家電製品ミニレビュー

本気で自分の睡眠と向き合いたい方におすすめの「Withings Aura」

 最近、スムーズな入眠と快適な目覚めをサポートしよう、睡眠をトラッキングして、良質な睡眠を得るための対策をしようという製品が少しずつ増えてきました。

 スマートフォンに搭載されたセンサーとアプリを使えば、寝る前にリラックス効果のある音楽を流し、動きから眠りの深さをトラッキングし、眠りが浅くなったタイミングでアラームを鳴らして起こしてくれる、なんてことは手軽にできるようになっています。

 でも、もう一歩踏み込んだ睡眠マネジメントを考えている方にご紹介したいのが、Withings Aura(ウィジングズ オーラ)です。

Withings Aura
メーカー名Withings
製品名Withings Aura Smart Sleep System
販売場所Apple Store
実売価格37,400 円(税別)

快適な睡眠をサポートしながら、眠りと環境を可視化するデバイス

 「Withings Aura」は、睡眠のトラッキングと、スムーズな入眠と快適な目覚めをサポートするシステムです。

 「Auraスリープセンサー」と「Auraベッドサイドデバイス」という2つのハードウェアで構成されています。スリープセンサーをベッドサイドデバイスにケーブルで接続し、ベッドサイドデバイスをコンセントにつなげばシステムは完成。それぞれをiPhoneとペアリングし、活動量計の管理アプリと同じ「Health Mate」で管理します。

「Auraスリープセンサー」と「Auraベッドサイドデバイス」という2つのハードウェアで構成

 それぞれのデバイスの具体的な機能を見てみましょう。

眠りを測定する「Auraスリープセンサー」

Auraスリープセンサー

 「Auraスリープセンサー」は、敷き布団やマットレスなどの寝具の下に敷いておくことで、睡眠のトラッキング、体の動き、安静時心拍数、呼吸サイクルを自動的に測定するシート型のデバイスです。基本的に1度敷いてペアリングが済めば、あとは全部勝手に測定してくれます。

 標準的な活動量計では装着したデバイスのセンサーを元に睡眠をトラッキングするので、着け忘れたりバッテリーが切れたら測定できません。「Auraスリープセンサー」は敷きっぱなしですし、据え置きなので、バッテリー残量を気にする必要はありません。同じ寝具を使い続けていれば、就寝中も活動量計を身につけることに抵抗がある方でも、煩わしさを気にすることなく高い精度で睡眠サイクルを測定できるというメリットがあります。(逆に、スリープセンサーを敷いていない場所では測定できませんが)。

1人用。セミダブルサイズのマットレスだとこのサイズ感
我が家の寝室は和室なので、畳の上に敷いてから上にマットレスを乗せます

音と光で眠りをコントロールする「Auraベッドサイドデバイス」

Auraベッドサイドデバイス

 指先みたいなちょっとユニークな形の「Auraベッドサイドデバイス」は、光と音で入眠と起床をサポートしつつ、ベッドルームの明度、温度、騒音といった環境をトラッキングするトラッカー兼目覚まし時計です。

 ドーム型のボディにLEDライトとオーディオスピーカーを内蔵しており、本体上部と右側面にタッチインターフェースを備えています。背面にはスマートフォンの充電も可能な3つのUSBポートがあり、本体左下にはデジタル時計を表示します。

LEDランプ
背面
USBポートが3つあります
デジタル置き時計にもなります

 スイッチらしいものはなく、操作はすべてタッチインターフェースで行ないます。本体上部のタッチセンサーを1回触るごとにライトがオン/オフ。上部を長めにタッチすると「睡眠プログラム」が開始します。睡眠プログラム中に上部を軽くタップするとスヌーズになり、ダブルタップするとプログラムが終了します。側面を上下になでると光量と音量を調節でき、押し続けるとアラームのオン/オフができます。

本体上部と、右側面を触ると操作できます
最初はとまどいますが、チュートリアルでも使い方を確認できます
世界中で使える仕様になっていました
日本ではこちらのアダプタを装着して使います

 「睡眠プログラム」とは、寝るときに赤い光とヒーリングサウンドで眠りやすい環境を作り、起床時には起きやすいと判断されたタイミングで、青い光とサウンドを作動させて起こしてくれるというものです。

上部を長めにタッチすると「睡眠プログラム」がスタート

 アプリ「Health Mate」には、「Aura」用のアラーム設定画面が追加されるのですが、「睡眠」「お昼寝」の2項目のプログラムがあるところがユニーク。パワーナップ(生産性向上のための午後の短時間仮眠)の普及でしょうか。

 いずれも起床時間を設定しておけるのですが、睡眠時、お昼寝時それぞれプリセットされた4曲の中から1曲選択し、音量、LEDの明るさを指定しておけるようになっています。

 ちなみに、1回触ったときに点灯するLEDは、睡眠プログラムとは関係なく、ベッドサイドライトとして使うこともできるようです。右側面を上下に撫でることで、赤系から白いライトまで変更することもできます。次回点灯するときは、直前の色で点灯するので、オレンジ系の状態にしておけば、読書灯として使うこともできます。

アラームは「睡眠」と「お昼寝」があります。お昼寝のときはそもそも眠いので睡眠プログラムは使いませんが……
プリセットされている曲。スポーティファイやInternet radioも選べるようです

目覚めとともに音と光をコントロール

 具体的には、アプリの「Health Mate」で目覚まし時刻を設定したら、布団に入って、上部のタッチセンサーを長めにタップすると「睡眠プログラム」がスタートし、LEDが赤く点灯します。同時に、アプリで選択しておいたヒーリングサウンドが流れ始めます。約15分が経過すると、赤いLEDとサウンドはフェードアウトします。

赤いLEDが点灯している様子
通常の点灯では読書灯のようにも使えます

 数時間後、アプリで設定しておいた起床時間が近づくと、今度は青いLEDが自動的に点灯し、目覚まし用のサウンドが流れ始めます。部屋が真っ暗でも、カーテンを開けずとも頭部周辺が青白い光で明るくなるので、音とともに目が覚めるというわけです。

 睡眠プログラムを停止するときは、上部を軽く2回タッチすれば、ライトも音もオフになります。

 これで何をしようとしているかというと、環境の測定と、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌のコントロールです。

睡眠に強い影響を与えるメラトニンとは

 メラトニンとは、脳の松果体から分泌されているホルモンで、睡眠に強い影響を与えています。通常、就床時間の1時間前から分泌が始まり、朝の起床時あたりまで分泌されます。目覚めてから15~16時間後に再び分泌され、再び自然な眠気を感じるというサイクルになっています。

 このメラトニン、暗い場所にいると分泌されますが、光を浴びると分泌が抑制されるという特徴があります。特に青白い光に抑制されやすいという報告があります。ですから、夜寝る前にパソコンやテレビなどの液晶を見るのは控えなさい、朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びなさいといわれるんですね。

 また、赤みの強い電球色の下では分泌への影響が少ないといわれます。間接照明のある環境ではリラックス効果があることもご存じの通り。つまり、眠りやすくなるわけです。

 「Withings Aura」は、 寝るときは赤い光とヒーリングサウンドで気分をリラックスさせて、眠りやすい環境づくりを目指し、逆に起床時には青い光で強制的にメラトニンの分泌をとめて、できるだけ気持ちよく起きられるようにしているのです。

「Auraベッドサイドデバイス」で感じた効果

 さてこの「Auraベッドサイドデバイス」を布団の脇に置いて使うこと約1カ月。こちらも以前ご紹介した「Sleepion」同様にジワジワくるタイプの製品のようです。

 最初は至近距離で赤や青の光が点灯することに多少の違和感はありました。赤い光は結構妖しい感じもするからです。しかし、今ではすっかり慣れました。

 朝は青い光に気づいて起こされたりしています。カーテンを開けずとも目に光が入ってくるので、起きなくてはと思わされます。

このような青白い光で起こしてきます

 私は気象状況に体調を左右されがちで、気圧が下がっていると、目覚めた時点で強い倦怠感と眠気を感じやすいタイプです。カーテンを開けに行く気力もなく、二度寝してしまうこともあるので、自動的に青い光を照射してくれるのはありがたい限り!

 今日はまずいと思ったら、意識的に光のほうを向いているのですが、「Auraベッドサイドデバイス」がないときよりも、起きなくてはという気持ちが持てているような気がします。

 そんなわけで、寝る前は赤、夜にライトとして使う時はオレンジ、起床時は青と光の色を使い分けることで、睡眠改善に効果が期待できるかもしれません。赤いLEDは、メラトニンへの影響を最小限に抑えながら明るさを確保してくれるので、いきなり真っ暗な部屋に抵抗がある場合に便利そう。特に寝室も蛍光灯しかないという方が、自分の睡眠環境を整えようとするにはいいかもしれません。

「Auraスリープセンサー」はActiviteよりも細かく睡眠をトラッキング

 「Auraスリープセンサー」は、さすがに活動量計よりも細かい睡眠のトラッキングができるようでした。普段活動量計のActivite(アクティビテ)も使っているため、アプリには2つの睡眠サイクルが記録されます。比較してみると「Auraスリープセンサー」のほうが起きている時間をかなり細かく、高い精度でとらえていることが分かりました。

 うとうとした状態でゴロゴロしているようなときや、夜中に目覚めているときは、覚醒としてオレンジ色の帯で表示されています。また、眠りの深さも浅い眠り、深い眠りともっとも浅い眠りの3段階で表示してくれているようです。

 Activiteでは検出していない中途覚醒も記録されていたりして、Activiteの立場は……と思うのですが、手首とシート型では検出精度が違うのは仕方ないですね。

同じアプリで活動量計のデータも表示するので、精度の違いが分かってしまいました
Auraで測定した睡眠サイクルの例。寝入る前に読書していることが多いのですが、結構正確に記録していると感じます

自分の睡眠を詳しく知り、環境を整えたい方におすすめ!

 なかなか眠れない、寝ても途中で目が覚める、だから昼間がツライーーそんな悩みを訴える方は結構いらっしゃいます。その原因がどこにあるのかは、ライフスタイルを含めてお話を伺ってみないと分からないことも多いもの。

 「Withings Aura」を使うと、「Auraベッドサイドデバイス」のナチュラルライトプログラムや高品質サウンドプログラムで環境を整えつつ、眠りの現状と睡眠環境を可視化することができます。医療機器ではないのでこれで万事解決とはいかないですが、いろんな手がかりが得られそうです。

就寝中の環境と心拍数の関係も分かります。睡眠サイクルと同時に表示できないのが残念かも
ベッドルームの1日の環境の変化もまとめて見られます

 安静時心拍数や、寝室の明度、音、温度の変化を見比べることで、たとえば、就寝中の部屋が明るすぎるとか(カーテンが薄い)、深夜周辺で騒音が発生していたせいで眠りが浅くなっているのかも(お隣さんが真夜中に帰宅する、虫の音がうるさい、動物が騒ぐなど)、など環境が原因だと考えられるかもしれません。心拍数を見たら、ストレスが原因と推測されるかもしれません。室温に対して寝具があわない可能性も考えられます。

 自分の睡眠は知りたいけれど活動量計は苦手、安静時心拍数を計りたい、寝ている間どうなっているのか知りたい、そんな方はいかがでしょうか。

「Withings Aura」は、睡眠について詳しく分かるデバイスでした!

すずまり