家電製品ミニレビュー

外国語コンプレックス解消! コミュニケーションに活かしたい「ウェアラブル翻訳機 ili」

 誰にでも何かしらコンレックスはあると思いますが、私が感じるいくつかのコンプレックスのうちの1つが英会話です。ここ数年は取材現場で感じるシーンも増えてきて、悩みは増すばかり。昨年は一念発起して中学英語の復習から始めていますが、私以外にも外国語に苦手意識を強く感じる方は多いのではないでしょうか。

そんな背景もあり、昨年スティック型の「ウェアラブル翻訳機 ili(イリー)」が登場したときは驚きました。

ウェアラブル翻訳機「ili(イリー)」
メーカー名ログバー
製品名ウェアラブル翻訳機 ili(イリー)
実売価格21,384円

 翻訳機能といえば、スマートフォンのアプリにもたくさんありますし、双方向の翻訳機能を売りにした製品もある中で、iliの翻訳は旅行に特化していて、しかも長文の翻訳は苦手。翻訳も日本語から英語や中国語、韓国語など一方向。極限まで機能がそぎ落とされていて「高機能なアプリや製品もあるのに、そんなの出して大丈夫なの?」と冷めた目で見ていたものです。

 もともと法人向けサービスでスタートしたiliでしたが、評判はなかなか良かったようで、2017年の12月末には2018年モデルの個人向けの販売も開始。開始されたとき、私も思わず買ってしまいました。なぜって、やはり翻訳機は1つくらい持っていたいと思ったからです。

 このili、ちょっとクセのあるやつですが、シーンによっては非常に便利に使えそうです。

オリジナルのネックストラップと本体、付属のネックストラップ、USB充電ケーブル、カタログ

旅行に特化したオフラインで使える翻訳デバイス

 iliの本体サイズは33×13×121.8mm(幅×奥行き×高さ)で、重さわずか42g。リチウムイオンバッテリーを内蔵しており、約3時間のUSB充電で約3日間使い続けられます。法人向けモデルの利用時間は約1日だったので、進化しているようです。

重さわずか42gなので、首から提げてもまったく負担になりません

 本体には、メインボタン1つ、LEDランプ、上下2つのサイドボタンしかありません。LEDランプが白は待機中、赤は認識失敗または充電中、緑は充電完了、黄色はバッテリー残量が少なくなったことを意味します。

 電源を入れておくとボタンを押すだけで約0.2秒で起動。下側のサイドボタンを長押しすると、英語→中国語→韓国語の順で言語を切り替えられます。切りかわるタイミングで日本語でお知らせ。1度変更したら、次に切り替えるまで言語は固定されます。

裏にはスピーカーが
電源のオンオフ、言語切り替えなどができるサイドボタン
USB充電端子

 あとはメインボタンを長押ししながら日本語で話すと、ボタンを離したタイミングで指定言語に翻訳されます。インターネットへの接続を必要としないので、電波の届かない環境や、現地のSIMを購入していないときでも安心して使えますし、スマートフォンを使わないので、スマートフォンの画面を見せながら話しかけることができます。地図や資料を見せながらききたいことがあるときに便利です。

話し始める前に押し、押しながら話します
話し終わったらボタンから指を離します

 翻訳結果を相手が聞き取りにくかったときは、もう1度メインボタンを押すとリピートします。下側のサイドボタンを押すと話した日本語を再生するので、きちんと認識されたかどうか判断できるようになっています。音量調整ボタンなどは一切なく、音声の変更もできません。

 旅行時の会話に特化しているので、商談、交渉、専門用語や業界用語、医療現場でのやりとり、長い文章や複雑な文章は苦手です。できるだけ短くシンプルに話すことで、精度の高い翻訳が可能になります。

日常会話でも活用できそう

 すでに海外旅行での利用実績があるようですが、私の場合、海外展示会に持参したものの、なかなか出番がありませんでした。毎日首から提げていたのに、かなり緊張していたせいか、持っていることを忘れる始末。メーカーのブースでは音声スピーカーの利用に小部屋が用意されるほどの喧噪に包まれていたので、利用に不向きだったということもあります。加えて宿泊したホテルでも、あえてホテルのスタッフ話しかける必要が生じず……。

 一瞬使おうかと思ったシーンもあったのですが、翻訳後の音声が独特で甲高い声なので、ためらいが生じたときもありました。最初にどのタイミングで取り出すか、照れをどうするか。これらはiliのハードルかもしれません。

 iliは国内では出番がないのか!? 海外にいく人じゃないとダメなのかな? と思いましたが、よく考えたら日本の観光地では、旅行に来た外国人を相手に利用することもあるわけです。とすれば、もし相手もiliを持っていたらプライベートでもコミュニケーションが成立する可能性大! もし相手が持っていなくても、行間や空気を読むのが日本人。相手が言いたいことを想定して話しかけてあげてもいいわけです。

 そこで、デートシーンを想定していろんなフレーズを試してみることにしました。英語を話す外国人の友達に実際に聞いてもらったところ、以下のフレーズはiliで翻訳できました。確認したのは英語だけなので、中国語や韓国語は分かりませんが、翻訳できるフレーズ集を独自に作っても面白そうですね。

デートで使えるかもしれないフレーズ集

* はじめまして。私の名前は~です。
* お会いできて嬉しいです。
* 遅くなってごめんなさい。
* 連れて行ってもらえませんか?
* 迎えに行きます。
* どこで待ち合わせますか?
* ボーリングに行きませんか?
* テニスしませんか?
* 私はお金がありません。
* あなたは綺麗ですね。
* そのネクタイは素敵ですね
* ステキなヘアスタイルですね。
* ステキな笑顔ですね。
* あなたはかわいいね!
* あなたはかっこいいね!
* 今日はいい天気ですね
* 今日は暑いですね。
* コーヒーを飲みませんか?
* 年はいくつ?
* 飲もうよ!
* ねえ遊ばない?
* 踊らない?
* 日本にきたのはいつですか?
* 日本はどうですか?
* 何人家族ですか?
* 兄弟はいますか?
* 今どこに住んでいますか?
* 仕事はなんですか?
* 私はライターです。
* 私はフリーランスです。
* 私は品川で働いています
* 私は自宅で働いています
* 今日の仕事は何時に終わりますか?
* 今日は予定はありますか?
* 今日はどこに行きますか?
* どこに行きたいですか?
* あそこに行きませんか?
* なぜそう思うのですか?
* それは不思議ですね!
* すごいですね!
* あなたはいい人ですね!
* 私と一緒に写真を撮りませんか?
* この写真を送ってくれませんか?
* 日本語を話せますか?
* あなたの母国語はなんですか
* あなたは日本語をどこで勉強したのですか?
* あなたの日本語は上手です。
* 私は英語が苦手です。
* 何か食べたいものはありますか?
* 食べられない物はありますか?
* 焼き肉は好きですか?
* 餃子を食べませんか?
* あのレストランに行きませんか?
* どちらの席がいいですか?
* その料理は美味しいですか? (特定の料理名はNG)
* 他に注文したいものはありますか?
* お腹がいっぱいです。
* 私がご馳走します。
* 美味しそうです。
* この料理がおすすめです。
* これも美味しいですよ。
* 楽しんでいますか?
* 私が半分払います。
* 朝まで飲もう!
* 私のことをどう思いますか?
* 私はあなたが気に入りました。
* 私の彼氏になってくれませんか?
* 私と結婚してください。
* 私の両親に会ってください。
* 結婚していますか?
* 浮気をしたことはありますか?
* 子供はいますか?
* 一人暮らしですか?
* あなたの部屋に行ってもいいですか?
* ペットを飼っていますか?
* 家で映画をみませんか?
* コンドームはありますか?
* 電気を消してもいいですか?
* 私は今生理です。
* 近づかないで!
* ほっといて!
* うるさい!
* 静かにしてください
* 警察を呼びます!
* 帰りたくありません。
* 終電は何時ですか?
* そろそろ眠くなってきました。
* 眠いですか?
* もう帰らなくてはいけません。
* 今日は楽しかったです。
* また会えますか?
* 次はいつ会えますか?
* 今度一緒にいきましょう!
* あなたの電話番号を教えてください。
* LINEありますか?
* 電話をしてください。
* ぜひまた会いましょう!
* 今日は時間がありません。
* 今日はどうもありがとう。
* また明日!

 わずかないい方の違いで意味が通じなくなることもありましたが、前述のフレーズなら翻訳されることを確認しています。そのシーンでさすがにiliは使わないのでは? というのもありますが(笑)ニーズは人それぞれです。

 気をつけたいのは、特定の料理名をいれたフレーズは誤認識されやすいということ。鮨や天ぷら、餃子などの非常に有名なものはいいですが、すべてのメニューをそのまま認識して発音してくれるわけではありません。モノの名前や食材名も同じで、「枡」「鱒」「~ます」などのフレーズを聞き分けるのは苦手。「お茶」は「ジャパニーズティー」になるので、珈琲なども含む意味で「お茶しましょう」は使えません。

 主語をつけて、はっきりゆっくり話すのもうまく訳すためのポイントです。「その~を」と言い始めると間違えやすいようですが「その」を明瞭に言えばOK。

 スマートフォンの翻訳アプリも非常に便利なので、込み入った内容を伝えたいときは、自分自身も「これを読んで!」とばかりに画面を見せることもあります。しかし、頼り切るあまりどうしても1文が長くなりがちで、主語を抜かしてしまう日本語の特性上誤訳の発生率も高まります。試行錯誤していると、相手を待たせることになりますし、会話のリズムも失われてしまうというデメリットが生じます。いくら意思疎通のための翻訳とはいえ、スマートフォンばかり見ていたらお互い楽しくないでしょう。

相手の目を見ながら話せます
話し終わったあとにiliを見なくていいので、相手のリアクションに集中できます

 iliの良いところは、言いたいときに相手の目を見ながら話せて、しかもすぐ訳してくれるところ。たとえ訳が微妙でもどかしくても、目を見て話せたほうが「気持ち」は伝わりやすくなります。

 外国語コンプレックスのある人間の悩みとして「質問できても答えが何を言ってるのか分からないし」というのがあります。しかし、iliを使うと、最初からこちらが相手の言語を話せないことは明白ですから、いきなり長文で返されることはほぼないといえます。でも「あなたと話したい」という熱意は伝わります。これ、結構大事なポイントです。

 前述のフレーズ集だけですべての会話が成立するとはいえませんが、その一言をきっかけに場が和んだり、身振り手振りのやりとりが始まったりします。iliでコミュニケーションのきっかけをつかんでみましょう。

すずまり

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