家電レビュー
低糖質パンやリッチパンも美味! パナソニックのホームベーカリーは初心者から上級者まで使える
2022年6月30日 07:05
炊飯器に比べると、ホームベーカリーは「買ったけど使わなくなった」と言われることが多い家電だ。
かくいう筆者も、数年前にホームベーカリーを手に入れたものの、使わなくなった。一番大きな理由は、焼き上がったパンが好みじゃなかったからだ。皮は厚くてずっしりむっちりして詰まったパン。何度か食べると飽きてしまい、結局使わなくなったのだ。
ところが、パナソニックのホームベーカリー「ビストロ SD-MDX4」を使ってみたところ、ふわふわで美味しいパンが焼けてびっくり。これなら毎週でもパンを焼きたいと、ホームベーカリーに対するイメージが一新したので詳しく紹介する。
高級感のある黒いボディ。静かさ驚き
ホームベーカリー「ビストロ SD-MDX4」は、パンケースの突起(リブ)とパン羽根の設計を改良し、プログラミングにより独自の「3D匠ねり」を搭載。生地を「たたく」「伸ばす」を3次元でおこなうプロの技法を再現した。これにより、伸びのよい生地をつくり、ふっくらとしたパンに仕上げるところがポイントだ。
さらに、独自の「Wセンシング発酵」を採用。これは、室温と庫内の温度を見はり、環境に合わせてプログラムを変えるというもの。パンの発酵は繊細で、温度や湿度の影響を受けやすい。特に夏場は発酵がすすみすぎてしまう「過発酵」により、パンの膨らみが悪くなることがある。「Wセンシング発酵」ならその心配がなく、一年中安定してパンづくりが楽しめるという訳だ。これは初心者にうれしい機能。
本体の大きさは約26.3×35.6×35.3cm(幅×奥行き×高さ)、重さは約6kg。1斤サイズで43メニューを搭載。レーズンとナッツの自動投入機能を備える。
まず使ってみて驚いたのは運転音。インバーターモーターを搭載し、ねりの速度をきめ細かく制御するだけでなく、静音性も実現している。
「リッチパン・ド・ミ」コースの運転音。集合住宅などでもこれくらいなら気にせず使えそう。
餃子の皮やクリスピーピザ生地を作る「8分スピード生地」コース。作った中では音が大きかったが、それでもこの程度。
ホームベーカリーは、朝食の準備のために早朝や夜タイマーで使うことがあるので、音が静かなのはうれしい。
低糖質からリッチなパンまで幅広い
43あるメニューの中でオススメなのが「リッチパン・ド・ミ」コース。
材料は、強力粉、バター、砂糖、塩、加糖練乳、生クリーム、水、ドライイースト。「食パン」コースに比べるとドライイーストの量は半分になっている。
所要時間は4時間50分と長め。生クリームなどを使っているので予約はできないので、休日のお昼などで食べている。
パナソニックは、以前から皮が薄くて中身がきめ細かい「パン・ド・ミ」コースを用意しているが、「リッチパン・ド・ミ」はさらに柔らかさや甘みが増したパン。
「パン・ド・ミ」では使っていない生クリームや加糖練乳が入っているため、ミルキーでリッチな味わいだ。パンそのものが美味しく、いわゆる高級生食パン店のようなパンだ。これは家族にとても好評だった。
ちなみに、パナソニックのホームベーカリーでは、高級生食パン専門店「乃が美」が監修した専用の「生」食パン風レシピを公開しているが、こちらは塩(ぬちまーす)や無塩バター(よつ葉乳業)など、指定の食材を使っている。「乃が美」の味を家で再現したい人はこちらのレシピを使うと良いだろう。
美味しい「リッチパン・ド・ミ」だが、食べ過ぎるとカロリーが気になる。
そんな時にうれしいのが新メニューの「低糖質パン」だ。
ブランなどを使う低糖質パンとは異なり、植物性たんぱくを使った専用の「低糖質パンミックス粉」を使用する。基本の食パンミックス(SD-MIX100A)と比較すると糖質を60%オフしたパンが作れる。所要時間は約2時間5分。
焼き上がったパンは白くてクセがないパン。皮はサクッとしているが中身はもちもち。ブランのパンはクセがあり、好みが分かれるが、今回作った「低糖質パン」は、美味しくて子供でも食べやすかったようだ。
プレーンなパンだけでなく、具入りのパンも簡単だ。具の自動投入機能があるので、具をセットするだけでほどよく混ざったパンが焼ける。レーズンパンを焼いたが、自分で練り込んだり、途中で止めて投入しなくていいので手間がかからなくて楽だった。
とはいえ、チーズやチョコレートなど、粘り気があるものや溶けやすい食材は自動投入ができない。その場合は手動で投入する。
餃子などパン以外も作れる
パン以外でも、ピザや餃子の生地作りが楽しい。イーストで発酵させるピザ生地は約45分、発酵させないクリスピーピザ、餃子、ナンの生地なら8分で作れる。
これらは子供と一緒に作ると盛り上がるので、家族でよく作るメニューだ。中でもお気に入りは餃子。食べ慣れた餃子も、生地からつくるともっちりして満足感が違う。こねる工程をホームベーカリーにまかせている間に、具の用意などができるので効率よく進められる。パンに比べて生地のために用意する材料が少ないため、思い立ったらすぐに作れる点も魅力だ。
レベルが上がったらマニュアルコースで
リッチパン・ド・ミ、低糖質パンが作れるモデルは今回試したSD-MDX4とSD-MT4の2機種。基本機能は同じだが、搭載するコースが異なる。SD-MDX4にはマニュアルコースと、「食パン生地」「ハード生地」「リッチ生地」などの生地コースを備える。
パンを作っていくうちに、お決まりのレシピだけでなく、自分好みのレシピや、生地だけつくって成形をしたい時にはマニュアルコースや多彩な生地づくりを楽しめるというわけだ。
忙しい時はパンミックスを使って手間を省いたり、所要時間約54分の「クイックブレッド」や所要時間約1時間55分の「早焼き食パン」コースを使うことも可能。もちろん、予約でセットしてもいい。
一方、時間があるときは「リッチパン・ド・ミ」や「天然酵母食パン」を楽しめる。もっとパン焼きにはまってきたら、マニュアルコースでこだわることも可能。
ほかにも、甘酒、生チョコ、ジャムなどをつくり、自動かきまぜ加熱調理家電として、使ってもいい。
パナソニックが初代ホームベーカリーを発売したのは1987年(当時はナショナル)。そこから進化を遂げてきただけあって、同社のホームベーカリーは、初心者が失敗なく使える上に自由度が高い。
また、取扱説明書の後ろには「よくある質問」や「うまくできないとき」というページがあり、それぞれ対処法が載っている。材料を入れ忘れたなど、よくある間違いを集めた“「まちがえた!」と思ったら"のページをあわせると、約12ページ分だ。パナソニックが長年ホームベーカリーを手がけてきたからこそ、困った時のノウハウ集が作れるのだろう。歴史を感じる。
リッチなパンも低糖質パンも美味しく作れて、メニューが豊富で初心者から上級者まで使えるSD-MDX4は、長く使えるアイテムになりそうだと思った。