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シャープ、生理ナプキン配布ディスペンサー 学校や公共施設に

サニタリープロダクトディスペンサー「todokuto(トドクト)」利用イメージ

シャープは、生理用ナプキンを必要なときにすぐ取り出して使えるサニタリープロダクトディスペンサー「todokuto(トドクト)」を7月25日に法人向けに発売する。ラインナップと想定価格は、SIM搭載で4G/無線LAN両対応の「BH-FD1A-G」が10万円前後、無線LANのみ対応の「BH-FD1A-N」が9万円前後。

学校や企業、自治体、公共施設に設置することを想定した生理ナプキンディスペンサー。利用する際のアプリ登録などは不要で、本体に手をかざすだけで誰でも簡単に、1枚ずつ取り出すことができる。

同社によると、急な生理で困った経験がある人は8割以上。また経済的な理由で生理用品を購入できない人もいることから、自治体や企業による無償配布の活動が広がっているという。

本製品は複数の自治体や企業での実証実験を経て製品化。開発のきっかけとなったのは、浜松市が生理用品の配布をスタートするうえで、「窓口での配布に抵抗を感じる人がいる」「トイレの個室で配布すると大量持ち出しが心配」といった課題を抱えていたこと。これらの問題をクリアするため、トイレ内に設置しながらも衛生的で、誰でも簡単に利用でき、大量持ち出しも防ぐ本製品が開発された。

学校や職場で生理用品の配布があると助かる場面も
無償配布には衛生面や大量持ち出しなどの不安があった

1枚ずつ衛生的に取り出せる

衛生面に配慮した非接触型センサーを搭載。センサーに手をかざすとシャッターが開き、ナプキンが1枚出てくる仕組みだ。1枚取り出すと「準備中」のLEDライトが点滅し、次の取り出しを一定時間制限するため、大量に持ち出すことを防げる。制限時間は5秒~300秒で設定可能。

ナプキン収納部の「しきり」および「高さ目盛り」を調整することで、昼用/夜用などさまざまなサイズのナプキンを収納可能。長時間の立ち仕事が多い職場では大きなサイズのナプキンを設置するといった柔軟な対応ができる。ただし、異なる種類のナプキンは同時に収納できない。収納枚数は約30枚が目安(厚さ約8mmのナプキンを収納した場合)。

サニタリープロダクトディスペンサー「todokuto(トドクト)」本体
使い方
さまざまなサイズの市販ナプキンに対応

在庫管理などを容易にするIoT機能を搭載。ネットワークに接続することで、ナプキンの残数が少なくなると管理者にメールで通知するほか、機器ごとの毎月の利用枚数も通知されるため、設置するナプキンの数量予測などの運用に役立つという。エラーを検知した際にも通知が届く。なお、IoT機能の利用にはオプションサービスへの申し込みが必要。製品購入から1年間は無料、2年目以降は年間4,000円程度の利用料がかかる。

なお、ネット環境が無くても単体のディスペンサーとして利用できる。

在庫管理などに便利なIoT機能を搭載

壁掛け/棚置きの2パターンに対応。本体背面と底面に設置用金具を備えており、環境にあわせて配置できる。例えば個室内に設置すれば、利用者が他人の目線を気にせず使える、急な生理に気付いたときにすぐに対応できるといった利点がある。洗面台などのオープン空間に設置するメリットとしては、補充などのメンテナンスが容易で、各個室に複数導入するよりもコストが抑えられるといったポイントが挙げられる。

設置は壁掛け/棚置きの2パターン

実証実験を行なった浜松市では、防災備蓄用に自治体で保管しているナプキンを活用。使用期限が近いものをディスペンサーに収納し、ローリングストックを実現している。シャープが行なったアンケートでは利用者満足度が99%と高く、「アプリなどの登録なしに利用できるのは大変うれしい」といった声が寄せられている。

浜松市での導入事例

なお、ナプキンの購入費用は導入施設が負担する。実証実験では、教育機関や企業のようなクローズ環境での1人あたりの使用率は0.6~0.7枚/月だったそうだ。100人が利用すれば月60枚で、1枚10円程度のナプキンであれば月6,000円ほどになるだろう。なお、公共施設など、より不特定多数の人が使う場所であれば、使用率は少し上昇するとのこと。

本製品は売り切りの形でスタートするが、サニタリー設備のリース企業との協業も検討中だという。

製品名の「todokuto(トドクト)」には、「急な生理にともなう焦りや不安が、その一枚が届くと、ひと安心に変わる。」というメッセージと、生理用品配布に取り組むやさしい想いが世界中に届くようにとの意味が込められている。

本体サイズはいずれも約183×137×363mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.4kg。設置にあたっては、補充作業のため本体の天面から5cm以上の空間が必要。電源はAC100V。消費電力は約4~6W。

実証実験を経て現在の形に。試作モデルはナプキンの残量がわかる覗き窓を備えていたが、残量が多かった際に減りが早かったことから、中が見えないデザインへと変更