家電レビュー
小さな乾燥機が1人分の洗濯物にちょうどよかった! タオルもふわふわに
2023年9月26日 08:05
カラッと洗濯物を乾燥できるドラム式洗濯機があると、雨の日でも乾かせるのでとても便利です。しかし少人数世帯の住宅では、置き場所問題で断念することも。
そこで小型衣類乾燥機「Morus Zero(モルス・ゼロ)」を試してみました。排水の問題もないので場所を選ばず、コンセントがあればどこにでも置ける、小さな衣類乾燥機です。
本体サイズは415×528×489mm(幅×奥行き×高さ)、重さは13kg。コロンとして丸みのある形で持ちにくいのですが、女性でも一人で運ぶことができます。
ネオジム磁石ブラシレスモーターを採用。乾燥機内の空気圧を下げ、時速70kmの高速風で水分を蒸発させて乾燥を行ないます。「3つのNTCセンサーが1分間に500回のサンプリングを行ない、0.1℃刻みの正確な温度制御を行なうことで、過熱による傷みから素材を守り、縮みを最小限に抑えることができる」としています。
約1人分の洗濯物を短時間で乾かすことができる
モードは自動で水分を感知して乾かす「スマート」、15分で乾かす「クイック」、シャツのシワをつけないように乾かす「シャツ」、デリケートな衣類用の「シルク」、あたたかさを保つ「温め」、衣類のニオイやホコリを軽減する「リフレッシュ」、靴を乾かせる「靴」、UVライト・熱・真空を組み合わせる「除菌」の8コース。
「スマート」モードを除いた7モードは「-」「+」ボタンを押すと時間の調整ができます。コンパクトなのでモードも「乾かすだけ」で、できるのは時間の調整くらいかと予想していましたが、素材や量に合わせてさまざまなモードが用意されていることに驚きました。
最初に本体裏側にあるスイッチを押して、本体の電源をONにします。次に操作パネルにある電源ボタンをONにして衣類を入れ、ドアを閉めてモード選択を行ないます。再度電源ボタンを押すと運転スタートです。
最大容量は1.5kg。衣類の重さ(目安)はバスタオルが300g、タオルが70g、パジャマ上下が800g、ワイシャツ・ブラウスが200g、スカートが400g、肌着が130g前後、靴下やパンツが50gといわれています。組み合わせにもよりますが、「Morus Zero」は1回で約1人分の洗濯物を洗うことができます。
最初に1人分の洗濯物を入れてみました。Tシャツ、バスタオル、フェイスタオル、木綿の分厚い学校用の靴下です。
洗濯物を入れるときは扉にあるMAXの表示部分までで、入れすぎは禁物。「スマート」モードで運転開始したところ、60分と表示されました。なお、一般的なドラム式洗濯機には一度運転を始めると途中で扉を開けられないものもありますが、本製品は開けることができます。開けると回転が止まって警告音が鳴りますが、入れ忘れた洗濯物は難なく追加できました。
ドラムの回転が止まり、画面に「ALL DONE」と表示されれば乾燥完了です。操作パネルにこういったメッセージが表示されるのもユニークでわかりやすい。
洗濯物を取り出してみるとホカホカです。熱すぎないので、縮みやすい木綿の靴下もそのままでした。
シワも少なく、ほぼ乾いています。Tシャツの分厚い部分に関しては、少ししっとりしているところもありましたが、タオル類はふわふわです。靴下も木綿の厚いスクールソックスですが、全体的にしっかり乾いていました。
同じ1.5kgでも、少々乾きにくそうな洗濯物で試してみました。長袖のシャツ、体操着の半ズボン、薄手のスキニータイプのジーンズです。これも「スマート」モードで60分でしたが、乾き具合はまだらでした。やはり厚手の洗濯物に関しては、1つずつ乾燥するか、時間を調節できる「クイック」モードで、運転時間を延長することをおすすめします。
「クイック」モードで体操着を乾燥してみました。息子の体操着で、既に大人と同じサイズ感です。生地は分厚めですが、標準時間の15分でも95%程度乾いていました。時間を延長して20分にしておけば、襟元や袖口までしっかり乾きます。短時間でシワを抑えつつ、きちんと乾かせるので急いでいるときは助かります。
「シャツ」モードは標準時間が1時間。このモードにすると温度が表示されます。徐々に温度が上がりますが、終盤では最高でも60℃に抑えられています。あえてシワのつきやすいシャツを乾燥してみましたが、しっかり乾いていました。
袖などのシワも、乾燥機で乾かしたシャツとは思えないほどシワが少なく優秀でした。ビジネスシーンではこのまま着ることはできませんが、普段着として家で着るのであれば問題なさそうです。アイロンがけをするにしても、この程度のシワであればラクにできます。
雨で濡れた靴も1時間でしっかり乾燥
靴専用乾燥棚が付属しており、中にセットして「靴」モードで靴を乾かせます。靴専用乾燥棚を内部にセットし、靴を裏返して位置止めピンにかぶせるようにして固定します。
雨で濡れてしまったスニーカーをセットし、「靴」モードの標準時間60分で乾燥をしました。中に入れるだけなので手軽にできます。
1時間後、カラッと乾いていました。直接ドラム槽の内側に靴が触れることもないので衛生的です。また、回転もしないので靴を傷めることがありません。雨が降ってスニーカーがぐっしょりしていても、これがあれば安心です。
お手入れはカンタン、音と湿気はちょっと気になる
本体下にある水タンクを引き出して、溜まっていたら水を捨てます。今回何度も試しましたが、乾燥後に水が入っていることはありませんでした。
奥にあるフィルターは取り外してお手入れをします。取扱説明書では1~2回ごとに掃除するとありましたが、毎回行なうことをおすすめします。理由はフィルターが詰まっていると乾燥時間が長くなり、ホコリが逆流して衣類に付着することがあるからです。
取り外しは簡単で、槽の奥にあるフィルターを外し、メッシュについたゴミを取り除くだけ。メッシュはかなり薄いので力を入れると破けそうです。やさしくお手入れをする必要がありますが、ティッシュなどでこするだけで汚れが取れました。
一人暮らしの方におすすめの製品ですが、音はそれなりに大きく、実測値で62.2dB。乾燥しながら同じ部屋でテレビを見たり仕事をしたりしているとうるさいと感じます。ワンルームなどの場合、在宅時に稼働する際は置き場所に工夫が必要かもしれませんが、取っ手がなく丸いフォルムのため、持ち運びはしにくいです。
また、後ろからの排気も気になりました。取扱説明書によると設置に必要な空間は横が10cm、後ろが15cm、上部が50cm。カーテンの前に15cmほど離して置いたところ、水分でカーテンが湿ってしまいました。思いのほか蒸気が排出されるので、もう少し離して置いたほうが安心です。あたたかい風も勢いよく出るので、狭い部屋では温度も上がります。部屋全体がモワッとした感じになるので、置き場所も事前によく検討したほうがよさそうです。
ドラム式洗濯機を持っていてもサブ乾燥機として欲しくなる
一般的なドラム式洗濯機と比較すると、「Morus Zero」はドラムの径も小さいため、きちんと洗濯物が広がるかどうか不安でした。ドラム式洗濯機は洗濯物を持ち上げ、回転しながら乾かします。直径が大きく風も強ければ、洗濯物を広げられるので隅々まで乾き、シワを防ぐこともできます。
本製品はコンパクトなためそれほど期待していなかったのですが、想像以上にパワフルでしっかり乾いたので驚きました。価格は約6万円と高額ではありますが、ここまでパワフルできちんと乾くのであれば実用性も十分。シワも少なく、何よりフワフワなタオルの感触を覚えてしまうと、天日干しには戻ることができなくなりそうなほどです。
我が家ではドラム式洗濯機を使っていますが、サブの乾燥機としても欲しくなりました。大容量のドラム式洗濯機も、乾燥機能は6kgまでの製品が多いので、日によっては4人家族の洗濯物が入りきらないこともあります。タオルだけを「Morus Zero」で乾燥し、ドラム式洗濯機のほうでは衣類だけを乾燥できれば1回で乾きます。
本製品で乾燥するとタオルがフワフワになるので、バスタオルやハンドタオル用としても欲しくなりました。またペットがいるご家庭でも、分けて乾燥できるので活用できそうです。
気になる電気代は1時間で30円前後。1人分の衣類は1時間もあれば乾くので、この程度の金額であれば気兼ねなく使えそうです。
個人宅でももちろん便利ですが、ホテルや旅館にもこういった小型衣類乾燥機が部屋にあったら嬉しいですね。ちょっと汚してしまっても、洗面台などで部分洗いをして乾燥機で手軽に乾かせたら、着替えの数も減らせるかもしれません。