家電レビュー

ノンフライヤー+スチームの進化形! 多彩な料理できる「ハイスチームオーブン」

レコルト「ハイスチームエアーオーブン RAO-3」をレビュー

レコルトの「ハイスチームエアーオーブン RAO-3」は、コンパクトなサイズながら多彩な調理が可能な調理家電。ノンフライヤーにスチーム機能が備わっており、蒸す、煮るといった調理もできるようになっているほか、蒸気を使って高温で焼き付けることも可能になりました。

そもそもノンフライヤーは、ヒーターの熱をファンで攪拌し、熱風で食材を加熱するコンベクションオーブンの一種。筐体がコンパクトで密閉性も高いため、予熱なしで素早く調理できるのがメリットです。

さまざまな料理が楽しめる「ハイスチームエアーオーブン」を実際に使ってみて、どのような料理ができるのか、どんな使い心地なのかをご紹介します。

3つのモードを使い分けて多彩な料理を実現

スチーム機能付きのオーブンは他にもありますが、いずれも電子レンジタイプで大型になりがちです。「ハイスチームエアーオーブン」の大きさは、23×37×28.5cm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトで、設置スペースの面では他のモデルよりも有利です。

本体は23×37×28.5cm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトで、キッチンのスペースにも設置しやすいでしょう
奥行きも37cmとコンパクト。上部背面にはスチーム用の水を入れるタンクがあります

本体のほかに、食材を入れるバスケット、バスケットの中に入れて食材を置く内アミ、スチーム用の水を入れるための水タンク、液体を入れて調理できるインナーポットが付属します。専用のレシピブックと、簡単に調理を始められるガイドシートも同梱されています。

左から本体、水タンク、インナーポット、左下がバスケット、その右が内アミです
100ページ近い充実したレシピブックも付属しており、50種類のレシピが掲載されています

本機には3つのモードがあります。蒸気を使う「ハイスチーム」、蒸気を使わず熱風で焼く「エアーオーブン」、そしてその2つのモードを連携させる「コンボ」です。

「ハイスチーム」モードは55~200℃の温度帯で、蒸気によって「蒸す」と「焼く」の調理が同時にできます。設定温度が低ければ「蒸す・煮る」調理となり、温度が高ければ「焼く」調理が可能です。

「エアーオーブン」モードは80~200℃の温度帯で熱風で焼くモードで、唐揚げやポテトフライなど、ノンフライヤーとして活用する際はこのモードを使用します。

「コンボ」モードは、「ハイスチーム」と「エアーオーブン」の両方を使用できるモードです。「ハイスチーム」で煮る(蒸す)工程を先に行ない、その後にエアオーブンで焼くか、エアオーブンで焼いてからハイスチームで煮る(蒸す)かを選択できます。

モード選択は、前面のスイッチから行ない、温度と時間も設定します。液晶画面には、設定したモード、温度、時間が表示されます。なお、モードや温度などの設定は、バスケットをセットしないとできない仕様になっています。

前面のスイッチからモードを選び、温度と時間のボタンを押してから、上下ボタンでそれぞれを設定し、STARTボタンを押せば調理開始です。

ハイスチームモードで極上の焦がし焼豚(チャーシュー)

まず、ハイスチームモードで、レシピブックに沿って焦がし焼豚を作ってみます。

豚バラ肉(ブロック)にフォークで穴をあけ、塩をすり込みます。それを密閉保存袋に入れ、調味料(しょうゆ、みりん、みそ、砂糖、にんにく)を加えて、冷蔵庫で3時間以上漬け込みます。

漬け込み時間が過ぎたらバスケットに食材を入れ、モードを「ハイスチーム」に設定し、温度を160℃、時間を30分に設定してスタートします。

豚バラ肉の塊にフォークで穴をあけて、塩をすり込みます
密閉保存袋に肉と調味料を入れて、よく揉み込み、冷蔵庫で3時間以上寝かせます
バスケットの中に内アミを入れて、漬け込んだ肉を置き、バスケットを本体にセットします
背面のタンクを外し、水を入れてから本体に再び取り付けます
あとはレシピ通りに、モードをハイスチームにし、160℃、30分で設定してスタート。できあがりを待つだけです

調理が始まると、時折ボイラーからスチームが吹き出す音が聞こえますが、動作音自体は非常に静かです。液晶の調理時間表示は、調理が進むと残り時間の表示に変わり、時間が0になるとアラートが鳴って調理が終了します。バスケットを引き出して、中の様子を確認します。

焼き加減が足りなければ、さらに5分程度加熱してみると良いと思いますが、今回はちょうど良い焼き加減に仕上がっているので、ここで取り出します。あとはアルミホイルに包んで15分ほど置き、肉汁を落ち着かせて完成です。

バスケットを開けてみて、焼き加減をチェックします
肉を寝かせた後にカットして皿に盛り付けてみました

完成した焦がし焼豚を食べてみると、表面の焦げた部分は香ばしく、中はしっとりと仕上がっていました。脂の多いバラ肉の塊ですが、蒸気で調理しているためか、脂が適度に落ちて食べやすくなっています。表面の焦げた味噌の風味が香ばしく、中に入ったやわらかな脂の甘みと相まって、とてもおいしく仕上がりました。

一般的な焼豚のレシピは、塊の豚肉を焼き付けてから下茹でし、さらに調味料に漬け込んで味を染み込ませる手順になります。そのため、煮豚のような仕上がりになることが多いのですが、本製品で作ったこのレシピでは、表面の焦げ付きでしっかりと焼いた感じを楽しめるのがいいですね。

エアーオーブンでノンフライ唐揚げ

次に、エアーオーブンのモードを使ってみます。ここではレシピブックの「米粉のから揚げ」を試してみました。ただ、あらかじめお断りしておくと、レシピで記載されていた米粉は使わずに片栗粉で作っています。

はじめは米粉を買ってきて作ろうとしたのですが、近所のスーパーでは米粉が入手できませんでした。一般の家庭でも米粉を常備している家はあまり多くないでしょうし、ここでは片栗粉を使って調理しました。

レシピでは、鶏もも肉に塩をまぶし、密閉保存袋に調味料(しょうゆ、マヨネーズ、酒、しょうが)と一緒に入れて、15分以上漬け込みます。そのあとで片栗粉をまぶし、バスケットに入れた内アミに皮目を上にして鶏肉を並べます。

一口大に切った鶏もも肉に塩で下味をつけます
密閉保存袋に鶏肉と調味料を入れて、15分以上漬け込みます
漬け込んだ鶏肉に片栗粉をまぶして、バスケットに重ならないように並べます
バスケットを本体にセットし、185℃で15分に設定し、スタートします

調理が終わったらバスケットを開けて焼き色を確認し、皿に盛って完成です。できあがった唐揚げは、調味料を漬け込んだためか味もしっかりと付いていて、ジューシーに仕上がっていました。

ノンフライヤーで作る唐揚げは、油で揚げるよりも軽く感じます。ただ、揚げ物の衣のカリカリ感を求めるなら、最後に食材を上下ひっくり返して追加で3分ほど加熱すると良いでしょう。

調理が終了したらバスケットを開けて、焼き色を確認します
完成した唐揚げは、外側はカリッとして中はジューシーに仕上がりました

コンボモードで作るパスタグラタン

コンボモードは、ハイスチームとエアーオーブンを連携させて調理できるモードです。付属のインナーポットを使えば、汁気の多い食材を使った調理も可能です。ここではレシピブックに掲載されている「なすのボロネーゼ・パスタグラタン」を作ってみます。

作り方は簡単で、インナーポットにパスタ、水、パスタソース、なす、チーズを入れるだけです。はじめにハイスチームでパスタを茹でて、エアオーブンで表面をこんがりと焼き付けるという手順です。

まずパスタを半分に折ってインナーポットに入れます。そこに水を入れ、市販のレトルトミートソースを入れて混ぜておきます。そこになすとモッツァレラチーズをのせて準備は完了です。バスケットをセットして、コンボモードから、ハイスチーム→エアーオーブンを選択します。そしてハイスチームの温度を160℃で20分、エアーオーブンの温度を180℃で10分に設定して、調理を開始します。

使用する材料。ソースに市販のミートソースを使うので手軽に作れます
パスタと水、ソースを入れてよく混ぜ合わせてから、なすとモッツァレラチーズをその上にのせます
コンボモードでハイスチーム→エアーオーブンの順番を選び、それぞれの温度と調理時間を設定します。なお、コンボモードでは調理開始後の残り時間表示は、両方のモードを合計した時間が表示されます

調理が終了したので、バスケットを開けてみると良い感じの焼け具合です。おいしそうな焦げ目もできています。今回は皿に盛り直しましたが、インナーポットのままテーブルに出しても良いように思いました。

食べてみるととてもコクがあり、市販のソースを使ったとは思えないリッチなおいしさでした。ソースも混ぜ合わせてパスタを煮ているので、パスタにソースの旨みが染み込んで、おいしさがグレードアップしているようです。

バスケットを開けてみると良い感じの焼け具合に。インナーポットのままテーブルに出しても良いかもしれません
皿に盛り直して刻んだパセリをトッピング。パスタにソースの旨みが染み込み、モッツァレラチーズの濃厚さも加わっていて美味です

さらにハイスチームでいろいろ調理してみました

新しい機能であるハイスチームモードで、レシピブックにあるほかのメニューもいろいろ作ってみました。

しっとり よだれ鶏

固くなりがちな鶏胸肉を蒸気で調理することで、しっとりと仕上げるというよだれ鶏。鶏胸肉にフォークで全体に穴を開けて、下味の調味料(酒、塩、鶏ガラスープ)をすり込み、片栗粉をまぶします。

バスケットにのせた内アミに鶏肉とまいたけをのせ、鶏肉の上にみじん切りにしたねぎをかけてから、本体にセットします。ハイスチームで100℃、30分で調理します。

調理が終わったら、取り出した肉をまな板の上で10分ほど置き、肉汁を落ち着かせてからカットします。トッピングの白髪ネギとパクチーをのせて、タレをかけて完成です。

蒸気で調理した鶏胸肉は、片栗粉のとろみと相まって、しっとりとしたできあがりでした。まいたけにも鶏肉の旨みが染み込んで食べ応えがあり、おすすめのメニューです。

下味をつけた鶏胸肉とまいたけをバスケットに入れて、ハイスチームで100℃、30分に設定します
調理が完了したよだれ鶏にパクチーと白髪ネギを添えてタレをかけて完成です

大人のプリン

プリンは低温で蒸す場合、温度が高すぎると「す」が入ってしまい、調理がなかなか難しいのですが、温度が一定に保てる本機ならおまかせで調理できます。メニューブックに掲載されていたのはラム酒で香りをつけるものでしたが、子供も食べるためラム酒は入れずに作りました。

作り方はシンプルで、牛乳と生クリームを電子レンジで加熱して、混ぜ合わせた卵とグラニュー糖を加えます。あとは卵液をざるで濾してから器に入れ、ハイスチームで80℃、30分で設定するだけです。調理が終わったら冷蔵庫で冷やします。

カラメルソースは別途フライパンで作ります。グラニュー糖とわずかな水をフライパンに入れて加熱するのですが、このときヘラなどで混ぜてしまうとうまく色づきません。フライパンを揺する程度で色づくのを待ちます。色づいたら火からおろし、適度な粘度になるようにお湯で薄め、レーズンを入れます。普段お菓子作りをしないのでこの手順がよく分からず、ヘラでずっと混ぜていてなかなか色づきませんでした。

プリンも少しゆるめで、カラメルソースもうまくできませんでしたが、プリンの味そのものはおいしくできました。これは何度か作って最適な温度、時間を見つけ、カラメルもうまく作れるように試したいところです。

材料はシンプルで、牛乳と生クリームを加熱して、卵と砂糖を混ぜて加えるだけ。耐熱容器に入れてハイスチームで80℃、30分加熱します
調理が終わったら冷蔵庫で冷やし、別途作ったカラメルソースを加えます。少しゆるくなってしまいましたが、もう少し回数を重ねてみたいところです

あまっていた材料で蒸し野菜

最後はメニューブックにはなかったのですが、冷蔵庫に余っていた野菜などをバスケットに入れて、蒸し野菜を作ってみました。

使った野菜は、キャベツ、玉ねぎ、アスパラガス、カボチャ、サツマイモ、パプリカ、ニンジンなどです。適当な大きさに切ってバスケットに入れ、ハイスチームで100℃、20分で調理しました。調理が終わって確認したところ、ニンジンなどがもう少し加熱が必要だったので、時間を10分追加しました。

洗って切って入れただけの調理ですが、市販のドレッシングでおいしく食べられました。蒸し野菜は簡単なようで、せいろなどが必要で案外面倒なのですが、本機なら手軽に作れます。さらにせいろは使い終わって乾かすのが結構面倒ですが、それを考えると本機だけでできるのは手軽です。

準備は冷蔵庫に余っていた野菜を切って入れるだけです
ハイスチームで調理した蒸し野菜は、せいろで作ったものと遜色なく、おいしくできあがりました

手入れも簡単で調理も手軽でおすすめできる調理家電

本機は使い終わった後の清掃も簡単です。調理後のバスケットは油などでかなり汚れますが、内アミとバスケットは加工により、スポンジで洗う程度ですぐに汚れが落ちます。

また、庫内に蒸気を充満させて油汚れを拭き取りやすくする「お手入れモード」や、流水経路をお湯で洗い流す「流水経路洗浄モード」なども用意されており、手入れは簡単です。

エアーオーブンで唐揚げを作った後のバスケット内の様子。かなり汚れています
内アミもバスケットも、油汚れは洗えばさっと落ちるなど、手入れは簡単です

ハイスチームエアーオーブンは、熱風で食材に熱を均一にあてて焼くだけでなく、スチームによって食材に潤いを与えながら焼くこともできます。もちろん、煮る、蒸すといった調理も可能です。コンベクションオーブンにスチーム機能が付加され、調理の幅を大きく広げた家電と言えるでしょう。

コンパクトなサイズで設置場所に困らないのも助かります。また、予熱の必要がないため、時短で手早く調理できるのも嬉しいポイントです。活用範囲も広く、さまざまな調理で大活躍する調理家電だと思います。

「ハイスチームエアーオーブン」はこれ1台でさまざまな調理ができ活用の幅が広がる調理家電
栗山 琢宏