家電製品レビュー
レシピのマンネリから脱却!? 熱風調理のコンベクションオーブントースターでノンフライに挑戦
2021年1月25日 08:00
自粛生活が半年以上も続き、家で料理をすることが格段に増えた。そんな中で気になってくるのは、メニューのマンネリ化。そこで、自分の新たなレパートリーを作ることを目指して、ヘルシーなノンフライ料理もできるというドウシシャの「Kamome スチームコンベクションオーブントースター K-CT1」を使ってみた。
筆者のこれまでの自炊は、ほとんどの主菜が肉を焼いたり茹でたりしたもの。そこで、たまには揚げ物でもしようと思ったのだが、常に鍋を見張っている必要があり、油の処理が面倒な揚げ物は、ズボラな筆者にとってハードルが高い。また、外出することが減り、以前よりも体を動かさなくなってしまったため、摂取カロリーも気になる。そこで、スイッチを入れて放置するだけで「油で揚げない」揚げ物を作れるコンベクションオーブンや、ノンフライヤーが気になっていた。
コンベクション(対流)オーブンは、熱風を対流させて表面をカリッとした仕上げにできるのが特徴。似た製品では、油で揚げずに唐揚げなどが作れる「ノンフライヤー」も知られているが、どちらも「ヒーターと温風で食材を加熱する」という点は同じ。コンベクションオーブンでは、ノンフライ調理だけでなく。コンベクションを使わない調理や、製品によってはスチーム調理もできる。また、上部のみにヒーターを搭載するノンフライヤーに対し、コンベクションオーブンは上下にヒーターを搭載するため、より高温で焼き上げる製品が多い。筆者は料理のレパートリーを増やしたかったので、より多様な調理ができるコンベクションオーブンを使ってみることにした。
今回はドウシシャがkamomeブランドから2020年9月に発売した「Kamome スチームコンベクションオーブントースター K-CT1」で「揚げない揚げ物」を作っていく。ここで一番気になっているのが「油で揚げずにおいしい揚げ物をつくれるか」という点。油で揚げたような「サクっとして」「パサパサしていない」「しっかりと火の通った」フライや唐揚げが作っていけるのか試した。思った以上にうまく作れたものもあれば、難しかったものもあるので紹介したい。
メーカー名 | ドウシシャ |
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製品名 | Kamome スチームコンベクションオーブントースター K-CT1 |
直販価格 | 19,800円 |
上下のカーボンヒーターが一気に立ち上がる
kamomeのコンベクションオーブンは上下にカーボンヒーターを搭載し、60~230℃の範囲で加熱を行なう。電源を入れ、加熱をスタートすると、数秒でヒーターが赤く点灯し、庫内が温まりはじめた。上のヒーターが赤く光り熱を発するまで、体感では2秒ほどと、ヒーターの立ち上がりが早い。庫内には温度センサーを搭載し、設定温度に合わせて、ヒーターの加熱を自動で停止したりする。
通常のオーブン調理のほか、コンベクション調理やスチーム調理、コンベクションとスチームを併用した調理が可能だ。オートメニューは10種類を搭載。スチーム機能を使用する「トースト2枚/トースト4枚/ピザ」、熱風で調理する「総菜温め/唐揚げ」、従来のオーブントースターとして使用する「もち/グラタン/ロースト/クッキー/手作りパン」のメニューから選べる。
ちなみに、調理の設定は本体前面の3つのダイヤルで行なう。温度は5℃単位、タイマーは1分単位で設定可能だ。調理時間で設定可能なのは60分まで。これは、ドライトマトなどをコンベクション機能を使って作りたいときには温度設定が便利だった一方で、調理時間はやや短く感じた。実際、セミドライトマトを作ったときは、100℃の設定温度で温風機能を使い、1時間では足りないため、さらに1時間追加で設定した。
ミルフィーユカツは油で揚げたカツと遜色のない出来
まず、付属のオリジナルレシピに「ミルフィーユカツレツ」の作り方が掲載されていたので、作ってみた。通常のカツのように、薄力粉や卵に浸した肉にパン粉をまぶして、アルミホイルを敷いたトレイの上に置く。少し異なるのは、パン粉にオリーブオイルを混ぜておくことくらいだ。調理モードは、熱風で調理する設定温度230℃の「唐揚げ」モード。このとき、溶き卵やパン粉が余ったので、ブロッコリーにも肉のように衣をつけ、肉の周りで焼いてみた。
できあがると、中心部までしっかりと火が通っており、パリパリとした食感だった。一瞬、油で揚げたカツかと思うほどだ。肉と同様にブロッコリーもかなりサクサクとした食感のフライとなった。ただ、ブロッコリーは熱風で水分が蒸発してしまったのか、パサパサになってしまった。同時に調理する場合、ブロッコリーはもっと短時間のうちに外へ出してもよかったかもしれない。
このあと、油分の少ないささみを使ってカツレツを作ってみたが、意外にも中身はふっくら、外はパリパリとしたカツレツができた。
唐揚げはしっとりとした食感。おいしいがパリパリではない
次に作ったのは、唐揚げ。こちらもオリジナルレシピに掲載されていた作り方だ。唐揚げによく使われる鶏もも肉に加え、揚げたときにパサパサとした食感になりがちな鶏むね肉でも作ってみた。
コンベクション機能を使う「唐揚げ」モードで10分間調理していく。カモメの鳴き声で出来あがりを知らされトースターを覗いたところ、パリパリしていそうな様子はない……。むね肉ともも肉を1つずつ取り出して、味見をしてみると、どちらも中まで火が通っており、衣も生焼けではない。しかし、パリパリとした食感ではなかった。
オリジナルレシピには「よりカラッとさせたい場合はプラス5分加熱するのもおすすめ」とあったため、熱風モードで5分追加した。追加前に比べて焼き色が濃くなっているが、パリっとした様子はない。カツのような衣に含む水分が少ないものであればサクサクの食感を実現できるが、衣に水分を含む唐揚げでは少し難しいのだろうか。このあと、極力衣の水分を減らして作ったが、少しカリッとした感触があっただけだった。
油で揚げた唐揚げのような「パリっとした食感」までを求めなければ、ある程度納得の出来だった。というのも、火の通り具合が適切で、もも肉むね肉ともにジューシーな食感だったのだ。むね肉を茹でたり焼いたりして調理すると、パサパサとした食感になりがち。油で揚げた唐揚げでも同様で、むね肉のから揚げを作ることはほぼなかった。だが、このコンベクションオーブンで作ったむね肉のから揚げは柔らかな食感だった。しっとりとした唐揚げが好きな人にとっては満足のいく仕上がりかもしれない。
トーストが4枚焼ける庫内。ムラなく焼き色がつく
このコンベクションオーブンでは、温風機能に加え、スチーム機能も搭載。トーストを焼くときに使用すれば、外はカリカリ、中はもっちりとしたトーストが焼けるという。
スチーム機能を使う際には、本体右下にスチーム用の水タンクがあるので、そちらに水道水を入れておく。ちなみに、オートメニューでは「トースト2枚」「トースト4枚」のモードを選ぶことができ、どちらも230℃。2枚の場合は4分、4枚の場合は5分で焼ける。
庫内の網は約27×25cmで、角食パンであれば4枚を同時に焼ける大きさ。まずは4枚を同時に焼いた。焼き始めて十数秒ほど経つと、次第にトースターのガラス窓がスチームで曇ってきたのが、ふつうのトースターとの違いだ。焼き上がると、裏表ともに全体的に焼き目が付いていた。焦げもなく、トーストを置いた位置にかかわらずに、満遍なくキレイに焼けている印象だ。2枚モードでも同様に焦げはなく焼き目のついたトーストを焼くことができた。
1枚の場合でも、説明書に書いてある通りに焼き網の真ん中に食パンを置くと、「食パン2枚」モードで焼いても焦げずに焼けた。これまで、トースターのオートメニューを使って食パンを1枚だけ焼くときに、焦げてしまうことがよくあったので、オートメニューで焦げずに焼けたのは嬉しいポイントだ。ただ、8枚切りなど薄切りのパンでオートだと焦げてしまったので、その場合は手動で時間を設定する方がいいだろう。
また、冷凍した食パンを焼いてみたが、2枚であれば「4枚モード」で、1枚であれば「2枚モード」で焼けば、焦げ目の付いたトーストになった。パサパサになりがちな冷凍パンのトーストだが、スチームを使って焼き上げているので、冷凍前のようなモチモチ感を得ることができた。
前面のガラス窓付き扉は取り外し可能。掃除に便利
さて、トーストなどカスの落ちやすいものを調理していると、くず受け部分以外にもカスが落ちる。また、唐揚げやカツの調理では庫内に油が飛び散り、すぐに汚れてしまう。このときに便利なのが前面のガラス窓付きの扉を取り外しできることだ。扉があるときには手が届かなかった部分に入り込んだパンくずをくず受けトレイに簡単にまとめられ、庫内に手を入れて掃除しやすくなるので、油ハネの掃除もしやすい。
手順は、網を外し、扉と本体を繋いでいる部分のフックを外したりするだけ。説明書を見たときは一見難しそうに思えたが、筆者は2回目の掃除以降は説明書を見ずに扉のつけ外しができた。
サクサクのカツレツを作れるコンベクション機能もいいが、オーブントースターとしても満足
「揚げない揚げ物が食べたい」思いでカツや唐揚げを作ったが、具材に注意すれば揚げたようなカツが作れることが分かった。カツレツに至っては、油分を含む豚肉でもパサパサになりがちな鶏ささみであっても、油で揚げたかと思うほどの出来だった。それに対し、唐揚げは「揚げた」ようなパリパリ感は得られなかった。
コンベクション機能を使って肉のカツレツ以外の「揚げ物っぽいもの」を作っていくには、衣の量を調整したり、食材を気に掛ける必要がありそうだ。サクサクの唐揚げを作ろうと試行錯誤しているときに気づいたのだが、唐揚げなど下味をつけた肉に片栗粉をまぶしたものは、水分の量を極力減らしてみたり片栗粉の量を変えても、油で揚げたときのサクサク感には近づけなかった。ただ、肉自体はジューシーで味はおいしく、炒め物などとは違った食感も楽しめた。結果として料理のレパートリーは増えたように思える。
ちなみに、このコンベクションオーブントースターのヒーターの立ち上がりの早さが気になりケーキを焼いたのだが、これが中まで火が通り、うまく焼けた。昨年、オーブンレンジで焼いたときに中身が半生だったことを思い出し、リベンジできるかと思って焼いたのだ。摂取カロリーのことも考慮してコンベクションオーブンを使っていたのに、ケーキを焼いてしまったあたり本末転倒な気もするが、カーボンヒーターの立ち上がりの早さや火力にも満足している。