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体温で発電するスマートウォッチ「MATRIX PowerWatch」が日本上陸

 温度差発電ソリューションを世界展開する米国のMATRIX INDUSTRIES(マトリックス インダストリーズ)は、世界初の体温で発電するスマートウォッチ「MATRIX PowerWatch(マトリックス パワーウォッチ)」を、4月12日に日本で発売する。第1弾として、ナイロンストラップ&シルバーベゼルの「PowerWatch Silver」と、マグネット留め具のミラネーゼストラップ&オールブラック仕様の「PowerWatch Black Ops Pack」の2型を展開。価格は順に32,800円、37,800円(税抜)。

「PowerWatch Silver」
「PowerWatch Black Ops Pack」

 温度差発電技術を活用した、体温で発電するスマートウォッチ。ユーザーの体温を動力源とするため充電の必要がなく、身につけているだけで駆動し、ユーザーの消費カロリー、活動量、睡眠を測定することができる。これらのデータは、Bluetooth接続により専用アプリで管理可能。

 温度差発電は熱移動を電気に変えるテクノロジー。電気は伝えるが熱をそれほど通さない性質を持つ半導体チップが使われ、このチップの表裏に温度差が発生すると電流が発生する仕組みとなっている。また、この温度差が大きければ大きいほど発電量がアップするという。

 MATRIX PowerWatchは、ケース裏にチップを採用。発電効率の高い素子を使い、低い電圧を3〜5Vに引き上げる技術を取り入れ、時計のケース裏面と肌の表面の温度差が常に1℃以上ひらくように設計することで、体温で発電するスマートウォッチを完成させた。

発電効率に優れたロスの少ない半導体チップ、小さな電力を大きくするブーストコンバーターを開発
常に温度差が生まれる状態に設計し、体温での発電を可能にした

 ケースの温度に影響する外気温と、肌の表面温度をディスプレイに表示でき、自身による発電量もグラフで表示。リチウムイオン電池を内蔵し、身につけていない状態ではデータ保持のみの低電力モードとなるため、数ヶ月は電池切れの心配がないとしている。

 「PowerWatch Silver」「PowerWatch Black Ops Pack」ともにスペックは共通で、ケースサイズは46×12.5mm(直径×厚さ)。重量は50〜60g。50m防水で、専用アプリはAndroid/iOSに対応。この2型には通知機能はないが、通知機能を搭載したハイエンドモデル「PowerWatch X」を5月に発売予定だという。

加速度センサー内蔵で歩数などの活動量を測定できる
測定データはBluetooth接続により専用スマホアプリで管理可能

人間の体から放出される熱エネルギーは100W

マトリックスインダストリーズ CEO アクラム・ブカイ氏(中央)、同社CTO ダグラス・タム氏(左)、ビジネスデベロップメント担当 ニコル氏(右)

 発表会には、マトリックス インダストリーズのCEOら3名が登壇した。アクラム・ブカイCEOは、温度差発電ソリューションの可能性について以下のように語った。

「人間の熱エネルギーは理論上では100W発電でき、アスリートともなると1kWまで上がると考えられています。我々が開発した温度差発電技術を活用すれば、今は無駄になっているこのエネルギーを、ウェアラブルだけでなく様々な分野に応用できると考えています。現在、日本の温泉からとれる多くのエネルギーを使った発電システムを検討中です」(アクラム・ブカイ氏)

温度差発電技術を活用した事業を日本で展開していく
現在、温泉の熱エネルギー利用を検討しているという

 MATRIX PowerWatchの開発を手掛けた同社CTOのダグラス・タム氏は、「体温による発電技術は以前からあった」と話し、次のように続けた。

 「2014年に開発された発電技術ですが、ウェアラブルにするには大きく、また身につけたくなるようなデザインではありませんでした。これをいかに小さく美しくするかを追求し、2017年にMATRIX PowerWatchは完成しました。チップなど使用するパーツを厳選し、できるだけ消費電力を抑えながら、熱が効率良く伝わるデザインにするのに苦労しました」(ダグラス・タム氏)

10個以上の特許を取得し、いかに小さく美しく仕上げるかに注力したという
日本ではグッドデザイン賞を受賞するなど、デザインと機能が世界に認められている