家電レビュー
パナソニックの洗濯機で家事モチベが上がった。タオルも断然ふわふわに【ドラム式4連続レビュー】
2023年4月19日 08:05
洗濯機は値段が高いうえに毎日使うものだから、絶対失敗したくない。洗濯干しの手間が省けるドラム式洗濯乾燥機が欲しいけど、実際のところ使い勝手はどうなの? どんな機能があると便利なの? そんな疑問に答えるべく、各メーカーの最新ドラム式洗濯乾燥機をお試しさせてもらっています。
3回目となる今回は、パナソニックのななめドラム洗濯乾燥機「NA-LX129B」(以下、ななめドラム)。先日発表された家電 WatchとGetNaviによる家電大賞の洗濯機部門で、みごと金賞を受賞した人気の洗濯機です。そうなると期待が一気に高まりますが、どんな特徴があるのでしょうか。洗濯容量12kg/乾燥容量6kgで、カラーはマットホワイト。直販価格は338,580円です。
おしゃれ着洗剤自動投入はパナソニックだけ
パナソニックのななめドラムといえば、大きな特徴が2つあります。1つめは、「トリプル自動投入」機能。今やほとんどのメーカーが導入している「液体洗剤・柔軟剤自動投入」機能を業界で初めて搭載したパナソニックが、次なる進化として「おしゃれ着洗剤」も自動投入できる機能を備えました。
もう1つが、洗剤液に空気を含ませ泡を生成することで、繊維の奥の汚れにアプローチする「泡洗浄」と温水を組み合わせ、洗浄力を高めた「温水スゴ落ち泡洗浄」です。
ちなみに今回、ついに扉が右開きのものを借りられました! これまで2回とも在庫の関係で左開きを借りたので、動線的な不便さをひしひしと感じていただけに、右開きの快適なことよ! 選び方の基本ではありますが、扉の開閉向きは妥協せずに選びましょう。
【お詫びと訂正】
記事初出時、扉の開閉向きを左右反対に記載しておりました。お詫びして訂正いたします(17時15分)
まず初めに行なうのが他メーカー同様、洗剤の投入と種類の設定です。タンクに洗剤をたっぷり入れ、洗剤のパッケージに記載された必要な量を設定します。ちなみに、ななめドラムもスマートフォンアプリと連携すると、洗剤量の設定が簡単にできるほか、外出先から洗濯をスタートさせたり、予約終了時間を変更するなど便利に使えます。
タンクが3つあるので、それぞれのタンクは小さいんだろうな、と思いましたが、意外にも、液体洗剤1,010ml、柔軟剤890ml、おしゃれ着洗剤730mlとたっぷり入りました。これなら、一度入れたらしばらく補充せずに済みそうです。
取説ナシでも操作がスムーズ。ユーザーへの気遣いが半端ない
操作はタッチパネルで行ないます。パネルがカラーで見やすいのはこれまでと同様ですが、次のページに移動する際、スクロールするパターンがあったのは、新しい感じ。スマホ操作に慣れている人は、直感的に使えるかもしれません。実際、メニュー選択もサクサク行なえて、迷うことがほとんどありません。
メニューが多いと、逆にどんなときに何を選んだらいいかわからない、といった悩みも出てくると思いますが、そんなときは右上の「説明」を押せば、各メニューの説明もしてくれます。とにかく初めて使う人でも、取扱説明書を開かなくても使いこなせるところがいいですね。
まずはドラム内に洗濯物を放り込み、「洗濯・乾燥」「おまかせ」で洗濯してみました。
さて洗濯乾燥が終了したので、洗濯物を取りに行きました。すると、なんと「すぐに取りに来てくれてありがとうございます」との表示が! まさかお礼を言われると思わなかったので(お世辞とはいえ笑)嬉しい気持ちになりました。また夜間に使用しようと思って電源を入れたところ、「夜遅くまでお疲れ様です」の文字が……。
ちなみに洗濯物の取り出しが遅くなると、何も表示されません。それが却って不気味というか、「呆れてる?」と思ってしまい、「ごめんね。次はすぐに取りに来るね!」という気持ちにさせられます。洗濯物はすぐに取り出さないと湿気戻りやシワの原因になるので、自然とモチベーションを上げてくれました。
なお、乾燥後にすぐに取りに来なかった場合、5分ごとに40秒間ドラムを回転し、衣類の放置によるシワを防ぐ「ふんわりキープ」が稼働します(約2時間)。これのおかげで、すぐに取りに行けなくてもプレッシャーにならないのもいいですね。
タオルが驚くほどふわふわ! 洗浄力も文句なし
ななめドラムを借りている間、毎日のように洗濯・乾燥を使いましたが、洗浄力に物足りなさを感じたことは一度もありませんでした。特に洗い足りないとニオイが残りやすい台ふきんなどもスッキリ洗えて大満足。(ちなみに台ふきんはニオイ移りや柔軟剤による吸水性の低減から、洗濯機で洗わないほうがいい説もあるようです)。
布に調味料などのシミをつけて洗ったときも、他メーカーと同じく、口紅以外は跡形もなく落ちました。
他と大きな違いを感じたのが、乾燥後の洗濯物のやわらかさです。取り出した瞬間、「タオルがやわらかい!」と思わず独り言を言ってしまったほど。それも、ふつうのおまかせコースで洗濯乾燥したにもかかわらず、です。この違いは、洗濯物を畳む担当の夫や息子もすぐに気付きました。ちなみに液体洗剤も柔軟剤も、ずっと同じものを使用しています。
ちなみに、このななめドラムは「はやふわ乾燥ヒートポンプ」と呼ばれる乾燥方式を搭載しています。除湿機で乾かすように約65℃の低温風で乾燥させ、シワを抑えて「つり干しよりふんわり」仕上がるのが特徴ですので、そのおかげかもしれません。とにかく仕上がりのやさしさはピカイチだと感じました。なおタオルを洗濯乾燥する場合は、タオルのパイルを立たせつつ、吸水性をキープする「タオル専用」コースもあります。
ただしシワを抑えるとはいえ、生地によってはくっきりシワがついてしまうこともあります。はて困った、と思い、パネルをチェックしていると、「シワとり・消臭」コースを発見。これは洗濯をせずに、スチームを使ってシワとり・消臭するそうで、さっそく使ってみたところ、そのまま着られるまでにシワが取れました! ほか、「ナノイーX」を利用した消臭や花粉抑制、除菌・ウイルス抑制などの機能があるのも、パナソニックならではの強みといえるでしょう。
さらに、おしゃれ着洗剤自動投入機能も便利に大活躍! お気に入りのニット素材は、洗濯機で洗えるとはいえ、やはりおしゃれ着洗剤でやさしく洗いたいもの。今までは、洗剤と柔軟剤以外は、毎回計量して入れなければいけませんでしたが、それが不要になったことで、よりきめ細かな洗い分けをしよう、という気持ちにさせてくれます。
意外にもお手入れの手間が必要
ところでドラム式洗濯乾燥機には、欠かせないお手入れがあります。乾燥フィルターや糸くずフィルター、ドアパッキンのお手入れです。実はわたくし、1回目の東芝使用時は乾燥フィルターは毎回お手入れしていたのですが(レバーを押すだけで簡単にホコリが取れる)、次にフィルターレス構造でお手入れ要らずの日立を使ったため、ドラム式はお手入れが必要なことを忘れてしまいました。人はすぐにラクな方に流れます。
そのため、洗濯機からの「乾燥フィルターお手入れサイン」が表示されてしまい、慌てて乾燥フィルターを引き出したら、大変なことに……。
フィルターのお手入れは意外にも、地道に手で汚れを取り除きます。他メーカーがさまざまな工夫をしていたので、逆にあまり進化していないのは驚きでした。どちらにせよ、ホコリを溜めすぎると乾燥ダクトにホコリが入り込んで乾燥性能が落ちたりするので、ズボラな自分を反省……。
一方の排水フィルターにも、多少のホコリは溜まっていたものの、ひどいことにはなっていませんでした。ホッ。
ではドアパッキンはどうでしょう。実はななめドラムには、高浸透バブルシャワーの放出と同時に、窓パッキング(ドアパッキン)裏の糸くずを洗い流す「窓パッキング洗い」機能が搭載されています。ただ、雑巾でぬぐってみたところ、けっこうホコリが取れたので、「お手入れの頻度が低減される」と考えたほうがいいかもしれません。
高機能でも使いこなせるユーザー目線の洗濯機
約1カ月間使用して感じたのは、使いこなしをユーザー任せにしない気遣いでした。近年の家電は高機能化したことで、逆にユーザーが使いこなせないといった問題が出てきていますが、このななめドラムは、自然と多彩な機能を選び分けて使えるように誘導してくれている感じがあります。
しかも、ドラム式の困りごとをさまざまなアプローチで解決しようとしてくれています。乾燥後、すぐに取り出せるように、外出先からスマホで洗濯終了時間を変更できたり、すぐに取りにきたくなる励ましがあったり。
そうはいっても取りに来られない時は、ふんわりキープをしてくれますし、予約運転の際は、洗濯物を洗濯槽内に長時間入れっぱなしになることから、ニオイ対策として「ナノイーX」を放出します。とにかくあの手この手で、今まで諦めていたことを解決してくれているのです。
お手入れの手間は残りますが、ななめドラムは、機能と気持ちの両面から、スムーズな家事を支えてくれる洗濯機だと感じました。初めてドラムを使う人、使いこなせるか不安な人にもおすすめです。