家電レビュー
一人で持てる大容量3kWhポタ電、ブルーティAORA 300の使い勝手がいい!
2026年4月13日 09:04
3月3日に、BLUETTI JAPAN(ブルーティ)がポータブル電源AORAシリーズの「AORA 300」を発売した。
AORAシリーズはもともと日本向けに設計されているポータブル電源で、キャンプ、車中泊、停電時のバックアップなどの用途を想定している。これまで下は「AORA 10」から上は「AORA 200」まで、多数のモデルが展開されてきた。容量はだいたい型番×10Whと考えるといいだろう。
今回発売された「AORA 300」は、容量3,014Whとシリーズ最大容量となるモデルだ。価格は358,000円のところ、掲載時点では直販サイトなどで割引も実施されている。
BLUETTIといえば、今年1月に業界初となるナトリウムイオン電池を採用したポータブル電源「Pioneer Na」を発売したのが記憶に新しいところだ。ナトリウムイオン電池搭載製品はまだ少ないが、それでも挑戦するというところで注目を集めた。
実はBLUETTIは、世界で最初にポータブル電源を製品化したメーカーだったが、OEMが中心であったために一般には知られることはなかった。だが2019年から自社ブランドで日本市場に参入し、2021年から本格展開している。
今回の「AORA 300」のバッテリーセルはナトリウムイオン電池ではなく、一般的なリン酸鉄リチウムイオンだが、3kWhクラスの製品としては世界最小/最軽量を実現した。
今回は実際にAORA 300と、同時に発売が開始された折り畳み型220Wソーラーパネルもお借りした。
従来3kWhクラスのバッテリーは重量が40kg近くあったので、「ポータブル」と言いつつ、とても一人で持てるものではなかった。3kWhクラスのイメージを変える製品として注目される。早速試してみよう。
シリーズ共通のデザイン
AORA 300のデザインは、AORA 100 V2以降のデザインと同じテイストになっており、正面に端子部がお面のように張り付いているイメージを継承している。AORA 10から100 V2までのモデルではカラーバリエーションがあったが、AORA 300はグレーのみとなっている。
サイズは366×305×297.5mmで、同社従来モデルの約半分を実現した。また重量も26.3kgで、従来モデルより20%軽量化されている。実際に持ち上げるとずっしりはするが、サイズ的には1kWhクラスなので、取り回しは楽だ。移動は台車で運ぶとして、積み込みや積み下ろしは成人男性1人で十分だろう。
これだけ小型化できた理由としては、3つあったようだ。1つは開発が速いEV車向けの最新高性能電池をいち早く採用したことだ。
2つめは、充電/インバーター回路などを完全自社設計しており、モデルごとに専用設計で最適化していることが挙げられる。BLUETTIでは設計データを自動プリント基板製造装置に直送して、工場内で迅速に試作/実験できる体制を作り、工場のオートメーション化により製造を高速化している。
3つめは、強度と小型化を両立するため、従来から特殊な難燃性樹脂を筐体に採用していることだ。米国の火災現場の例では、黒焦げの瓦礫の中からBLUETTIのバッテリーモジュールがほぼ無傷で見つかったこともあるという。一部の製品には外装にバイオベースプラスチックも採用しているが、強度や難燃性は従来樹脂と同等だという。
バッテリーセル自体は外部調達だが、BLUETTI独自の選別試験を行なって14段階に分別、同じ特性のセルでパック化している。特性が違うセルがパックに混じっていると、そのセルだけ負荷がかかるからだ。1つでもセルが劣化すると、パック全体のパフォーマンスが落ちる。こうした工夫により負荷や偏りを抑えることで、劣化低減や性能の最大化を図っている。
AC入力は右側面にある。安全のために20Aのがっちりしたサーキットブレーカーが付いているのは、ポータブル電源としては珍しい。入力は最大1,500Wで、これは日本の家庭におけるACコンセントの出力に合わせてある。
バッテリー容量は3,014.4Whで、充放電サイクルは6,000回以上となっている。このあたりはさすがEV車向け最新セルを使っているだけのことはある。
正面にはソーラーパネル接続用のXT60端子がある。こちらの入力は最大1,200W。AC 1,500Wで充電した場合、フル充電まで約2.3時間。ACとソーラーパネルを併用した場合、最大2,400W入力が可能で、充電時間は約1.6時間となる。
出力は、ACが4系統でトータル2,000W、瞬間最大4,000Wとなっている。また簡易UPS機能もあり、バッテリー出力とACスルーの切り替えは10ms以内で行なわれる。
DC出力は、15W出力のUSB Type-Aが2系統、100W USB Type-C出力1系統、140W USB Type-C出力1系統、120W シガーソケット1系統となっている。またDC出力としてXT90端子も1系統あり、こちらは12V/30Aとなっている。
ただXT90端子で充電できるものは、日本においてはかなり少なく、ホビー用ラジコンのバッテリーぐらいしかない。日本向けに企画された製品の仕様としては、用途はかなり限定的ではないかと思われる。
それならばこれを廃止して、USB Type-C端子を4系統とかにしたほうが、使い出があるのではないだろうか。災害用途も視野に入れるのであれば、スマートフォンの大量充電は必須機能である。普段使いでもイヤホン、ヘッドホン、ワイヤレスキーボード、マウス、パソコン、デジタルカメラなど、USB Type-C充電機器は多い。もっと思い切ってドーンとType-C端子を増やしたほうが、製品としての魅力も上がったように思う。
エコに振ったアプリ
「AORA 300」のコントロールは、BLUETTI製品共通の専用アプリで行なう。トップ画面は一般的な入出力の状態と、AC/DCのONとOFFがリモートで切り替えられるスタイルだ。
そのまま下にスクロールすると、日々の利用状況と節約額が表示される。ソーラーパネルなどから給電している場合、系統電力の1kWh単価を入力すると、それに応じて節約額が計算される。またCO2排出削減量も表示される。
日常的にソーラーパネルを使っていると、それがどれぐらいの経済効果があるのかはあまり意識しないものだ。しかしこのようにたまに確認すると、思いのほか地球環境に貢献していると確認できるのはうれしいことだ。
ACやDC出力は、タイマーでON/OFFの制御が可能だ。毎日決まった時間に機器に給電したい場合も対応できる。
興味深い機能としては、「災害警報モード」を備えることだ。これはスマートフォンが災害警報を受信すると、自動的に緊急バックアップモードに入り、系統電力とソーラーパネルを併用して高速に満充電を行なう。警報が解除されると以前のモードに自動復帰する。夏の台風シーズンに限らず、災害の多い日本では特に重視される機能だ。
AC出力は基本的には2,000W、ピーク4,000Wあるので、一般家庭の40Aの半分ぐらいはここから賄うことができる。調理家電をいっぺんに使うとブレーカーが落ちて困るというご家庭は、コンセントと調理家電の間にAORA 300をかませておくと、ブレーカーが落ちる心配もなく快適に使える。電気ポットとトースター、炊飯器ぐらいは余裕で動かせる出力の高さは魅力だ。
また2,000Wあれば、エアコンも駆動できる。夏の台風の停電はエアコンが動かないと自宅避難もままならないが、いざとなればAORA 300を運んでくればエアコンが動かせるのは強い。
220Wで12枚折りに小さくなるソーラーパネルも
BLUETTI 220W ソーラーパネルは、3月3日に発売が開始されたばかりの新製品だ。以前からソーラーパネルは、ポータブル用途として半分や3つ折りに折りたためるパネルが多かったが、昨今は12枚折りのパネルが流行している。
従来は100Wクラスの製品が中心だったが、「BLUETTI 220W」は12枚折りで220Wを実現した。公称最大変換効率は約25%で、飛びぬけて高効率というわけではない。要するに1枚ずつの面積がA3ぐらいのサイズで、広いわけだ。したがって折りたたむとだいたいA3サイズをキープする。重量は約5kgだ。
価格は76,800円だが、記事掲載時点では直販サイトなどで割引も実施されている。
背面には自立のための脚部が付いており、下の段は突っ張り棒で、上の段はその突っ張り棒にさらに突っ張り棒を足すという格好になる。最初は上下2つ折りの状態で下の段を展開し、その後上の段を立ち上げるという順序で設置するといいだろう。設置角度は数段階で変えられる。
展開すると横が170cm以上になるので、まあまあ大型である。実際に発電させてみると、午後1時半ぐらいで184Wなので、ほぼスペック通りである。ただソーラーパネルは使っていくうちに特性が落ちるので、長期的には概ね120〜130Wぐらいと見ておいたほうがいいだろう。
こうした細かく折りたためるパネルは、海岸などでは強風にあおられると設置状態が崩れることがある。風が強い場所では地面に平置きしたほうが安全だ。
使い勝手のいい容量とサイズ
容量3kWhクラスでAC 2,000W出力ともなれば、従来だとほぼ据え置きか、動かすならキャスターに載せっぱなしで使う前提のサイズと重量が一般的だった。しかしAORA 300は、1kWクラスのサイズ感に約26kgという重量を実現した。
約26kgは軽量というわけではない。成人男性なら一人で上げ下げはできるが、持ち運ぶとなると筆者のような筋力のない人間では、5mが限度である。ただ成人男性2人なら1人当たり13kgになるので、数百メートルぐらいの移動は可能だ。
またサイズが小さいので、取り回りが楽だ。車中泊のメインバッテリーとして使用するには居住空間を確保するためになるべくスペースを占有しないことが重要になるわけだが、AORA 300なら合格だろう。
ポータブル電源は、容量に対するサイズ感や重量感の平均値がわかっていないと、小型軽量化されてもなかなかピンとこないかもしれないところだ。
サイズは2年前ぐらいと比較すると半分ぐらいになりつつあり、進化の速さに驚かされる。一方で重量は、バッテリーセルタイプが変わらないので劇的に軽量化されるわけではないが、各メーカーともそこの課題は認識しており、徐々に削り取るように最適化が進んでいる。
現時点でリン酸鉄リチウムイオンタイプのポータブル電源では、AORA 300が最も小型軽量化を実現した製品だ。3kWhクラスはそれほど製品が多くないので、No.1の地位はしばらくは安泰だろう。











