家電レビュー

パナの脚まるごとマッサージャー、本当に「はくだけ」でラクになる?

パナソニックの「はくだけキュッとリフレ」を体験

寒さが増してきた冬、座りっぱなしなどじっとすることも多くて足がむくみやすい、疲れがたまりやすい、といったことはないでしょうか? また、からだを動かす人も、運動後などのケアはついつい怠りがちになってしまうもの。マッサージのお店に行けばラクになるとわかっていても、あまり頻繁に通うのは大変です。

パナソニックはエアーマッサージャー「リフレシリーズ」の新製品として、足先から太ももまで“もみほぐす”用途に適した「はくだけキュッとリフレ EW-RA192」を11月に発売しました。製品名の通り脚を入れるだけで、AIにおまかせすれば“プロの技に学んだ”贅沢なマッサージをしてくれるという製品です。

普段は職業がら、座りっぱなしなことも多い筆者が、これを自宅で3週間ほど試しました。どんな時に役立ったのか、長く使い続けられそうかどうかなどを、お伝えします。

脚全体を包み込むように配置したエアーバッグをAIで制御。「人の手のもみ心地」を目指したという自然なマッサージ感を実現

つま先から太ももまで脚部全体をマッサージ

パナソニックのリフレシリーズは、本体に内蔵する複数のエアーバッグを膨らませたり縮めたり、空気圧をコントロールしながら圧迫動作でユーザーの脚全体をもみほぐす加圧式のエアマッサージ器具です。

はくだけキュッとリフレは、家庭用の管理医療機器に分類されています(医療機器認証番号306AKBZX00015000)。パナソニックは脚部の疲労回復や血行促進、あるいは筋肉の疲れを取り、コリをほぐす効果が期待できる製品だと説明。一方で脚部に重度の血行障害をお持ちの方は本機を使うべきではないとも案内しています。

筆者はライターという仕事がら、ふだんはよく長い時間椅子に座りっぱなしで原稿を書いています。パナソニックのリフレシリーズは友人に勧められて以来興味を持ち、夏には前世代の「ねるまえほっとリフレ EW-RA150」も試してレポートしました。ねるまえほっとリフレも、11月1日に改良された新製品「EW-RA152」が発売されています。

温め機能も備えるパナソニックの「ねるまえほっとリフレ/EW-RA152」

今回使った、はくだけキュッとリフレは温め機能を持たないシンプルなマッサージに特化した製品であり、ひざや太ももまで脚部をまんべんなくもみほぐせる点に特徴があります。両脚をちょうど包み込むくらいの、長方形の大きめなクッションのような形状です。

本体は長方形のクッションのようなサイズ
2つ折りにした状態でもだいぶコンパクトに

なお、パナソニックが2021年に発売した先代モデル「EW-RA190」はエアーマッサージャー「レッグリフレ」という名前で、ロングブーツのようなデザインでした。新製品のEW-RA192は、よりシンプルな見た目で、収納と片付けも楽にできる汎用性の高いデザインに変わっています。

マッサージに慣れていない人にもよさそうな使用感

今回はパナソニックから実機を借りて3週間ほど試すことができました。

はくだけキュッとリフレは「いつ使うか」も大事なポイントです。1人のユーザーが1日に本機をマッサージに使える時間は約10分間。パナソニックでは「1日1回」を適切な使用の目安としています。その理由は「長時間の使用は筋肉や神経に必要以上の刺激を与えて逆効果につながる懸念があるから」とパナソニックは説明しています。

そしてマッサージ中に「寝落ち」しないようにも注意を喚起しています。本機をはき続けたまま身体を動かしてしまうと寝ぼけて怪我をしたり、機材の故障にもつながるリスクがあるからです。筆者はとても疲れている日は就寝直前に本機を使うことを避けました。

筆者の場合、飲み会のため遅く帰宅して「これからはくだけキュッとリフレをやったら寝落ちしそう」だった日を除けば、ほぼ毎日使用しました。

使用時にはズボンをはくように左右の脚を本体の中に差し込みます。薄手のジャージやスウェットであれば着たままマッサージ効果が得られます。

脚のコンディションに合わせてAIがもみほぐす

使い始めるには、まず本体に固定されているケーブルにACアダプターを装着します。片脚ずつ、両脚を本体の奥まで差し込むと、中には「かかとクッション」と呼ばれる棒状のクッションがあります。

つま先までしっかりともみほぐすコースを選択する時には、このクッションにかかとを載せて使う形です。つま先を布地の外まで出して太ももまでマッサージができるように、脚部を入れるポケットは先端が貫通しています。

本機が搭載するコースは「しぼり上げ」「ながしもみ」「もみほぐし」「ストレッチ」の4種類。それぞれエアーバッグによるもみほぐしの強度を1〜5まで1ステップずつ5段階で変更できます。4つのコースは、疲れの原因や状態、気になる部位などによって選ぶとよさそうです。

・しぼり上げ:脚全体の重だるさを解消
・ながしもみ:太ももやひざ裏などをスッキリさせる
・もみほぐし:筋肉のコリや疲れを取る
・ストレッチ:ヒールや長時間の立ち仕事の疲れ解消のため足をのばす

モードともみほぐしの強度は本体のコントローラーを押して切り替えます

筆者は座り仕事による脚の疲れが「ひざ」や「太もも」にたまることが多いため、「ながしもみ」をよく使いました。脚全体をぎゅっと2〜3秒しめつけてから、エアーバッグの空気を抜いて一気に開放する動作が特徴的です。

イベントの取材など靴をはいて長時間外を歩いた日には「ストレッチ」も効果的でした。足裏や足の甲、つま先をエアーバッグで「伸ばしながらしめつける」ような動作を繰り返します。

はくだけキュッとリフレの特徴は、ユーザーの脚をエアーバッグでぐるりと包み込んでマッサージをする際、その日の脚のむくみによる太さの違いを自動検知してマッサージの強さやリズムを最適化してくれることです。

AIによる検知と制御は1秒簡に5回、きめ細やかに行ないます。むくみが強く、脚全体が張っている時にはすばやい加圧動作でリズム良く浅めの圧をかけます。反対に脚が細くなっている場合はじっくりと圧を加えて血行を促進します。

エアーバッグがほぼ全開に膨らんだ状態。心地よい締めつけ感が得られました

筆者が試した時に偶然、AIが「強いむくみ」を検知したのかもしれませんが、「もみほぐし」のコースはマッサージのリズムがとても小刻みで若干せわしなかったです。もっと長期間にわたって使い込めば、自身の脚の状態に合わせ今日はどのコースを選ぶべきなのかがわかるようになるのかもしれません。

強度は最も弱い「1」からスタートする使い方がおすすめです。筆者は脚の筋肉が多くある方ではないため、あまり強いマッサージが苦手です。強度は「2」が最も心地よく感じられました。日常からスポーツで身体を鍛えていて、筋肉量の多い方は徐々に圧を変えながら自分に適した強さを見つけるとよいでしょう。

本体に固定されているコントローラーから、マッサージが始まった後からでもコースや強さが変更/調整できます。また万が一のために「急停止」ボタンもあります。

すべてのコースに約10分間の時間制限があります。時間が過ぎると自動で電源がオフになります。

途中でコースを変えた場合でもマッサージの合計時間が約10分を過ぎるとオフになります。延長は不可。ただし、直後に家族が使用することも考えられるので、いったん電源が切れた後に再起動して、連続使用することは可能です。

約10分のマッサージが終了するとエアーバッグの空気がすべて抜けて、電源は自動でオフになります。コース終了後にビープ音などは鳴りません。夜間の使用時に周囲の迷惑にならないよう、配慮した仕様なのかもしれません。

筆者は以前に「ねるまえほっとリフレ」を試用した時には、全10分間のマッサージコースのどのあたりまで進んでいるのかを知りたいと感じました。「はくだけキュッとリフレ」ではなぜかそのことが気になりません。きっと単純に10分1セットのマッサージ器が使い慣れたのだと思います。むしろ10分間があっという間に感じられて、1日1回以上使いたくなってしまいます。

音の大きさは夜でも問題ない?

なお使用中にはエアーバックに空気を出し入れする際のモーター音や、エアーバッグが伸び縮みする際の「パリパリ」っという音が鳴ります。騒音レベルは低いので近所迷惑になるほどではないと思いますが、隣との壁が薄い部屋にお住まいであれば、特に静かな夜間はノイズにも気をつけて使った方がよいと思います。

ながしもみコースを選択、強度は「2」に設定。どれぐらいの音が聞こえるのか、参考までに静かな夜間に使用中に撮影しました

筆者はお店などのマッサージで身体をほぐすと眠くなったり、ぐったりとしてしまいます。はくだけキュッとリフレは使用後すぐにスッキリ感が得られて眠くならず、翌日になって“もみかえし”に悩まされることもありませんでした。はくだけキュッとリフレでマッサージをした翌日は脚の疲れがリセットされたので、歩行も軽やかでした。

脚部全体を包み込んで、全体に均等な圧をかけるマッサージは少なくとも一人の施術師だけの手技では不可能です。それだけでもはくだけキュッとリフレは独自で貴重な生活家電だと思いますが、AIによる力加減の制御が加わるためか、マッサージ機器にどちらかといえば不慣れな筆者と妻がともに違和感なく使えました。

座りっぱなしが続くと、ふくらはぎだけでなく太ももの内側や裏側が突っ張りがちになります。妻も在宅ワーカーなので「ねるまえほっとリフレも良いけれど、はくだけキュッとリフレはもっと良い」という意見で一致しました。

使った後の手入れと、使ってみて良かったポイント

長く使い続けるには手入れの面も大事です。本体の丸洗いには対応しないため、メンテナンスは水に濡らしてから固く絞ったタオルなどで汚れを拭く程度が最適です。本体の生地は抗菌加工。

使う際に、内部の汗ぬれや汚れが気になる方はショートパンツではなく、少し丈の長いパンツを着て使った方が良いと思います。本機1台を家族どうしで使い回す場合でもエチケットは肝心です。

両脚を挿入する内側の生地は抗菌加工になっています

本体サイズは横幅が約60cm、縦方向が約80cm。高さ(厚み)は約6cmです。3つ折りにすればベッドルームのクローゼットなどに収納できるサイズ。電源のACアダプターを除く本体の重さは約2.1kg。外側にはACアダプターを収納できる小さなポケットがあるので、そこにまとめられます。

本体の小さなポケットにアダプターが収納できます

はくだけキュッとリフレを使ってみて良いポイントが多かったですが、あえて挙げるなら、2つリクエストがあります。1つはせっかくAIでリアルタイムに検知している「脚のむくみを可視化」できるツールがほしいです。便利な生活家電も漫然と使い続けているうちに効果を忘れたり、飽きてしまうことがあります。自身の脚の健康状態を数値やグラフを使って可視化できる機能があればモチベーションが長続きすると思います。

もう1つは本機を折りたたんだ状態で収納できるアクセサリーがほしいです。2025年1月31日までに本機を公式通販サイトや楽天、Yahoo!の公式ショップで購入すると、パナソニックが製作した「専用オリジナルホルダー」のプレゼントが付いてきます。できれば同様のアクセサリーをレギュラー品として販売してくれれば、収納にも困らないでしょう。

期間限定ではくだけキュッとリフレの購入者にプレゼントされる専用オリジナルホルダー。本体を三つ折りにして束ねられます

何はともあれ、はくだけキュッとリフレはパナソニックのエアーマッサージャーを初めて使う方でも抵抗感なくなじむことができて、なおかつ脚のコリが緩和される実感が伝わりやすい製品だと思います。もし店頭などにあれば、ぜひ一度体験してみることをおすすめします。

山本 敦