家電レビュー
時短で簡単にごちそうが作れる! 象印のオーブンレンジは普段の料理にも活躍
2023年9月28日 08:05
日々の料理を簡単においしく作りたい、でもたまには手の込んだ本格メニューにも挑戦したい。その両方を叶えてくれるのが、象印から9月にリリースされた少人数世帯向けのオーブンレンジ「EVERINO(エブリノ) ES-JA23」です。直販価格は71,280円。
レンジやオーブンをはじめ、解凍、グリル、自動調理などにも対応するのはもちろん、今回どうしても使ってみたかったのが、簡単かつ時短で調理できるうえに料理がおいしく仕上げられる「レジグリ」、「うきレジ」、「サクレジ」機能。
今回は、この3つの機能に注目して、使い勝手や料理の仕上がりなどをレビューします。
「レジグリ」はレンジ・グリルの連続使用で時短調理を実現
楽しみにしていた3つのうち「レジグリ」機能は、レンジとグリルを、連続かつ自動で使用できる調理機能です。
従来のオーブンレンジで、レンジ・グリルの両機能を使う場合、レンジはレンジ、グリルはグリルで操作・設定するのが一般的。レンジとグリルで使用する天板(角皿)を取り替えなければならないケースもあり、調理の手間や時間を要します。
一方、EVERINOのレジグリ機能は、レンジ・グリルの自動切り替えにより、連続使用を実現。レンジで食材の芯まで熱を通し、自動でグリルに切り替えて焼き色をつけるといった作業が可能なため、時短で本格的な調理ができます。
このレジグリ機能で調理するとソース焼きそばや鶏のから揚げなども、簡単かつスピーディーに作れるのに、おいしく仕上がります。
本機能を使う時は、正面から見て左側にある切替ダイヤルを回して「レジグリ」にセット。表示部に「レンジ▶グリル」が表示されたら、いったん、右手にある決定ボタン(兼温め・スタート・設定ダイヤル)を押します。
表示部がレンジ出力設定に切り替わったら、先ほどの決定ボタン(設定ダイヤル)を操作し、出力数(150W・300W・500W・600W)を選んで決定。続いてレンジでの加熱時間の設定になるので、同様に設定ダイヤルで時間(10秒~30分)を選んで決定ボタンを押します。
レンジ機能の設定が終わると、グリルの加熱時間設定です。先ほどと同様に設定ダイヤルで加熱時間を選んでからスタートボタンを押すと、加熱が始まります。
なお、加熱開始後の表示部の残時間は、レンジとグリルそれぞれの加熱時間の合計からカウントダウンされている数字です。
このレジグリ機能を使うと、ソース焼きそばをほったらかしで作れます。作り方は簡単。付属の角皿にクッキングシートを敷き、ほぐした麺の上にカットした野菜(キャベツ・にんじん・もやしなど)、豚肉をのせ、上段にセットしてレジグリで調理するだけ。加熱終了後、ソースをふりかけて混ぜれば完成です。
いったんレンジで食材に火を通してからグリルで焼き上げているためか、水っぽさがなく、ほったらかしでもおいしい焼きそばが完成したので感動しました。また、油を使わずに調理できるため、ヘルシーに仕上がるのもうれしいポイントです。
さらに、粉末ソースで作る焼きそば(2人分)は、自動メニューにも対応。切替ボタンを「自動」に合わせてから、設定ダイヤルで番号「16」を選んでスタートを押すだけで、レジグリ機能による調理が自動で始まります。先ほどと異なり、レンジの出力や加熱時間などを手動で設定する必要はありません。
自動メニューでの調理時間は約14分。途中でかき混ぜたり、炒めたりする手間もかからないうえ、おいしく出来上がるので、とても便利だと思いました。
ちなみに、本機には合計33の自動メニューが搭載されています。鶏のから揚げ、一口とんかつ、えびフライなども、面倒な設定をすることなく、手軽でおいしい料理を楽しめます。
例えば鶏のから揚げは、市販のから揚げ粉(粉末のまま使用するタイプ)を鶏もも肉にまぶして、クッキングシートを敷いた角皿に並べ、自動メニューで番号「18」と何人分かを指定して加熱するだけ。油も使わずに、ジューシーなから揚げを簡単に作れました。
付属の取扱説明書はお料理ノートと一体型になっており、自動メニューを作る時に必要な食材や詳しい手順などが書かれているので、初心者でも手軽に本格料理に挑戦できますよ。
本機では、「レジグリ(レンジからのグリル調理)」だけでなく、「グリレジ(グリルからのレンジ調理)」も可能。ハンバーグを作る時などに、最初に表面に焼き色を付け、うまみを閉じ込めてから、中までしっかり火を通したい時に便利な機能です。
「グリレジ」機能を使う時は、切替ダイヤルを「レジグリ」に合わせたあと、設定ダイヤルを回して「レンジ◀グリル」(レジグリと矢印の向きが反対に表示される)に変更し、決定ボタンを押します。その後、グリル、レンジの順で加熱設定をすれば調理を開始できます。
浮かせて加熱する「うきレジ」が加熱ムラの悩みを解決
「うきレジ」は庫内で食材を浮かせて、全方位から加熱して調理する新発想のレンジ機能です。上段にセットした角皿下部のレール部分に、付属のガラスボウル(耐熱性・食洗機可)を差し込むことで食材が浮き、庫内の全方位から加熱できる仕組み。
食材を庫内にじか置きしてレンジするのが一般的ですが、その場合は、マイクロ波が底部の接地面に集中するため、食材の下部は温度が高く、上部は低いといったように温度差が生じます。
一方、1cm程度浮かせた状態で加熱できる「うきレジ」では、じか置きに比べてマイクロ波が庫内に広がりやすくなるので、従来のレンジ機能に起こりがちな加熱ムラが抑えられるのです。
さらに、時短調理を実現しながらも、食材にしっかり味が染み込み、おいしく食べられるのが魅力です。
「うきレジ」を使用すると、手間のかかるカレーも簡単かつスピーディーに作れました。作り方は、下準備を済ませた材料をすべてガラスボウルに入れて加熱するだけ。食材を炒めたり、途中でかき混ぜたりなどの作業は不要です。
また、カレー(3人分)は自動メニュー(番号「24」)にも対応。時間設定の手間がなく、より簡単に作りたい時に便利です。
実際に自動メニューでカレーを作ったところ、スタートボタンを押して40分ほどで調理が完了。調理中はほったらかしでしたが、食材にしっかり火が通っていたのはもちろん、時間をかけて煮込んだような味わいに仕上がりました。
さらに、うきレジ機能を使って、粒の立ったおいしい白米が炊けるのには驚きました。
白米炊飯では、まず、ガラスボウルに洗ったお米220g(約1.5合)と水(290ml)を入れて軽くラップをかけ、1時間ほど浸水させます。そのまま角皿下部にセットし、切替ダイヤルを「うきレジ」に合わせて、設定ダイヤルで出力600W・加熱時間5分30秒に設定したら、スタートボタンを押して調理開始。
調理終了後、いったんスタートボタン横の「とりけし」キーを押してから、再度「うきレジ」で150W・18~20分で加熱。炊き上がったら、すぐに軽く混ぜ、再びラップをかけて10分程度蒸らして完成です。
電子レンジで炊いたとは思えないような白ご飯が炊き上がり、おいしく食べられました。手動設定の手間はありますが、少量のご飯を短時間で炊く際に便利です。
揚げ物のサクサク感が復活! 「サクレジ」なら翌日もおいしい
冷めた天ぷらやコロッケ、お惣菜の揚げ物などを、一般的なレンジで温め直しても、衣のサクサク感は復活しません。あるいは、グリルで加熱すると、外はサクサクしても中が冷たいまま。
この「お惣菜の揚げ物を上手に温め直しできない」問題を、サクッと解決してくれるのがEVERINOの「サクレジ」機能です。
この「サクレジ」を使うと、最初にレンジ加熱で食品の中を温めてから、仕上げにグリル加熱することにより、外側をサクサクに焼き上げてくれます。
使い方がシンプルなのも、本機能の良いところ。温め直す食品を角皿に並べて上段にセットし、切替ダイヤルを「自動」に合わせて「サクレジ」キーを押します。
あとはスタートボタンを押して、出来上がるのを待つだけ。レンジからグリルへの切り替え、加熱時間なども自動で調整されるので、難しい作業はありません。
なお、スタートボタンを押したあと、表示部の「仕上がり」の文字が点滅している間にダイヤルを回すと、好みの焼き具合(弱・中・強)を選べます。
試しに、スーパーで買ってきたお総菜のコロッケを「サクレジ」で温め直したところ、中はあたたかく、表面はカリッとしました。
ただし、1度温め直しただけだと、角皿に接している側の衣はサクッとしなかったため、裏返して再度加熱することに。両面を焼くことで、中は熱々、外側は揚げたてのようにサクサクしました。
食品を裏返さなくても、衣の両面がサクサクすれば文句なしですが、ひと手間加わっても短時間で加熱できるうえ、片面だけ焼くよりおいしく食べられるので、十分合格ラインだと思いました。
かゆいところに手が届く! 便利な機能が盛りだくさん
EVERINOには、先に紹介した3機能のほかにも便利な機能がたくさん搭載されています。脱臭機能付きで、250℃と高火力で本格オーブン調理ができたり(約5分間運転後、自動で210℃に切り替わる)、-10~90℃の範囲で好みの温度でレンジ調理できたりと、多彩な機能がありますが、筆者は特に、次の3つが気に入りました。
1つ目は食材の全解凍・半解凍が選べる「解凍」機能です。
冷凍したお肉や魚は、そのままでは硬すぎて包丁では切れません。かといって、完全に解凍してしまうと、ヌルヌルしてカットしづらいもの。そこで、役立つのが「半解凍」機能です。庫内に解凍したい食材を置き、切替ダイヤルを「解凍」に合わせてから、設定ダイヤルで「半解凍」を選んでスタートボタンを押すだけ。食材が包丁でカットできるくらいの硬さに、自動で解凍されます。
冷凍した鶏むね肉はカチカチでまったく包丁を入れられませんが、半解凍するだけでスッと刃が入り、カットしやすかったです。
筆者が気に入った機能2つ目は、操作部の下に装備されている引き出し式の「メニューボード」。
本機には33の自動メニューが搭載されていますが、すべての番号を覚えて操作するのは大変です。また、その都度、取扱説明書やお料理ノートを開いて調べるのも手間がかかります。その点、このメニューボードがあれば、メニュー番号を忘れても、サッと引き出して確認できるのがスマートで便利だと思いました。
そして、3つ目に筆者が気に入ったのはトーストがおいしく焼けることです。本機にトースター機能はありませんが、自動メニュー(グリルを使用)を活用すると、外はサックリ、中はモチモチのトーストに仕上がります。
トーストを作る際は、角皿に食パンを並べて上段にセットし、自動メニュー番号「9」または「10(冷凍の場合)」、および食パンの枚数(1枚または2枚)を選んで調理スタート。
3分30秒ほど経過するとブザーが鳴り、表示部に「裏返し」の文字が点滅します。やけどに注意しながら、角皿の食パンを裏返して再びスタートボタンを押せば、約2分で調理完了です。
冷凍した食パンでもサクサク・モチモチに仕上がり、通常のトースターで焼くよりもおいしく食べられました。
一方、本機を実際に使って気になったのは、本体・付属品のサイズが大きく、重い点。
庫内容量23L、39cmのワイドな間口は、大皿の出し入れも確かにスムーズです。 奥行き45cmのカップボードにも設置できますが、高さが35cmほどあり、実際に置いてみると、その存在感はバツグンで、場合によっては圧迫感を感じるかもしれません。
また、放熱スペースをあけることも考慮すると、広い空間が必要です。買ったけど置く場所がない、なんてことにならないように、事前に設置スペースをしっかり確保しておきましょう。
加えて、本体のみの重量は16.5kg。付属の角皿(セラミック製)とガラスボウルもそれぞれずっしりと重たく、総重量は20kgを超えるので、持ち運びや移動の際には注意が必要です。
とはいえ、本機はビルトイン型に比べるとコンパクトであり、導入費用も抑えられます。何よりも、日々の料理がより簡単に、時短でおいしく仕上がるのが魅力です。
定番メニューを手軽に作るだけでなく、グリルやオーブンを使った本格調理にも挑戦したい! レパートリーを広げたい! と思わせてくれるオーブンレンジでした。