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背中のムレ防ぐ、水冷式クーラー付きリュック登場

コンディショニングバックパック

富士通ゼネラルは、クーラーを搭載した通勤用バッグ「コンディショニングバックパック」を、5月11日よりMakuakeで500台限定で販売する。価格は39,500円だが、現在4,500円オフの35,000円から購入可能。製品は7月末までに到着予定。

背面上部に水冷式の冷却シートを備えたバックパック。主にビジネスパーソンを対象とした製品で、真夏の通勤時にバックパックで背中が蒸れることを防ぎ、汗や、汗による不快感を軽減するという。同社は現在、法人向けに作業現場などで着用する身に着けるエアコン「Cómodo gear(コモドギア)」を展開しているが、コンディショニングバックパックは同社ウェアラブル製品では初めて一般向けに販売する。

新開発の「蓄冷熱交換技術」による冷却システムを搭載。保冷剤から冷熱を移動する「冷水循環装置」と、移動した冷熱を対象へ伝える「冷却シート」で構成され、あらかじめ凍らせておいた保冷剤の熱(冷熱)で冷やした水を、冷却シートに循環させる仕組み。

保冷剤で冷やした水を循環させる
背中を冷やして汗や不快感を軽減

蓄冷熱交換技術の特徴として、少ない消費電力で排熱を伴わずに冷却する点が挙げられる。冷却シートにはメッシュ素材を内蔵しており、毛細管現象(細い管を水に立てて入れた際に表面張力により水が吸い上げられる現象)のような表面張力を利用することでシート全体を均一に冷却できるという。

一定の温度に慣れると涼しさを感じにくくなることから、涼しさが持続する温度コントロールにもこだわった。使用開始時は急激に温度を下げ、その後は温度を上下に変動させて「ゆらぎ」を持たせている。

冷却シートにはメッシュ素材を採用(実際のシートは透明ではなく白)
「ゆらぎ」で涼しく感じる時間を持続する

充電式で連続使用時間は約2時間、充電時間は約2~3時間。同社の実験では、35℃の環境にバックパックを放置し、2時間の連続運転を行なったとき、バックパック背面の温度が90分以上28℃以下に保たれることを確認したという。

バックパックの開発にはスポーツ用品メーカーのミズノが協力。ミズノの荷重分散技術により、冷却装置を入れた状態(約2.4kg)でも重く感じにくく、パソコンや資料など荷物が増えても快適に移動できるようにした。

バックパックの開発にはミズノが協力

肩ベルトはクッションを左右に分割した「スプリットストラップ」を採用することで、肩の複雑な動きにフィット。分割していない場合と比べて、肩にかかる全体の圧力値と圧力の最大値が低いため、軽く感じるという。

背面下部には背当てクッションを配置。バックパックを腰で支えることで重量感を分散する。このほか、特殊なファイバーを使用した低伸縮の撥水構造で水をはじき、軽さ、撥水性/耐久性を兼ね備えた素材「X-Pac」を採用する。

肩ベルトは左右にクッションを分けてフィットするように設計
肩にかかる圧力を軽減する
腰で重さを支え、重量感を分散
上下可動式のフロントストラップ
撥水性素材「X-Pac」を採用

バックパックは2室に分かれており、背面側に冷却システムをすべて収納可能。循環チューブなどが露出することもなく、ビジネスバッグとしてのデザイン性を損なわない外観を実現した。また冷却装置を使わない時期は装置を取り外し、その部分にも荷物を収納できるようになっている。

2室のうち、主に表側に荷物を入れる想定。背面側には冷却装置が入る
マチもあり、お弁当箱も入りそうだ

バックパックのサイズは300×150×480mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約930g(冷却装置込み:約2.4kg)。冷却装置収納部分も含めた容量は25L。

冷水循環装置のサイズは180×45×171mm(幅×奥行き×高さ)、冷却シートは344×4×325mm(同)、バッテリーは80×31×109mm(同)。循環チューブの長さは600mm。推奨温度範囲は保管時が10~40℃、使用時が20~35℃。

収納量のイメージ。容量は25L
身長155cmの女性が背負ってみた写真。男性がメインターゲットだが女性が使用しても違和感はなさそう

駅から遠い会社の「困った」がきっかけに

コンディショニングバックパックの開発は、富士通ゼネラル社内での新規事業創出プログラムから始まった。「FIC(The Future of Innovation Challenge)」と呼ばれる同プログラムは、社員からアイディアを募集する。

開発担当者がアイディアを応募するきっかけとなったのは、コロナ禍で初めて迎えた夏。在宅勤務と出社を繰り返すなかでパソコンを持ち歩くことが増えた。同社は最寄り駅の溝の口から徒歩だと20分ほどかかり、炎天下でパソコンを背負った背中は汗でびしょ濡れに。汗染みやニオイが気になり、暑さによる疲労も感じたそうだ。

そのようにして出社し、ロッカールームで同僚と「この汗、なんとかできないかな」と話していたタイミングで新規事業創出プログラムが始まり、応募するに至ったという。

バックパックは7回の試作を経て製品化。使用する生地にもこだわり、背面の冷却シートと身体に接する部分は、たくさんある生地の熱流束(熱の伝わりやすさ)を1枚ずつ計測して選定したという。

真夏の出勤時に汗が気になるという、社員の困りごとからプロジェクトがスタート

同社は2020年からネックバンド型のウェアラブルエアコン「Cómodo gear(コモドギア)」を展開している。コンディショニングバックパックに用いた水の回路や、基盤の駆動回路などはコモドギアと同じような設計を採用しており、コモドギア開発の知見が活かされていると担当者は語る。

コンディショニングバックパックのタグラインは「いい仕事は、いい出勤から。」と定められた。1日の始まりである朝の出勤を快適にし、コンディションを整えることで、仕事のパフォーマンス向上につなげていく考えだ。

製品のタグライン「いい仕事は、いい出勤から。」