家電製品レビュー

多彩なスープが、ボタンを押すだけでできあがるミキサー

コイズミの「スープメーカー The Soup Chef Vitalie (ザ・スープ・シェフ ビタリエ) KSM-1010」

 某芸人さんの「あったかぃんだから~」で、すっかりお馴染みになったスープ。いざ、ちゃんと作ろうと思うと意外と手間もかかり、メニューもついワンパターンになりがちだ。

 そこで紹介したいのが、ざっくりと切った材料を放り込み、ボタンを1つ押すだけで多彩なバリエーションのスープが簡単に作れるミキサー。コイズミの「スープメーカー Vitalie(ビタリエ) KSM-1010」だ。

メーカー名コイズミ
製品名スープメーカー The Soup Chef Vitalie
購入場所Amazon.co.jp
購入価格12,640円

 ビタリエは加熱機能の付いたスープ用ミキサー。食材の粉砕から火加減まで、全て自動でやってくれる調理器具だ。ボタン1つ押すだけで、素材の食感を活かした具だくさんの「食べるスープ」や、とろりとした「ポタージュ」、さらにお粥に自家製豆乳まで、最大4人分(800ml)を30分で自動調理してくれる。もちろん、ミキサーとしても一般的なものと遜色ない機能性を備えている。

 ビタリエは、50種類にも及ぶレシピを付属しているが、どのメニューも簡単に手に入る食材を使っており、応用もしやすいメニューばかりだ。

重い容器セットも持ちやすい

 ビタリエは、ヒーターとモーターが組み込まれた「本体部」、カッター、ガラス容器、ハンドル等がひとつになった「容器セット」の2つで構成されている。他に、容器締め付け台と、専用ザルが付属。

 使用時の大きさは、220x150x311mm(幅x奥行きx高さ)で、重量は約3.7kg。一般的なコーヒーメーカーが置けるスペースがあればOKだ。本体底には3つの吸盤があるので、ミキサー使用中でも安定している。コードの長さは約1.5mだ。

 容器セットはフタ、ガラス容器、ハンドル、カッターと分解できるが、トータルで約1.7kgと結構な重さがあり、スープを作ればさらに重く、容器は熱くなる。だが、ハンドルは大きくて持ちやすく、容器の下部もハンドルで覆われるので扱いやすい。

 ガラス容器とカッター部はねじ込み式。カッター部の直径は120mmあるので手で扱うには大きい。それでも付属の「容器締め付け台」を使えば、簡単&確実に分解、組み立てができる。締め付け台にはガイドがあるので、ガラス容器とカッター部の締め付けも”勘”に頼らずに確実にできる。

 もちろん安全に配慮された設計。容器セットを本体に乗せ、かつ容器のフタがパチンと言うまで確実にセットされていないと一切運転できない仕組みだ。また、運転中にフタの開閉をすると安全装置が働き、運転が一時的に停止する。

ビタリエの大きさは、220x150x311mm(幅x奥行x高さ)で、重量は約3.7kg。
「本体部」と「容器セット」の他、ザル、滑り止めの付いた容器締め付け台に、50種類が掲載されたレシピを付属する
本体底には3つの吸盤があり、安定して置ける(画像上)。容器セットはズシリと重いが、持ちやすいハンドルが付き、熱くても手を添えやすい
「容器締め付け台」の底にはすべり止めがあり、ガラス容器を押さえつけるように回せば簡単に容器セットの組み立て、取り付けができた(画像上)。容器セットは全てバラバラになるので、細かな部分まで洗いやすい
容器セットのフタは「フタロックボタン」を押さないと外れない仕組み(画像上)。フタの裏にある爪2本が、取っ手にしっかり刺さっていないと作動しない
カッターは3枚刃で、直径は約7cm(上)。本体部に温度センサー付きのヒーター板の熱が、カッター部の底に伝わって温める。容器ヒーター面は、汚れが簡単に落ちる加工が施してある

調理は専用ボタンを押すだけ!半分の量もOK

6つの操作ボタンとミキサースイッチは、一箇所に集約されている。作動中は、ボタンが点灯する

 操作部は、6つの専用ボタン(3種類のスープ、お粥、豆乳、ハーフ)に、ミキサー(低速・高速・フラッシュ)で構成されている。

 実際に調理する前に、それぞれの機能を説明しよう。

 ポタージュ…加熱後にカッターが自動で回転して食材を細かく粉砕する
 スープ自動…加熱後にカッターが約5秒だけ自動で回転して、具材の食感をハッキリと残す
 スープお好み…加熱のみのモード。必要なら手動でミキサーを運転させる
 おかゆ…生米からお粥を作る
 豆乳…大豆と水で、豆乳とおからを作る(調理後、付属のザルを使用する)
 ハーフ…スープ、お粥を半分の量で(2人分、400ml)調理する時に使う

 6つのボタンを駆使して、レシピの中からスープを4種類、シンプルなおかゆ、豆乳を作ったが、どれも簡単に美味しくできた。

『ブロッコリーのポタージュ』 ボタン:ポタージュ

 まず作ってみたのはブロッコリーのポタージュだ。材料は2cmぐらいの大きさにざっくりと切ったブロッコリー(150g)と玉ねぎ(200g・中1個)、水(400ml)、市販のスティックコンソメ(5.3g)。材料全てをガラス容器に放り込んでフタをし、「ポタージュ」ボタンをポンッ! ピッとブザーが鳴って調理が始まった。

 調理の様子は、スイッチを入れると加熱が始まり、15分頃にグツグツと沸騰した。その3分後に加熱が停止し、今度は自動でミキサーが1分40秒の停止を挟んで20秒×2回運転し、具材を粉砕する。その後、約10分間予熱で調理される。スタートから30分弱で調理終了のブザーが鳴り、800ml(4人分)のポタージュが完成した。ポタージュを器に移し、それぞれに小さじ1杯の生クリーム、パセリを適量振った。

 さて、そのお味は? というと、これが本当に美味しい! 口に運んで驚いたのはその温度。スープとして熱すぎず、ぬるすぎず、いただくのにちょうど良い温度なのだ。ボタン1つ押すだけで、ブロッコリー、玉ねぎの食感がわずかに残る、滑らかでとても美味しいポタージュが楽しめた。

「ブロッコリーのポタージュ」はレシピ通りに材料を揃えた(画像上)。具材を容器セットに入れた様子
調理は「ポタージュ」ボタンを押すだけ(画像上)! 15分でグツグツと沸騰した
自動でミキサーが運転する様子。もちろんふきこぼれない(画像上)。4人分、800mlのブロッコリーのポタージュが完成した
盛りつけた様子。舌触りが滑らかで、ブロッコリーのつぶつぶもがアクセントになり、とても美味しい! 温度もちょうど良い

『コーンポタージュ』 ボタン:ハーフ&ポタージュ

 次はハーフ機能を使って、400ml(2人分)のコーンポタージュを作った。

 材料は、レシピの半分の量のホールコーン(缶詰125g)、荒く切った玉ねぎ(75g)、水(200ml)、スティックコンソメ半本。ブロッコリーの時と同じように材料を全て容器に入れ、「ハーフ」ボタンを押してから「ポタージュ」ボタンを押すだけだ。

 ハーフ時の調理の様子は、約7分で沸騰し、数分後に一旦加熱が停止し、12分過ぎに再び 1分半の加熱。スタートから22分頃、自動でミキサーが1分40秒の停止を挟んで、15秒×2回運転して具材を粉砕する。合計25分で終了ブザーが鳴り、マグカップ2杯分(400ml)のコーンポタージュが完成した。適量の生クリーム、クルトンを落としていただいた。

 コーンの甘さが感じられ、こっくりとした食感のコーンポタージュはとてもやさしい味。もちろん温度もちょうど良い。コーンの皮はほとんど感じられず、ヤミツキになる一品となった。

レシピの「コーンポタージュ」の半分の材料を用意した(画像上)。調理は「ハーフ」ボタンを押してから、「ポタージュ」を押すだけ
コーンの甘さ、こっくりとした食感の手作りコーンポタージュが25分で完成した。朝食にもピッタリだ

『オニオングラタンスープ』 ボタン:ハーフ&スープ自動

 手軽なオニオングラタンスープも楽しめる。こちらもハーフ機能が使えるので、2人分を作った。ビタリエで「オニオンスープ」作り、手持ちのオーブントースターで「グラタン」として仕上げる手順だ。

 材料は、薄切りにした玉ねぎ(50g)、水(300ml)、スティックコンソメ半本。容器に材料を入れ、「ハーフ」と「スープ自動」ボタン順に押して調理スタート。

 ハーフサイズのコーンポタージュと同様に、加熱、予熱を繰り返し、スタートから21分経過した頃、5秒間だけミキサーが自動運転して玉ねぎが粗めに粉砕された。合計25分でオニオンスープが完成。スープを器に移し、バケットと一欠片のバター、チーズをその上に載せて、オーブントースターで約3分焼く。

 チーズがトロリ、スープはアッツアツのオニオングラタンスープの完成だ。じっくりアメ色になるまで長時間炒めた玉ねぎのそれとはコクは違うが、玉ねぎは食感が良い大きさに粉砕され、スープがよく絡み、これはこれでとても美味しい。大した手間もかけずにパスタや肉料理にも合う、立派なサイドメニューが完成した。

オニオングラタンスープもハーフサイズで作った。材料はレシピ掲載の半分(画像上)。調理は「ハーフ」ボタンを押してから「スープ自動」を押すだけ
ビタリエで作った「オニオンスープ」を器に移し、バケットと一欠片のバター、チーズを載せて、オーブントースターで約3分焼くだけで完成

『セロリとトマトのジンジャースープ』 ボタン:スープお好み

 ミキサーを使わないスープも「スープお好み」ボタンで、ビタリエにお任せで作ってみた。

 材料と下処理はレシピに沿って、1cm角のセロリ(100g/約1株)、半分に切ったミニトマト(100g)、5cm幅に切ったえのき茸(30g)、水(550ml)、おろし生姜(小さじ2)、スティックコンソメ1本。

 こちらも材料を全て容器に入れ、「スープお好み」ボタンをポンッ! スタートから15分で沸騰し、18分で加熱が停止した。その後予熱で調理され、30分で調理終了となった。スープを器に盛り、コショウを振り、セロリ葉を飾って完成だ。

 野菜の食感と風味がしっかり楽しめる、生姜の効いたスパイシーなスープが美味しい。食欲を刺激する。

 スープはここまで。全て味付けのベースにコンソメを使ったレシピだが、食材が変われば風味も食感も変わり、それぞれまったく別のスープとして楽しめた。

 自動調理なので、ボタンを押したらあとは任せっきりにできるのが何と言っても便利だ。スープ4人分なら30分、2人分なら25分といったように、出来上がり時間が予測できるので、スープ作りはビタリエに任せておいて、自分は別の料理に取り掛かれる。

 なお、加熱中の消費電力は625W(4人分)〜610W(2人分)で、ミキサー運転中は175Wだった。

レシピ通りに材料を揃えた様子(画像上)。調理は「スープお好み」を押すだけ
15分後の沸騰している様子(画像上)。ふきこぼれはしなかったが、蒸気と共に飛沫が飛び、フタと周囲が多少汚れた
完成した「セロリとトマトのジンジャースープ」。スパイシーな生姜のスープが食欲を刺激する

お粥も豆乳も美味しくできた!

 レシピに沿って、お粥と豆乳にも挑戦してみた。

 お粥は米を1時間、豆乳は大豆を6〜8時間水に浸しておく必要はある。それでも、お粥の調理時間は30分、豆乳は20分で完成した。

 お粥は、お米が炊き上がった27分頃に約5秒間ミキサーが回転して、柔らかくなったご飯が軽く粉砕される。軽い歯ごたえがあり、糊質の少ないサラリとした中国粥を思わせるお粥が4膳分(800ml)出来上がった。お腹の調子が悪くなくても、朝食にサラッと口当たり良くいただける美味しいお粥だ。おかゆはハーフ調理もできる。

おかゆは、120mlのお米を研いで1時間水につけたものと、600mlの水を用意する(画像上)。調理はもちろん「おかゆ」ボタン1つ押すだけだ。ハーフ調理もOK
完成したお粥。ご飯の食感が残る、サラッとした食べやすいお粥。撮影後、結局4人前を一度に食べてしまったほど美味しかった!

 豆乳は、まず1分間大豆が粉砕されてから加熱が始まる。焦げ付きを防ぐためであろう、ミキサーが加熱中も間欠的に運転する(消費電力は711Wだった)。調理終了後、付属のザルで容器の中身を濾すと、350mlの豆乳、250gのおからが出来上がった。

 豆乳は生まれて初めて自家製を作って飲んでみたが、これがなかなか美味しい。温かい豆乳は大豆の新鮮な香りが立ち、ほんのりと甘い。レシピには豆乳の冷たいレシピも掲載されている。もちろんスープにも応用できるだろう。

豆乳は、乾燥大豆75g。6〜8時間水に浸すと倍位以上に膨れる(写真下)。材料は、水で戻した大豆と400mlの水だけ
20分で完成(上)。出来上がったものを付属のザルで濾すと、350mlの豆乳、250gのおからが出来上がった
生まれて初めて自家製の豆乳をいただいた。大豆の良い香りが楽しめ、ほんのり甘くて美味しい。自家製豆腐や豆乳スープに応用が利くだろう
豆乳を作る際、カッター部の底にこびり付いたこびりつきは、簡単に剥がれ、あっという間にキレイになった
おからを使ってハンバーグを作った。200gのひき肉に、100gのおからを入れた(画像上)。しっとりとした美味しいハンバーグはボリューム満点

 応用として、「おから」を使ってハンバーグも作った。レシピは自前。200gの牛豚の合い挽きを使い、つなぎのパン粉の代わりにたっぷり100gのおからを入れた。よく捏ねて形成し、いつもどおりにフライパンで焼いた。

 おから入りのハンバーグは、パサパサ感、大豆臭さもまったく感じない、しっとりと美味しいハンバーグが出来上がった。

氷も粉砕! ミキサー単体としても使える

 ミキサー単体でももちろんしっかり使える。

 クラッシュ氷はたった5秒でできてしまった。冷蔵庫で作った3cm角の氷をガラス容器の400mlのラインまで入れ、ミキサーを高速運転で5秒程回すだけでできるほどパワフル。

 冷凍バナナとイチゴのスムージーも20秒程でできた。イチゴの食感が残り、ひんやりとしてとても美味しい。

約400mlの家庭用冷蔵庫で作った3cm四方の氷をミキサーで粉砕する(画像上)。たった5秒の高速運転で、見事にクラッシュアイスが完成
流行りのスムージーもお手の物。材料はイチゴ、冷凍バナナ、牛乳、練乳(画像上)。暑い日にピッタリなイチゴスムージーがたった20秒程度で完成した。美味しい!

料理一品、お任せできる調理器具

 ビタリエは単に粉砕しかできないミキサーよりも高価。それでも1台だけで料理を1品、お任せで完成できる自動調理器具として価格に見合った魅力がある。実際に作っていただいたものは、どれもリピートして作りたくなるほど美味しかった。

 ただし、気になる点が2つあった。

 1つは、容器セットは分解して簡単に洗えるものの、フタとカッター部にセットする「パッキン」に、どうしても玉ねぎや生姜のニオイが残りやすい。フルーツを使ったミキサー調理をする際には特に気になるので、ニオイを取る手入れが必要だ。

 もう1つは、具材の形が残るスープを配膳する時、おたまを使うとカッターが邪魔で、容器の底にどうしても具材が残りやすい。スプーンや箸などを使い、ただでさえ重い容器セットを動かしながら取り出すのはちょっと厄介だった。

 とはいうものの、1台で多彩なスープからお粥、新鮮な豆乳まで、ボタン1つ押すだけで、お任せ調理ができるのは、料理の時間を短縮するのにもかなり重宝する。これからミキサーの購入を考えている方はもちろん、食生活をより豊かにする調理器具として、検討してはいかがだろう。

藤原 大蔵

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