家電レビュー

5年ぶり新機種のシャープ「超音波ウォッシャー」はどう変わった?

7月に発売されたシャープの「超音波ウォッシャー UW-X1」。約5年ぶりの3代目となる新モデルだ

シャープが7月に発売した、「超音波ウォッシャー UW-X1」。衣類など布に付着した汚れを“超音波”によって落とすことができる、予洗い、部分洗いのためのハンディ洗濯機であり、初代モデル「UW-A1」が発売されたのは2016年。

その後、2018年に2代目となる「UW-A2」と携帯タイプの「UW-S2」が発売されている。本製品は、約5年ぶりに発売された第3世代の新モデルだ。今回は、新モデルをお借りして、改良点やその実力をチェックした。

先端の“ホーン”と呼ばれる金属パーツが振動し、汚れを落とす

本体サイズは約40×40×168mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約206g。従来とほぼ変わらず。縦長のスティック状で、キャップを外すと、先端の“ホーン”と呼ばれる金属パーツが現れる。

使用方法についても、従来モデルと同じだ。落としたい汚れ部分を軽く水に浸して、ホーンの先端でなぞる。電源を入れると、ホーンが毎秒38,000回の速さで高速振動。

これにより水中や繊維のすき間に真空の泡が発生し、その発泡力で布に付着した汚れが弾き飛ばされる仕組みだ。弾ける泡の力を利用するため、布を強く擦ったりせず、軽い力で汚れを除去でき、繊維を傷めにくいのもメリットだ。

ホーンのカバーは取り外すことができ、お手入れも可能
電源ボタンは本体の底面に
電源を入れてホーンが水に触れると、水が波打ちながら微細な泡が発生し、高速振動していることがわかる

ホーンの振動回数は、従来モデルから変わらず毎秒38,000回。シャープによると、布を傷めず洗浄効果が最大限となる最適な数値だからだそうだ。

一方、従来と変わっているのは出力のパワー。定格消費電力が7Wから10Wにアップしている。シャープの比較によると、これにより汚れ落としにかかる時間が約25%短縮されている。具体的には、例えばワイシャツのエリ汚れの予洗いにかかる時間が従来は平均60秒だったが、45秒にまでスピードアップしているとのこと。

筆者は過去に初代モデルと携帯モデルを愛用していた。バッテリーの寿命により、既にいずれも引退しているため、残念ながら新モデルとの比較をリアルタイムでできないが、酷い黒ずみで処分寸前の上履きで軽く試してみたところ、みるみる汚れが弾き飛ばされていくのを目の当たりにして、パワーアップを確かに実感。

あまりに汚れていて廃棄予定だった上履きを洗剤に浸し、UW-X1を試してみた。ホーンを当てた箇所は驚くほどに黒ずみが落ち、強力パワーを証明

次に試してみたのが、白いポロシャツ。すぐ汚れるので、ずっと何もせず、ただ洗濯機で洗うだけだった。襟に筋状に付着した皮脂汚れをしばらく見て見ぬふりをしていたが、新たに手にしたUW-X1を前に一念発起。洗濯機で洗う前に、まずは洗剤は使わず水だけで試してみた。

結果はまずまず。ある程度はキレイになったものの、中心部分を中心に頑固に付着した汚れはまだまだ残ったままで、汚れの筋が目立つ。

水のみで実験
襟の汚れが気になりつつも、ただ洗濯機でまとめ洗いをしているだけだった筋金入りの皮脂汚れで実験
積年の汚れは水だけではやはり限界

新モデルでは、ホーンの素材も改良されているとのこと。腐食などを防ぐために、ホーンの表面は“強化アルマイト加工”が施されているが、新モデルでは従来よりもアルマイトの被膜を約2倍の厚みにしている。これにより耐久性を高め、従来は使用できなかった酸素系の衣類用漂白剤を併用することが可能になっている。

【訂正】初出時、「酵素系の衣類用漂白剤」としていましたが、正しくは「酸素系の衣類用漂白剤」でした。お詫びして訂正いたします(9月25日/編集部)

そこで一般的な酸素系漂白剤を溶かした水溶液にポロシャツを浸して再挑戦。その結果、うっすらとまだ筋状の汚れが残っているものの、かなり薄くなった。あまりに年季の入った汚れのため、なかなか苦戦したが、定期的にケアをしていれば白さを保てるだろう。

漂白剤を併用
一般的な酸素系衣類用漂白剤を投入し、しばらく浸した後、再挑戦
漂白剤の併用で筋汚れがかなり薄くなった。定期的にケアしていれば、十分にキレイになったであろうと思われる
まだまだ納得いかず、日ごろ泥汚れに使用している超強力な洗剤を投入。浸しただけでもそれなりに汚れが落ちており、実験のためとはいえ、ここまでの努力がちょっと虚しくなる
UW-X1でさらにケアしてみると、ついに筋汚れが消えた! 相互作用の効果を実感できた

以前、我が家で活用していたのが、スポーツ着の予洗い。練習着や帽子に付着した“泥汚れ”を落とすのにも有効。

バッテリー寿命で使用できなくなって以来、簡単にしか洗っていなかった帽子で試してみたところ、既に定着してしまったと思われていた汚れもかなり落とすことができた。

従来同様、それ以外にも、衣類や帽子などに付着した化粧品や食品のシミなどをサッと落とすのにも有効。ブレザーに付いてしまった修正ペンなど、丸洗いや家庭では洗いにくい布製品の部分洗いにとても便利だ。より強力にスピーディーになったのはうれしい。

泥で酷く汚れたメッシュキャップをいつもどおり、洗剤と一般的な酸素系漂白剤液に浸す
浸しただけでは、細かい網の目の部分の汚れが残ったままだが、UW-X1でケアすると面白いように汚れが吹き飛ぶ! 型崩れしやすく、揉み洗いなどもしづらい帽子の洗濯にはとても有効だ

一方、残念なのが駆動時間だ。連続使用時間5分は従来と変わっていないが、フル充電時の最大持続時間が、従来は最大約30分だったのが約15分と半減している。出力がアップしているためと思われるが、使っていると短いと感じる。

さらに、充電時間も約5時間。部分洗い用とはいえ、一度に何枚かをケアしようと思うと、途中でバッテリーが切れてしまって残念に思うことがしばしばあった。超音波ウォッシャーのホーン幅はわずか1cm程度。広範囲に使用しようとすると、一度で終わらないこともある。再充電にも時間がかかってしまうとなると不便に感じてしまう。

ちなみに、従来モデル同様、内蔵バッテリーは容量900mAhのニッケル水素蓄電池を採用している。ニッケル水素電池は継ぎ足し充電に強く、こまめに充電したほうが長持ちすると言われているが、電池を使い切ってしまったがために過放電となり、結果的に寿命を縮めてしまうことにつながりやすいのが気になる点だ。

9月7日時点の実売価格は22,000円前後。それなりに高価な製品であるため、消費者としてはできるだけ長く使いたいというのが本音だが、バッテリーの寿命によって使えなくなってしまうのは残念だ。取説によると、バッテリーは取り出しができないため、修理・交換できないとのことだ。

本体に貼付された、バッテリーの仕様を示したラベル

ただし、今回、充電方法が改良されている。2代目モデルでは、初代モデルに備わった充電用USB端子にカバーをなくして、充電ケーブルの抜き差しがスムーズになり、充電がしやすくなっていたが、新モデルでは専用の無接点充電台を用意。

スタンドに本体を置くだけで充電ができ、ケーブルを抜き差しする手間から解放された。従来よりもこまめに充電しやすくなったことにより、これまでよりもバッテリーの延命につなげられるかもしれない。

なお、取扱説明書には「充電池は使い切ってから(電源ランプがオレンジ点滅してから)充電してください」「充電は、電源ランプがオレンジ点滅になってからおこなってください。ご使用ごとに充電するなど、青点灯の状態でおこなうと、充電池の劣化が早くなります」と記載されている。

シャープに確認したところ、オレンジランプの点滅を目安に充電することで、継ぎ足し充電よりもバッテリーの寿命をより長く保てるように設計されているそうだ。

充電スタンドのケーブルはUSB Type-Aを採用。スタンドとケーブルはつながった状態で、抜き差しはできない構造。USB-ACアダプターも同梱されており、直接コンセントにつなぐことも可能だ。

付属の充電スタンド。無接点式で、本体を置くだけで充電できる
Type-AのUSBケーブルを採用。スタンドからは外せない構造になっている。ACアダプターも付属し、コンセントの使用も可能だ

無接点方式の充電スタンドの採用により、本体側のケーブルの接続端子は完全に撤廃されている。そのため、従来のように本体に直接ケーブルを挿して充電することはできない。

旅行先や外出先で利用したい場合には、充電スタンドも一緒に持ち歩くことが必須だ。旅行の際は、スマホ用にType-CのUSBケーブルを持ち歩いている人がほとんどだと思うので、従来の方式と併用できるとより便利だったかもしれない。

スタンドに置くだけで充電できるのはやはり快適。洗面台や洗濯機の上など、使用する場所に常設しておけばサッと使える

とはいえ、5年ぶりに登場した超音波ウォッシャーを久々に使ってみたが、その魅力を改めて実感。しかもパワーアップしており、従来よりも時短で作業ができる。

バッテリーの不安・不満はあるものの、一度使うと手放せなくなるアイテムであることには変わりなく、試用機の返却後は間違いなく恋しくなりそうだ。

神野 恵美