家電レビュー

東芝は洗浄力と業界トップ級の乾燥容量に大満足【ドラム式4連続レビュー】

東芝ライフスタイル「ZABOON TW-127XP2」

ドラム式洗濯乾燥機はここ数年、飛躍的に高性能になっています。かつてドラム式は縦型洗濯機に比べると洗浄力が劣ると言われていましたが、それも今は昔。また乾燥時のシワも少なくなっています。その一方で、各メーカーが独自の技術を搭載しているため、どのドラム式がいいか、決めかねている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、主要メーカー4社の協力を得て、最新ドラム式洗濯乾燥機の連続レビューを敢行。1カ月間使い続けたからこそ分かる各製品の特徴や魅力、苦手なことなどをレビューしていきます。

初回となる今回は、2022年9月発売の東芝ライフスタイルのドラム式洗濯機「ZABOON TW-127XP2」(以下、ZABOON)です。店頭予想価格は44万円前後。カラーはボルドーブラウンとグランホワイトから選べますが、今回はインテリアにあわせてボルドーブラウンをお借りしました。

繊維の奥の汚れを落とす「ウルトラファインバブル」に期待

「ウルトラファインバブル」と「マイクロバブル」の2つの泡が洗浄力を高める「抗菌ウルトラファインバブルEX」を搭載

ZABOON最大の特徴といえば、やはり「ウルトラファインバブル」です。ウルトラファインバブルとは、シャワーヘッドなどに搭載されて話題のアレと同じ、ナノサイズの泡のこと。非常に小さい泡が洗剤とともに繊維の奥に入り込み、皮脂汚れを落として黄ばみを防いでくれるのです。さらにマイクロサイズの泡「マイクロバブル」も発生させ、落とした汚れの再付着を抑えて黒ずみを防いでくれます。

ちなみに他メーカーは洗浄力を上げる手段の1つとして、洗剤の酵素を活性化する温水を使用しています(ZABOONにも温水コースあり)。その点、ZABOONはわざわざ温水を使わなくても高い洗浄力がある、というわけです。

さらに清潔機能で注目したいのが、UVを使用した「UV除菌洗乾コース/UV温風除菌コース」。洗濯前と乾燥時に衣類にUVを照射したり、水洗いできないスーツやぬいぐるみをUV照射したりして除菌する、時代のニーズに合わせた機能です。

洗わずに、UV照射と温風で除菌やウイルス抑制をしてくれる機能も搭載

さて、いよいよ搬入されてきましたが……やはり存在感があります。何しろ洗濯容量12kg/乾燥容量7kgは業界最大クラス。とはいえ本体サイズは600×720mm(幅×奥行き)なので、近年の住宅であればだいたい置けます。それよりも注意すべきは搬入経路です。我が家の場合、洗面室の入り口がギリギリだったので、念のため扉を外して搬入してもらいました。

ということで、購入前にはあらかじめ以下の項目を確認しましょう。

  • 搬入経路
  • 壁と水栓の高さ
  • 防水パンのサイズ・形状と排水口
  • 床面の強度

ちなみに今回は在庫の都合上、扉が左側に開くタイプをお借りしましたが、おそらく我が家の場合、右開きがベター。扉を開けるために、いちいち右側に入り込む必要があり、少々面倒でした。

我が家の場合、左開きだと洗面室の入り口側に扉が飛び出るので、いったんお風呂場側に回ってから開けなくてはいけません

また今回は短期間の設置だったため不要でしたが、設置の際は、洗濯機の高さを上げる「かさあげ」と呼ばれる置き台の設置が推奨されます。防水パンと洗濯機の隙間をあけることで、防水パンの下に溜まったホコリや落とし物に手が届く、カビ予防ができるといったメリットがあるものです。ただし事前に用意していないと、業者さんにその場で購入を勧められ、価格が“言い値”になってしまう場合があるので要注意。購入時に店頭などで確認しておきたいところです。

さて設置後は、本体とアプリを連携し、1カ月間使用スタート。ちなみに我が家は、夫と高校1年生の息子、筆者(と犬)の3人(と1匹)暮らしです。

カラッと乾燥! シワが少ない「上質乾燥モード」も大活躍

実際に洗濯乾燥を始める前に、まず液体洗剤と柔軟剤を充填する必要があります。東芝ZABOONをはじめ、今回試用する4台のドラム式はすべて「液体洗剤・柔軟剤自動投入機能」を搭載。あらかじめタンクにたっぷり入れておけば、洗濯物の量に合わせて自動で計量、投入してくれるものです。これは単に手間を省いてくれるだけでなく、洗剤の入れすぎや不足を防いでくれる効果があり、非常に便利です。

液体洗剤は890ml、柔軟剤は590ml入ります。そのほかの漂白剤や粉末洗剤は、手前の洗剤投入ケースにその都度投入

続いて洗濯物をドラムの中に放り込みます。このとき、洗濯だけならドラムいっぱいに衣類を詰め込めますが、洗濯乾燥の場合は、乾燥容量に合わせて7kg分を投入します。「でも7kgってどれくらい?」と思っていたら、ちゃんと目安線がありました。ちなみにZABOONのドラム最大内径は54cm。入り口が広いので、洗濯物を入れやすいです。

扉のヒンジ近くにある横線が、乾燥容量7kgの目安です

続いてタッチパネルから操作するのですが、これが分かりやすい。字が大きくて見やすいだけでなく、モードごとに色分けしてあったり、次に選ぶべきところがスムーズに選べるようになっていたりと、悩むことがありません。逆に「こんなこともできるのか」と確認できるので、機能をきちんと使いこなせそうな安心感がありました。

洗濯は青、洗濯乾燥は緑、乾燥は黄色と、機能をイメージしやすいカラーで表示されます

こうして1カ月間、日常的に洗濯乾燥機能を使いまくりましたが、筆者の一番の感動ポイントは「天日干しよりカラッと乾燥できる」ということでした。というか、むしろ熱いぐらい? 試用期間中、一度も乾き足りないと思ったことがなく、一貫して満足度が高かったです。なお、ZABOONは乾燥方式に、除湿能力の高いヒートポンプ式を採用しています。

タオルをふっくら乾かせます。肌あたりも優しくなりました

その一方で、やはり乾燥容量いっぱいの7kg近く乾かすと、ワイシャツやブラウスはシワが目立つこともあり、アイロンがけが必須でした。これが洗濯機乾燥の限界か……と思いつつ、タッチパネルでコースを探してみたら、ありました、上質乾燥モード! 洗濯乾燥容量は4kgに減りますが、乾燥時のシワを低減してくれるモードです。実際に使ってみたら、本当にシワが少ない! おかげでアイロンがけから解放されました。

シワが多かったときの一例。このままでは着られないので、このときは洗濯し直して干しました
通常コースで乾燥するとシワシワになってしまったブラウスたちも、上質乾燥モードならここまできれいに乾燥できました

たっぷりの泡でジャブジャブ洗い、汚れ落ちも問題なし

では肝心の洗浄力はどうかというと、我が家はもともと汚れがひどい衣類が少ないため、落ちない汚れが気になることはありませんでした。ただ洗濯の様子を見ると、大量の泡でジャブジャブ洗ってくれるので、爽快感が半端ない。ウルトラファインバブル自体は、徐々に染み付いてくる黄ばみを抑えてくれるので、その効果は長く使い続けることで実感できるのでしょう。

この泡の量! この中でじゃぶじゃぶ洗えば、きれいになりそうです
パワフルなシャワー水流でじゃぶじゃぶ洗います

洗浄力を調べるために、布に汚れをつけて洗濯してみました。汚れは、食べこぼしでありがちなケチャップと焼肉のタレ、さらに運動部のお子さんがいるご家庭向けに泥汚れ、そして筆者が洋服を脱ぐ時につけがちな口紅&ファンデーションの4種類。これを通常モードで洗濯したところ、口紅&ファンデーション以外は、どこにつけたかわからないほどきれいになりました。口紅&ファンデはべっとりつけてしまったので(笑)、予洗いが必要だったかも。

(左上から時計回りに)ケチャップ、焼き肉のタレ、口紅&ファンデーション、泥を塗りつけました
通常モードで洗濯した結果。化粧はできるだけ崩れてほしくないので、これはこれでよかったのかも(笑)
汚れが気になる衣類が多いときは「自動2度洗い」や「つけおき」、「温水」など多彩なモードが用意されています

ところでメーカーのホームページを見ると、「洗濯から乾燥まで7kg約96分」とありますが、筆者が使った限り、そんな短時間で終わったことはありません。短くても3時間30分(210分)という印象。洗濯物を減らしたら短時間でいけるのかな、と思い試してみても、やはり3時間は超えてしまいます。調べたところ、この数値は日本電機工業会自主基準によるもので、実際の洗濯状況により異なるそうです。

でもどうしても短時間で仕上げたいとき、例えば今日着たかった服や子供の体操服、給食着を急いで洗濯乾燥したい場合はどうしたらいいのだろうと思い、コースをチェックしていたら、やっぱりありました、少量45分コース。洗濯乾燥容量は1kgと少ないですが、至急のものなので十分です。実際に使ってみましたが、45分でもしっかり乾いてくれました。

省エネモードにすれば音も静かで電気代も安い!

いずれにしても洗濯乾燥は結構時間がかかるうえ、随時運転時間を見直すため、予測するのは難しい。どうせ干す手間がないのだから、運転終了時間を予約したほうが使いやすいかもしれないと思いました。特に筆者は、朝は元気な朝型なので、夜中に洗濯乾燥を済ませられたら朝に畳めると思い、朝6時に終了するよう予約してみました。

ところが初めてやってみた日は大失敗。夜中に乾燥時の大きな音で目が覚め、慌てて停止させました。そこで改めてモードを調べてみると、まず洗濯コースに「おやすみ」モードがありました。脱水の回転数を低くするため音が抑えられるそう。

さらに乾燥は「省エネ」モードにすると、時間は7時間近くかかるものの、音と電気代が抑えられることがわかりました。寝ている時間を利用するので、時間がかかっても問題なし。おかげで夜、運転音が気になることもなく、朝はカラッと乾いた状態で終了していました。

通常乾燥の音は筆者宅での実測値は約70dBと大きかったので、夜間は「省エネ」モードがおすすめ

求められる静音性は、隣家との距離や関係性によっても変わってくると思います。筆者は以前、音が響きにくいマンションに住んでおり、騒音問題は少なかったのですが、やはり一部住戸では洗濯機音トラブルがありました。今は戸建に住んでおり、隣家との距離もありますが、たまに運転中に外に出て音の大きさを確かめています。いずれにしても筆者宅では、省エネモードなら夜中の使用も大丈夫だと思いました。

ちなみに「おいそぎ」モードで洗濯乾燥した場合の1回あたりの電気代は、約41円(1,330W)に対し、省エネモードにすると約23円(730W)と半分近くになるので、省エネモードを使わない手はありません。

またZABOONは、スマホアプリと連携することで、洗剤の種類を簡単に設定できたり、自分好みのコースを設定できたりするなど、よりユーザーに合った使い方ができるようになります。

アプリと連携すると外出先から操作できたり、洗濯終了のお知らせが来たり、何かと便利

お手入れは洗濯乾燥の都度だがサッと済ませやすい

ところで、ドラム式洗濯乾燥機を使い始めた人から、よく聞こえてくる声があります。それが「乾燥フィルターを毎回掃除しなきゃいけないなんて知らなかった」「ドアパッキンにホコリが溜まる」というもの。知らずに放置した結果、乾燥性能が落ちたりホコリが衣類についたり、場合によっては故障につながるケースもあります。

そういう意味でも、いかにラクにお手入れできるかも、要チェックポイントであり、各メーカーが力を入れているところ。ZABOONはどうでしょうか。

乾燥フィルターは洗濯機の天面に設置されています

まず洗濯乾燥後、毎回お手入れしたい場所は、乾燥フィルター&乾燥内部フィルター、ドアガラス&ドアパッキン、排水フィルターの3カ所です。乾燥フィルターは天面から取り出し、横にあるレバーを下ろすと、ずるずるっときれいに取れました。さらにドアガラスが濡れているので拭き上げ、ドアパッキンの内側に布を入れてぐるっと拭き上げると、こちらもホコリがぞろぞろ出てきました。

乾燥フィルターのホコリが、一枚の紙のようにスルッと取れ、手がかかりません
ドアパッキンの内側は、やはりホコリが溜まりやすいことを実感

一方、排水フィルターを抜き出してみると、そんなにホコリが溜まっていなかったので、洗濯の都度というより数回に1回で良さそうです。

洗濯乾燥の都度、お手入れするのは少し面倒かもしれませんが、ホコリが落としやすく汚れがこびりつきにくい工夫もされているので、お手入れ自体は2〜3分で済ませられ、慣れれば大した手間ではないかも。ちなみに洗剤自動投入タンクも、2〜3カ月に1回あるいは洗剤の種類を変える際にお手入れが必要。使用しないまま放置すると、洗剤が固まって詰まる場合もあるので意識しておきたいところです。

ライフスタイルに合わせた使い方を選べて満足度も高い

1カ月間使ってみた感想としては、洗浄力・乾燥力ともに高く、非常に満足度が高かったです。まず乾燥容量が多いため、一度に洗濯乾燥できる量が少ないと感じることがありません。さらに乾燥時も、適切なモードが見つかるまでは戸惑いましたが、衣類に合わせてコースを選ぶことで、シワが低減できることがわかりました。大型カラーパネルを直感的に操作でき、迷わず使えたのも満足度の高さにつながったと感じます。

まだ1台目の試用ながら、東芝ZABOONは小さいお子さんがいる家庭から高齢家庭まで、幅広いニーズに応えてくれるドラム式洗濯乾燥機だと思いました。

田中 真紀子

家電を生活者目線で分析、執筆やメディア出演を行なう白物・美容家電ライター。日常生活でも常に最新家電を使用し、そのレビューを発信している。専門家として取材やメーカーのコンサルタントに応じることも多数。夫、息子(高校生)、犬(チワプ―)の3人と1匹暮らし。