e-bike試乗レビュー
“ショート”ツーリングでも満足度、超高し。シマノバイカーズはe-MTBだと150%楽しめる、かも!
2025年9月26日 11:05
「オフロード自転車」をメインに据えたシマノによるメーカー単独イベント「シマノバイカーズフェスティバル」。2025年は7月26日と27日の2日間、長野県は富士見町にある富士見パノラマリゾートを舞台に開催されました。
前回は初日の会場の様子をレポートしましたが、2日目は筆者もe-MTBに乗ってMTBツーリングに参加してみました。イベント初参加であることと、申し込んだタイミングでは空きがわずかだったこともあって、「MTB Short Trail」という距離短めのプログラムでしたが、これがショートと思えない長さと密度の濃さ。どんな内容だったのか、動画も交えつつお伝えしたいと思います。
充実度がハンパない「ツーリング」プログラムがたったの3,000円
シマノバイカーズフェスティバルで実施されるライドプログラムには、レースの他に「ツーリング」と「Trail Ride+」あります。
後者のTrail Ride+は、内容としてはレースに向けたトレーニングに近い位置付け。速く走るための実践的なメニューが盛り込まれているようなので少しハードル高めかもしれません。なので、もっと気楽にライドを楽しみたいのであれば前者のツーリングがおすすめ、ということになります。
ツーリングにはMTBとグラベルロードバイク、ロードバイクの3車種それぞれに向けたプログラムが複数あり、筆者が参加したのは「MTB Short Trail」というもの。多くのプログラムは2~3回に分けて行なわれますが、1回あたりの上限人数が設定されており、募集開始早々にすべての参加枠が埋まってしまうものもあるので、参加を考えているなら早めの判断が吉です。
MTB Short Trailをはじめ、すべてのプログラムはレースではなくグループライドのようなものなので、e-MTB(e-bike)での参加ももちろんOKです。参加費は1人3,000円とリーズナブルながら、ガイド付きで安全に走れて、かつ中間地点では地元産の軽食が振る舞われるなど至れり尽くせり。
実際のプログラムの中身はこの後詳しくレポートしますが、MTB Short Trailは移動距離11km、トータル約1時間半で確かに長くはないものの、走行後は「本当にこれが3,000円ぽっちでいいの? 手数料にもなってなくない?」と思わざるを得ない充実度でした。
参加者のレベルは高くてもマイペースで走れる
というわけで2日目、朝7時スタートのMTB Short Trailに参加するため、6時半の集合時間に合わせてホテルを出発しました。会場到着は6時20分頃でしたが、これだとかなりギリギリです。というのも、受付でゼッケンを受け取る必要があり、それを自転車のハンドルなどに固定したうえで、ゴンドラに20分ほど揺られてスタート地点の山頂へ向かう必要があるからです。
時間がなかった筆者は慌ててゴンドラに乗り込み、その中でゼッケンを装着し、なんとか7時ちょうどに山頂にたどり着けました。なので、焦ることのないように、余裕をもって6時頃には到着できるようにしたいところです。あるいは現地でテント泊・車中泊するのがベストなのかも?
そんなこんなで、全員が集合したらいよいよトレイルライドのスタートとなるわけですが、参加者40名、ガイドの方々を含めれば計50名ほどになってしまうので、この人数が一度に走行するのはあまり現実的ではありません。ということもあって、ゆっくり走りたいグループとガンガン走りたいグループなど3グループに分かれることになりました。
ちなみに初心者向けには「MTB Beginner Trail」というプログラムもあるのですが、このMTB Short Trailでもそんな風に走行ペースの異なるグループで分かれるので、何度かトレイルコースやダウンヒルを走ったことのある人ならMTB Short Trailも危なげなく、自分のペースで走れるでしょう。筆者は、コースの一部を往復して走る「おかわり」があるとのことで、ガンガン走りたいグループに加わることにしました。
で、このガンガン走りたいグループを選んだのは、結果的に大正解だったと思います。スタート直後のまだ身体が温まっていない段階では、先を行くみなさんのペースの速さに圧倒されましたが、徐々に慣れてくると「ちょっと速いけど、ちょうどいい」感じに。
そもそも周りがみんな速かったとしてもそれに合わせる必要は決してありません。自分のペースで安全に走ることが何より大事ですし、後ろが詰まってしまうようなら、ところどころで小休憩が入るので、そこで順番を譲って後ろにつけばいいのです。
ダウンヒルの「おかわり」はe-MTBでこそ存分に楽しめる
さて、MTB Short Trailでは、序盤はグラベルに近い緩やかな下りや平坦ではありますが、すぐにダウンヒルのような激しめの区間も混在するルートへと突入します。通常は開放していない、こういった特別なイベント時のみ利用できるコースが大半を占めており、「富士見パノラマリゾート MOUNTAIN BIKE PARK」のコースでいえば初級~中級あたりのレベル感でしょうか。
初めて走るコースで、それなりにいいペース。滑りやすい箇所や段差の大きな箇所もいくつかあって、思わず悲鳴を上げてしまう場面もなかったとは言えませんが、総じて怖さよりも爽快感が勝ります。おそらくMTBに乗り慣れている他のライダーがいるのも心強く、経験の浅い筆者にとっては後ろについてその走行ラインを参考できたのも、怖さをあまり感じずにスムーズに走れた要因かと思います。
ところでコースの途中には、先ほど書いたとおり、いったん引き返してダウンヒルを「おかわり」できる区間もあります。当然ながら下ったのと同じ高さの分だけ(別ルートから)上ることになるので大変です。下るのは一瞬でも、上りは時間も体力もとんでもなく使います。
しかし、筆者が乗るe-MTBとなれば話は別。車重があるだけに、下りでは他のMTBのような軽快な走りがしにくいのは事実ですが、上りはe-MTBの本領発揮です。MTBのみなさんがぜえぜえと息を切らしながらペダルを一生懸命回している後ろ姿を見やりつつ、スイーっと、平坦と同じような感覚で楽々上っていけます。
ダウンヒルは下っている間は断然楽しいのですが、その楽しみのために長くきついヒルクライムもこなす必要があるとなったら、いくら体力に自信があっても100%楽しむのは難しいのではないでしょうか。
でもe-MTBなら、ほとんど体力を使わずに好きなだけ往復して「おかわり」できちゃいます。疲れていない分、上った直後の下りも安全に、全力で走れるわけで、通常のMTBよりも体感5割増しで楽しめる、と言ってもいいくらいです。
地元の名産をいただきつつ、最後は全力ヒルクライムでゴール
ダウンヒルコースをクリアすると、地元食材やドリンクなどが振る舞われるエイドポイントで小休憩。そこからの後半は整備された路面の緩い下りがあり、続いてやや上り基調のオフロードが終盤まで続きます。通常のMTBだと体力が削られる、あまり快適ではない区間ですが、ここもe-MTBだと余裕です。
MTBで苦労して走りきったときの達成感も気持ちのいいものだとは思います。ただ、終始安全にトレイルライドを満喫できるという点では、e-MTBに勝るものはないのでは、とも感じました。
最後のゴール地点手前、富士見パノラマリゾートの駐車場に戻る急坂ではなぜか参加者全員のヒルクライムレースのようになりましたが、筆者はe-MTBのチート級パワーを味方にトップでゴールイン、おかげさまで全力で楽しませてもらいました。MTB Short Trailがどんなコースだったのかは、全行程を1分にギュッとまとめた下記のダイジェスト動画で少しでも伝われば、と思います。
最後の最後、同行していたシマノのロードレースチームの方と競り合いになりましたが、普通のMTBであるにも関わらず恐ろしく強く、これは(同じMTBだったら)ゼッタイに勝てないな、と思った次第。これほど満足度の高いMTB体験はなかなかないので、また次の2026年もe-MTBでシマノバイカーズフェスティバルに参加したいと思います!





























