家電製品レビュー

糖質オフのブランパンも甘酒も! 「シロカのおうちベーカリー」は味も仕上がりも完璧でした

シロカから登場した「シロカのおうちベーカリー SB-1D151」。本体サイズは約232×295×253mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約3.6kgとコンパクトで軽いので扱いやすいが、作れるメニューは多彩

おいしいものを食べながらダイエットしたいし、健康にもなりたいし。そんな思いで日々調理家電をチェックしている筆者にとって、ワクワクするようなホームベーカリーが登場した。その名も「シロカのおうちベーカリー」だ。「より手軽においしく健康」を軸に開発したというシロカのホームベーカリーは、今までの製品とどのように違うのか、さっそくいろいろ作ってみた。

シロカの新モデルはおいしさと健康を追求

シロカがホームベーカリーの発売を開始したのは、2010年。筆者が初めてシロカ製品を使ったのも、確かそのころだったと思う。当時は何回目かのホームベーカリーブームだったが、そのときに初めてシロカというメーカーを知り、「安いのにきめの細かいパンが焼けて、すごいな」という印象を持ったのを覚えている。

あれから10年が経ち、シロカのホームベーカリーは累計販売台数120万台を突破した(2020年8月時点)。さらに2020年4~5月はコロナ禍による巣ごもり需要で、前年比292%を記録したという。

そんなシロカから9月に登場したのが「シロカのおうちベーカリー SB-1D151」。通常の食パンはもちろんのこと、本モデルは今注目の「糖質オフパン」が焼けるほか、味噌や麹など発酵食品を扱うマルコメが監修した「米麹甘酒」まで作れるのだ。

さらに甘酒は、ごはんの粒感が残った「つぶつぶ甘酒」と、粒感が少ない「さらさら甘酒」の2種類が選べるため、好みにあった甘酒を作ることができる。一般的に、甘酒メーカーやヨーグルトメーカーでつくる甘酒は、粒感を残したものが多いので、この「さらさら甘酒」が手軽に作れるのはいいかもしれない。

メーカー名シロカ
製品名シロカのおうちベーカリー SB-1D151
店頭予想価格10,980円(税込)

きめが細かくしっとり焼ける。仕上がりのよさは相変わらず

糖質オフパンも甘酒も気になるところだが、まずは基本の食パンから焼いてみることにした。やはりいつも食べている食パンが上手に焼けることが大事だと思うからだ。材料は、水、強力粉、バター、砂糖、塩、スキムミルク、ドライイーストと一般的なもの。いずれもスーパーマーケットで入手しやすい。

食パンの材料。材料が多く計量が面倒だが、計って入れるだけなので、実は手間はほとんどない

計量用に、液体用の計量カップと計量スプーンが付属している。計量スプーンの大スプーンと小スプーンは、一般的な計量スプーンの大さじ、小さじとは容量が異なり、砂糖すりきり1杯で大スプーンは9g、小スプーンで3g。しかし実際は、食パン1斤を焼く場合に必要な砂糖の量は17gなので、使い方が難しい。計量の誤差が仕上がりを左右するため、0.1g単位で軽量できる量りを使ったほうが確実だ。

ドライイーストは、小スプーンすりきり1杯で3gだが、食パンに必要な量は2.7g、糖質オフパンは2.5gなので、そこから目分量で引かなければならない
正確に作るなら、0.1g単位で軽量できる量りを使ったほうが安心だ

続いて材料をパンケースに入れていく。まず水を入れたら、強力粉を中央を山状にして入れ、バター・砂糖・塩・スキムミルクをパンケースの四隅に。最後に強力粉の山の中央をくぼませ、ドライイーストを入れる。パンケースを本体にセットし、メニューを番号を選んでスタートボタンを押せば、生地をこね始める。

パン羽根を装着したパンケースの中に、材料をすべて入れ、このまま本体にセットする
メニュー番号は本体に書いてあるので、取扱説明書を照らし合わせる必要なし。出来上がりまで「3時間53分」と表示された

それにしてもホームベーカリーはやはり、焼き上がりまで時間がかかる。19時の夕食のときに焼きたてを食べたければ、15時ごろセットしなければならないし、朝食で食べたいならタイマー機能は必須だ。

本製品ももちろん、タイマー機能はついている。予約できるのは、所要時間を含めて13時間後まで。つまり夜23時にセットした場合、翌朝7時に焼き上がりを食べたいなら、「8時間後」とセットすればいい。ただしドライイーストは気温に左右されやすいため、室温が25℃を超える時期や10℃以下の時期のタイマー予約はしないほうがいいそうだ。

焼きたての香り、おいしさこそホームベーカリーの醍醐味

3時間53分の間、こねたり寝かしたり、発酵したりした後、終盤にパンの焼けるいい匂いが部屋中に漂ってきた。これこそが、自宅でパンを焼く醍醐味のひとつだ。合図音がなったので、フタを開けてみると……美味しそうな食パンが焼き上がった!

ぷっくりふくらんだ頭をのぞかせていた。なんともかわいい

ちなみに焼き色も「うすい」「ふつう」「こい」から選べるが、今回は「ふつう」にした。でも思ったより色が薄いようにも見えるので、次回は「こい」を選ぼうと思った。ミトンをつけて熱々のパンケースを取り出し、ひっくり返してパンを出すと、これまたキレイな形のパンが登場した。

少々小ぶりだが、膨らみが足りない部分もなく、キレイな形に焼きあがっている。
大きさを測ってみたところ、幅12~13cm、高さも13cmほど。材料も少なく感じたので、やはり小ぶりに焼きあがるようだ

見ためはいいが、中はどうだろう。少し冷ましてから切ってみたところ、内側のクラム部分もきめが細かく、大きな気泡も少なく、きれいに焼けていた。これは上出来! ホームベーカリーでパンを焼くと、一部に大きな気泡が入っていたり、膨らみにムラがあることも少なくないが、これはかなりレベルが高い焼き上がりだ。

相変わらずシロカの焼き上がりは安定しているな、と思わず感心してしまう
ちぎってみると伸びもよく、もっちりしている

肝心の味もバッチリ。きめが細かいので舌ざわりなめらかで、ふっくらとやわらかい。小麦の香りもしっかり感じられ、やはり焼きたてはおいしいと、幸せを噛み締めた。

糖質オフも焼きたてだから食べやすい

さて、いよいよ糖質オフパンを作ってみる。一般的に糖質オフパンといえば、小麦粉の代わりにふすま粉(ブラン)を使ったブランパンが多い。ブランとは、小麦粒の表皮にあたる部分で、糖質が少ないだけでなく、食物繊維が豊富。便秘予防や大腸がんリスク軽減の作用があるという。

となれば積極的に食べたいものだが、これが実に食べにくい(笑)。食べたことがある人も多いと思うが、なかなかクセがあって、一口、二口と進めるうちに、だんだん喉を通らなくなってくるのだ。ただ筆者の経験上、焼きたてのうちはやわらかくて食べやすいので、チャレンジするならホームベーカリーで焼きたてを食べるのがいい、と思っている。

シロカの糖質オフパンは、ふすま粉と強力粉をおよそ半量ずつ、さらに小麦たんぱく(グルテン)、卵を使う。糖質は、通常の食パンに比べて40%カットできるという。別メーカーのホームベーカリーは87%カットできるため、どちらかというとシロカは「糖質オフを無理なく始めよう」といったところだろうか。

ちなみにふすま粉や小麦たんぱくは、一般的なスーパーではあまり売られていない。筆者も最初、材料が手に入らず困ったが、製菓材料を販売する富澤商店であっさりと入手できた。もちろんインターネットで購入すれば手っ取り早いだろう。

材料は異なれど、手順は食パンとほぼ同じ。時間も2時間38分と、食パンより1時間15分早く焼き上がる。

糖質オフパンのほうが、少し粘りがあり、どっしりした感じで焼きあがる
こちらもなかなか美しい焼き上がり。ブラウンがかっており、見た目はおいしそうだ

中を切ってみると、少し気泡が入っていたが、膨らみにムラはなく、それなりに均一に焼けていた。食パンに比べると、もっちりした感じは少ないものの、手ざわりもやわらかい。

さっそく試食してみたところ、最初の感想は「なるほど!」だった。先ほどブランパンは食べにくい、と書いたが、これは糖質40%オフ。つまり食パンとブランパンの間なのだ。だから、一般的なブランパンより、ずっと食べやすく感じた。これは、ゆる糖質オフにちょうどいいかもしれない。

生で食べると、それなりにブラン感(?)は伝わってくるが、やわらかいので食べやすい。筆者はおいしく感じたが、夫や息子は、少し苦手だという
トーストしてバターを塗って食べると、カリっと香ばしく、食べやすさが増す
余ったブランパンは冷凍しておき、後日トーストしてベーコンや目玉焼きを乗せて食べた。具をたっぷり乗せるなら、ブランパンくらいあっさりしていたほうが合う気がする

栄養たっぷりの甘酒ライフもホームベーカリーで叶う

続いては甘酒づくりに挑戦だ。実は筆者は甘酒が大好きで、しかも体によいというので、よく飲んでいた。そろそろ自分で作ろうと思い、甘酒が作れるヨーグルトメーカーと、老舗の麹屋さんの米麹まで買っていたのだが、開封することなく日が経っていたのだ。まさかホームベーカリーで作ることになろうとは。

前述のように本製品では、「つぶつぶ甘酒」と「さらさら甘酒」が作れる。まずは「さらさら甘酒」を作ってみることに。材料は、米麹、温かいごはん、お湯(約70℃)のみ。ただ作る前にあらかじめ、やっておくことがある。器材の熱湯消毒だ。ヨーグルトや味噌など発酵させる食品を作る場合、雑菌が入るとうまく発酵できないため、熱湯消毒は欠かせないのだ。

筆者が以前からやっていた方法で、パンケースとパン羽根、出来上がった甘酒を入れる容器、ゴムベラを煮沸したが……熱湯をかけるだけでもよかったかも(笑)。

ボウルに温かいごはんと約70℃のお湯を入れ、ゴムべらでほぐす。約60℃に冷めたら米糀をほぐしながら入れてかき混ぜ、パン羽根をセットしたパンケースに中身を移す。さらにパンケースにアルミ箔をかぶせ、数か所穴をあけたら本体にセット。あとはメニューを選んで、スタートボタンを押すだけだ。

あらかじめボウルでほぐしてからパンケースにセットする。発酵させるため、温度管理も重要だ

甘酒の完成までにかかる時間は、6時間~10時間。時間は6時間以上で任意で選べ、長いほど甘くなるという。

何時間にするか悩んだあげく、8時間30分でセットしてみた。

かなり長い時間を要したが、ようやく完成。中をあけてみると、とろっとろの甘酒が完成していた。「さらさら」を選んだだけあって、粒はほとんど形を留めていない。

ごはん粒や米麹はどこへやら~というほどに、きれいに溶けていた

さっそく飲んでみたところ、甘くておいしい!! 長めに発酵させたおかげもあるのか、甘味がしっかり引き出されている。市販の甘酒に比べるととろみがあり、「さらさら」というより「とろとろ」と言ったほうがいいかもしれないが、満足感のあるおいしさだ。

「飲む点滴」ともいわれる甘酒。手軽に自宅で作れるのはうれしい

なお後日、「つぶつぶ」も作ってみたが、けっこう粒感が強めで、個人的には「さらさら」のほうが好みだった。

温かいうちに飲んで余った甘酒は、容器に入れて冷蔵庫に入れておき、翌日スムージーをを作ってみた。老舗の米麹屋で飲んでおいしかったので、見よう見まねで作ってみたが、これが本当においしかった(笑)。甘酒が苦手な人でも、これならゴクゴク飲めるのではないだろうか。

冷凍しておいたヨーグルトと市販の冷凍ミックスベリー、甘酒を入れてミキサーでかくはんするだけ
甘酒の甘味とヨーグルト、ベリーの酸味が絶妙にマッチ!

この「シロカのおうちベーカリー」ではほかにも、全粒粉パンや米粉パン、天然酵母パンなど様々なパンが焼けるし、もちつきやヨーグルトづくりも可能。自宅で作るからこそ、材料を選んだり、好みに合わせてアレンジできるのがいい。万一、「作ってみたけれど、糖質オフパンは苦手だった」としても、糖質オフパンのことは忘れてもいいほど(笑)、毎日のパン作りに活躍してくれるはずだ。価格もリーズナブルなので、気になっている人はチャレンジしてみてはいかがだろうか。

田中 真紀子