家電製品レビュー
花粉シーズン到来! 花粉対策に有効な空気清浄機って?
by 藤山 哲人(2015/3/6 07:00)
目がかゆい! 鼻水が! という人が多くなっているようで、耳鼻科の待合室は大盛況。すでに花粉前線は日本を縦断中で、これから数カ月間、どこへ行くにもマスクやティッシュが手放せなくなる。
そんな花粉症の辛さから解放してくれるのが空気清浄機。でもあまりにも種類が多すぎて、どれを買ったらいいのか迷ってしまうだろう。また、イザ買ってみても効果が目に見えて分かる家電ではないので、「これで効いてるの?」な声もチラホラ。
そこで今回は、空気清浄機の仕組みと、性能を左右するポイント3つを紹介しよう。
花粉対策ならやっぱりフィルターが最優先事項♪
空気清浄機選びで一番大切なポイントは、やっぱりフィルター。でもそれが分からなくなっちゃうのが、家電量販店を賑わす売り文句の数々だ。各社が前面に打ち出す「○○イオン」が万能に思えてしまうが、ちょっと待って欲しい。カビ菌やウイルス、花粉をイオンで分解・無効化できたとしても、最後は空気からフィルターが濾し取るのだ。
空気中に漂う有害物質は、粒子の大きさも種類もさまざま。身近なところでは、髪の毛の太さと同じぐらいのハウスダスト(50μm:1mmの200分の1)、3月ごろに大陸から飛んでくる黄砂(およそ1μm:1mmの1,000分の1)やPM2.5、タバコの煙などがある。さらに小さい0.1μmクラスになると油煙や排気ガス、ウイルスなどがある。
これらを空気から濾し取るには、目の細かいフィルターが必要になるが、目が荒いフィルターでは、その名のとおり「ザル」になってしまう。
一般的な空気清浄機で多く採用されているのが、HEPAフィルターだ。およそ0.3μmの微粒子を濾し取れるとされているが、メーカーによって実証方法がバラバラというのが実態だ。空気清浄機の性能を左右する大事な要素の1つなので、購入するときは、必ずフィルター性能をチェックするべし。
フィルターに対する考え方は、メーカーによっても異なる。定期的に交換するべきだという交換派と、マメなメンテナンスを行なうことで長持ちさせるメンテナンス派だ。
ランニングコストは圧倒的に何度も洗えるメンテナンス派の方が安いのだが、本当にメンテナンスだけで、フィルターの性能が維持できるのかという疑問も残る。何しろフィルターには、フライやてんぷらなどで部屋中に広がった油煙もたくさん付着しているので、そう簡単に汚れが落ちるものではない。また、ユーザーが正しいメンテナンスを定期的にするというのが前提になる。
その点フィルター交換派は、ランニングコストこそ高くつくが、フィルターを交換すれば新品同様の性能にリセットできる。本当に花粉で悩んでいるなら、フィルター交換式を選んだ方がいいだろう。
家庭で効率よく清浄するなら風量とキャッチする仕組みも大切
空気清浄機の2番目のポイントは風量だ。1分や1時間という単位で、どれだけ多くの空気を吸い込めるか?以前に掲載した記事で、ゴミ袋を使い風量を測ってみたが、家電量販店で目安となるのは対応畳数だ。
もちろん、8畳間に8畳用の空気清浄機を置いても構わないが、目安は1.5倍以上がいい。エアコン選びと同じで少し大きめのもので余裕を持たせるのがいいという考えだ。でもエアコンと決定的に違うのは、1.5倍以上あってもオーバースペックにならない点だ。
特に家族の多い家庭では、ドアや窓を開閉するたびに外から汚れた空気や花粉が侵入してくる。花粉が付いた洗濯物を取り込んでたたんだり、お風呂場を乾かそうと窓を開けていると外気が入ってくる。どんな高気密住宅でも、外気を完全にシャットアウトできないのだ。
このように「外気はどうしても入ってくる」ということを前提にすると、いかに早く外気に含まれていた微粒子を取り除けるかが空気清浄機の性能を決める。つまり、多くの空気を循環できるものほど、素早く部屋の空気を清浄できるというわけだ。
最後の3つ目のポイントは、微粒子をキャッチする仕組み。最終的にはフィルターが微粒子をキャッチするのだが、メーカーそれぞれにアイデアを絞って「効率よくキャッチする仕組み」を設けているものが多い。
よく使われているのが、静電気の仕組みを応用したものだ。キレイな空気の吹き出し口からマイナスのイオンを放出したり、空気取り入れ口で微粒子にマイナスの電気を持たせたりする。一方、フィルターはプラスの電気を持たせ、静電気や磁石のようにフィルターに微粒子が吸い付くというものだ。
ここまでに説明した、空気清浄機の性能を決める3つのポイントは、次のとおりだ。
・フィルターはHEPAの文字があるもので、花粉症対策にはフィルター交換式
・風量は多ければ多いほどいい。目安は間取りの畳数の1.5倍以上
・粒子やゴミを効率的に取り除く機能を備えているとなおよい
3番目ぐらいに売れているブルーエア 450Eの秘密をバラして見る
以前、「本当に使える空気清浄機はコレだ! 機能をガチ比較!!前編/後編」で空気清浄機の比較記事を掲載した際は、空気清浄機能が高く、かつ静かで設置スペースも小さくて済む「ブルーエア 450E」をオススメした。
国産メーカー品は、加湿器やイオン発生器に空気清浄機能まで設ける複合機が多い中、ブルーエア 450Eは異色とも言える空気清浄専用機。しかも脱臭をしたい場合は別売の脱臭フィルターを購入するという、専用機っぷりなのだ。
メーカー名 | ブルーエア |
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製品名 | ブルーエア 450E |
購入場所 | ブルーエア公式オンラインストア |
購入価格 | 76,000円(税抜) |
ブルーエアの空気清浄機は、実は世界基準の1台となっている。それは部屋の空気をどれぐらいでキレイにできるか? つまり風量の基準だ。海外では空気清浄機選びの基準として、米国家電製品協会(AHAM)という第3者団体が公表している、CADR値(Clean Air Delivery Rate/クリーンエア供給率)に注目する。ブルーエアは2011年に発売したモデル「650E」で世界No.1と認定された、いわば世界の基準モデルと言えるのだ。
しかし日本で注目されるのは、「空気中の有害物質の除去率99.X%」という数値ばかり(清浄時間は30分という業界基準を元に設計されている場合が多く、メーカー間の機能差が少ない)。極論すれば除去率が99.9%だろうと、時間が何十分もかかっていては、入り込む外気の方が多く、空気清浄が間に合わない場合だってあるのだ。
ブルーエアの空気清浄機はスウェーデン製で、業界基準にとらわれることなく設計しているため、空気中の有害物質の除去率99.97%を維持しながら(国産の空気清浄機と同等以上)、清浄時間は12分と2.5倍の速さを誇っている(清浄時間の測定条件は国内外で異なるため、床面積で比較した場合)。
ではなぜ、高い除去率と早い清浄時間を両立できるのかを、分解して調べてみよう。
17mのフィルターをカセットに仕込み空気のヌケを最大限に
風量を稼ぐためには大型のファンを搭載すればいい。たしかに換気扇や扇風機ならこれでいいが、空気清浄機はそう簡単にいかない。なぜなら、マスクをすると呼吸しづらくなるように、空気清浄機を通る空気はフィルターを通り抜けるので、空気のヌケが悪くなる。ましてそのフィルターは、空気中の微細な粒子を捕えるほど目が細かい。
ブルーエア 450Eはこの問題を解決するために、巨大なフィルターを内蔵している。フィルターカセットをよく見ると、白いフィルターがきれいに折りたたまれて入っている。
このフィルターを広げてみたところ、なんと17mもある! これだけ面積があれば、小さなカセットでも空気のヌケがよくなり、大量の空気を短時間で清浄できるというわけだ。
目の細かさが異なる3層フィルターで目詰まりしない
ブルーエア 450Eのフィルターは、長いだけではなく、目の細かさが異なる3層のフィルターを一体化した「3ステップ HEPA Silentフィルター」を採用。一般的な空気清浄機には、HEPA規格のフィルターが使われているが、目詰まりしやすくお手入れが大変。それに対し「3ステップ HEPA Silentフィルター」は、目詰まりしにくくメンテナンスフリーながら、細かい粒子を捕獲できる独自のフィルターをカセットに内蔵している。
花粉などの大きな粒子は第1層の目の粗いフィルターでとらえ、PM2.5などの小さな粒子は第3層の細かい目のフィルターで濾し取る。こうして、大きな粒子が目の細かいフィルターを塞がないようにして、目詰まりしにくいカセットフィルターを実現している。
もうひとつの工夫は、HEPAフィルターの性能以上に細かい微粒子も捕獲する仕組みだ。HEPAフィルターには0.3μmの粒子に対して99.97%以上の捕獲率という基準が設定されているが、ブルーエアの捕獲率は0.1μmの粒子に対して99.97%以上。つまりブルーエア 450Eのフィルターは、通常のHEPAフィルターでは捕えられない、より極小の粒子でも捕えられるのだ。
その秘密は、粒子の進入方向に対して斜めになったフィルターのプリーツにある。たとえば正面から見ると直径2cmの穴が開いているフィルターがあるとしよう。フィルターを垂直にすると、直径2cmの粒子はギリギリ捕えられるが、1cmの粒子はすり抜けてしまう。
そこで、フィルターを粒子の進入方向に対して斜め45度にすると、粒子から見たフィルターの高さが半分になり、同じフィルターなのに1cmの粒子でも捕獲できるようになる。さらに斜めにすると、もっと小さな粒子も捕獲できる。
ブルーエア 450Eのフィルターが17mもあるのは、風量を稼ぐためだけでなく、細かく折りたたむことで、通常のHEPAフィルターでは捕えられない0.3~0.1μmの粒子まで濾し取る秘密もあるのだ。
ちなみに、フィルターは自社開発されたもので、量産されている一般的なHEPAフィルターに比べて、構造もずっと複雑。交換用フィルターが高価なのには、こういう理由があるのだ。
静電気と同じ仕組みを使った効率よく粒子を捕獲する工夫
静電気を使った効率的な集塵機能も特徴のひとつ。空気吸引口から空気と一緒に吸い込まれた微粒子は、電極を通過するとマイナスの電気を帯びるようになっている。
一方フィルターはプラスの電気を帯びているため、粒子がフィルター引き寄せらせ確実にキャッチできるというものだ。
ブルーエアによると、この機能でフィルターの目詰まり防止も兼ねているという。なぜならこの機能がないと、濾し取った微粒子はフィルターの網の目を覆うよう引っかかるため、使っているうちに空気が通れる穴が少なくなる。しかし静電気と同じ仕組みを使うと、微粒子は穴の周りの繊維に吸い寄せられるので、穴がふさがりにくいというのだ。ん~、実によく考えられているなと感心した!
高いのには理由がある
すでに始まった花粉シーズン。人によっては加湿機能付き空気清浄機でも十分間に合っているかも知れない。しかし空気清浄機を使っているのに、なぜか鼻水が止まらない! 目がかゆい! という人は、空気の清浄にかかる時間を疑ってみる必要があるかも知れない。
特に部屋や玄関の出入りが多いファミリー世帯、湿気の問題などでどうしても窓を開けておく必要がある家庭などだ。もしかすると清浄時間がかかりすぎて、入ってくる外気を清浄しきれていない可能性がある。
以前に掲載した「本当に使える空気清浄機はコレだ! 機能をガチ比較!!前編/後編」では、設置スペースや実験して測定した風量などを測定し、ブルーエア 450Eが高機能ということを紹介した。当時あまり知られていなかったブルーエア 450Eだが、今年を境に多くの電気店で見かけるようになった。高性能であることに疑う余地はないだろう。筆者としても当時オススメしただけに、今ホッとしている。
先に「3番目ぐらいに売れている」と紹介したブルーエアの空気清浄機だが、実は単機能、つまり空気清浄に特化した製品で見ると売り上げナンバーワンなのだ。本当に花粉で悩んでいるヒトには、ぜひオススメしたい。
またオシャレ家電としての価値も高い。男性は「業務用機っぽい」という意見が多いだろう。筆者もそう言っていたのだが、ことあるごとに女性から「分かってない」と怒られた(笑)。この業務用っぽくシンプルなデザインがオシャレということだ。言われてみると電子レンジや冷蔵庫もオールステンレスで業務用っぽいデザインがトレンドになった過去がある。ブルーエアのデザインセンスは、日本の家電メーカーにはないものを持っているのだ。
性能は保証付き、どんな部屋のインテリアも壊さないデザイン性もまた、ブルーエアの空気清浄機をオススメする理由のひとつだ。