e-bike日々徒然

2022年型のトレック「Rail 9.7」をトレイルに持ち込んだら進化に驚愕

トレックの「Rail 9.7」というフルサスe-MTBは、e-bike Watchで何度も紹介してきましたし、筆者も何度も乗ってその良さを味わってきました。ただ、昨年「野沢温泉自転車祭2022」でダウンヒルとヒルクライムのレースに参戦した際、2022年モデルはさらに進化していることを実感。何と言うか、ダートでもロードでも登坂力がハンパなく、今まで以上にグイグイ上って行ってくれます。

聞けば、ボッシュ「Performance Line CX」のドライブユニットは、最大トルクが75Nmから85Nmに高められているだけでなく「extended boost」というアシスト設定が追加され、ペダルを踏み込んだ瞬間に強力なアシストが得られるようになっているとか。これは山道などで瞬間的にトルクをかけて丸太を越える際や、轍などでペダルを1回転回せないようなシーンをターゲットを想定したそうです。

ということは、その実力をトレイル(山道)で試さないと! と思い、友人のカシワギ君を半ば強引に付き合わせて「Rail 9.7」をトレイルに持ち込んでみました。

2台のフルサスe-MTBで山の中へ。体力なくても、こういう絶景ポイントにアクセスできます

トレイルの多くは、舗装路を上ってアクセスするようなロケーションになっていますが、舗装路の上りは野沢温泉のヒルクライムで感じたように強大なトルクで楽々上って行けます。体力が温存できるので、トレイル遊びにはありがたい特性。しかし、やはり本領発揮はトレイルに入ってからでした。

今回行ったところは、激しい上り下りが多いルートで、しかも木の根が大きく露出していたりしてe-MTBでないとかなりキツい場所。一瞬ペダルを止めて、木の根を越えたらまた漕ぎ出したりと難易度が高かったのですが、2022年モデルの「Rail 9.7」はそういうシーンもめちゃくちゃ速い(しかも楽!)。

ペダルを止めても少しアシストが残って、木の根や丸太を越えやすいのは以前からのボッシュ製ユニットの特徴ですが、そこから再び漕ぎ出した際のアシストが強力なので、斜度のある坂もグイグイ上って行けます。筆者と比べるとカシワギ君のほうが本来は乗るのは上手いのですが、上りではそんなカシワギ君を置き去りにできるほどの速さです。これは気持ちいい(笑)。完全にe-bike(とボッシュ製ユニット)のおかげですが、自分が速くなった気分になれました。

こんな大きな石がゴロゴロしているような場面でも……
パワーがあるので、フロントを一瞬上げたりしながら
笑いながら上って行けちゃう! めっちゃ気持ちいい

新型になっているといっても、ドライブユニットのハードウェア自体は前年までと同じもので、違いはソフトウェアだけとのことですが、それでこれだけ走りが変わるというのは驚きです。ソフトウェアだけで、これだけフィーリングが変化するのもe-bikeならでは。そして、外観は同じように見えるドライブユニットも年々進化していることも実感しました。今後の進化がさらに楽しみになります。

増谷茂樹

乗り物ライター 1975年生まれ。自転車・オートバイ・クルマなどタイヤが付いている乗り物なら何でも好きだが、自転車はどちらかというと土の上を走るのが好み。e-bikeという言葉が一般的になる前から電動アシスト自転車を取材してきたほか、電気自動車や電動オートバイについても追いかけている。