家電レビュー
ドラム式洗濯機をアクアの「まっ直ぐドラム2.0」に買い替えて大満足
2024年4月9日 08:05
AQUAのドラム式洗濯乾燥機「まっ直ぐドラム2.0 AQW-DX12P」(以下、AQW-DX12P)。2023年10月に発売された、同社「まっ直ぐドラム2.0」シリーズの最上位モデルだ。
長年愛用していたドラム式洗濯機が不調になり、ついに買い替えを決意し、検討の末、選んだのが本製品だ。今回は、買い替え後、1カ月あまり使用した所感をレビューする。
基本仕様は、洗濯容量12kg、乾燥容量6kg。これまで使用していたドラム洗がそれぞれ9kg、6kgだったのに対し、洗濯容量は3kg増となった。購入当時から家族構成は変わらないものの、子供が大きくなるにつれ、衣類の大きさも量も増え、ここ数年は少々容量不足を感じていたことから、AQUAのドラム洗のラインナップの中では最大容量となる本モデルを選んだ。
同社フラッグシップの「まっ直ぐドラム2.0」シリーズは、いずれのモデルもドラム槽を傾けず、水平に配置することで、デッドスペースを少なくして、ドラム式としては奥行きや高さを抑えたコンパクト設計であることから、設置のしやすさでも消費者に選ばれている人気の製品だ。
本体サイズは、59.5×68.5×94.3cm(幅×奥行き×高さ)。これまでもレビュー用の試用機を含めて複数のドラム洗を使用したことのある我が家では、サイズや設置性はあまり考慮する必要はないが、これまで使用していたドラム洗よりも容量は増えていながらも、コンパクトな点はやはり好印象だ。
買い替えで決め手となったのは、第一に価格だ。日本の大手メーカーのドラム洗は年々値上がりの傾向にあり、加えて一部のメーカーで指定価格制度の導入もあり、かつてのように発売後の値下がりも見込めない。
高価格な製品は、機能・性能・デザイン性のいずれをとっても優れており、確かに魅力的だが、購入時点での本製品との価格差は15万円前後。有能さはわかっているものの、予算内の範囲で性能・機能を比較・検討した結果、約20万円の本製品を購入するに至った。
というわけで、晴れて我が家にやってきたAQW-DX12Pだが、シンプルで落ち着きのあるデザインで、我が家のサニタリールームとの相性もよく、気に入っている。購入前に店頭で確認した際は、他社製品と並んでいたこともあり、ドア部分が出っ張っていて少々“出べそ”にも見えていたが、実空間ではまったくそのようには感じられない。
購入前に目についた難点は操作性。操作部は「LEDタッチパネル」が採用されており、本モデルでは一部がアイコン表示に改良され、従来モデルよりも操作性が向上しているが、まだまだコース選択など多くの操作を番号で選ぶ必要があり、使い始めからしばらくは取説が必須。
スマホライクな表示・操作部を採用し、直観的に操作ができる他社の最上位モデルに比べると最初のうちはやはり不便。しかし、そこは価格差にあるとガマンして使っているうちに慣れてきて、不便さは次第に解消されるようになった。
洗濯後に衣類絡みがほとんどなし
前述のとおり、本製品をはじめシリーズで特徴的なのが、まっすぐ水平に配備されたドラム槽。構造上、洗濯運転時はドアを途中で開けることができない。斜め配置のドラム洗では開けることができていたので、途中追加で洗濯物を入れられないのが残念だったが、使っているうちに割り切れるようになった。
また、洗濯物量が多い場合には、終了後にドアを開けると、洗濯物が外に飛び出してしまうことがある。それも最初のうちだけで、容量に注意して、少し気を付けていれば次第に問題に思うことはなくなった。
一方で、大いにメリットだと感じるのは、洗濯運転終了後の衣類の絡みがほとんどないこと。AQUAは衣類を優しく洗うことにこだわっているメーカーだが、確かに洗濯運転終了後の衣類にシワが少ないことに感動した。
これまで使用していたドラム洗に比べると、おそらく脱水時の回転数が控えめであることも関係しているように思われる。シワを抑えられる反面、乾きは少し時間がかかってしまうが、回転数をカスタマイズすることもできるため、厚手のものなどは手動で設定して調整すればよい。
加えて、地味に優れていると感じたのが、本製品で新たに追加された「脱水~乾燥」運転だ。洗濯運転後に、乾燥機を使用できない衣類を取り出してから、改めて残りの衣類を乾燥をすることも多いと思うが、その際に選ぶと便利なモードだ。
乾燥運転する前にもう一度しっかり脱水を行なってから乾燥運転をスタートするため、乾燥運転そのものの時間を短縮できる。スタート後に脱水運転の時間がプラスされるため、全体的な終了時間の大幅な短縮になるわけではないが、乾燥運転が短いぶん消費電力量が抑えられ、経済的で気が利いたモードだ。
Aiウォッシュをメイン利用
運転モードはいろいろと試してみた結果、我が家では毎日の基本的な洗濯には「Aiウォッシュ」コースを選択している。独自のセンシング機能により、水の温度や硬度、洗剤の種類、汚れの量、布など10種類の状況を検知して、洗い時間や洗剤量を自動で調整してくれるコースで、洗濯時間も30分弱とスピーディー。
自動洗剤投入機能と併用することで、コースを選んでスタートボタンを押してからは何もする必要がなく、手間なしだ。いまや各社の上位モデルではスタンダードになりつつある自動洗剤投入機能だが、計量の手間を省けるだけでなく、AIで全部判断してくれるので、洗剤量の不足や過多などによる、無駄な洗剤消費や洗剤残りなども防げるのが有用だ。
残念ながら、「Aiウォッシュ」コースでは利用できないが、一部のコースでは「お湯洗い」を設定できるのも便利だ。しかも水温は、20℃、30℃、40℃、60℃から設定することが可能で、目的や素材に応じて柔軟に選べる。
ただし、「お湯洗い」設定時は、例えば20℃(冬場の洗濯向け)・2kgで35分、40℃(皮脂汚れ、臭いが気になる衣類向け)・12kgで2時間5分といったふうに運転時間がそのぶん追加されてしまうため、我が家の洗濯ルーティンでは、毎回の使用は難しく、時間に余裕のある時に、お湯洗いを実施することで、定期的に衣類をディープクレンジングするオプション的に利用している。
「セレクトコース」の中でも、我が家で特に活用しているのが、「2度洗い」コースだ。予洗い10分、本洗い12分、ため濯ぎを3回行なってくれる、泥洗いに適した容量6kgまでに対応したコースだ。「念入り」という似たようなコース(容量12kgまで)も用意されているが、そちらは洗い15分、ため濯ぎを2回行なうコースで、食べこぼしや油汚れなどの頑固な汚れに適している。
泥や汗に濡れた子供の部活着をほぼ毎日分け洗いしている我が家では、念のため、従来どおり泥汚れ洗剤に漬け置いたものを、汚れの度合いに応じて、その後、「Aiウオッシュ」または「2度洗い」コースで洗い分けている。
プラスして、定期的に40℃のお湯洗いも行なうと、皮脂による黄ばみやニオイがスッキリ取れる。洗濯物の香料が苦手で、洗剤は無香料のものを使用しているが、消臭能力の高さに快感を覚えるほどだ。
AQUAと言えば、中国のハイアールグループの企業だが、洗濯機の技術は旧三洋電機のDNAを引き継ぐメーカーで、現在も業務用のコインランドリーの部門では、日本ではシェアナンバーワン。
個人的に、サンヨーと言えば、“オゾン洗い”の印象を今でも強く持っているが、本製品にはその技術は採用されていないものの、消臭能力の高さには最初から驚かされた。
オゾン洗いに代わる機能として、最上位機種である本製品に搭載されているのは、“熱・UVパワフル除菌”機能だ。洗濯槽と外槽の間に、UV-C波長の紫外線ライトを搭載し、洗い・すすぎの運転中や乾燥・エアウォッシュのはじめにUVライトを照射して槽内の水・空気をキレイにしながら温水や温風で衣類を除菌してくれる。
買い替え前の洗濯機では、コロナ禍中の生活習慣で除菌目的で毎回洗濯時に酸素系漂白剤を投入していた。しかし、本製品に買い替えてからは、除菌・消臭は洗濯機だけで十分と使用を止めるようになった。
実はAQUAのドラム洗は風呂水給水機能を搭載していない。節水のため、個人的に以前はこの点を難点に思っていたが、水道代分は洗剤代で相殺できていると考えている。清潔さにこだわることをコンセプトにした製品であることを思えば、確かに本製品においては風呂水の再利用はその意に反してナンセンスかもしれない。
エアウォッシュプラスでダウンがふかふかに
本製品のもう1つの魅力は、「エアウォッシュプラス」。温風ミストとUVライトによって、水洗いできない衣類や布製品の除菌・消臭・シワ伸ばしができる、従来から搭載されている人気の機能だ。
本モデルでは銀イオンが溶け込んだミストによるコーティングで抗菌までできる機能が新たに追加されて、「エアウォッシュプラス」として進化している。
過去に記者発表会で「エアウォッシュ」による、ダウンジャケットやシャツのシワ伸ばし、消臭のデモンストレーションを体験したことがあり、魅力を感じていた機能だが、基本的にクリーニング店に依頼している衣類を家庭で簡易的にキレイにできるのはありがたい。
ちなみに、「エアウォッシュプラス」機能には5つのコースが用意されている。シワ伸ばし・ふんわり仕上げ、消臭、除菌、抗菌までをすべて行なういわゆる“フルコース”は「標準80分コース」。抗菌を省いた「標準60分コース」とともに、温度は約75℃に設定されている。
シワ伸ばし・ふんわり仕上げと消臭を行なう「標準30分コース」は約55℃の温度設定。他に、約45℃の温度設定で消臭する「おしゃれ着20分コース」と、約40℃で抗菌のみを行なう「抗菌25分コース」がある。
早速、エアウォッシュをフルで行なう「標準80分コース」をダウンコートで試してみたところ、中綿がフカフカになり、しっかりと消臭されており、その仕上がりに感動した。
冬用のコート類はよほどの汚れでない限り、着用後に軽く陰干しする程度で、シーズン終了後の衣替えの時ぐらいしかクリーニングに出していなかったが、水洗いせずに家庭でそこそこキレイにでき、かつ抗菌までできるのはうれしい。
期待していた子供の冬の制服のエアウォッシュは素材がウールのため、残念ながら「おしゃれ着20分コース」しか利用できないが、わずか20分で消臭だけでもできる手軽さはやはり便利。素材によってはスーツや制服も抗菌まで行なえるのでかなり有用だ。
それ以外にも我が家では、自然乾燥後の綿のシャツをエアウォッシュで30分のシワ伸ばしと消臭。プレスしたようにはならないが、洗濯機に放り込んでおくだけで何もせずにシャツがそれなりにシャキッとするのは助かる。
これまでは衣類スチーマーで行なっていた消臭やシワ伸ばしをする必要がなくなったため、衣類スチーマーの出番が激減した。他にも色落ちさせたくないので、毎回は洗わないデニムなどもエアウォッシュでケアをしている。
一方、乾燥機能は以前使用していたドラム洗が乾燥機能に定評のある製品だったため、多少のスペックダウンは仕方がないと容赦していたが、仕上がりに関して現時点で不満点はひとつもない。面積の大きなものは大風量で布を広げて乾燥させる方式には及ばないものの、タオルや靴下などの小さな衣類の乾燥がほとんどなのでこれまで愛用していた製品とまったく遜色のない仕上がりに満足している。
他にも、軽い汚れの化繊衣類を洗濯・乾燥するのに適した「スピードコース」が用意されているが、容量2kgまでで洗濯運転は15~19分。容量12kgまでに対応する「Aiウォッシュ」で洗った場合でも30分を切るため、大差がなく、我が家では今のところあまり使っていない。
洗濯~乾燥の場合は、運転時間が54~57分と1時間弱でスピーディーだが、容量500gまでのため、使用機会がかなり限定されてしまい、"帯に短し襷に長し"といった感じがするのが正直なところだ。
大手国内メーカーの上位モデルと同様にお手入れ性も優秀。「乾燥フィルター自動おそうじ」と「ドアパッキン自動おそうじ」により、乾燥フィルターやドアパッキン周りのお掃除の頻度は週1~2程度。
さらに、本モデルから新たに追加された、洗濯のたびに洗濯・脱水槽の除菌と黒カビ抑制を行なう「カビケア槽自動おそうじ」と、脱水後に1時間ヒートポンプで乾燥する「らくらく槽乾燥」も利用でき、自動メンテ機能もなかなか充実している。
本製品に買い替えて1カ月あまりだが、今のところ、不満に思うことはない。より高価格帯の“至れり尽くせり”な製品と比較すればもちろん物足りない要素はあるだろうが、機能・性能から評価すると、個人的には「お値段以上」と言える満足度だ。
昨今のトレンドである、Wi-Fi接続やスマホアプリとの連携といったIoT的な機能はないものの、“衣類をキレイする”という洗濯機の本質からは一切外れることなく、むしろそれに関わる性能と機能を強化しつつも、エアウォッシュという独自路線の機能がプラスされたキラリと光る個性もある。さらには、コンパクト化が図られており、足し算と引き算のバランスがとても巧みで、陰の実力機と評価したい。