家電製品ミニレビュー
開閉する2つの大きなプレートを備えた、5,000円で買える「ダブルホットプレート」
2017年8月4日 07:00
食卓の上でも気軽に焼き物が作れるホットプレートは、1台持っていると料理のバリエーションが増えるだけでなく、家族や友人とにぎやかに囲みながら、アツアツの料理が楽しめる。すっかりおなじみ感があるホットプレートだが、アピックスのMy Bistoroシリーズ「ダブルホットプレート AWP-292」は他とはちょっと違うユニークな製品だ。
メーカー名 | アピックス |
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製品名 | My Bistro ダブルホットプレート AWP-292 |
実勢価格 | 4,536円(Amazon) |
最大の特徴は、2種類のプレートが「鍋と蓋」のように構成され、開いても閉じても調理ができる点だろう。一般的なホットプレートはフタが同梱されているが、このダブルホットプレートは蓋にあたるプレートも発熱するので、まるで窯のように食材の上からも熱を加え、効率良く調理ができる。
操作は簡単。温度設定は無し
本体の大きさは310×406×203mm(幅×奥行×高さ)で、重さは約2.9kg。思いのほか軽いのでセッティングはラクにできる。鍋側となる平面プレートの底の直径は283mmで深さは35mm。一方、蓋側となる波型プレートの直径も283mmと広い。いずれも熱伝導の良いアルミダイキャスト製で、こびりつきにくいフッ素加工が施されている。
使い方として、波型プレートも焼き面として使用するなら、ハンドルを開く途中で上に持ち上げるようにすると接合部のロックが外れ、水平になるまで開ききる。広げた時の幅はハンドル部分も含めて77cm。
ハンドルを持ち上げずに開けば平面プレートと波型プレートの接合部にロックがかかり、波型プレートは約110度開いたところで留まる仕様となっている。
操作は簡単だ。スイッチは平面プレート用と波型プレート用と独立して2つある。スイッチを入れるとパイロットランプが点灯するので通電状態がわかりやすい。スイッチの間には、加熱時間が調節できる最大30分のタイマーがあり、ツマミを正午に合わせれば連続調理もできる。
ただし、一般的なホットプレートのような「温度調節」はできない。温度を管理するサーモスタットは 165℃となっており、温度は固定と考えていいだろう。温度が調節できないのが、調理にどのように影響するかもチェックしていこう。
美味しい! 温度固定タイプでも様々な調理が楽しめた
使い方がわかった所で、ダブルホットプレートを使っていろいろな調理を試みた。取扱説明書には、簡単なレシピがいくつか紹介されている。そこで、パエリア、鉄板焼き、ピザ、餃子、パンケーキ、そして焼きそばを作った。
●パエリア
ちょっと面倒そうだが、意外と簡単に短時間でできた。
平面プレートのスイッチを入れて2~3分の予熱後、オリーブオイルと無洗米を平面プレートに入れて、米全体にオイルが行き渡るように数分炒める。
次に、用意しておいたパエリアの炊き汁を注ぎ入れ、軽く混ぜながら米を平らにならし、シーフード、野菜を配置し、波型プレートを閉じる。波型プレートの電源を入れ(平面プレートの電源はそのまま)、タイマーを15分にセットして、あとは放っておくだけだ。間もなくプレートの隙間から水蒸気が上がり、良い香りが拡がりはじめる。
設定時間がくるとタイマーが鳴り、電源が切れる。このまま波型プレートを開かずに10分蒸らす。この時スイッチを切っておく。
蒸らしが終わって波型プレートを開けた時、思わずニッコリ。見事に炊き上がったからだ。食べてみると、米は柔らかすぎず硬すぎず、ちょうど良く美味しく炊き上がった。平面プレートに接していた部分はパリッとした食感でより美味しい。シーフードは固くならずふっくらと仕上がった。野菜はただ並べただけなのに、それぞれの甘さが際立ち、特に美味しい。
今回は炊き汁として、市販のパエリアの素とシーフードミックスを使ったため、野菜を切る手間だけで、わずか30分程度で十分満足行く一品となった。なお調理できる米の量は2合まで、となっている。
●鉄板焼き
平面プレートで野菜を、波型プレートでやや厚みのある肉を調理した。
ここで一工夫を試みた。せっかくのダブルプレートなので、先に火の通りにくい野菜は波型プレートを閉じて数分焼き、時間差で肉を焼いてみた。
平面プレートと波型プレートの電源を入れて平面プレートに野菜を並べ、波型プレートを閉じて3分蒸し焼きにした。開いてみると野菜はほぼ火が通っているのに驚いてしまった。
開いた波型プレートは十分熱くなっているので、そこに肉を並べ、野菜の表裏を返す。
肉に火が通ったところでいただいてみると、美味しそうな焦げ目も付いて香ばしく、肉汁も口の中で拡がる。野菜がこれまた美味しい。まったくパサパサにならず、ふっくらと仕上がった。
肉を焼いていていいなぁと思ったのは、高温になりすぎないので、脂がほとんど飛び散らず、油煙もそれほど上がらない点だ。テーブルの上があまり汚れないのがとても嬉しい。
●ピザ
今回は市販の直径24cmのチルドタイプを焼いてみた。プレートの直径が28cm以上あるので、大きなピザも余裕で焼ける。
予熱の必要はなく、平面プレートにピザを置き、波型プレートを閉じ、両方のプレートの電源を入れてから、わずか7分ほどで出来上がった。
これがめっぽう美味い! ほぼ密閉して上下から熱するためか、生地の中はふっくらで、裏面には軽く焦げ目が付き、パリッと香ばしい。見事な仕上がりだった。トッピングのソーセージにもしっかり火が通り、これまたジューシー! あまりに美味しく、撮影中にも関わらず、24cmのピザ1枚をペロリと完食してしまった。
これまで市販のチルドタイプのピザを、フライパンやオーブン、オーブントースターで焼いたり、電子レンジで温めたりした経験があるが、今回のダブルホットプレートで焼いたものが最も美味しかった。まるで、レストランで提供されるような仕上がりで、その美味しさに感激してしまった。冷凍ピザでも調理時間を少し長めに設定するだけでOKだ。
●餃子
餃子の調理は特に簡単だ。平面プレートのみを3分ほど予熱して餃子を並べ、波型プレートを閉じて5分ほど蒸し焼きにするだけだ。プレートの直径が約28cmあるので、24個並べてもまだ余裕がある。
出来上がりは、見事な焼き色が付き、皮の焼き目はパリッ! プレートに触れていないところはモッチリと仕上がった。餡はジューシーで美味しい。今回は市販のチルドタイプ・水不要のものを調理したが、皮を柔らかめにしたいのなら、少し水を入れて蒸し焼きにしてもいいだろう。
●ホットケーキ
フライパンよりもホットプレートは手軽に焼ける。ただ、5分以上予熱をしてもプレートの外周の焼き色は薄く、焼き色のムラが気になったのは惜しい。とはいっても、生地はふっくらと美味しく焼きあがった。かかった時間は両面で5分ほどだった。
多少焼きムラはできてしまうものの、直径11cmほどのホットケーキが4枚、1度に焼けるのはやはり便利だ。
今回は平面プレートだけを使ってホットケーキだけを焼いたが、波型プレート側でベーコンやソーセージを焼いて添えれば朝食にピッタリな一品が数分でできあがる。スライスしたりんごを焼いて、アイスクリームと共に添えれば、立派なデザートも1台で賄える。
●お肉たっぷり(に見える)焼きそば
今回の鉄板焼きを応用して、焼きそばも作ってみた。肉と野菜を別々にして火を通す方法だ。
両プレートのスイッチを入れて、先に平面プレートでキャベツを均等に広げて波型プレート閉じ、蒸し焼きにした。一切混ぜないで3分間放っておくだけで、固い芯まで柔らかく火が通った。
次に、開いた波型プレートに塩コショウしたバラ肉を並べ焼く。同時にキャベツの上に麺と水少々を入れ、麺にも蒸気を使いながら火を通す。肉を返し、粉末ソースを麺に絡めて軽く炒めればこれでできあがりだ。麺とキャベツを皿によそって、その上に別に焼いた肉を盛り付ければ、ちょっと豪華な焼きそばの完成だ。
肉を別に焼けば、全体を炒めている途中に崩れず、固くなりすぎることもない。お肉の食感がしっかり味わえる美味しい焼きそばだった。
温度調節ができないタイプのホットプレートではあるが、予熱は早く、いずれのメニューも失敗なく、簡単に美味しく調理できた。
片付けは案外簡単
プレートは取り外せないので丸洗いはできないが、手入れはさほど難しくなかった。フッ素加工が施されているので、軽い汚れなら水を含ませたペーパータオルで簡単に拭き取れる。油汚れは薄めた台所用中性洗剤を含ませた布で拭き取り、最後に固く絞った布で拭けば大抵の汚れは簡単に落とすことができた。
購入前に気をつけなければならない点は、本体が意外と大きい点だ。立てて収納できない上、ハンドルがせり上がっているので、それなりの収納場所を確保する必要がある。また、プレートを広げた時はかなりスペースをとるので、テーブルやカウンターの広さも確認しておいたほうが良いだろう。
気になる点はあるが、出来上がったメニューはどれもまた食べたいと思えるほど美味しい。プレートを使い分ける調理も簡単にでき、2つのプレートを閉じて作ったピザや焼き野菜は本当に絶品! 一般的なホットプレートでは得られない美味しさが味わえる。しかも実売価格は5,000円以下なので、かなりお得感がある。これからホットプレートの購入をお考えなら、候補の1つとして大いにオススメしたい1台だ。