e-bike試乗レビュー

スポーツバイク経験ゼロの40男、いきなりBESVのe-bike「JF1」に乗ってみる。どうなった?

BESVのクロスバイクe-bike「JF1」。価格259,600円

運動不足解消のため、あるいは単純に便利そうだったり、格好いいから。そうした理由でスポーツ系の自転車に興味をお持ちの方は多いでしょう。しかし、いざ購入するとなるとなかなか踏ん切りが付かない。まさしく筆者はそういう層でした。乗ってはみたい。しかし、10年以上ママチャリすらご無沙汰なのに、いきなり乗っても平気なのだろうか?

しかし今回、ありがたいことにe-bike Watch編集部からお声がけいただき、「BESV(ベスビー)」の「JF1」を試用させていただくことに! スポーティなクロスバイクでありながら、それでいで電動で走行アシストもしてくれるとのこと。初心者でもe-bikeに乗れるのか。身をもって試してみました。

これで本当に電動アシスト付き!? 驚きだらけのe-bike初体験

まず最初に説明しておくと、筆者はいわゆるフツーのママチャリ(シティ車・軽快車)にはかつて乗っていたものの、ロードバイク・クロスバイクといったスポーツバイクの利用経験はほぼゼロ。体育の授業以外でまともなスポーツをしたことはなく、40代半ばの今も体力・筋力にはまったく自信がありません。

ただ完全なインドア派というわけではなく、散歩は大好き。例えば都心部に出かけて仕事が早めに終わったら、1時間かけて4~5駅分歩くことは多いです。

もう1つ自転車関連でいうと、ツール・ド・フランスなどの自転車ロードレース競技はかなり好きで、ここ15~6年くらいは衛星放送を見続けています。プロ選手の活躍に触発され、ロードバイクを買った方は多いと思いますが、なぜか筆者は踏ん切りが付かず“見る専”のまま時を過ごしてしまいました。ただテレビ中継を見ているので、最近は自転車でもディスクブレーキが増えているとか、デュラエース(シマノ製の自転車コンポーネンツ群)の電動がどうだこうだといった知識はあります。

では、こうした「体力ゼロ、知識ちょびっと」な人間が、いきなりe-bikeに乗ってみるとどうなるか? これを明らかにしようというのが本稿の趣旨。「興味はあるけど自信がない、本当にe-bikeを買って大丈夫なの?」といった方の参考になれば幸いです。

さて今回お借りしたのが、台湾のメーカーBESVの「JF1」です。同社のe-bikeラインナップは折りたたみ式のミニベロからロードバイクまで幅広いですが、JF1は「Stylish Cross Bike」という位置付け。ハンドル部とサドル部を繋ぐパイプ「トップチューブ」が高い位置にあることが、スポーツバイクであることを物語っています。よって、軽快車ほど簡単にはサドルに跨がれませんのでご注意を。

車体の右側はこんな感じ
主要部品はシマノ製。この「DEORE(デオーレ)」はトレッキング系の自転車に採用されるシリーズだそうです
ハンドル右側にはブレーキレバー、ギアチェンジレバー。親指側のレバーでギアが軽く、人差し指側のレバーで重くなります
前輪部分。前後輪ともに機械式ディスクブレーキを搭載します
後輪部分。ギアは10段変速です
一部のケーブルは、アルミ製フレーム内に引き込まれています
キックスタンドはオプション。価格は2,860円

e-bikeの生命線たるバッテリーは、ハンドル部からペダル(クランク)部を繋ぐ「ダウンチューブ」内に搭載されています。進行方向左側にバッテリー収納部カバーを開けるための鍵穴があるので、キーでこれを開けるとバッテリーが完全に取り外せます。詳しくは後述しますが、充電は簡単です。

バッテリーの重量は約1.45kgあり、実際に手にしてみるとかなりの存在感(大きさは実測で27×6×6cmほど)。しかし、これをJF1に取り付けた状態が想像以上にスッキリするので驚きました。確かにJF1のダウンチューブは太いですが、それにしてはかなりコンパクトな印象です。JF1をパッと見た時、e-bikeだと気付かない方は少なからずいるのでは?

これがJF1のバッテリー
ダウンチューブにバッテリーを内蔵
バッテリーカバーを開けるための専用キー
鍵穴は進行方向左側
このようにカバーが開きます。バッテリーは取り外しできます
バッテリーを外した状態

また、JF1の後輪取り付け部には電動アシスト用のモーター(通称ドライブユニット)が内蔵されているのですが、自転車知識の薄い筆者には正直まだそれが信じられません。電動アシスト自転車というと、ペダルの根元部分にアシスト機構が付いているとばかり思い込んでいたので、まったくもって驚きました。JF1を真横から見るとペダルや後輪のギア(カセットスプロケット部分)周辺が妙にスッキリしているのですが、そうした構造ゆえでしょう。

電動アシストなのに、このあたりがスッキリしているのが不思議
自転車素人からすると、この軸受けにモーターが入っているとはなかなか信じられません

そして、ハンドル部分には、走行速度などを表示するための液晶ディスプレイが標準搭載されています。右側面上方のスイッチを押すごとに、平均速度、ペダル回転数、走行距離(リセット可能)などが切り替わります。個人的には、オドメーター(積算走行距離)や消費カロリーまで表示されるのに驚きました。

液晶ディスプレイ

楽しい! 快適! 車道で坂道を上るときの安心感!

JF1に乗る時は、まずトップチューブ上面にある電源ボタンを短押し(電源オフは長押し)。すると電源が入り、液晶ディスプレイに速度表示などが出るようになります。しかし、この状態ではまだアシストは効きません。ハンドルを握った時、左手親指にあたる部分にスイッチがあるので、これを操作してアシスト強度を調整します。

電源ボタン。リング部がアシストモードに応じたカラーで点灯します

スイッチは全部で3つあり、アシスト強度調整に使うのはこのうち「+」と「-」のスイッチ。+を押せば強度が上がり、マイナスを押せば下がるという具合です。ちなみに、残りの「i」スイッチはディスプレイ右側面の表示切り替えスイッチと同じ役割になっています。

アシストモードを選ぶための操作スイッチは左手側に

アシスト強度のモードはオフ状態も含めて全部で4つ。「OFF」モード、アシスト力を抑えて距離重視の「ECO(エコ)」モード、BESVオリジナルの「SMART(スマート)」モード、アシスト強度がもっとも高い「POWER(パワー)」モードの順になっています。例えば「OFF」から「S」へ上げるには+を2回、「P」から「OFF」にするには-を3回押します。今どのモードになっているかは画面上の文字表示と色で確認できます。

電源が入ってかつアシストモードが「OFF」の状態
この「ECO」モード以上の状態になってはじめて、アシストが効くようになります
「SMART」モード。ペダルの踏み込みを感知し自動的にアシスト強弱を調整してくれます
「POWER」モード

さて、実際にJF1に乗ってみますと……もう楽しいのなんの! 筆者にとってはまずクロスバイクという存在自体が新鮮で、ハンドルを握ってペダルをこぎ出すだけでワクワク感が高まります。かつてはあんなに軽快車に乗っていたのに。ハンドル位置低め、サドル位置ちょっと高め、荷物カゴも泥よけもなく、“ただ自転車に乗る”を追求したJF1だとここまで違うとは……。自動車なら商用ワゴンとスポーツカーの違いといいましょうか。もちろんどちらも移動には便利ですが、乗り味・乗り心地は間違いなく異なります。自転車の世界もまさに同じだった訳ですね。

そして電動アシストです。やはり「ECO」以上にしておきますと、静止状態からのペダル1回転目に明らかなアシストが入ります。JF1は全10速のギア調整ができますので、ペダルが軽くなる1~3速目あたりにしておけば、それほど動き出しは苦しくありません。とはいえ、自転車にそこまで乗り慣れていない人だとギアチェンジがどうしても疎かになり、筆者も6~7段目くらいで一時停止してしまって動き出しに苦労することがあります。

その点、JF1で電動アシストを効かせておけば、ギア変速の手間・失敗をある程度フォローしてくれる。これはかなりの心強さといっていいでしょう。

また、巡航状態が続いている状態でも、アシストの効果はあります。最初のうち筆者は「ECO」モードを多用していたのですが、交通量の少ない田舎道で「SMART」モードにしてみると、それまで20km/hで走っていたのが21~21.5km/h程度にまで軽く上がりました。ギアはそのままでしたが、ペダルの踏み込みが強かったようで自動的に感知しアシストがパワフルになってスピードが上がったようです。「自転車の電動アシストは乗り出し時だけに効く」とばかり思い込んでましたが、その勘違いが一掃されました。

あとはもう、なんといっても坂道がラクになる。そこに尽きますね。特に跨線橋やアンダーパスは、歩いてみるとそれほど苦労はないのに、自転車には途端に牙を向いてきます。上り坂の車道を走るとなると、後続の自動車が相当気になりますが、JF1であれば大分その心労が減ります。

坂道を上るのがサイクリストの嗜みなのでしょうが、体力のない身からすると電動アシストがなんと心強いことか

だけど最初は尻が痛い!!

ここまででもう「クロスバイク最高!」「e-bikeの一択!」と思われたかもしれませんが、しかし注意点はあります。それは「乗っているとお尻が痛くなる」問題です。

クロスバイクやロードバイクとよばれる自転車は、サドルが総じて固めの作りになっており、クッション性能はほとんどありません。ゆえに長時間乗っていると、どうしてもお尻が痛くなってしまうのです。筆者にはその知識がまったくなく、JF1を借りた初日に20~30分、およそ5~6km乗っていただけで痛みが出てしまい、本当に家に帰れるか不安になるほどでした。

JF1のサドル

自転車乗りの先輩方に聞いてみますと、尻痛はもう「初心者を襲う第一関門」としてとみに著名な現象とのこと。特に筆者は軽快車にも数年来乗っていなかったので、痛みが強く出たのかもしれません。

とはいえ、病院に駆け込むほどの事態にはならず、家に帰って自転車を降りれば痛みは治まりました。翌日になればほとんど影響はなし。今考えてみると「運動不足からの筋肉痛」に近い症状だったように思います。

翌日以降は、乗る間隔を2日おきにしてみたり、連日乗るときは走行時間を30分にしてみたり等、様子を見ながら少しずつ走行距離を増やしていく方針にチェンジ。また、ほうぼうのWebサイトを回っていろいろノウハウを調べたりしてみました。そのおかげか、今は片道7~8km程度であれば無理なく乗れるようになってきました。個人的には、荒れたデコボコ路面になった時、サドルにお尻を押しつけず、むしろ浮かせて(立ち乗りのような状態にして)やり過ごすのが重要ではないかと考えています。

本稿冒頭でいきなり体力の話をして「? 自転車にはそんなに体力いらないでしょ?」と思われた方がいるかもしれませんが、実はこの尻痛が要因でした。走行距離、坂道の度合い、交通量などの悪条件が重なると、それこそお出かけ先で立ち往生なんてことになりかねません。しかし、プロの自転車選手の尻ってどれだけ鍛えているのか? この尻痛問題を実感して、あらためてまたプロ選手へのリスペクトが沸いております(笑)。

少なくとも初心者は、スポーツバイクに買ってすぐに遠出するといったことは考えず、自転車の乗り心地を少しずつ確かめていく。この視点が絶対に重要だと思います。おろしたての靴で旅行に行かないのと同じように、スポーツバイクにもちょっとずつ慣れていきましょう。

これだけの薄さです。まったく痛みの出ない人もいるとは思いますが、よくよくご注意を

充電は付属ACアダプターで

気になる充電方法について、ここで説明しておきましょう。JF1に付属する専用充電器は家庭用の一般的なAC100Vコンセントに接続する仕様。バッテリーはJF1本体から取り外せますので、JF1を室外保管する場合でも充電は問題ありません。逆にバッテリーをJF1本体に装着したままでも、ケーブルが届けば充電はできます。

専用の充電器。家庭用の100Vコンセントに接続して使います
充電状態

フル充電にかかる時間はおよそ3.5時間。バッテリーの残量が多ければ、それだけ充電時間は短くなるようです。バッテリー側のゴム蓋をズラし、充電端子を差し込めばOK。なお充電状態は、充電器側にあるLEDの色で判別できます。充電中なら赤色、完了すれば緑色、です。試乗前の段階では、このバッテリーの取り回しを一番心配していましたが、自転車本体からの取り外しや充電方法も含め、思いのほか手軽で安心しました。

充電端子。ゴムのカバーで覆われているので、充電するときだけズラします
充電器には、充電ステータス確認用のLED

1回の充電に対する走行可能時間は、カタログスペックの最大値でECOモード105km/POWERモード40km(JIS9115測定法)となっています。筆者の肌感覚としても「普段使いで30~40km前後」はほぼ達成されている印象です。「SMARTモード」を中心に選択し、1日12~13km程度の走行で3日は余裕で持つかな? という感覚です。なおバッテリー残量は、液晶ディスプレイに常時表示されています。

とはいえ、バッテリー残量が少ない状態で走行するのは精神衛生上あまり良くないとも実感しています。なので筆者の場合はこまめに充電しながらの走行になるでしょう。

まとめ~スポーツバイクってこんなに楽しいのか……「お尻痛い」もきっと乗り越えられる!

今回は、約2週間に渡ってJF1を試用させていただき、その間の走行距離は約70kmほど。郊外エリアの県道・農道などを1日10km程度走るくらいで、冒険的なサイクリングはほとんどしていません。

しかし! それでも! やっぱりスポーツバイクは楽しい。なるほどe-bikeがチョイスされるのはこういう理由なのか。そうした発見だらけで、率直に言って感激しました。これだけ乗ってて楽しかったら、そりゃあみんなスポーツバイク買いますよね。

40代半ばのオッサンが、試用した記念に自撮りしちゃうほど楽しいe-bike体験でした

特に筆者の場合、最近はクルマに依存した生活スタイルで、自宅周辺の道路事情についてもいろいろ分かっているつもりでした。しかし、JF1で走ってみると印象が激変します。クルマではなんてことのない坂が、自転車に乗ってみるととても厳しく、だけどもJF1の電動アシストがあればラクに走れる。また、アスファルト道もすべて同じではなく、平坦で走りやすいところもあれば、工事のつぎはぎ舗装で想像以上にデコボコしていているところもある。そうした違いに気付けたことも、クロスバイクであり、e-bikeのJF1に乗ったことによる恩恵でした。

また、クルマと自転車では、移動スピードや寄り道のしやすさが違うので、普段の街並みから印象もまた変わりました。こんなところに飲食店があったのか、このコンビニは自転車置き場が目の前にあるから休憩しやすいぞ、自動車では通り抜けできない抜け道を発見した等々……。それらがもう心の底から新鮮で、あらゆる意味で“JF1のある生活”を楽しんでしまいました。

それとe-bikeゆえの安心感もまじまじと実感しました。試乗前は「普通の自転車と比べてしまうと、バッテリーの管理が煩雑では?」と正直考えていました。しかし、登坂のラクさを知ってしまうと、これはもう肯定派に回らざるを得ません。筆者のように体力に自信がない方にとっては、坂道というリスクが1つ減るのは極めて大きいです。ツール・ド・フランスのように1日170kmも走るのが目標であればまた違いますが、通勤したり、週末にちょっとだけサイクリングしたい方にJF1はフィットするでしょう。

スポーツ仕様のe-bikeの購入を検討するにあたっては、まずやはりサドルの座り方に関する“尻痛”の問題は念頭に置いておきましょう。もちろん、運動神経に自信のない筆者でも最終的にこれだけ楽しめた訳ですから、少しずつ走行距離を伸ばしたり、日をあけてこまめに乗るなどの工夫をすれば、十分対応できるはずです。

そして交通ルールも大事です。自動車の運転免許を持っている身なので「自転車は(歩行者ではなく)クルマである」は徹底できているつもりですが、とはいえいざ自転車に乗ってみると気分が高揚するのも事実。歩行者の安全を最優先に、それでいてしっかり自動車と共存する。信号の遵守、左側通行など基本中の基本ルールも含めて、あらためて徹底したいと思いました。

しかしスポーツバイクが家に1台あるってのは、実にいいものですね。乗り慣れてきたら、飲み物用のホルダーを付けようとか、そうはいってもサドルをより高級なモノに買い替えようとか、いろいろ夢が膨らみます。いやぁ、僕もe-bike買っちゃおうかなぁ?

森田秀一

1976年埼玉県生まれ。学生時代から趣味でパソコンに親しむ。大学卒業後の1999年に文具メーカーへ就職。営業職を経験した後、インプレスのウェブニュースサイトで記者職に従事した。2003年ごろからフリーランスライターとしての活動を本格化。おもな取材分野は携帯電話、動画配信、デジタルマーケティング。「INTERNET Watch」「ケータイ Watch」「AV Watch」「Web担当者Forum」などで取材レポートを執筆する。近著は「動画配信ビジネス調査報告書 2021」(インプレス総合研究所)、「BtoB-EC市場の現状と販売チャネルEC化の手引2020」(共著、インプレス総合研究所)。