藤本健のソーラーリポート

我が家の太陽光発電、苦難の道。今度は隣の新築で日陰に!?

「藤本健のソーラーリポート」は、再生可能エネルギーとして注目されている太陽光発電・ソーラーエネルギーの業界動向を、“ソーラーマニア”のライター・藤本健氏が追っていく連載記事です(編集部)
2023年に電気自動車サクラを家庭用蓄電池として導入

2023年10月に日産の電気自動車サクラを家庭用蓄電池として導入して運用開始した結果、家の屋根で昼間に発電した電気をサクラにためて、夜間にその電気を使うことができるようになった。

サクラの蓄電池容量は20kWh。一般家庭の消費電力量は1日10kWh程度といわれているので、余裕で2日間分は使えると思っていたのに、実際には1日持つかどうかだったということがすぐに判明。その後の計測により、ひどい時はためた電気の40%も取り出せないことが分かったのは、前回の記事で書いた通り。

そこで、思い切り無駄であるのは承知の上、もっと効率がいいと思われる据え置き型の蓄電池を導入しようと決めて、見積もりを取り始めたのだ。ところが、このタイミングで、太陽光発電側に新たな問題が発覚し、メーカーであるシャープも巻き込む事態へと発展してしまった。今回は、その内容に関してお伝えしたい。

サクラとV2H導入、そしてソーラーパネル全交換

筆者は中学校3年生のときに理科の先生から太陽電池の存在を教えてもらったことをキッカケに興味を持つようになり、太陽光発電を追いかけて45年。

1981年、高校1年生のときに購入した太陽電池

就職のときは太陽電池メーカーに入ることも考えたが、なぜかリクルートに入って編集者になる……という妙な人生を歩んできた。が、二十数年前のその会社員時代に三つ子が誕生するという一大事が発生したことで、それまでのマンション住まいはもう無理と、家を建てることを決意した。その際、それまでずっと夢を描いていた太陽光発電で暮らせる家を作ろうと、いろいろ調べ始めたのだ。

まだ今のように太陽光発電が家庭に広がる前の時代。情報も少ないし、まだかなり高価だった時代だが、当然それ以上にお金がかかるのは家、そして土地。そんなにお金に余裕があるわけではないので、冬でも屋根だけは十分に日が差すことを条件に近所で土地を探してみた。

その結果、北斜面で日当たりは悪いけれど、ソーラーパネルの設置にはまったく問題ないという安い土地を見つけ、屋根から設計していくという形で家を建てると同時に、シャープのパネルを設置したのがちょうど20年前のこと。

20年前の完成当時の筆者の家。真冬の時期の昼間だが、屋根だけ日が当たっていた

それから20年近く使ってきた結果、パネルにトラブルが出始め出力が落ちてきたため、新たにシャープの5.472kWのものに2023年10月末に載せ替えたというのは以前の記事でも書いた通り。ちょうどサクラを導入した数週間後のことだった。

前置きが長くなったが、太陽光発電は絶好調で、晴れれば1日25kWh程度は発電するのに、V2H側が期待に応えてくれなかったので、追加で蓄電池を……ということにした。見積もりサイトを通じて何社かの見積もりを取ったものの、あまり安くはならなかったので、結局、20年前からお願いしているシャープの代理店に頼むことにしたのだ。

晴れた日でも、なぜか4kWで高止まりする現象?

V2Hの反省から、蓄電池はできるだけ効率がいいもの、つまり蓄電した電気をめいっぱい取り出せるものを選びたかったので、別途蓄電池用のパワコンをつけるよりも、現在の太陽光用のパワコンがそのまま使えるのが効率もよさそう。太陽光の電気を直流のまま蓄電池に持っていけるというのも効率の面でもよさそうだったので、設置をお願いすることにした。

それがサクラや新パネルの導入から半年ちょっと経った、2024年の6月ごろだったのだが、代理店の担当者と話をしている際、ひとつだけ気になっていたことを伝えたのだ。それは5.472kWのパネルをつけているのに、なぜか出力が4kWを超えない、という点。

まあ、それ自体はまったく不思議なことではない。5.472kWはあくまでもスペック上の話であって、温度が低い状態で、パネルに垂直に太陽光が当たった際の数値であり、実際にはそんな好条件にはならないし、パワコンでの変換効率も考えれば、そんなに行くわけはない。実際、20年前に設置したパネルでも出力が3.6kWだったが、最高のケースで3.0kWを超えるくらいで、通常は2kWちょっとがいいところ。

ところが気になっていたのは、筆者が導入したHEMSの「Nature Remo E」で見ると、非常に晴れた日の場合、4kWで擦り切れるような形で、推移し、まるで4kWでリミッターがかかっているようなグラフになったのだ。

まるで4kWでリミッターがかかっているようなグラフに

これはシャープのリモコンで確認しただけだと、1時間ごとのグラフであるため、ややわかりづらいが、5分ごとにプロットしていくNature Remo Eの場合、台形のような形になっていて、明らかに変だ。

シャープのリモコンで確認したところ

筆者は自宅の屋根以外にも趣味で、千葉と山梨に太陽光発電所を運営しているが、そちらの出力を見ていても、晴れていれば、太陽が南中する時間を頂点に山型のグラフとなり、台形になることはなかった。まあ、4kWまで行っているから、それほど大きなロスというわけではないし、リアルタイムで出力を見ていると、瞬間的には4.2kW程度まで行くことはあるが、すぐに4kWに抑え込まれてしまう。そのため、何でだろう…と担当者に聞いてみたのだ。

筆者の持つ太陽光発電所の出力は、山型のグラフ

すると、その担当者も「こんな事象は見たことがない。何かトラブルが起きている可能性があるので、メーカーであるシャープに問い合わせてみる」という話になったのだ。それほど大きなロスではないにせよ、お客さんにはできる限り、無駄なく太陽光の電力を使っていただきたい、とのこと。

その結果、1週間ほどしてから代理店担当者とシャープのサービス会社の方が一緒に来て、現場を確認。データなどを見せた結果確かに何らかの不具合がありそうだ、ということに。

担当者と一緒に確認

見たところ、太陽光パネル側は問題がなさそうなので、パワコン側の問題ではないか、ということになり、後日パワコンを丸ごと交換することになった。シャープの担当者によれば「これでもう大丈夫です。安心してご利用ください」とのこと。

パワコンを丸ごと交換

問題はなかなか解決せず

今回のパワコン交換で、4kW以上の出力が出るかなと期待しながら、ストーカーのようにしょっちゅうスマホで出力状況を見ていた。ところが晴れた日の午前中の出力を見てみると、朝方はぐんぐんと出力を伸ばしていくけれど、やはり4kWあたりに届くと、そこで止まってしまう。まったく改善されていなかったのだ。

「やはり、これまでと変わらない」ということをシャープに伝えたところ、改めてサービス担当者がやってきて、再度いろいろとチェック。モニターにおいて、一般ユーザーには見ることができない、サービスマンモードのような画面を表示させた結果、ちょうど4kWで擦り切れる前のタイミングで、温度抑制のアラートが頻繁に出ていることが発覚。どうもパワコンが熱で不具合を起こしているようなのだ。

温度抑制のアラートが頻繁に出ている

さっそくパワコンのほうに見に行くが、外部からはそれほど異常な熱が出ているわけではなさそう。当時は真夏だったので、外気温が高いのは確かだが、隣の家と2mちょっとしか離れていないところの1階部分なので、1日中ほぼ日陰の場所で、ここに直射日光が当たるのはお昼前の1時間にも満たない時間だ。シャープの担当者もこの日は分からないので、一度持ち帰るということで、検討結果を待つことに。

パワコンの周りに異常な熱が出ているわけではなさそう

すると改めて連絡があり、今度はその日が当たるタイミングを見計らってチェックをしたいということで、シャープのサービス担当者がやってくることに。曇りや雨だと、日が差さないから、何度かアポイント調整をしつつ来てもらったけれど、何か問題点らしきものは見つからず、また持ち帰りとなった。

その後、再度連絡があり、またパワコンの交換をしたいという連絡があったのだ。「この前交換して、進展がなかったので、それは無駄では?」と聞いてみたところ、パワコン本体内部を取り出して、動作履歴をチェックしたいのだとか。前回交換したパワコンは、すでに処分してしまったため、データがなくなってしまったから、改めて今のパワコンで見るのだという。つまり修理ではなく、検査のために交換となるわけだが、そこは協力せざるを得ない。

代理店の担当者には、「それが終わったら、そろそろ蓄電池を入れたいんだけど……」とお願いするも、「今の不具合が判明しない状況で蓄電池を設置すると、ますますわからないことになるので、もう少し待ってほしい」とのお返事。

そうして2回目のパワコン交換となったのだ。担当者によれば「同じシステムを導入しているところは国内に多数あるけれど、同様の不具合は出ていないため、開発側も一緒に原因究明をしているのでもう少し待ってほしい」とのこと。動作履歴データから問題点が見つかればと願いつつ、心の中では、これは不具合というよりも、設計側の問題なのでは?」とも。

その後、また連絡がくると、「今度は隣の家からのエアコン室外機の熱風を防ぐための衝立を設置したい」とのこと。確かにお隣さんの室外機が、うちに向かってズラリと並んでいるので、夏はそこから熱風が出てくるし、ウチからもお隣に向けて室外機から熱風が出ていくから、まさにここは熱の吹き溜まり地帯にはなっている。とはいえ、それなりに風通しがあるから、見た目ほど酷いわけではなく、お隣との境にベニア板でエアコンの排気を遮断したところで、効果が出るとはまったく思えないけれど、試したいというのだから、止めるものでもない。

でも、結果はやはりまったく変化なしであり、温度抑制なるアラートも日々発生している状況だったのだ。

さらに新たな問題、影ができて日光が届かない?

そんなやりとりを2週間おきくらいにやっていると、夏も終わり、秋になり、太陽の位置も徐々に下がってくる。その結果、太陽が正面にやってくる時間帯でもそもそも4kWに満たないことも多くなり、温度抑制の警告もなくなり、これからの季節での実験は難しいことに。

「数週間以内には、一度現状のご報告をします」とのことだったが、その結果は「現時点において、不具合らしきものは見つからず、温度抑制が出るのも、ぎりぎり仕様の範囲内である、というのが現時点の見解です。申し訳ありません。ただ、そうはいっても問題はありそうなので、再度、春になって出力が上がってきたころに、調査させてください」とのことだったのだ。

こちらとしては、もういいから、蓄電池を……という思いを伝えたけれど、「やはり、原因をハッキリさせてからでないと、次に進めません」とのことで、蓄電池は半年間お預けということに。

実は、何度も調査にやってくる際、作業の様子を見ていたので、先ほどのサービスマンモードに入る方法がわかってしまった。ときどき自分でも温度抑制の履歴がどうなっているかなどチェックしていたが、確かに11月以降はほぼ出なくなった。

しかし、今度は新たな問題が発生してしまった。それは、ウチの南西にあった古い家が取り壊しになり、新しい建物が建つことになったこと。事前に工事会社が挨拶に来ていたので、何も気にせず了承したのだが、実際工事が始まると、ウチから見ると、そびえ立つような3階建てのアパートだったのだ。

3階建ての建物が南西の位置に建つことに

建築中の建物には、建物自体よりも高い囲いがあったことも影響しているのか、また、太陽の高さが一番低くなる冬至の前後となったこともあり、ウチの屋根に大きく影がかかるようになってしまった。

ウチの屋根に大きく影がかかるように

20年前、屋根だけは日が当たる土地と思って買ったはずだったのに、影ができてしまうじゃないかと。こればかりは文句のいいどころもなく、ガッカリな感じ。HEMSでの発電状況を見ると、12時を過ぎると出力が急降下していき、15時にはほぼ発電が終了していしまうという状況になった。

そこから1カ月、2025年1月20日を過ぎると日が少し高くなり、急降下度合いは少し緩やかになるけれど、やはり影の影響がハッキリあるのがわかる。ついつい、この新築アパートによるロスがどのくらいなのか計算してしまうが、やり場のない怒りをどこにぶつけたらいいのか分からず、結局は空を見上げてため息をつくだけだった。

15時にはほぼ発電が終了
1月を過ぎても影の影響がハッキリ出ていた

そんな影問題も、1月末には日が高くなってほぼ解消。多少の影響はあるものの、誤差の範囲内になってくる。が、2月に入ってくると、また新たな疑問点が出てきた。

前述した4kWの擦り切れ問題が発生しだしたのだが、寒い時期だったため、温度抑制は発生していない。つまり、4kWで擦り切れるのは温度抑制が問題ではないようなのだ。その後も同じような状況が続いており、ずっと晴れていないときでも、4kWがマックスという感じだった。

4kWの擦り切れ問題が発生
4kWで平らになる状態に

原因は判明、しかし解決には至らず。蓄電池導入へ

その後4月になり、改めてシャープから連絡が入り、再度調査をすることになった。もう、あまり進展はないだろうと諦めつつ、真冬の温度抑制がない状況でも擦り切れ問題が起きていることを伝えたのだった。そこからさらに待つこと1か月、「5月末に最終報告にお伺いしたい」という連絡が入り、どんな結果が出るのだろうと心待ちにしていたのだ。

その当日、いつも来てくれていたシャープのサービス担当者の姿はなく、代理店の担当者と、これまで何度かわざわざ宇都宮から横浜まで来てくれていたシャープエネルギソリューション株式会社のCS・品質保証部の方、さらには東日本支店長の3名が自宅に。「温度抑制に関する調査報告書」という書類を持参されて、状況を細かく説明していただいた。

3名の方に説明をいただいた
調査報告書

かなり技術的なところまで記載した資料となっているが、結論からいうと、温度抑制自体は今回の事象の直接的原因ではなく、ソーラーパネルとパワコンの相性の問題であったことが判明したとのこと。実は一昨年導入したパネルは出たばかりの新製品であり、従来のものと比較して、日射量が多いときに、かなりの電流が流れる高性能なものになったという。一方で、パワコン側はそのパネルよりも古くに設計されたもので、入力電流が11Aを超える入力電流を制限する仕様になっていたのだとか。

つまり、高性能なパネルであったことから、太陽が南にくると11Aを超えて出力するため、パワコンがそのすべてを受け止めることができず、11Aで止まってしまうのだそう。それが4kWの天井ということになっていたようなのだ。

パネルの高い出力をパワコンが受け止めきれなかったという

そうした相性問題があることがシャープ内でも把握できておらず、他からもそうした指摘がなかったため、1年近く経過してしまったとのこと。一方で、その後に登場した最新のパワコンはそうした問題はクリアしているのだとか。

ただ、すでに古い機種で契約し、購入しているので、新機種にリプレイスしてくれる、というわけではなく、お詫びと報告ということで終了。2回もパワコンを交換するなら、新しい機種にしておいてくれればよかったのに……とも思うところだが、ウチのパネルは6直列4回路となっているため、配線の取り回しなどの関係上、現在出ているパワコンでは対応できず、その後に発売になるものでないと、対応できないとのこと。

それに変更するには、パワコンの買い替えが必要となるけれど、そもそも4kWの擦り切れによるデメリットは発電量の2%以下であり、パワコンを買い替えても元が取れないとのことで、とりあえず現状のままで行くことになった。

その代わり、蓄電池の導入費用はちょっぴりオマケしてくれるということで話はまとまり、6月中旬(2025年)にいよいよ9.5kWhの蓄電池を導入することが決まった。その運用の話は、次回改めてレポートしていく。

藤本 健