつかなかった。両面を焦がしたい場合は、途中で裏返す必要がありそうだ。
表面がカリッと焼けているように、食感もカリッとしていた。ただし、熱風を利用していることもあり、パンの水分は奪われ気味。高級トースターのように「内部はしっとり」とはいかなかった。より美味しくパンを焼くためには、事前に霧吹きで水を吹くなどの人技が求められそうだ。
逆に、ヒーターが上部にあるため、ピザトーストのチーズには焦げ目が付けられる。上面をしっかり焼きたいというレシピに向くようだ。
3週間ほど使ってみた「塊肉回転コンベクションオーブン」だったが、塊肉を回転させて全面こんがりと焼ける機能を持つ家庭用の調理家電は、それほど多くない。この機能に加え、実用性の高いノンフライ調理やフライものの温め直しもできる本機は、素直に便利だと感じた。
本体サイズは大きいが、見た目よりも軽いため、普段はしまっておいて、使うときだけ取り出すといった使い方もできるだろう。ただしフタは、閉じた状態ではロックできないため、動かすときには注意が必要だ。
調理性能としては、多機能で便利に使える分、ファンが止められないために乾燥が気になった。とはいえ、肉類などは表面に油を塗ることで、パンは霧吹きで、乾燥を防ぐことも可能だ。
と、気になった点も多いが、1万円台で、これだけ多くの調理がこなせるのは便利だ。朝食ではパンを焼き、夕食では焼き魚やノンフライ唐揚げなどが楽しめる。また忙しい日には、買ってきた揚げ物を美味しく温め直せて、週末にはローストビーフやチャーシューなどの塊肉のグリルを堪能するといった具合に、様々な調理を楽しめる調理家電といえるだろう。