すずまりの快眠スリープテック最前線
スピーカー内蔵の枕に、ノンウェアラブルの睡眠計測機器も ~「快適睡眠づくりフェア」レポート
2019年6月12日 00:00
2019年5月31日から6月2日まで、パシフィコ横浜で日本最大級の睡眠専門フェア「快適睡眠づくりフェア」が開催されました。快眠をサポートする商品やサービス、食品などが集まったほか、睡眠に関するセミナーなどもあり、眠るという行為への関心が集まっていることが伺えます。
今回は出展されていたブースの中から、気になった製品を振り返ります。
耳から光を照射して、時差ボケ/体内時計の調整に「バルケー2」
効果を確認してみたいと思ったのは、耳から光を照射するという、すこやかメディカルのイヤホン型光刺激装置「バルケー2」。
人の体は、朝起きて太陽の光を浴びることで、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌が止まり、体内時計がリセットされます。そこから約15~16時間後にふたたび、メラトニンの分泌が始まることで眠くなるというサイクルがあります。
「バルケー2」は耳の中に3.5lmの光を当てることで、直接脳に光を届けるとのこと。朝起きたら10分間使うと、太陽光を浴びるのと同じ効果が期待できるといいます。
1回のフル充電で12回まで利用可能。価格は28,000円(税込)。今後は音楽が聴けるバージョンも発売予定とのことです。
ノンウェアラブルで睡眠をトラッキング
就寝中の睡眠の状態を自動的に測定、専用アプリに記録してみたいけれど、リストバンド型などウェアラブルデバイスをつけたまま眠れない、充電が面倒、充電したらつけ忘れがちという方には設置型がおすすめ。
マットレスの下に入れっぱなしにでき、就寝時だけ自動的に記録してくれるというのがauの「睡眠モニター 01」と、Sleepaceの「RestOn」です。同じSleepaceの「SleepDot」はマグネットで枕カバーにつけておくだけで利用できます。
「睡眠モニター 01」は板状のセンサーを採用し、就寝時刻、起床時刻、眠りの深さ、心拍数、呼吸数、体動を記録してスコア化。Bluetooth経由で、スマホアプリでデータを閲覧できます。有料プランに入れば、アドバイスも受けられます。
「RestOn」「SleepDot」は眠りの深さ、心拍数、呼吸数、寝返りのほか、室温や湿度も記録できます。
「SleepDot」は枕カバーにマグネットで装着するため、寝相の悪い方は「睡眠モニター 01」や「RestOn」がオススメです。
枕がスピーカーになる「ピロースピーカー」
リラクゼーション音楽を活用したいけれど、自分だけに聞こえるようにしたいというニーズに応えるのが、THT Japanの「奏でる枕PILO」と、ライト・ノアの「ピロースピーカー」です。
どちらも枕がスピーカーになり、スマートフォンとつないで音楽を流せるというスタイル。しかし「奏でる枕PILO」が、生体工学に基づいて開発されたという52面体構造の低反発枕であるのに対して、「ピロースピーカー」は薄型スピーカーで、今利用中の枕の下または中に入れて使うという違いがあります。
スマートフォンの目覚まし音も、これなら自分だけ聞くことができそうです。
入眠から就寝中の騒音を低減する、デジタル耳栓「QuietOn Sleep」
眠りやすい環境の構築において、騒音対策になりそうなのが、就寝時のいびきや騒音を低減させるというデジタル耳栓「QuietOn Sleep」です。第1回「快眠アワード2019」の受賞プロダクトでもあります。
もともと、社名と同じ「QuietOn」というノイズキャンセリングに特化した製品を2年前からリリースしていますが、「QuietOn Sleep」は寝ている間でも使いやすいように40%小型化して、いびきのノイズキャンセリングにも対応した製品。
また、左右それぞれにスイッチを搭載して、ノイズキャンセリングモードとヒアリングモードのモード切り替えができるようになりました。ヒアリングモードのときは、装着したままでも、はずしたとき以上にクリアに人の声が聞こえます。
現在オンラインで先行予約を受付中。予約分の出荷が終わったところで一般販売に切り替わるそうです。なんとすでに1万台が予約されているとのことで、出荷は今年の夏の終わりか秋頃になる見込み。価格は未定ですが、3万円前後を予定しているそうです。
エアコン温度を時間ごとに設定して寝室環境を整える、中部電力「ここリモ」
エアコンの自動温度変更で、意外と夏に活用できそうだと思ったのは、中部電力の赤外線リモコン「ここリモ」です。
赤外線リモコンをもつ家電製品を登録することで、外出先でもスマートフォンから管理できるようになります。スマートスピーカーでは現在Amazon Echoをサポートしているものの、Google Homeにも対応予定で、4,980円(税込)で発売中。
睡眠に関連するポイントは、エアコンの温度を時間ごとに設定しておける点。オンオフだけでなく温度も変えられる点がユニークなのです。
夏の寝苦しい夜のエアコンは、付けっぱなしはNG。使うなら就寝前にオフタイマーをかけるというのが一般的なアドバイスです。
でも「ここリモ」を使えば、明け方は蒸し暑くない程度に設定できるので安心。アプリには電気代の予測機能もついていて、節電にも活用できそうです。
光をあびて覚醒する“光目覚まし時計”
以前INTERNET Watchの連載でも紹介した、ムーンムーンの「光目覚ましinti4」も展示されていました。指定時刻に強力なライトを点灯させ、光だけですっきり覚醒に導こうという製品です。
梅雨の曇り空が続く日や、日の出が遅い冬などは、朝に太陽の光を期待できません。毎朝確実に明るい光を浴びたいというニーズに応えるのが光目覚まし時計で、約2,500lxの強い光で目覚めを促してくれます。
音・香り・光で、眠りやすいリラックス環境を作る「Sleepion 3」
いい睡眠を得るために、リラックスできる環境は大切です。その点、音・香り・光というリラックスの3大要素を1台でカバーできる快眠デバイスがティ・アール・エイの「Sleepion 3」です。価格は9,800円(税抜)。
ろうそくの炎のようにゆらぐ光、1曲45分のリラックスサウンド(15曲内蔵)、入眠に効果的といわれる天然成分100%の精油を含んだアロマシートからの香りで心地よい眠りを誘います。
スピーカーはタイムドメインラボのもので音質にもこだわっており、アロマシートも天然成分100%のオリジナル。ラベンダー4枚、ゼラニウム3枚、ベンゾイン3枚の合計10枚が付属しており、1枚ずつパッキングされているため携帯性と保存性にも優れています。
実はシリーズとしてはこれが3代目で、前のモデルも併売中。音・香り・光という機能に違いはないものの、Sleepion 3」は操作をよりシンプル化し、コストを抑えています。初代の「Sleepion」は約4万円、「Sleepion 2」は約2万円だったのに対し、「Sleepion 3」は約1万円と求めやすい価格になりました。
社内のお昼寝スペースとして活用できそうな「EnergyPod」
最近は昼寝のできるカフェやサービスも登場していますが、企業が社内にお昼寝を環境を作ろうと思ったときに役立ちそうなのが、「EnergyPod」です。
足があがるくらいリクライニングするシートに横になり、プライバシーバイザーでカバーすると、パワーナップ(仮眠)用のパーソナル空間ができるというもの。
入眠を促す音楽を使った20分間の睡眠プログラムがあり、ワンタッチで利用できます。自分のスマートフォンの音楽を使うこともできるそうです。
本製品は社員の福利厚生のために、企業が導入するといったタイプで、米国ではGoogleをはじめとするさまざまな企業での導入実績があるといいます。2019年2月から販売中で、1台190万円で発売中。
実際に20分間使わせてもらいましたが、寝心地はよく、10分を経過したあたりからかなり眠くなりました。
想像していたよりはコンパクトなフェアだが来年に期待も
出展社数は多くないものの、改めて振り返ると、眠るという行為をサポートする製品が、わりとバランスよく集まっていたと思います。
ただ、あると思ったらなかった製品も。たとえば睡眠測定が可能なウェアラブルデバイスや、いまやトレンドではないかと思われるいびき対策製品がなかったのは意外でした。季節柄、寝具の温度をコントロールしようとする製品もありませんでした。イベントそのものの知名度も影響していると思われます。
来年はどんな製品が並ぶのか?! これからも引き続きトレンドの行方を見守りたいと思います。この先1年でさまざまな製品やサービスが生まれて、バラエティに富んだブースが並ぶことを期待したいです。