家電は共働き家庭を救うか!?
巣ごもり家電の筆頭「ホームベーカリー」が便利。だけど買う前に考えたいこと
2020年5月19日 07:00
新型コロナウイルスの影響で外出しにくくなり、友人の間で料理と筋トレブームが発生しています。普段は自炊をしない人もドライトマト、アクアパッツァとか、“やってる感”が出るメニューを作っている。海外では餃子やパンなど、皮・生地から作るものが人気のようです。
一方、私は仕事の忙しさがこれまでと変わらず、かつ家族がずっと家にいるため、「料理の回数が増えているんだから、手の込んだものなんて作れんわ」と思いつつも、外食もままならない中、手抜きの料理ばかりだと自分の心がささくれ立つというジレンマに直面しています。
そこで頭に浮かんだのが、ホームベーカリー。約15年前の育児休業中、パン好きの友人に勧められてしばらく使っており、「自由に外出・外食しにくい」環境での癒しになっていました。今は当時以上に気軽にパンを買いに行きづらく、自給自足できると助かるなあと、2019年9月に発売されたパナソニックの「SD-MDX102」をレビューさせていただきました。
メーカー名 | パナソニック |
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製品名 | ホームベーカリー SD-MDX102 |
実売価格 | 47,200円 |
食パンなら材料投入するだけ
15年ぶりに手にしたホームベーカリーは、大きく進化していました。材料を入れてスイッチを入れるだけでパンが焼きあがるという基本機能に加え、グルテンフリーの「米粉パン」や無添加のドライ天然酵母食パンが作れ、多様なこだわりに対応できるようになっています。
食パンを焼くだけなら、バター、強力粉、水、砂糖、塩、スキムミルクを容器に入れ、ドライイーストをセットしてボタンを押すだけ。生地を練り、発酵を経て4~5時間で焼き上げてくれます。市販されている「パンミックス」を使えば水を加えるだけなので、小学校低学年でも苦労なく使えそうです。
人間がすることは、材料の計量・投入とスイッチ操作、パンを取り出して切り分けるくらい。タイマーをセットしておけば、パンの焼けるにおいで目覚め、焼き立てのパンを朝食にできます。
ただ、機械がやっている工程はそれなりに複雑で、「水を入れて火にかけるだけで食べられるお米って偉大だなあ」と感じました。
メニューの種類はたくさんあり、クロワッサンやメロンパンなどあらゆるパンの生地を作れるのですが、「楽をしたい」が非本格派の私はひたすら食パンでした。その中で時々選んだメニューが「パン・ド・ミ」。同じ材料で密度の濃いもちもちのパンができ、贅沢な気分になります。
自宅で焼いてよく分かったのが、強力粉の違いがパンにもはっきり出ること。夫と高校生の息子の食べ具合に差が出ました。専門店では特徴の違うさまざまな粉が売っているので、好みを探し当てる楽しみもあります。
時にはフレーバーがついたパンミックスを使ったり、紅茶とオレンジピールを練り込んだパンを焼いてみたりもしました。
結論から言えば、家族から「普通のパンで十分美味しいから、マーガリンとかチーズと一緒に食べたい」との要望が出て、アレンジよりシンプルなパンに落ち着いていきました。この辺は各個人、家庭の好みの問題だと思います。
ピザもうどんも生地から作れる
同機種はパンだけでなく、さまざまな生地が作れます。休校と緊急事態宣言による外出自粛で、朝のパン以外の献立も待ったなしだったので、うどん、パスタ、ナン、ピザと昼、夜の主食になりそうな料理にも活用しました。
いずれも必要な材料を投入すると、こねて短時間で生地を作ってくれるので、その後の成型はこちらでやります。
家族に最も好評だったのがうどんです。讃岐うどんに使われるうどん粉を通販で購入し、ざるうどんに。コシがしっかりあって、手打ち感を楽しめました。
同じ要領でパスタも作りましたが、最後に麺にするときに、太く厚く切ってしまい、ラザニアのような仕上がりになってしまいました……。何度か作ると慣れて手早くできるようになるとは言え、麺に関しては「パスタマシンが欲しい」とか新たな煩悩が出てきます。
ナンとピザは、生地を伸ばすだけなので、意外に簡単でした。ピザはソースも手作りし、「やってみるとそんなに難しくない」と思いましたが、ホームベーカリーがなければ一生トライしなかったと思います。それだけでも収穫でした。子どもとのクッキングにはちょうどよさそうです。
小麦粉、製菓材料不足で苦労
ホームベーカリーは巣ごもり家電の代表的存在ですが、この時期ならではの注意点も書いておきたいです。既にニュースでも報じられていますが、「外出自粛で普段作らない料理に走る」人が増えたためか、材料を手に入れるのは簡単ではありませんでした。
ホームベーカリーが届いたのは4月3日。その時点でドライイーストは近所のスーパーでは入手できず、ネット通販で購入しました。バターと強力粉も品薄で、最初の10日ほどはパンミックスを使っていました。
レビューをするという目的で製品を借りている以上、いろいろ作ってはみたいのですが、粉という粉がスーパーから消えています。ケーキを作るのに必要なベーキングパウダーも何軒か回ってやっと手に入る状況で、しかも品切れは次第に深刻化していきました。
スーパーの乳製品売り場に行くと、おじさんが電話で「バターないよ、どうする?」と話していて、争奪戦の厳しさも感じました。
緊急事態宣言により、歩いていける場所にある百均ショップも雑貨店も休業中で、麺棒などの調達もいつもよりは大変でした。
私の場合は幸い、そんなに遠くないところに製菓材料専門店「富澤商店」があり、作りたいものをある程度決めてから、そこでまとめ買いしました。正直に言うと、同じことを考える人が多いためか、お店は混雑していました。
小池百合子都知事が「スーパーは3日に1度程度に」と呼びかける中、バターを探して店をはしごしたり、電車に乗って強力粉を買いに行ったり、通販を何度も使って運送業者さんに負担をかけることには、少なくない罪悪感とストレスを感じ、ドライ天然酵母を使ったパン作りも断念しました。
そんな中で印象深いメニューは、粉ものの中でも売れ残りがちだった「米粉」と、バターの代わりにサラダ油を使った「米粉バナナケーキ」です。パウンド型がいらず、粉をふるう必要もなく、容器に材料を入れるだけで、自粛社会に優しいおやつが作れて大満足でした。
手作りして分かる飲食店のありがたみ
私は新型コロナの感染者が特に多い東京在住のため、他エリアと比べても自粛モードの強さを感じつつ暮らしています。確かに外出しなくてもおいしいパンが食べられるのはとてもありがたかった一方、材料を買いそろえる苦労も体験しました。
ホームベーカリー購入を考えていて、かつパン作りの経験がない人は、買い物がしやすい環境かどうかも考えた方がいいと思います。購入したての時はあれこれ作りたくなりますが、そこで必要なものが手に入らないと、出ばなをくじかれてしまうので。
また、ナンやピザを作り、満足行く仕上がりだったのは嬉しかったけど、同時に「レストランで食べたいなあ」という思いも強くなりました。最近はテイクアウトも利用するし、休業で行き場がなくなった食材を宅配で取り寄せ、ちょっと贅沢なご飯を楽しむこともありますが、食べることに集中させてくれる飲食店のありがたみを感じる日々でもあります。
少しずつ日常を取り戻し、小麦粉やバターがいつも行くスーパーに戻ってきたら、私も100%前のめりで、ホームベーカリーをおすすめしたいです。