家電レビュー
背中を冷やせる通勤用リュックがひんやり気持ち良かった!
2023年6月13日 08:05
筆者は30歳になるまで、オフィスで働いたり、背広を着て働くことがほとんどなかったため、高校生の頃からバックパックを使い続けている。そんなバックパックの弱点が、夏の暑さ。夏ではなくとも、バックパックを背負っていると、背中が強烈に暑くなることがある。いざ学校や仕事場に着いてバックパックを下ろすと、制服やシャツの背中が、びっしょりと濡れてしまっている……なんてことは多くの人が経験しているだろう。
そんなバックパック使用時の背中を、ひんやりと冷やす機能を備えた、富士通ゼネラルの通勤用バッグ「コンディショニングバックパック」を使ってみた。
なお、5月11日よりMakuakeで500台限定で予約販売を開始。価格は3,000円オフの36,500円(6月12日時点)。
背中がヒヤリとして気持ちいい水冷式の冷却システム
同バックパックの冷却システムは、保冷剤を入れた冷水循環装置と冷却シート、それにバッテリーで構成されている。保冷剤で冷やした水を、冷却シートへ送り、背中で温められた水を、また冷水循環装置へ送り、保冷剤で冷やした水を、また背中の冷却シートへ送る……その水の循環を繰り返す。
あらかじめ保冷剤を冷凍庫で冷やしておき、バッテリーを充電しておく(2〜3時間)。使用時には、保冷剤を冷水循環装置の中にセットし、同機とバッテリーを専用の電源ケーブルでつなぐ。
冷水循環装置の側面にある電源ボタンをオンにすると、静かな部屋の中であれば「うぃ〜〜〜」という音が聞こえてくるが、バックパックを背中に背負って外へ出れば、何も聞こえなくなる。
【お詫びと訂正】(6月14日14時45分)
記事初出時、冷却シートは取り外せないと記載しておりましたが、誤りでした。冷却シートは取り外し可能です。お詫びして訂正いたします。
さっそくバックパックを背負って出かけてみた。まず背負った瞬間に、背中の上半分から肩甲骨のあたりまでが、ひやりと冷やされる。冷やされた水が循環しているんだなと想像すると、より冷却効果が高まる気がする。
このひやりとした感覚が、どのくらい続くのかだが、フル充電時の連続使用時間は約2時間。電源をオンにした初期段階では、ガツンと一気に冷却し、10分後からは温度が上昇したり低下したりを繰り返す。
この、温度を一定に保つのではなく、温度を上下に変動させて「ゆらぐ」ようにしているのは、より涼しさを感じやすくするためだという。実際に使っていて、「あ、温度が上がっていく」と、はっきりと感じることはない。ただし、使っていると時折「あ、なんかひんやりするなぁ」と感じることが多々ある。これが「ゆらぎ」の効果ということだろう。
水冷式の冷却システムに関しては、水の入れ替えが不要な保冷剤を使っている点が良いと感じた。使用するのに、保冷剤を冷やしておき、バッテリーを充電さえしておけば良いからだ。また、水の入れ替えが不要なので、清潔に使い続けられる。
ビジネスに必要な物を整理して入れやすい荷室構成
バックパックの容量は、冷却装置収納部分も含めて、25L。実際に収納できるのは、23L前後といったところだろうか。多くのビジネスパーソンに人気の、ザ・ノース・フェイスのシャトルデイパックの容量が24.5Lなので、このあたりの容量が、ちょうどいいのだろう。
筆者もまた、「コンディショニングバックパック」を仕事に出掛ける時に使って、容量で困ることはなかった。
筆者が仕事で出掛ける時に持ち歩いているのは、大きなものでも13インチのMacBook Air。それに旧オリンパス(現OMシステム)のミラーレス一眼、PEN-F。同カメラ用としては少し長めの、30mm(60mm相当)のレンズを装着している。さらに350mlの水筒を持ち歩くことも多い。
そのほか細々としたものだと、10,000mAh以下のモバイルバッテリーやカードリーダー、ケーブルやUSBアダプターなどのアクセサリー類、ボイスレコーダー、イヤホン、ハンドタオル、名刺入れ、財布(は忘れることが多いが……)といったところ。
以上のようなものは、問題なく収納可能だ。
もしカメラがなければ、A4またはB4サイズの、厚さ3〜4cmの資料も無理なく入れられた。
ただし、注意が必要なのがカメラ。カメラを持ち歩くビジネスパーソンは、そう多くないだろうが、ミラーレス一眼であれば、30mmのレンズを装着したPEN-Fが、無理のない範囲で収納できるギリギリだろう。フルサイズのミラーレス一眼以上の大きさだと、無理ではないけれど、入れ方に工夫が必要といったところ。
収納場所が細かく分かれている点は、ビジネスパーソンにはうれしいポイントだろう。まずフロントには、上下に分かれたポケットが配置されている。その後方に、メインコンポーネント(主室)があり、さらに後方に冷却装置等を収める大きなスペースがある。
そのメインコンポーネントにはパソコン用の収納スペースが用意され、財布や名刺入れを入れるのに良さそうな小さなメッシュ地のポケットを備える。やや入口が狭いように感じるが、スペースの開閉部はダブルファスナーとなっていて、ガバっと開いて収納物を出し入れできる。
その他、外側の左右には、ペットボトルを入れるのにちょうどいいサイドポケットも。ただし、最近よく見かけるようになった“太め”の500mlペットボトルは、入れられないかもしれない。
ちなみにメインコンポーネントと、冷却装置等を入れるスペースの開閉部は、ダブルファスナーとなっているので、バックパック内にアクセスしやすい。
一般的なビジネスパーソンであれば、全く問題ないというよりも、使いやすい構成。さらに、荷物が多くなりがちの冬などは、冷却装置を外してしまえば、さらに多くを収納できる。
重い荷物でも肩が痛くならないショルダーベルト
パソコンとカメラ、それに350mlの水筒を入れると、ずっしりと重さを感じる。さらに内蔵されている冷却装置やバッテリーも軽くはないので、「よいしょ」と言いたくなりながら、背負うことになる。
だが背負ってみると、言うほど重くは感じない。意外と言っては失礼だが、背中によくフィットする形状のうえ、ショルダーベルト(肩紐または肩ベルト)がしっかりとしているからだろう。それもそのはずで、バックパック部に関しては、スポーツブランドのミズノが協力している。
また左右のショルダーベルトを引き寄せて固定する、チェストベルトを使うとフィット感が増す。冷却装置の使用時にチェストベルトを締めると、バックパックと背中がより密着して、冷感効果が高まる。
バックパック本体は、ガッシリとした作りなので、質量の重いカメラなどを入れても、型崩れすることなくしっかりと背負える。
トレッキングで何kmも歩くのなら別だが、睡眠時間をしっかりととった後に、整地された街中を数分から数十分歩く程度なら、「重くていやだ……」とは感じないだろう。
ただし、荷物をぱんぱんに詰め込んで背負うと、腰のあたりに冷水循環装置なのかバッテリーなのかの凹凸が気になった。
デザインに関しては、生地やパーツはブラック系で統一され、ビジネスパーソンにフィットするものだと感じた。生地は引き裂き強度や撥水性が高そうなうえ、上質さを感じる。もし冷却システムがなくても、少し大きめのバッグが必要な時には、使い続けたいと思うだろう。
夏の自転車通勤で大きな助けになりそう!
筆者は、仕事時も含めて自転車での移動が大半。そこで今回の冷却システム付き「コンディショニングバックパック」を使ってみると、特に自転車通勤している人に良いだろうと感じた。
夏になると、漕ぎ始めてだいたい10〜15分くらい経ったあたりで汗が噴き出してくる。特にバックパックを背負っていると、背中がカ〜っと暑くなるのだ。そんな時に、冷却システムがあれば効果は絶大だろう。
少し不満な点もあった。大きくは、冷水循環装置や冷却シート以外の、専用パーツが多いこと。例えばバッテリーや、バッテリーと冷水循環装置をつなぐケーブル、バッテリーを充電するアダプターも、特殊な端子が採用されているため、付属品しか使えない。出張時なども冷却システムを使いたい場合は、専用アダプターを持っていく必要があるのだ。
一方で、冷感効果やバックパックのデザインなどは満足。価格との折り合いがつけば買って損はないだろう。